とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー   作:かなん

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謎の怪物、ドーパントに誘拐された黒子。絶体絶命のピンチに駆けつけたのは二人の青年。彼らは仮面ライダーダブルとなってドーパントを倒したのだった。


能力狩りのG/死神はそこにいる

「ごきげんよう、御坂様」

 

「おはよう〜」

 

 常盤台中学。学園都市における名門校でありいわゆるお嬢様学校である。高レベルの能力者が集うこの学校に御坂と黒子は通っている。ちなみに初春と佐天は柵川中学という別の学校だ。

数日前に起こったドーパント事件のことは校内でも話題になっていた。もちろん、仮面ライダーのことも。佐天によれば仮面ライダーは都市伝説の存在。仮面ライダーに関連した都市伝説はいろいろあり、悪の組織に改造され生まれたとか鏡の中に入りバトルロワイヤルをするとかよくわからないものばかりだが。

 

「御坂様はあの事件についてどう思われますか?」

 

「へ?う〜ん。やっぱりいるんじゃないかしら。仮面ライダー」

 

 まさにその仮面ライダーを目の前で見た、なんて言えない。どうせ信じてくれないのだから。

 

「あらあら?御坂さんはそういうの信じちゃうタイプなのかしら〜」

 

「げっ!その声は……」

 

 振り返るとそこにいたのは食蜂操祈だ。御坂の隣にいる生徒を操作し、どこかへ行かせた。

 

「あんたは知ってんでしょ。この間の探偵がそうだって」

 

「えぇ。記憶をバッチリ読んだわ。まさかホントにいるとは思わなかったけど」

 

 食蜂はゆっくりと歩み寄ってくる。そして顔を御坂の耳元まで持ってきて囁いた。

 

「校内でよからぬことが起こっているわ。気をつけるんだゾ」

 

 全く理解できなかったがその言葉の意味を後々知ることになるのだった。

 


 

「で、何であなた方がここにいるんですの?」

 

 放課後、ジャッジメント一七七支部に来た黒子はどこか不機嫌そうだった。翔太郎とフィリップがいることに対してだろう。

 

「そりゃあ探偵として事件を解決していかないといけないしな」

 

「そうじゃなく、許可がないあなた方を容易く招き入れるわけには……」

 

「それなら問題ない」

 

 フィリップは右手に持っていた紙をみせた。その紙は《学園都市における風都警察署の協力について》と題されていた。

 

「ドーパントによる犯罪が多発しているため、風都警察署より超常犯罪に詳しい二人の探偵に協力を依頼……それがあなた方と」

 

「あぁ。知り合いに警察官がいてな」

 

「まぁせいぜい足を引っ張らないでくださいまし」

 

 そろそろ初春が来る時間。そう思っていると誰かが扉を開けた。入ってきたのは初春ではなく常盤台の生徒。なにやら慌てている。

 

「あの!助けてください!」

 

 怯えた表情の彼女は声を震わせている。

 

「どうしたんですの!?」

 

「能力が……奪われたんです」

 

 黒子は生徒を落ち着かせるためにとりあえずお茶を出した。お茶を飲み干した彼女は深呼吸をしてゆっくりと語り始めた。

 

「私、五脱雨子留(ごだつうする)といいます。それはつい10分前の出来事でした……」

 

 

 放課後、この日はたまたま部活が無かったため、友人とお茶会をする予定だった。道中、小学生がテレキネシスでぬいぐるみを飛ばして木に引っかかりとれなくなって困っていた。

 

「あ……能力が使えない……わたしのぬいぐるみが……」

 

「お困りのようですね。お姉さんたちに任せてくださいな」

 

 この子能力はレベル1程度だろう。テレキネシスで力加減を誤り思いっきり上に飛ばしてしまい、それが木に引っかかった。そして範囲外になってしまい能力が届かないんだろう。

 

