とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー   作:かなん

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Iは何処に/ノンストップレース

 インビジブルドーパントと戦った俺ははすぐに照井のもとへ向かった。照井は普段アンチスキルの総合司令部といういわゆる本部のようなところにいる。

 

「そういうわけで隼くんを捜してほしいんだが」

 

「任せろ。仮にもそのドーパントが別人だったとしても両方見つけ出してやる」

 

 こういうとき頼りになるな、照井は。風都での事件のときは様々な人の協力で解決に導く。街のことを知り尽くした情報屋、風都イレギュラーズ。警察が動いたときに情報をくれる照井や刃さん。鳴海探偵事務所の重鎮、ミック。メモリの力を感じ取れる俺の助手のときめ。思わぬ言動で事件解決に繋がる亜樹子。そして二人で一人である俺の相棒、フィリップ。こいつらに俺は何度助けられたことか。

 だからこそこの学園都市では今までと同じようにはいかないし、苦労する。敵もかなり強い。園崎家に匹敵するほどの組織、リベンジ。財団Xの一員であるイアン・ウルスランド。ファングメモリを使いこなす歯牙木場乃。奴らを倒すまでの道のりは長い。

 とにかく、今は隼くんだ。一刻も早く見つけ出さないとな。フィリップが地球の本棚でインビジブルドーパントの対抗策を見つけている間、俺はとにかく走った。そして公園にある人物たちを見つけた。

 

「おっ。ビリビリたちじゃねぇか」

 

「ビリビリ言うな!っていうか何でそんなに汗だくなのよ?」

 

「うるせぇ!こっちは依頼人のために人捜ししてんだよ!」

 

 ビリビリ、白井、初春ちゃん、涙子ちゃんの四人にも事情を話し協力してくれることになった。

 

「固法先輩も連絡してくれればもっと早く協力できたのに……」

 

「あなたならわかるでしょう初春。固法先輩が後輩の非番を潰すような人ではないと」

 

「でも透明人間相手にどうやって捜せばいいのかな?」

 

「能力は認識阻害か。それはカメラを使えばいいけどメモリの能力は厄介ね」

 

 いつの間にか作戦会議が始まっている。俺はその場を去ろうとすると涙子ちゃんが大声をあげた。

 

「あっ!」

 

「いきなりどうしたんですか佐天さん!?」

 

「閃いた!透明人間を倒す方法!」

 

 何だって?俺は振り向き涙子ちゃんに駆け寄った。

 

「倒す方法だって?一体どういう?」

 

「相手が見えなくても攻撃すればいいんですよ!」

 

 はっ。バカバカしい。そんなのできてりゃとっくにやってるぜ。他の皆も呆れている。

 

「あのさ……もっとこう……具体的なヤツを……」

 

「つまりですよ?見えなくても相手の場所がわかれば攻撃は通じます。だから相手を上手く拘束できれば動きを封じられる。そこを一気に叩けば完璧です!」

 

 理屈は通ってるがどうやってドーパントの動きを封じるか。どうやってドーパントを見つけるか。この作戦には穴が多い。

 

「ダメだな。……と言いたいところだが……」

 

 俺はスタッグフォンを取り出しフィリップに電話をかけた。

 

「フィリップ。ちょっといいか?」

 

『あぁ。ちょうどこっちも連絡しようと思っていたところだよ』

 

「わかったのか?対抗策が」

 

『いや、まだだ。だけどある仮説が立ったんだ。僕達はまだあのドーパントが変身するところを見ていないだろう?』

 

「確かにな……そりゃつまり変身者が違うってことか?」

 

『かもしれない。だが僕の予想では変身しているのは隼くんだ。それでそっちはどうだい?』

 

「実はドーパントの対抗策で涙子ちゃんが思いついた作戦があるんだ。まだまだボコボコな作戦だが相棒の力を使えば舗装できるんじゃないかと思ってな。ドーパントの動きを止めて攻撃するって作戦なんだが」

 

『その作戦、良いんじゃないかな。実はもう一つ、僕の仮説がある。あのドーパントはインビジブルではない。それがわかればその作戦が使えるかもしれない。だから確信を得たいんだ。それを君に任せたい』

 

「あぁ。わかった。こっちもビリビリたちが協力してくれるし照井も動いているはずだ。任せろ」

 

 フィリップの仮説、ドーパントの正体がインビジブルではないというのを証明するための準備を始めた。ビリビリたちにも説明し、俺はある人物とコンタクトをとった。

 

「お待ちしておりました、左様」

 

