とある科学の超電磁砲W 二人で一人の仮面ライダー 作:かなん
事件は再び最初に戻った。結局、ナイトメアドーパントの正体は不明だ。
「新谷も連行後に昏睡状態、Rの文字入りらしいです」
「これで捜査は振り出しに戻るわけだ」
「そもそもそのナイトメアドーパントってのに会えてないじゃない」
一同が集まる一七七支部での捜査は難航していた。昏睡事件の被害は増える一方で手がかりは全くない。
「仕方ねぇ。あの手でいくか」
「あの手って?」
翔太郎の考えを察したフィリップはやれやれと呆れている。
「もうあれは御免だよ」
「じゃあ今回は俺だけで行く。お前はお留守番だ」
「あの……何をするんですか?」
「決まってんだろ。寝るんだ」
「「「「はぁぁ!?」」」」
その場にいた女子たちの叫びが外にまで聞こえた。
はぁ。不幸だ。ある夏の暑い日、俺はベランダに干されていた謎のシスターさんを助けた。彼女は事あるごとに電撃を放つ。そのせいで冷蔵庫が壊れせっかく買った特売の卵が腐ってしまった。
「なぁ。お前はいつまで居候してるんだ?」
俺は聞いてみた。すると予想どおり髪を逆立たせ電撃が俺の体に直撃した。
「私がアンタに勝てるまでよ!」
どうやら俺の変な力が気に入らないらしい。こんな女の子に勝負を挑まれるなんて、不幸だ。
「……ってなんじゃこりゃ!?」
翔太郎は正気に戻った。ここはインディアンポーカーで見た夢の中。このインディアンポーカーはとある高校生の生活を表現しているらしい。
「ひゃぁぁ!?何よこれ!?修道服!?」
御坂も自我を取り戻したようだ。普段制服しか来てない分そういう服が恥ずかしいのか顔が真っ赤になっている。
「にしてもこんな夢何の意味があるんだ?」
「さぁ……たまたま貰ったのよ、ブラウってやつに。マシなカードがこれしかなくてね。まぁいかがわしいのじゃなくて良かったわ」
御坂はごまかすようにブツブツ呟く。
「さてと……」
翔太郎は深呼吸をして叫んだ。
「出てこい!ドーパント!!」
翔太郎の呼びかけに応じるかのようにナイトメアドーパントが窓を割って侵入してきた。
「夢だからなんでもありだな。さっさと片付けるぞ!フィリッ……あ!」
この作戦最大の誤算は変身できないこと。フィリップがいないのでダブルになれない。しかしここは夢。なんでもありなのだ。それに気づいた翔太郎は叫ぶ。
「ビリビリ!変身だ!」
「……はぁ!?バカじゃないの!?」
翔太郎は御坂との変身を強くイメージした。するとダブルドライバーが出現しメモリもいつの間にか手に持っている。
『ジョーカー!』
「早くしろビリビリ!」
「あぁぁもう!どうにでもなれ!」
御坂はやけくそでサイクロンメモリをスロットに装填した。
『サイクロン!ジョーカー!』
「さぁ、お前の罪を数えろ!……なんでお前は言わねぇんだよ!」
「恥ずかしいじゃん!それ」
ダブルは二人で一人の仮面ライダー。つまり二人の連携が重要になってくる。当然御坂との連携は皆無。歩くのがやっとだ。
「ヴゥゥ……」
ナイトメアドーパントは唸り容赦なく攻撃してくる。かわすことが出来ないのでなんとか左腕と左脚で受け止める。
「やべぇな……」
ナイトメアドーパントのエネルギー弾を跳ね返せずダメージを負ってしまう。間髪入れずもう一度放ったエネルギー弾はダブルに当たらず爆散した。
「なんだかわからないけど助かったわね……」
「あれはエクストリームメモリか!?」
エネルギー弾を爆発させたのはベルトと同じくらいの大きさの鳥のメカだった。その鳥は何かのデータのようなものを真下に形成していく。それは人間の型だった。
「お待たせ、翔太郎」
「フィリップ!」
「ホントになんでもありね……」
「この夢は翔太郎の夢。美琴ちゃんは同じインディアンポーカーを使ったからたまたま一緒だったんだ。そして僕は寝ている翔太郎と変身して夢の世界に入り込んだ」
「変身?だってコイツが起きないと変身できないでしょ?」
「いや、僕の体をベースに変身するフォームもある。実はあらかじめジョーカーメモリを装填したまま寝てもらった」
「そのためだったのかよ。全くわからなかったぜ」
ダブルはサイクロンメモリを抜いて変身解除。ジョーカーメモリはそのままフィリップのドライバーに転送された。そしていつもと逆で翔太郎が意識を失う。
「お見せしよう。これがそのフォームだ。来い、ファング!」
襲いかかるナイトメアドーパントを蹴散らしたのはファングと呼ばれた小さな自律型ガイアメモリだ。ファングメモリはフィリップの手の上にジャンプで乗ると敵を威嚇するかのように吠えた。フィリップの手によってメモリ型に変形しダブルドライバーへ挿入される。