「私のテレキネシスでぬいぐるみの周りの枝を除けます。雨子留さんは補助をお願いします」

 

「はい」

 

雨子留の能力は『能力援護(アビリティサポート)』。他人の能力を増幅させたり強化する。その力で友人のテレキネシスの精度を高めた。

 

「もう少しで……あっ!?」

 

 宙を浮いていた枝が突然落下し、雨子留の頭に直撃してしまった。

 

「痛いです……どうかされましたか?」

 

「頭がっ……!」

 

 友人は頭を抱えたまま倒れこんでしまった。何が起きたか理解できない雨子留と小学生。だが友人はなんとか立ち上がる。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ええ。なんとか…」

 

 友人は再びテレキネシスを発動させようとした。が、ぬいぐるみは微動だにしない。

 

「あら?雨子留さん、アビリティサポートを」

 

「いえ、既に行っていますが」

 

「そんな……能力が」

 

 さっきの影響か能力が全く発動しない。

 

「あら、どうしました?」

 

「泡浮さん!お願いがございまして……」

 

 同じ水泳部の友人の能力によってぬいぐるみは無事救出。「ありがとうお姉ちゃん!」と小学生は去っていった。

 

「でもなぜ能力が使えなくなったのでしょうか?……あ!すみません!私湾内さんとの約束がありますので……」

 

「ええ。私たちも一度学舎の園に戻って検査をしてもらいましょう」

 

 二人はもと来た道を戻るために振り返った。すると誰もいないはずなのに地面に影があった。上に鳥でもいるのだろうかと空を見上げると、そこにいたのは宙に浮いた死神だ。真っ黒なマントに大きな鎌、絵に描いたような姿だ。

 

「ば、化け物……!?」

 

 恐怖のあまり二人とも腰が抜けてしまう。

 

「次はお前だ茶髪ショートの雨子留ちゃん」

 

 見た目とは裏腹に可愛げのある声で喋った。そして徐々にこちらに向かってくる。やっとの思いで立ち上がることができた二人は急いで逃げる。

 

「狙いは私です!一緒にいては危険ですよ!」

 

「でも……!」

 

「私はこのまま人通り多い場所へ向かいます!」

 

 二人はそれぞれ別行動となり、やはり怪物は雨子留を狙ってきた。

 

「なんで誰もいないの!?」

 

 どこまで走っても人に会うことがない。公園も、コンビニも、学校も、誰もいない。まさにゴーストタウンだ。

 

「喰らいな!」

 

 怪物の左腕から飛び出た細い針が雨子留の背中に刺さった。

 

「一体何を!?」

 

 針が刺さったことによる痛みは全く無かったが、数秒後に突然激しい頭痛が襲いかかってきた。

 

「これ……まさかあのときの……」

 

 友人も同じように頭痛に遭っていた。そして怪物が語った「次はお前だ」の意味……雨子留は悟った。この怪物こそが友人の能力を使えなくした張本人だと。そして今、自分も能力が無くなっていることも。

 頭痛を我慢しひたすら走り続けた。どのくらい走ったかはわからないが、気づけば後ろには怪物がいなくなっていた。頭痛も無くなっている。そしてジャッジメント一七七支部に助けを求めた。

 

 

「それが先程起こった事の全てです」

 

「恐らくそれはドーパントの仕業だな」

 

 翔太郎は帽子を深く被り直した。

 

「俺たちに任せな。こう見えても探偵だからな」

 

「お待ちなさい。ここはジャッジメントであるワタクシの仕事ですの」

 

 黒子は立ち上がり翔太郎に詰め寄った。

 

「確かにここは俺の庭じゃねえ。だがな、愛する風都を泣かせ続けてきたガイアメモリがこの街にある。もうガイアメモリのせいで苦しむ人々を見たくないんだ」

 

 翔太郎の熱い眼差しに負けを感じた黒子はため息をついた。

 

