比企谷八幡と仮想世界(改稿版)   作:チャキ

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どうもチャキです。めっちゃくそ遅くなりましたね。ほんと毎度毎度すみません。
では第10話です。


第10話

 

 

 

 

 

 

あれから約1ヶ月が経った時だった。キリトが最前戦に姿を現したのだ。だが、キリトが入っていたギルドの人達の姿は見えなかった。それにキリトのHPバーにギルドマークは無かった。抜けたのか?でも、1番驚いたのはキリトの目だ。今のキリトの目は光が無い。昔の俺みたいな死んだような目をしている。だが、ただ抜けたのならあんな目にはならないはずだ。推測だがギルドで何かしらあったのだろう。そして、ある時キリトの姿を見たことがある。でも、それを見た時キリトは機械のように単騎ひたすらモンスターを狩り続けていた。このデスゲームが始まってからしばらくは一緒に過ごしていたが、あいつがあんな風になる所を見るのは初めてだ。そして、そんなキリトの姿を見て他のプレイヤー達は嘲笑だった。そしてそれがだんだん嫌悪へ変わっていった。時折キリトに話しかけてくる奴がいたが、キリトと目線が合うや顔をそむけ、立ち去っていった。だったら初めっから声かけるなよな。でも、俺も前にみたいにパーティーを組もうとしたが、断られてしまった。だが、フロアボスの時はさすがにパーティーを組んでいるが、前のようなやり取りはできなくなっている。そして、聞いた話によるとキリトが入っていたギルド《月夜の黒猫団》は壊滅したらしい。だから、ギルドマークが無かったのか。でも、どうしてキリトを残して壊滅したのだろうか。キリトのレベル的には確かに問題はないだろうが、他のギルドメンバーのレベルはキリトに比べたら確実に2倍くらいはあるだろう。そして多分だが自分のレベルを言わなかったのではないかと思った。そして予想だが何かしらあって壊滅したのだろう。だが、それを知るのはキリトしかいない。

 

 

そんな出来事があってから数ヶ月が経った。そして今日はある奴に呼び出されていた。そして今、そいつに指定された場所に向かっている。指定された場所は人があまり来ない場所だった。

 

エイト「着いたけど、呼んだ張本人がいなとかどういうことだよ」

 

なんだよあいつ、俺を呼んだくせにその場所にいないとか、どういうことだよ。それとも何か?俺を呼んでおいてその場所に来ないとかいうイジメか?そういえば昔、そんな事が1度だけあったような……。なんなんだよあいつ。俺のトラウマをよみがえらせて遊んでいるのか?ていうか本人がいないなら帰って良いよな。

 

「オイラならここにいるから、帰るんじゃないゾ」

 

エイト「どぅわぁぁ!?」

 

突然後ろから声をかけられ驚きのあまり大きな声が出てしまった。後ろを振り返るとそこにはフード被った鼠のアルゴの姿があった。

 

エイト「アルゴ、てめぇ!いるんならさっさと出てこいよ!びっくりしたじゃねぇか!!」

 

アルゴ「ニャハハ、スマンスマン。驚かせるつもりはなかったンダ」

 

エイト「ったく……んで?俺を呼び出した理由は?」

 

アルゴ「ああ、その事なんだガ。エイ坊はキー坊があんな風になっているの知ってるカ?」

 

エイト「大体の事は知っている」

 

アルゴ「…そうカ」

 

アルゴもアルゴで大体の事は知っているのだろう。

 

エイト「キリトがあんな風になったのは、前に所属していたギルドが関係しているのか?」

 

アルゴ「ああ、多分ナ」

 

エイト「そうか」

 

アルゴ「それでなんだガ、エイ坊。お前は12月24日のイベントを知ってるカ?」

 

12月24日のイベント?

 

エイト「聞いたことはあるが、本当かどうか知らん。だが、それがキリトとどう関係するんだよ」

 

アルゴ「そのイベントは本当にあるのかオイラにはも分からなイ。だが、そのイベントに噂があるンダ」

 

エイト「噂?もしかしてあれか?」

 

アルゴ「ああ、多分エイ坊が思っている事であってるはずダ」

 

俺とアルゴが話している噂とは12月24日のイベントに関係している。その噂とは、24日の夜24時ちょうど、どこかの森にある樅の巨木の下に《背教者ニコラス》なる伝説の怪物が出現する。もし倒すことが出来れば、怪物が背中に担いでいる大袋の中にたっぷりと詰まった財宝が手に入るだろう。その財宝とやらは巨額のコルにせよ、レアな武器または装備にしろフロアボス攻略の大きな助けになるだろう。これまではプレイヤーから奪い取ることしかできなかったSAOシステムからの、気前のよいクリスマス・プレゼントだという。そう言うのならば、受け取るに否応のあろうはずもない。それを聞いた時、あまり興味に引かれなかった。多分、ガセだと思った。