「変身!」
『ファング!ジョーカー!』
フィリップの体は白と黒のダブルに変化する。他のフォームと違い全身が荒々しく鋭い。
「『さぁ、お前の罪を数えろ』」
「嘘でしょ……」
御坂は倒れた翔太郎の前で立ち尽くす。ナイトメアドーパントは果敢にも襲いかかるが、ダブルは簡単に押しのける。
「このファングジョーカーは通常のダブル以上に高い能力を持つ。まぁ、そのせいで暴走のリスクもあるんだけどね」
ダブルはドライバーに装填されたファングメモリ、恐竜のような顔の角部分を弾いた。
『アームファング!』
メモリから音声が鳴り、右腕に鋭く大きな刃が現れる。エネルギー弾を真っ二つに切り裂くとそのまま突進しナイトメアの体を斬る。
「ヴゥゥ……」
ナイトメアはもう一度斬られるのを阻止するように距離を置く。しかし、ファングの力はこれだけではない。
『ショルダーファング!』
ファングメモリを更に二回弾くと、今度は右肩に刃が生える。それを引き抜いてブーメランのように投げた。刃は左右に振れながらナイトメアの顔面にヒットし倒れた。
「これで決めよう」
『ファング!マキシマムドライブ!』
ファングメモリを三回弾きマキシマムドライブを発動。足に刃が出現しダブルは空高く舞う。
「『ファングストライザー!』」
回転しながらのライダーキックが炸裂しナイトメアは悲鳴をあげ大きな爆破を引き起こした。
「一体どこのどいつが……」
人間の姿に戻ったナイトメアの顔を見て御坂はあっと声が漏れた。
『おいおいマジかよ……』
「月島留奈……君がナイトメアドーパントだったんだね」
悪夢事件の犯人は最初の被害者である月島留奈本人だった。彼女は意識を失っている。しばらくしてゆっくりと目を開けた。辺りを見渡していて状況を理解できていないようだ。
「私……一体何を……?」
「もしかして記憶がないわけ?」
それは月島留奈が誕生日を迎える前日の出来事だった。誕生日パーティー準備の買い物の帰り道、謎の男に話しかけられた。
「君、ちょっといいかな」
「はい?」
爽やかな男のネクタイにRの文字、彼はイアン・ウルスランドだった。イアンは手に持っていた大きなカバンを開いた。カバンの中にはぎっしりとT2ガイアメモリが詰め込まれている。
「これは能力のレベルを徐々に上げていくアイテムだ。どうだい?」
「いえ、そういうのはちょっと……」
あまりに都合が良いアイテムに不審感を抱いた。レベルアッパーの件もあり怪しいものには手をださないようにしていたのだ。イアンは何かを探るように月島を眺めている。
「ほう。君にはT2じゃなく旧型が良いのか」
「どういうことです?」
「僕には君にぴったりのメモリを探せる力があるのさ。その相性に免じて今回はサービスするよ」
カバンの中は二段になっていて一段目をめくるとドーパントメモリが顔を出した。その中からナイトメアメモリを選び月島に無理やり手渡した。
「あの!いらないです!」
月島はメモリをカバンに戻すと足早に駆け出した。
「まったく。良い実験台になると思ったんだが。生体コネクタなしでもそれなりにはなるだろう」
走る月島めがけナイトメアメモリを投げる。メモリは月島の背中に沈んでいく。だが、ドーパントになることはなかった。意識を失って倒れただけだ。
「さて、メモリに耐性がない学生と異常なまでに相性が良いメモリ。暴走するか適応するか……楽しみだ」
そうしてメモリを体内に宿した月島は目を覚まして何事もなかったかのように家に帰宅した。ナイトメアメモリと相性が良すぎて脳が異変を起こし記憶障害を患っていたからである。そしてインディアンポーカーを使用して眠りについた後、メモリが異常反応し実体を持たないドーパントになった彼女は人々の夢の中で暴走したのだ。
「思い出した……私、ガイアメモリを……男の人に貰って……メモリの相性とかT2とか訳のわからないこと言ってて……」
「イアン・ウルスランド。鎌里晴にグリムリーパーメモリを渡した男だ。恐らくは同一人物だろう」
『ったく。ミュージアムみたいにメモリをばら撒いてるのかよ』
月島は涙を流しダブルに抱きついた。
「お願い……この悪夢から開放して!」
「確かにまだ悪夢は終わっていない」
「どういうことよ?」
『ここは夢の中だ。俺もビリビリも月島留奈ちゃんも眠ったまま。現実世界でメモリブレイクしないと意味ねぇ』
だが厄介なことに夢を終わりにしたくても起きれない。インディアンポーカーを使っているせいで当分は戻れないだろう。
『問題はどうやってこの夢から出るかだな』
