とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー 作:かなん
俺、左翔太郎と相棒のフィリップが学園都市に来て数日。もともとは財団Xの残党狩りとしてやって来たが、事態は思った以上に深刻だった。残党は新たな組織『リベンジ』を創設。財団X幹部のイアン・ウルスランドを始めとするメモリに関連した人物が集うその組織は学園都市でメモリを流通させ、何かを起こすつもりなんだ。レベル5、第三位の御坂美琴に似たクローン『
メモリ流通の影響はもちろん学生たちにも及ぶ。未成年がメモリを使えば人体への影響も大きいし、何より超能力が当たり前に使える学生たちがドーパントになれば倒すのも一苦労だ。フィリップはもう一人の仮面ライダーである照井を呼び俺たちは新たな体制でこの学園都市を守る決意をした。
そして……今回の依頼はある一人の女の子とその幼なじみの男の恋物語だ。
鳴海探偵事務所の代わりにと俺はジャッジメント一七七支部に来ていた。ここには悩みの種を咲かせた人々がやって来る。それをジャッジメントの固法美偉ちゃん、初春ちゃん、白井と共に解決へ導くのだ。許可は取ってあるのかって?それなら大丈夫だ。照井が手回ししてくれたおかげでガイアメモリ犯罪特別委員として一時的にジャッジメントの仲間入りをしたからさ。メモリ絡みの事件には足を運びドーパントを倒す、それが俺たちの仕事だ。
「すみません……」
依頼人がドアを叩く。その瞬間、俺の気が引き締まる。ネクタイを締め直して椅子から立ち上がった。入ってきたのは制服を着た女の子、高校生くらいだろうか。
「ご依頼ですか。それならこの探偵、左翔太郎にお任せを」
「あ、いえ。ジャッジメントの固法はいらっしゃいますか?」
俺は軽くあしらわれ心に傷を負った。奥から固法ちゃんが顔を出した。
「私のこと呼んだ?……って華蓮じゃない!どうしてここに?」
よく見ると少女は美偉ちゃんと同じ制服だ。美偉ちゃんの反応を見るに知り合いのようだ。
「実は……人を捜してほしいの」
その瞬間、再び俺の気が引き締まった。それは嫌な予感がしたからだ。ただの人捜しではない、そんなふうに思えるんだ。そしてその予感は大体的中する。そう……今回もだ。
「その依頼、引き受けるぜ」
「まずは事情を聞かせて?華蓮」
そして彼女は語り始める。
まず彼女の名は本田華蓮。美偉ちゃんと同じ学校の友人であり中学からの仲らしい。捜してほしいのは幼馴染の鈴木隼。隼くんだけ別の高校だが三人は中学時代に仲良くしていたらしい
隼くんは三日も行方をくらませているそうだ。不審に思った華蓮ちゃんは寮を訪ねたが、寮でも行方不明の騒ぎになっていたらしい。そしてアンチスキルに捜索願を出したが美偉ちゃんがいるジャッジメントにも知らせようと来たのだ。
「まさか隼がね……何か事件に巻き込まれていないといいけど」
「隼のバイクも無いみたいなの。もしかしたらバイク絡みで何かあったのかも……」
「その言い方だと前にも何かあったみたいだな」
俺の予想は当たった。華蓮ちゃんは大きなため息をつく。
「実は昔、私達三人が不良グループに絡まれたことがあったんです。その原因がバイクでした。不良は私達のバイクが欲しくて奪おうとしたんです」
