ゼットンとの日常を描いたドタバタコメディをご堪能してください!
ある日それは突然訪れた。
学校行事の準備で短縮授業になったことにより、午前中で下校することになり、特に用事がないため教科書を纏めてリュックに詰めて帰路へつく。
折角大きく時間が空いたので、最近録り溜めていたアニメの消化でもしようと思い、コンビニに立ち寄りスナック菓子や炭酸飲料を買った。
どうせ明日は土日という学生にとってのご褒美タイム。夜遅くまで起きていられる。
「はぁ~テンション上がるなぁ~」
俺はテンションが上がり、思わず某幼稚園児の父親みたいな台詞を呟く。実際心がワクワクしているし、家に着くのが待ち遠しいことは確かだ。
世間で言うところのオタクではあると自覚しているし、アニメや特撮といったものは大好きだ。好きな番組はなるべくリアルタイムで見ているし、学校や用事がある際は忘れずにきちんと録画をしている。
そんなこんな考えているうちに家に着く。鍵を取り出して、出入口を開ける。
「ただいま~」
と帰りの返事をするが、誰の反応もない。
それもそのはず、うちには俺以外誰もいない。他界したとかそういうのではなく、両親共に海外で働いているからだ。
向こうで両親と一緒に暮らしていたが、外国の文化に馴染めなかったこともあり、俺だけ日本で生活することになったのだ。
両親も俺の意見を尊重してくれて、日本に戻った後は毎月生活に困らない程度の金額を口座に振り込んでくれている。
我儘を聞いてくれた両親に感謝をしつつ、日本での生活を謳歌している。
靴を脱ぎ、整えてファ〇リーズを掛けてから居間へと向かう。
「あれ?」
誰もいないはずの居間の電気が着いている。
今朝ちゃんと消したと思ったのだが、うっかり消し忘れていていたのかもしれない。
ガチャと居間の扉を開けて中へと入る。
「は?」
さっきは誰もいない言ったな……あれは嘘だ。(CV玄田〇章)
今の目の前にある光景が余りにも信じられないものだったせいか、俺の思考が一旦停止する。
幻覚を見ているのか、はたまた何かのドッキリなのかは知らない。
試しに頬を抓る。うん、痛い。
どうやらこれは現実、大変受け入れ難い現実だ。
だがこれだけはどうかツッコませてくれ?
「どぉぉぉぉしてゼットンが家にいるんだよぉぉぉ!!」
某ツッコミに定評あるメガネみたいな鋭いツッコミをかます。
いやだって、よく考えてみてください。
ゼットンですよ。あのゼットンですよ。
黒い体色との対比の白いエプロン姿で居間にいたらそりゃ思考なんて止まるわ。
てかエプロン着てなくても驚く。
「ゼットン……ピポポポポ……」
ゼットンから発せられる電子音じみた謎の音。一応鳴き声なのか、何なのかは未だにわかってない上に表情が全く読み取れない顔立ちだから意思疎通が取れない。
こっちの言葉も通じるかも分からないし、どうしたらいいんだよ。
「お、お前はぜっ、ゼットンなのか?」
とりあえず会話をしてみることにした。喋れなくても身振り手振りで何か分かるかもしれないと淡い期待をする。
するとゼットンはエプロンに着いている大きなポケットに両手を突っ込む。
取り出したのは小さなホワイトボードに水性マジックペン。
道具を取り出した際のゼットンは某ネコ型ロボットを一瞬連想させるが、彼のように親しみやすい姿で無いのが残念だ。
そんなことを考えているうちにゼットンはホワイトボードにメッセージを書いていた。
『私の名前は知っての通りゼットンだ。
君の両親に頼まれて今日から家政夫としてこの家に住むことになった。
唐突な事で申し訳ないが、よろしく頼む。』
やだめっちゃ紳士的やんけ。
そうかそうか、家政夫としてか。
なるほど……だいたいわかった……なんて言えるわけがないだろうが。
いや人間の家政夫さんを雇うなら分かるよ、でもよく考えてくれ。
いきなりウルトラ怪獣が家政夫としてくるなんて思わないよな。
良識ある人なら普通はいないよな。いねぇよな!。
「わ、わかった
一つだけお願いがある、後ろ姿を見せてくれ」
もしかしたらドッキリかもしれないと思い、着ぐるみかどうかを確かめるためにゼットンの後ろ姿を確認することにした。
ゼットンは素直に応じ、俺に後ろ姿を見せてくれる。
どうやら着ぐるみなどによくあるチャックはない。Dランドの着ぐるみのように被るタイプかもしれん。
「悪いけど、その…角を触らせてくれるか?」
こうなれば直接触れて確認するしかない。
このお願いにもゼットンは素直に応じる。俺の手が届くまで身をかがめてくれた。
恐る恐る手をゆっくりとゼットンの角に伸ばし、指先で触れる。
質感は少し固いが、程よい体温でむしろ心地が良い程だ。
結論。疑いたくはないが本物であった。
「ま、まあいいでしょう……」(某寿司屋風)
受け入れがたいが、これは現実。
れれれれ冷静になれ、俺氏。
一応両親にも連絡をしてから、この現実を受け入れればいい。
携帯を取り出し、父の携帯番号を入れ通話をかける。
「もしもし江宮です」
「もしもし父さん、俺だよ俺だよ」
「ハンバーグ師匠か?」
