終末狂想曲   作:ももたろも

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一話を書いたあと諸事情あってなかなか二話目を書くのが遅れてしまいました。
今回からはゾンビ要素をじわじわ出していこうと思いますので、是非とも今後とも見てみてください。


7月2日・午後1

自分たちが住んでる住宅街からショッピングモール等が並ぶ大通りに向かうため、ハルペリンは人通りの少ない商店街へ車を向かわせた。

20年前はかなり賑やかだったのだが時代と共に徐々に寂れてゆき、今はマニアックな骨董品店やコーヒーショップなどしか残っていない。

車を走らせるうちに彼はひとつ違和感を感じた。

店と店の間の路地に3人の警官が立っていた。

これだけならただのパトロールにしか聞こえないが、彼らはやけにしっかりした装備をしていた。

大して治安の悪い地域でもないのに何故か防弾チョッキを身に纏い、ショットガンも手にしていた。

(このご時世だから強盗でもしようとするやつでも出てるのだろうか…)とでもボーッと考えていると、後ろの席でYouTubeを見ていたバーバラが「パパ、どうかしたの?」と、ちょとんとした顔で聞いてきた。

「いや、なんでもない」と適当にはぐらかした返事をした直後、車のボンネットに突然大きな衝撃が来た!

「キャッ!」

バーバラは悲鳴を上げ、「大丈夫か!怪我はないか!」とハルペリンは娘の身の安全を確認した。

幸いシートベルトをしてたから彼女は無事だった。

娘の身の安全を確認した彼は今度は急いで車の外を出た。

衝撃からしておそらく生き物がぶつかったように思えたからだ。

ボンネットの方に回るとそこには赤い服を着た2人の男女が倒れていた。

しかし、よく見るとそれは赤い服を着ていたのではなかった。

真っ赤な血飛沫を浴びたことでその服は赤くなっていたのだ。

男はもう片方の女から逃げていたのか「助けてくれ」と必死にうめいている。

ハルペリンは一瞬混乱したが、すぐさま救急車を呼んだ。

スマホで1・1・1の緊急番号に電話をした。

しかし何故か電話は異様に繋がらない。

(日曜日といえどこんなに大勢の人間が一気に電話するなんてことあるのか!?)

焦りながら彼は必死に電話をかけるがやはり繋がらない。

「おい、そこの男、何があった!」

突然背後から声がしたので振り返るとそこにはさっきの警官たちがいた。

「すみません!私が車で人を轢いてしまいました!救急車を呼びたいんですけどなかなか繋がらないんです!」

ハルペリンが大声で返事すると、警官は一瞬立ち止まった。

「人を轢いた!?おいお前、一旦車に戻れ!」

(あれ、普通こういう場合って逃げられることを防ぐため車から離すんじゃ…)

違和感を感じつつも彼は車に戻った。

後ろの席ではバーバラが小さく震えていた。

「パパ、大丈夫なの?」と不安げに質問してくる。

それに対してハルペリンは優しくなだめる。

「大丈夫だからな、安心してね。」

そう言葉をかけたあと改めてボンネットの方に目を向けた。

警官は轢かれた2人の身体を確認しているようだ。

(2人とも無事だといいんだが…)

ジロジロと身体を見ていた警官は何かに気づいたようにじっと見つめた。

そうすると胸についた無線機に何かを語りかけた。

(救急車を呼んでいるのか?)

そう思った瞬間、警官は手にしていた拳銃で2人に向けて二発銃弾を撃ち込んだ!

思わずハルペリンは目を見開き、思い切りドアを開けて警察に怒鳴った。

「なんてことしてるんです!轢いてしまった私はともかく、何故この2人を撃ったんですか!?」

「これには少々事情がありまして…」

「事情とかそういう問題でh」

突然背後から金属音が聞こえた。

目を逸らして後ろを見ると警官は睨みつけるような形相でショットガンを自分の頭に突きつけている。

「関係者以外への口外は今のところNGなのですが感染者の捕獲に貢献した人物として特別にお話しします。実は現在国内で新型感染症が確認されてまして」

先程2人を撃った警官は淡々と話し続けている。

「この感染症がインフルエンザとは毛色が違う少々厄介なものでして、まぁとにかくこの感染症に感染した者への事故は不起訴処分されます。なのであなたは今回の事故で罪に問われることはありません。ですが、今回の事故はくれぐれも口外しないようお願いします。」

ハルペリンは困惑していた。

感染症に関する事故は不起訴?罪に問われない?明らかに平常じゃないことが起こっている。

しかし、なにか異議を唱えれば今ショットガンで頭を吹き飛ばされるかも知れない。

ハルペリンはどうすることもできず、ただ頷いた。

そのあと、一応確認したいと言って身分証を見せるよう言ってきたが免許証を見せるとそのまま行きたいところに行ってくれと言われたが、このまま靴を買いに行けるわけもなく彼は家に車を戻した。

 

 

「よし、じゃあこいつらの死体を袋に詰めて署に持っていくぞ。」

ハルペリンの車を見送った警官は仲間にそう言った。

1人がリュックに入っていた袋を広げて残りの2人で黒い遺体袋に入れた。

男の遺体を袋に入れて、停めてあったバンに詰め込み、女の方も袋に入れようとした。

その時、女の遺体が目を見開き警官に思い切り噛み付いてきた!

「うわぁっ!なんでこいつ生きてるんだ!」

「ちゃんと脳か心臓撃ったんだろうなぁ!」

「まずい掠ってたのかもしれん!うわぁ」

女は警官の発砲を軽々と避け次々に首筋に噛み付いていく。

「早く撃てっ!くそっ!本部!応答せよ!応答せよ!」

警官の悲鳴も虚しく、ただ寂れた道に響いていった。

 

 

一体あの轢いてしまった人間はなんだったんだろう

帰宅したハルペリンはリビングでTwitterを開き、他人が似たようなことを体験してないか情報を探そうとした。

バーバラは二階の子供部屋でYouTubeを見せて一旦落ち着かせてる。

どうやら人が人を獣のように襲うという事件はこの国だけではなく世界中で起きているようだ。

「変な人に噛まれた彼氏が次の日から言動がおかしい」だの「両足がない人間に夜中公園で襲われた」だのフェイクかもよく分からない話も出ている。

本当にこの世界は大丈夫なのだろうか。

どんどん胸から立ち上る不安を募らせながら庭に目を向ける。

空はすっかり夕空で綺麗なオレンジ色だ。

空をボーッと見ていると突然テレビがニュース速報を伝え出した。

「速報です。ただいまより、デスモンド総務大臣より国民に向けた緊急の記者会見を始めるとのことです。」

ハルペリンはソファに腰掛け、テレビをじっと見る。

5分ほどの時間ののち、記者が集まる会見場に総務大臣のデズモンドが現れた。

「国民の皆様、総務大臣のデミトリアス・デズモンドです。これから我が国、そして世界中で発生しているとあり事実についてお話しします。」




書き忘れてましたけど主人公たちの設定
○ハルペリン・フォード
 年齢:34歳
 銀行勤めの普通のサラリーマン
 社内結婚した妻は日本に出張中
 基本的に大人しい性格
○バーバラ・フォード
 年齢:10歳
 小学校に通ってるハルペリンの娘
 アニメが好き
 犬が好き
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