 おしとやかなお嬢さん方、湾内絹保ちゃんと泡浮万彩ちゃんだ。二人は今回の作戦に必要不可欠な存在なんだ。

 

「突然呼び出して悪い、ビリビリ……御坂から聞いたとは思うがよろしく頼むぜ」

 

 さて、早速作戦開始だ。まず俺たちは美偉ちゃんからの情報を待つ。ドーパントを確実に一定のポイントに誘導するためにビリビリ、白井、涙子ちゃん、照井が追い込む。と言っても相手は透明。カメラにも映らない。だが初春ちゃんは映像のわずかな違和感も見逃さない。的確に位置を特定しビリビリたちに指示を出す。

 

「白井さん!三番街の路地裏で強風が吹いてます!ドーパントかもしれません!」

 

「了解ですの。確認しますわ……くっ!当たりでしたの!東へ向かって行きましたわ!」

 

「ねぇ初春!なんか動き速くない?さっき私のところにいてすぐに御坂さんのところに行って、照井さんのところにも来たじゃん?テレポートかっての」

 

 無線を聞く限り相当速いスピードで動いているらしい。初春ちゃんの計算では学園都市の端から端まで一分でいけるとのこと。

 

「まさかアイツ透明に加えてテレポートとかの能力も持ってるわけ!?」

 

「フィリップ。左。作戦はどうなっている?」

 

「順調だ。ドーパントは君たちの誘導でこっちに向かってきている。後は彼女たちに任せよう」

 

「絹保ちゃん、万彬ちゃん!準備はいいか?」

 

「はい!」

 

 二人は元気よく返事をした。

 ドーパントが目標の場所、高速道路の入り口に接近。道路はアンチスキルが封鎖しているので一般人が入ることはない。照井がいなかったらアンチスキルも動かなかっただろう。俺、フィリップ、絹保ちゃん、万彬ちゃんは道路で待機している。

 

「……来た!」

 

 フィリップがカタツムリ型のゴーグルガジェット『デンデンセンサー』でドーパントを視認した。このデンデンセンサーは肉眼では見えないものも見ることができるスグレモノだ。

 

「いきます!」

 

 絹保ちゃんはアンチスキルの装甲車に積まれたタンクから水を操り道路を浸水させる。これが絹保ちゃんの能力、水流操作(ハイドロハンド)だ。さらに万彬ちゃんが周囲の浮力を操り水が宙に浮いていく。

 

「頼むぜ……」

 

 そして、見事ドーパントは水で足止めされ浮力操作によって宙に浮いた。赤い体に胸に巨大な飾り。体中をパイプのような管が通り背中から炎を排出している。

 

「よし。いこう、翔太郎」

 

「あぁ」

 

「「変身!」」

 

『ヒート!トリガー!』

 

 初っ端からのヒートトリガー、水を蒸発させながらもドーパントを集中砲火だ。すると体から出ていた蒸気が消え赤かった体が灰色に変わっていった。浮力を戻すとドーパントは地面に倒れた。

 

「お前は隼くんなのか……?」

 

 正体を確かめるために近づこうとしたが道路の奥から何かが来るのが見えて歩みを止めた。

 

「あれは……」

 

 爆音のエンジンを唸らせて来たのは二台のバイクだった。二人とも赤い革ジャンを着ている。ヘルメットを脱いだその二人は見覚えのある顔、美偉ちゃんと華蓮ちゃんだった。

 

「隼……ホントにあなたなの?」

 

「ねぇ。一緒に帰ろ?私、話したいこといっぱいあるからさ」

 

 さらにもう一台、バイクがやって来た。赤いバイク、照井だ。後ろには涙子ちゃんも乗っている。白井とビリビリも合流し全員揃った。

 

「ふぅ……やっと終わったわね……」

 

「あら?固法先輩が着ているその服は……確か……」

 

「ええ。私も、可憐も、隼も元々ビッグスパイダーだったの」

 

 ビッグスパイダー?なんかの組織か?フィリップはすぐさま検索し解説を始めた。

 

『ビッグスパイダー。スキルアウトの集まりで、創設者は黒妻という男。つい最近壊滅したみたいだね』

 

「じゃあその革ジャンはビッグスパイダー時代の思い出ってところか」

 

 そしてドーパントの正体を確かめようと照井が触れた瞬間、ドーパントは立ち上がった。そして……

 

「オレ……ヲ……タス……ケ……」

 

 苦しそうにしつつ何かを話して再び走り出した。

 

「あの声は……隼で間違いないわ!追いかけないと!」

 