「それなら大丈夫さ翔太郎」
突如翔太郎に激痛が走る。まるで殴られたかのような感覚だ。
「おいおいなんだよ!」
「あらかじめタイムリミットを設定しておいた。その時間を過ぎれば翔太郎は涙子ちゃんに殴られ、美琴ちゃんは黒子ちゃんに抱きつかれ、僕は初春ちゃんに熱々のたこ焼きを食べさせられることになっている」
「ちょっと黒子!どこ触ってんのよ!」
「やめてくれ!涙子ちゃん!」
「口の中が火傷しそうだ!」
「「「うわぁぁ!」」」
三人は絶叫し目を覚ました。一七七支部の天井が見える。
「やった!起きたよ初春!」
「はい!フィリップさんのたこ焼きは口から飛び出しましたけど」
「おねぇさまぁ!あぁこの慎ましいお胸!ハァハァ……堪らないですわ!」
黒子も別世界へ行っていたようだが御坂が起き上がると顔を青ざめた。
「こ、これは……フィリップさんが考案して」
「いや、君から言ってきたんだよね?お姉さまに抱きつくチャンスだって」
「くーろーこー?覚悟はできてるんでしょうね〜?」
静かにうなずいた黒子は一瞬にしてまっ黒焦げになってしまった。満更でもない様子だが。
「いい……愛の鞭……」
「さて、犯人もわかったし後は仮面ライダーがちゃちゃっと倒しておしまいね」
「犯人、わかったんですか?」
夢の中での出来事を三人に語る。そして月島留奈のいる病院へ向かった。
「いやぁ、テレポートって楽だよな」
「ワタクシはタクシーじゃありませんのよ!」
病室の前にいたアンチスキルを説得してなんとか中に入ることができた。問題はここからだ。
「一体どうやって彼女のメモリを壊すんですか?」
「エクストリームでも生身じゃ危ないか。どうする?フィリップ」
「彼女に負担がかからないように最小限の攻撃をするしかない」
「……他にやり方がないなら自分で見つけるまでだ」
翔太郎とフィリップはダブルに変身した。何事かと部屋の前にいたアンチスキルがドアを開けようとしたが初春と佐天がドアを必死で抑える。
「今のうちに早く〜!」
「あぁ!どうすりゃいいんだよ!」
翔太郎が自分の頭を叩くと、ピンクのガイアメモリが落ちた。食蜂から預かったメモリだ。それを見てフィリップは作戦を思いつく。
「そのメモリを使おう!」
「はぁ?このクイーンメモリをか?」
「あぁ。あと黒子ちゃんの力も借りたい」
「え、えぇ。初春、アンチスキルの足止めを任せましたわよ」
そう言って白井は初春をドアの向こう側へテレポートさせた。ドアを開けさせないために初春が必死に説得を試みる。
『まずトリガーとバットショットで正確な射撃ができるようにする。そして、このクイーンメモリを使って月島留奈の体内をシールドで守る』
「クイーンメモリにバリア機能なんてあったのか……」
『そして体内のメモリに弾丸をテレポートさせる。そうすれば体を一切傷つけずメモリを破壊できる』
「つまりワタクシは弾丸をメモリまで正確に移動させると。なかなか難しいことをおっしゃいますのね」
『ルナ!トリガー!』
ダブルの持つトリガーマグナムにカメラ型機械コウモリのバットショットが装着された。
『弾速が遅いルナでいく。準備はいいかい?』
「はいですの!」
ダブルはトリガーメモリをマグナムへ、クイーンメモリをマキシマムスロットに装填した。
『トリガー!マキシマムドライブ!』
『クイーン!マキシマムドライブ!』
月島の体が光る。クイーンメモリによって体内に強力なバリアが張られた。
『メモリのある場所だけバリアを外した。他の臓器系にはバリアがあるから安心して』
「いくぜ!」
「『トリガーバットシューティング!』」
黄色の弾丸はゆっくりと黒子に近づく。黒子のかざす手に当たる瞬間、弾丸は消えた。弾丸は月島の体内にあるナイトメアメモリを正確に貫いて消滅した。
「やったか?」
『あぁ。成功だ』
中央に穴が空いたナイトメアメモリが飛び出て床に落ちた。しばらくして月島留奈が目を開ける。悪夢から開放されたのだ。
「ここは……夢……?」
『いや、現実だよ』
「ありがとう……仮面ライダーさん……」
黒子、佐天、御坂は笑顔でハイタッチを交わした。
その後、足止めされていたアンチスキルにこっぴどく怒られたが、これで悪夢事件は無事解決となった。昏睡していた人々も意識を取り戻し、生徒誘拐の罪に問われた新谷は更生施設へ移送されたらしい。
だがこのとき、裏ではリベンジが大きな動きを見せていたことを翔太郎らはまだ知らなかった。
『風都探偵』を見ていますか?
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