なるほど。今回の失踪でバイクも無いとなるとその線が怪しいのは確かだ。
「華蓮ちゃん。最後に会った日、何か変わったことはなかったかい?」
うーん…と頭を悩ませる華蓮ちゃん。数秒経ったあと、何かひらめいたような顔を見せた。
「あ!そういえば!最後に会ったときに『面白いものを見せてやる』って」
「面白いものか……それが原因なのは間違いないな」
ひとまず俺は隼くんの住む寮に足を運んだ。寮は基本二人一部屋。ルームメイトである川崎くんを訪ねた。
「もう三日も帰ってきていないんですよ、アイツは。アンチスキルだってまともに動かないですし……頼りになるのはジャッジメントくらいですよ」
「なぁ、アンチスキルってのはそんなに動かないもんなのか?」
俺は今回のアンチスキルの動向に違和感を感じた。アンチスキルはいわば警察。行方不明事件ならすぐにでも動くはず。だが今回、アンチスキルは全く相手にしてくれないらしい。
「いえ、普通なら捜索とかしてくれるんですが……」
この事件、ドーパント絡みの線が浮上してきた。照井が来たことによってガイアメモリ使用が立派な犯罪になったが、まだまだアンチスキル内部ではその状況を受け入れられていないという。俺はとりあえず照井にこのことを連絡し、アンチスキルにも動いてもらうよう要請した。
「隼くんは必ず見つけるさ。ところで何か変わったことはなかったか?」
川崎くんはしばらく悩んだ後、何かを思い出した。
「そういえばアイツ、ヤバいのに手を出したんですよ!確か……ガイアメモリ?ってヤツに」
「何だって!?」
ビンゴだ。これで隼くんはメモリ関連の事件に巻き込まれたと確信した。
とりあえず一度一七七支部に戻ろうと聞き込みを終えたその時だった。突然轟音が響く。化け物の叫び声ともとれるその甲高い音は徐々に近づいてくる。そして川崎くんの腕が何者かに引っ掻かれ赤い液体が辺りに飛び散った。
「ハァ……ハァ……何なんだよッ!」
「大丈夫か!?」
俺は川崎くんを守るように手を伸ばした。声の主はどこかへ消えたらしく、気配も感じなかった。
この事件にガイアメモリが関係している可能性が出てきた。俺は川崎くんを病院まで送った後に一七七支部へ戻った。
「翔太郎さん、何か手がかりはあった?」
美偉ちゃんと華蓮ちゃんがお出迎えをしてくれた。二人はパソコンを使って情報を探していたようだ。
「あぁばっちりだ。隼くんはガイアメモリ犯罪に巻き込まれた可能性が高い。それに、隼くんのルームメイトがドーパントに襲われた。そのドーパントが隼くんなのかはわからねぇが……」
「ガイアメモリ……!隼が怪物に……」
どうやら華蓮ちゃんもガイアメモリのことは知っていたようだ。この街におけるメモリの知名度もなかなか上がってきたみたいだな。
「とにかくだ。一刻も早く見つけないと隼くんが危ない」
美偉ちゃんは再びパソコン画面に向き直った。そしてすぐに何かを見つけたみたいだ。
「見つけたわ。最後に監視カメラに映ったのは第六学区のバイクショップね」
ジャッジメントってのはやっぱりすげぇな。街中の監視カメラを全て調べてたらしい。
映像ではバイク屋の店内で並んだバイクを見つめている。その後、謎の男と会話し店を出ていった。男は明らかに店員じゃない。スーツ姿でアタッシュケースを持っている。見た目からするに奴はメモリの売人か?