「お、おい!ちょっと待て!」

 

『翔太郎。僕が立てた仮説どおりだ。彼は隼くんでメモリはインビジブルではない』

 

「じゃあ本当の正体はなんだ?」

 

『恐らくは車だろう。形状を見るに特に速さに特化したF1といったところだね。あの胸は空気抵抗を考慮したもの、配管のようなものはマフラーだよ。体が赤くなり蒸気を発するのは体が赤熱しあまりの熱さによって蒸気が出たからだ。さっきは動きが止まり熱が発生しなくなって変色していたんだ』

 

「あ〜よくわかった。だがどうやって追っかけんだ?こっちもバイクがありゃいいんだが」

 

 そう。ダブルの専用マシンであるハードボイルダーは学園都市に持ち込めなかった。照井は普通のバイクだからOKだったがハードボイルダーは見た目で怪しまれてダメだったんだ。

 

「左、そのことなら心配ない」

 

 照井はそう言うとビートルフォンで誰かに電話をかけた。

 

「そっちはどうだ?……わかった」

 

 珍しく微笑むと電話を切りすぐに真剣な顔に戻った。

 

「心配ないってどういうことだよ?」

 

「来たぞ」

 

 照井が指を差した方向から巨大な何かがこっちに向かってきている。ダブルに似たアンテナ、数多くのタイヤ……あれはまさか!

 

「リボルギャリーか!」

 

「何よあれ……」

 

 あまりの巨体に御坂たちも開いた口が塞がらない。

 

『あれは僕らのサポートマシン、リボルギャリーさ。あの中に翔太郎が普段使うバイク、ハードボイルダーが格納されているんだ』

 

 リボルギャリーは俺たちの目の前で停車するとハッチ部分が開き、黒と緑のツートンカラーのバイクが姿を現した。

 

「おっしゃ!久しぶりにぶちかますぜ!」

 

 俺はうきうきでハードボイルダーに跨がろうとしたが、後頭部に何かが当たりスパァァン!と心地よい音が響いた。この感覚……なんだか懐かしい。今までさんざんやられてきたように感じる。そう思って後ろを振り向くと御坂たちと同じ中学生くらいの小さな女の子が。だが俺やフィリップ、ましてや照井なんかが知らないわけがないあの人物だった。

 

「相変わらずハーフボイルドね!翔太郎くん!」

 

『亜樹ちゃん!』

 

「おい亜樹子!久しぶりの再会でそれはねぇだろ!」

 

 鳴海亜樹子。鳴海探偵事務所の所長であり照井の妻でありおやっさんの娘だ。彼女もまたメモリ犯罪と戦ってきた一人ってとこだな。亜樹子を知らない御坂たちは変わらずポカンとしている。

 

「あ〜こいつはウチの事務所の所長な。で、照井の妻」

 

「あっ!あなたが照井さんの奥さんですか!?キレイだな〜!」

 

 そういえば涙子ちゃんには話してたっけな、亜樹子の話。

 

「そう?ん〜なんだか嬉しいな!……ってそれどころじゃない!翔太郎くん、フィリップくん、竜くん!やっちゃって!」

 

「あぁ!」

『了解した』

「わかった」

 

 ハードボイルダーに乗った俺たちダブルは勢いよくリボルギャリーから飛び出した。さらに照井もアクセルに変身し、アクセルドライバーをバックルから外し構えた。そして空中で一回転する間にバイク形態へ変形していく。

 

「なんなんですの……照井さんがバイクに……?」

 

 御坂、白井、涙子ちゃん、美偉ちゃん、華蓮ちゃんにとっては衝撃の連発だ。ちなみに初春ちゃんは無線でしか状況を把握していないから何が起きているかわかっていないらしい。

 

『え!?照井さんがバイク!?りぼるぎゃりーって何ですか!?照井さんの奥さんが!?』

 

「落ち着け初春ちゃん。とりあえずはあのドーパントを片付ける」

 

 F1ドーパントを追い二台のバイクが走り出す。俺たちはハードボイルダーに最も相性の良いサイクロンジョーカーにチェンジしより風を感じる。アクセルも負けじとスロットルをひねり加速。徐々にF1ドーパントとそれを追いかける美偉ちゃんと華蓮ちゃんも見えてきた。

 だが、突然二台のバイクは止まってしまった。F1ドーパントが道を破壊し道路が崩れてしまっていたからだ。

 

「まずいぜ!どうする!?」

 

『後部ユニットを交換する』

 