「仕方ありませんわね。では何かわかったら連絡をくださいな。これ、ワタクシのIDですの」

 

 黒子は携帯を取り出し登録画面を見せた。

 

「これが携帯かよ……見づらくねぇか?」

 

「うるさいですわね!アナタこそいつの時代の方ですの?ガラケーなど……」

 

「うっせぇ!これは変形してクワガタにだな……」

 

「全く。君たちは子供じゃないんだから。被害者の彼女がかわいそうだ」

 

 フィリップは雨子留に微笑んだ。

 

「あんな奴だけど、安心して。僕たちが必ず犯人を暴いてみせる。何か心当たりはないかい?」

 

「いえ……特には」

 

「ならばまずは聞き込みから始めるとしよう。行くよ、翔太郎」

 

「ではワタクシはアンチスキルに彼女の保護を依頼しますわ」

 

 フィリップは翔太郎の腕を掴み強引に外に連れて行った。

 


 

 学園都市での仕事は初。いつもなら顔なじみの風都イレギュラーズに情報を集めてもらうがそれができない以上、自分たちで聞き込みをするしかない。

 

「ちょっと失礼。聞きたいことがあるんだ」

 

 フィリップと別で動いている翔太郎は手当り次第に調査を行っていた。

 

「バケモンを見たとかそんな噂があったりしないか?」

 

「ん〜人間の姿をしたやつならよく知ってるケド。結局、人間が一番怖いわけよ」

 

「まぁたしかにな。わかった、サンキューな」

 

 何十人と話しかけたが情報は一切ない。やはり一筋縄ではいかないようだ。

 場所を変えて今度は常盤台中学の付近で聞き込みをしてみる。被害者はどちらも常盤台生。偶然かもしれないが犯人が常盤台生のみを狙っている可能性もある。

 

「あら、この間のハンサムさんじゃない」

 

 偶然にも金髪キラキラ瞳の食蜂に出会った。

 

「お、ちょうどいいところに。実は……」

 

「あーハイハイ。説明なんか不要だゾ☆」

 

 食蜂の能力ですべて理解してくれたみたいだ。説明する手間が省けた。

 

「その事件ならよく知ってるわ。《常盤台の能力強盗》って呼ばれていたかしら」

 

「強盗……やっぱり他人の能力を奪ってるのか」

 

「何が目的かさっぱりわからないけどね。でも、大体検討がつくわ。高レベルの能力者に恨みでもあるんじゃないの~?」

 

 仮にそうだとして生徒全員がレベル3以上の常盤台を狙うのも納得がいく。だが能力を奪って何をするのか。やはり能力を消失させているだけなのでは?と翔太郎は考える。

 

「私もそいつに狙われて大変だったわ。ま、認識をいじって上手く逃げたけど」

 

「おいおい、大丈夫かよ。犯人に心当たりは?」

 

「ないわ。でも、怪物は私を見て喜んでいたわ。頭の中を覗いたら『レベル5か!高く売れるじゃん!』って」

 

「売る……?そんなことができんのかよ」

 

 食蜂は首を横に振った。そもそも能力を他人に譲渡することなどできない。

 

「そういえば、御坂さんは大丈夫かしらね。一応警告はしたけど」

 

「は?まさか!」

 

「えぇ。当然狙われるでしょうね」

 

 翔太郎はすぐに白井に電話をかけた。

 

「おい!ビリビリの居場所はどこだ!」

 

『お姉さまならセブンスミストという衣料品店でお買い物とおっしゃっていましたが……』

 

「アイツの能力が狙われるかもしれない!」

 

『なんですって!? とにかく他のジャッジメントに連絡して周辺の安全を確保しておきますわ!』

 

 翔太郎は帽子が落ちないよう押さえながら無我夢中で走った。食蜂が何か叫んでいたが、聞き返す余裕はない。

 

「はぁ……行っちゃった。タクシー呼んであげようとしたのに」

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