「よし。俺は現場に行く」
「私たちも行かせて」
俺はドーパントと戦闘になる可能性を考慮しフィリップに事情を説明した。いつでも戦闘態勢をとれるようにな。
バイク屋は人通りの少ない薄暗い路地にポツンと建っている。中に入るといかにもヤンキーが乗っていそうなバイクが並んでいた。俺たちの気配を感じたのか店主が奥の部屋から出てきた。
「おぉいらっしゃい。嬢ちゃんたちか。ゆっくりしていきな」
どうやら美偉ちゃんも華蓮ちゃんも顔なじみらしい。固法ちゃん曰くボケボケな老人だが良い人だとのこと。俺はおっさんに隼くんの写真を見せた。
「実はこの子を捜しているんだが何か心当たりはないか?」
「ん〜?あぁ〜最後に来たのは三日前だったかなぁ。他の客と会話していて……ガイドメアリー?って」
まさか……!美偉ちゃん、華蓮ちゃんと目を合わせた。おっさんは聞き間違えているが間違いない。
「ガイアメモリ……」
隼くんはガイアメモリの取引をしていたのか。だが爺さんに聞いてもそれ以上の情報は出てこなかった。肝心の隼くん本人が今どこにいるかわからない。
「結局振り出しに戻るわけね」
華蓮ちゃんの顔に疲れが見える。きっと心配でまともに寝られていないんだろう。俺は一刻も早く依頼人の笑顔を見たい。依頼人の悲しむ顔、今も苦しい思いをしているであろう被害者を思うと俺は自然と拳を握りしめていた。
「……くそっ!」
俺が叫んだ瞬間、辺りに強風が吹いた。風でめくれそうになるスカートを抑える二人。俺も帽子を抑えるが何かの存在に気づき慌てて回避行動をとった。この気配は……さっきのと同じだ!見えない何かは公園の噴水にぶつかり噴水のオブジェが崩れてしまった。
「何なの!?」
「下がってろ!二人とも!」
俺はすかさずダブルドライバーを取り出した。腰に装着するなりすぐさまサイクロンメモリが転送されてきた。
『やはりドーパントかい?』
「まだわからねぇ。ただの能力者かもしれねぇしな。変身!」
ジョーカーメモリを装填して変身。仮面ライダーダブルとなった。
「え……?仮面……ライダー?」
華蓮ちゃんが驚くのも無理はない。能力者でもない大人が変身したからな。
『翔太郎。見えない相手にはこれが有効だ。トリガーに変えてくれ』
「あぁ!」
相棒はルナメモリを使いルナトリガーに変化した。そしてメモリをマキシマムスロットに装填した。
『ルナ!マキシマムドライブ!』
右手に出現した光の球を握り潰し粒子を空気中に漂わせる、トリガーシャインフィールドが炸裂。これで見えない敵もセンサーで感じ取れる。捉えたのは正面。全身が赤く機械のようなものに覆われた怪人が姿を現した。装甲が高温なのか蒸気を発している。
「何だあのドーパント?まるで車みたいだな」
『美偉ちゃん。隼くんの能力は?』
「レベル3の認識阻害よ」
『なるほど。つまりあの透明化は能力ではない。認識阻害を働かせたところでダブルのシステムカメラに映るはずだからね』
認識阻害はあくまで人間の目に作用するもので、監視カメラやダブルの機能には効かない。
「つまりは変身者が隼くんとも限らないわけだ」
『リリィ白銀と同じインビジブルのメモリだ。あれは改造で怪人にはならなかったがこれが本来の姿なのだろうね』
リリィ白銀。俺たちの協力者である風都イレギュラーズの一人で、かつてインビジブルメモリを使ったことのある女性だ。だがメモリに細工され透明人間になってしまい命の危機に陥った。それを照井は救ったわけだ。
「んじゃあとっとと片付けるか」
トリガーマグナムの弾がドーパントを追うがすぐに見失ってしまった。
「トリガーシャインフィールドを無効化したのか!?」
『いや、そんなはずはない。僕達には見えているだろう?』
だがそれは一瞬の出来事だった。ドーパントが消えたのだ。
「おいおい……俺たちには見えるんじゃなかったのか」
『馬鹿な……ダブルが視認できないはずは……まさかインビジブルではないというのか!?』
俺たちが混乱している間にドーパントは攻撃を仕掛けてきた。為す術もない俺たちはその攻撃を受け宙を舞った。
「どうする相棒?メタルでいくか?」
『ファングとエクストリームが使えない今対抗策が思いつかない……』
ファングメモリもエクストリームメモリもこの間のウルフとファングの野郎にやられてから修理できていない。現状は六本のメモリで対抗するしかない。
しばらく構えていたが敵からの攻撃はない。それどころか気配さえ消えていた。
『どうやら逃げたみたいだね』
「あぁ」
変身解除した俺に美偉ちゃんと華蓮ちゃんが駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか!?」
「まさか……あれが隼……?」
この事件の謎は多い。なぜ隼くんがガイアメモリに手を出したのか。ルームメイトが襲われた理由。ドーパントの正体。ドーパントの能力。それらの謎を解く鍵は華蓮ちゃんにあることをこのときはまだ知らなかった。そしてこのドーパントに対する切り札が現れることも。
今までと違い今回は翔太郎視点で物語が進んでいきます。今回からずっとというわけではなく今までの書き方もやります。
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