 ものすごいスピードでリボルギャリーが走行してくる。そしてハッチが開き赤と黄の二つのユニットが収納されているドラム部分にハードボイルダーを停車させた。後ろ半分緑色のボイルダーユニットか取り外される。ドラム部分が回転して赤いタービュラーユニットが代わりに装着された。ジャッキアップと同時に前輪が水平に倒れタービュラーユニットの力で空に浮く。これこそが飛行に特化したハードタービュラーだ。

 

「おっしゃ!一気に飛ぶぜ!」

 

 超音速での飛行が可能なこのハードタービュラーであっという間にドーパントに追いついた。

 

「逃さないぜ!」

 

『翔太郎、トリガーでいこう!』

 

 トリガーにメモリを変えて空中から高速弾丸をお見舞いした。ドーパントのタイヤとも言える部分が爆発し走行不可になった。

 

「メモリブレイクだ」

 

『トリガー!マキシマムドライブ!』

 

「『トリガーエアロバスター!』」

 

 風の力を宿した弾丸が体内のメモリを貫く。ドーパントの姿から開放された隼くんがうめき声をあげ倒れた。

 

「とりあえずあいつらが来るまで待つか」

 

 それからしばらくして、隼くんが目を覚ました。そのときにはもう全員集まっていた。

 

「美偉……華蓮……」

 

「隼!良かったわ……」

 

「何でガイアメモリなんかに手を出したの?私すごく心配だったのに!」

 

 そして隼くんは全てを話しだした。それはいつものようにバイク屋にいたときだった。

 

「君。バイクが好きなのかい?」

 

 スーツの男が近づいてきた。赤いネクタイに大きなアタッシュケースを持ったビジネスマンのような風貌だ。

 

「まぁそうですけど」

 

「だったらこれを使うと良い」

 

 男はアタッシュケースを開き大量に入っていたガイアメモリの中から「F」のメモリを差し出した。

 

「これって?」

 

「これを使えば極限までの速さを得られる。その姿はさぞカッコいいだろうね」

 

 そのとき、脳裏によぎったのは華蓮ちゃんの姿だった。華蓮ちゃんとは幼い頃からの仲。だが最近、華蓮ちゃんに対する想いが変わりつつあった。

 

「いいんですか?お金はあまり持っていませんが……」

 

「お金は要らない。君の幸せのためならね」

 

 隼くんはガイアメモリを使用すればどうなるかはわかっていた。だが、一度だけなら……と誰もいないような路地裏でメモリを挿した。それはまるで最速マシンに乗ったかのようだった。その速さは音速に等しい、あるいはそれ以上だったからだ。

 もう一つ、速さの他にも手に入ったものがあった。それは力。人を超えたその力があれば不良たちも怖くない。元ビッグスパイダーだった隼くんや華蓮ちゃんは頻繁に絡まれていた。だから華蓮ちゃんを守りたかったんだ。

 

「これで華蓮を守れる!強くなったんだ!」

 

 だが人生にトラブルはつきもの。変身を解除したくてもメモリが排出されず体内に残ったままになってしまった。そしてメモリの能力で暴走を始め今に至ったわけらしい。

 

「どうやらメモリが不良品だったみたいだね。もしくは……イアン・ウルスランドが意図して渡したか。実験として」

 

「だから自我が無いまま建物にぶつかり破壊したりしたんですのね」

 

「あの……僕はやはりアンチスキルに捕まるんでしょうか」

 

 不安げな顔をした隼くんに照井と華蓮ちゃんが近づく。

 

「ガイアメモリ使用特別法で逮捕だな。だが、今回の被害者が君以外いなかった。それで罰は軽くなるだろう」

 

「隼。私待ってるから。あなたの本当の想いを聞くために」

 

「……ありがとう。華蓮」

 

 その後、隼くんはアンチスキルに連行された。幸いにも今回の被害状況からジャッジメントの更生施設で一定期間過ごすだけになった。華蓮ちゃんと隼くんが再び会える日はそう遠くはないだろう。

 俺は改めてガイアメモリの危険性を認識しなおした。動作不良を起こしたメモリは今回のように暴走を引き起こす。いち早くこの学園都市からメモリを根絶しないとな。

 

 

 俺がそんな報告書を作っていた中、イアン・ウルスランド率いるリベンジはいよいよ本格的に動き出していた。『C』『F』『A』『M』それぞれのメモリを持ったリベンジの幹部たちは俺たち仮面ライダーと激しくぶつかり合うことになる。

 そして、まさか常盤台のあの子が狙われるなんてな……

 

 

 

 

 

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