「そうそう俺だよ、ハンバーグ師匠……って違うわ!」
久々に電話をしたも思ったらこれである。父のギャグにノリツッコミするあたり、俺もこのやり取りに慣れてしまったんだな。
って感傷に浸っている場合ではなかった。
「うちの家にゼットン送り込んだのは父さんか?」
「そうだ
お前が寂しい思いをしてるとたまたま知り合ったゼットンさんに家政夫をお願いしたんだ」
いやいやいやいやいやどうしてそうなった。
確かにたまに寂しいと思う時はあるけども、そんなペットを飼う感覚でゼットンを雇うのはおかしい…おかしくない?。
「それに年末に家に帰った時、お前レトルト食品ばかり食べていたからな、まだまだ成長期なのに栄養バランス偏って食生活だから頼んだんだぞ?」
「ぐっ……」
こればかりにはぐうの音が出ない。
確かに朝昼晩の三食は基本レトルトばかり。たまに近くのファミレスなどで外食するぐらいだ。
学生としてはおそまつにもいい生活とは言えない。
「とにかく、後のことはゼットンに任せてあるからな
じゃ、Ciao☆」
「ちょ、ちょまてよ!」
あの親父さっさと切りやがった。しかも最後は地球外生命体みたいな挨拶しやがって......。
もうやだよぉ...ツッコミに疲れたぁ......。
ギャグ漫画さながらの怒涛の展開に疲れた俺はソファーに横になる。
少し寝たら夢オチでしたなんてパターンになってくれないかな。
「.........」
[二時間後]
「.........」
疲れの余りすぐに寝てしまった。
脳が覚醒したばかりで、まだ眠気が残っている。
加えて、腹の虫も鳴ってきた。
「もうこんな時間か......」
時刻は夜七時を少しすぎたところ。
夕食の準備をしないと思ってソファーから立ち上がる。
するとキッチンから香ばしいいい匂いがしてきた。
「ピポポポポ……ゼットン……」
うん、やっぱり夢じゃないよね。
ゼットンがキッチンで料理を作ってる姿で一気に目が覚めたから良しとしよう。
チラッと横から料理工程を覗く。
ゼットンが作っているのはカレーだった。スパイスのいい匂いがめちゃくちゃ食欲を唆ってくる。
先程から鳴っている腹の虫も我慢が出来ないほど激しくなってきた。
『あともう少しで完成する
それまでに君は荷物と着替えをして来るといい』
とホワイトボードにメッセージを書く。
そう言えば学ランのまま寝てしまっていたな。
ゼットンに促されるまま、俺は自室に行き部屋着へと着替える。
学生服も忘れずにファ〇リーズを掛けたので、居間へと戻った。
「こ、これは……すげぇ……」
テーブルの上に用意されたカレー、そしてトマトとレタスのサラダ。
先程までに料理工程を見ていたとはいえ、こうして眼前に置かれると早く食べたいという食欲を抑えきれない程に美味そうだ。
ゼットンは既に座っており、俺は向かいへ座る。
俺とゼットンは手と手を合わせて、このカレーの材料になった命に対し感謝を込めて、
「いただきます」
カレーをスプーンで掬い、一口頬張る。
「ッ!?」
その時、俺に電流走る。
それはカレーと言うには、余りにも美味すぎた。
美味く、濃厚で、程よく辛く、そして一瞬にして口内から消えた。
それは正にカレーは飲み物だった。
「(う、美味すぎる!何だこのカレーは!手が止まらない!)」
ちゃんとよく噛んで食べているのに、いつの間にか飲み込んでしまっている。
一口、また一口ととにかく手が止まらない。
数分も立たないうちにカレーは皿の上から消えた。米粒がひとつも残らずに。
「(今度はサラダを…)」
箸で一口サイズに取り、口内へと運ぶ。
このサラダもまた格別だった。
充分に水分を含んだシャキシャキレタスに、フルーツトマトの控えめな甘さがベストマッチしている。
野菜はあまり好きなほうではないが、これならばいくらでも食べられると言っても過言ではない。
「はぁ……ご馳走様でした」
残さず綺麗に食べ終えた食器をシンクに下げる。
そう言えば、誰かの手料理自体久しぶりにたべたな。
レトルト食品では味わえないなんとも不思議な味に満足している。
なんやかんやあったがゼットンには感謝しなければいけない。
「ありがとう、ゼットン」
「ピポポポポ……ゼットン……」
『気にしないで欲しい
私はこの家の家政夫だ、困ったらいつでも言ってくれ』
本当に紳士なんだ。
これから一緒に暮らすことになるゼットンとの生活が少し楽しみになってきたのは言うまでもない。
「改めてよろしく」
「ピポポポポ……」
「地球……やはりいい星だ
我同胞達と共に移住するには相応しい」
青い星・地球を見ながら一人の宇宙人が呟く。
そう、この世界に現れたウルトラ怪獣はゼットンだけでは無い。それこそ、我々が知らないうちに既に地球に潜伏しているのかもしれない。
「だが、まずは貴様から始末させて貰うぞ……
今回はかなりのパロディをぶち込みました。
皆様はいくつ見つけられましたか?
次回ももりもりで行くのでよろしくお願いします。
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