遭遇 人外とシンリュウ
思いを背負う者 番外編
血色の人外
空が青い。青が目立つ。雲ひとつない晴天だ。遠くを飛んでる鳥が一羽一羽視認できる。
視線を下に戻す。地平線が見える。気が何本か見える。地面が若干ひび割れている。雨があまり降らない地域だろうか。何頭かの動物がいる。肉食とか草食がちらほらいる。人は…いない。街も……ない……だと?
………ここは何処?
……………何故ここにいる?
少し振り返ろう。
青年?回想中
確か戦ってたはず…
結果はまぁまぁだったな。
一人は紅い滅びのオーラを纏った青年だった。魔弾の扱いは上手かった。だが、それ以上の段階では、まだ制御が甘い。せめて自分の意思で制御しないとな。
一人は術式を組むのが上手かった。そのうちより複雑なプログラムを作るだろうよ。全ての現象を数式で操るとか。
まぁ二人ともまだまだだかな。これからだ。…少し戯れただけで息があがっていたからな。これからの楽しみができた。
…リアルに弾が八割、隙間が二割の弾幕はやりすぎたか?
しょうがない。俺が触ると壊れてしまうから。弾幕とか魔法的なものじゃないと戯れにならないんだ。まったく、手加減ばかりが上手くなってしまう。
…全力で戦いたい。だから早く現れて欲しい。俺の愛撫に耐えてくれるほどの。ああ、愛し(壊し)たい。愛させてくれ。全てを出しきるから。
今迄、たくさんの生き物を愛した。人、悪魔、天使、堕天使、妖怪、ドラゴン、妖精、神仏…沢山の強者を。だが、もろ過ぎる。
だから、殺してしまった者は食べてきた。己の一部とした。まだ、彼等の魂は俺の中にある。彼等の生き様、能力、渇望、思想、全てを理解した。しかし、共感できる物やできない物も多数ある。
本来、生物は自らと異なる種を拒否する傾向にある。其奴の近くにいるのが怖い、何をするかわからないとかな。当然それらは混ざる事が、余程のことでないかぎり難しく、思想の統一も困難だ。水と油のように。
だから思想の違いによって生じた集団が生まれ、そいつらは独自の文化を発展させていった。子孫を残し、思想の一致を目指して、集団を大きくしていった。
だが、悲しいことに、どんな集団にも異分子、つまり癌細胞が産まれてしまう。
そう、俺のような。
思えば、あの時が始まりだった。
ちょっとしたきっかけだった。
小さな不注意だった。
割れたガラスの破片で腕を切った。
見てしまった。
自分の腕から流れる血に魅入られた。
綺麗な赤だった。
舐めた。
美味かった。
舐めるのを止められない。
本能に逆らえない。
周りを見る。
人型の血の袋が一杯あった。
飲める喰える浴びれる。
飲んだ喰った浴びた。
満たされた。
腹も心も。
歓喜…これ以上ないほどの歓喜。
今迄俺は産まれていなかった。
つまり、今、真の意味で此の世に生を授かったといえる。
…自分の中に何かを感じる。
意思を感じる。複数だ。
なんだ?こいつらは?
さっきの喰った奴等か。
なるほど、魂だけで生きているのか。
隙あらば俺の身体を奪おうとしてるのか?やらないぞ。俺は俺だけの物だ。
てめぇらは俺の糧になってろ。
とまぁ、俺の、人外の誕生はこんな感じだ。
生来の戦闘欲を満たし、血の欲望を満たしてきた。
俺の中には数多くの意思がいる。まぁ、賑やか過ぎるが悪くない。
だが最近は相手が弱くて退屈だ。
だから全力を出したい。
そんな事を思っていたんだ。
思ってしまった。
突如、目の前の空間に切れ込みが現れた。
吸い込まれた。
気づいたら今いるところだった。
青年回想終了
理解できた。誰かに呼ばれたとしか思えない。
「お前、強い。我に、協力する。」
黒い少女があらわれた。そして拉致られた。
〜続く〜