 

エイト「これだろ噂っているのは」

 

アルゴ「ああ、そうれであってるヨ。だが、まだ噂は残ってるンダ」

 

エイト「まだ、あるのか?」

 

アルゴ「聞いた事ないカ」

 

俺はアルゴからさらなる噂を聞いた。それを聞いた時、思った以上に驚いてしまった。それは、その大袋の中に《蘇生アイテム》があるという情報だった。

 

エイト「《蘇生アイテム》だと……!」

 

なんだよその、まさに夢のようなアイテムは。その情報にはこんな内容があった。《ニコラスの大袋の中には、命尽きた者の魂を呼び戻す神器さえも隠されている》という内容だった。

 

エイト「なんだよそれ、ガセじゃねぇのか?」

 

アルゴ「そう思ってるんダガ、それを信じている奴らが多いンダ」

 

エイト「そんなアホな。死んだ人を蘇生させるなんて……だって茅場晶彦も言っていただろ。プレイヤーのHPがゼロになったら、現実世界の俺達の脳は、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブで脳を破壊して、生命活動を停止させるって」

 

アルゴ「ああ、確かにナ。でも、オイラ達はそれを本当に見た事はない」

 

エイト「っ!」

 

確かにアルゴの言う通りだ。俺らは本当に現実世界の人が死んだ所を見たことない。でも、だったら……何故、そんなアイテムが今更になって……いや、クリスマスだからか。

 

エイト「で?その噂とキリトとどういう関係が……まさかっ!」

 

アルゴ「ああ、エイ坊の思っている事であってるヨ」

 

エイト「その蘇生アイテムで死んでしまったギルドメンバーの1人を蘇生するつもりか」

 

アルゴ「多分ナ」

 

エイト「ったく…ガセかもしれないに……待てよ。あいつ、まさか1人でそいつに挑む気か!?」

 

アルゴ「そのまさかと思うナ」

 

エイト「何考えてるんだあいつは」

 

アルゴ「そこでだエイ坊。お前に頼みがあるンダ」

 

エイト「頼み?」

 

アルゴ「ああ。それはキー坊を生きて連れて帰って欲しいンダ」

 

エイト「あいつを生きて」

 

アルゴ「ああ、そうダ。こんな事エイ坊にしか頼めないヨ」

 

エイト「……わかった。必ずあいつを死なせやしない」

 

あいつは今までの行動は自分から死にに行く様な行動ばかり、何があったか知らないがあいつを死なせてたまるか。

 

アルゴ「助かるヨ、エイ坊。……それともう1つ」

 

エイト「なんだ?」

 

アルゴ「死ぬなよ」

 

エイト「!」

 

アルゴ「キー坊を死なせない為とはいえ、お前が死んでしまったら、キー坊は更に酷くなる。それはエイ坊自身わかってるんじゃないカ?」

 

確かにアルゴの言う通りだ。キリトを死なせない為とはいえ、俺が死んでしまったらキリトは更に酷くなってしまう。それに現実世界にいる母ちゃんを悲しませてしまう。俺はあの時誓ったんだ。生きて現実世界に帰ると。

 

エイト「理解っている。大丈夫だ」

 

アルゴ「そうか、ならいいンダ。じゃ頼んだゾ」

 

エイト「ああ」

 

アルゴ「あ、それと…」

 

エイト「まだ、あるのか?」

 

アルゴ「ああ、キー坊の奴。かなり無茶なレベル上げをしているみたいなンダ。だから、エイ坊もかなり無茶しなくちゃならなくなってしまうンダ」

 

エイト「なるほどな。わかった頑張ってみるわ」

 

少し、ハイペースにしないとな。クリスマスイヴまで残り数ヶ月だ。どれだけくらいレベルを上げれば良いのかも分からない。だが、上げれるだけ上げなければならない。さぁてと、結構頑張らないとな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それからは俺はキリト同様無茶なレベル上げをしていた。フィリアに時々感ずかれそうになっていたが、なんとか誤魔化していたが、もうバレている可能性があるかもしれない。それでもいい。俺はキリトを死なせたくないんだ。キリトはこの世界ではじめてできた友達で、相棒でもあるのだから。

 

 

そんな事がありながらレベルもどんどん上がっていった。クリスマスまでもう少しまで迫ってきていた。そして、俺のレベルは70前まで到達した。

 

 

 

そして

 

 

2023年12月24日 第49層 ミュージェン

 

 

街は雪が降り積もり、それはホワイトクリスマスと言えるような景色となっており、街の中心には大きな木に飾りをつけてそれはまるでクリスマスツリーのようだ。この街以外にもクリスマスムード満載となっており、カップルや夫婦、それ以外にも女性同士でワイワイと賑わっている。そんな中、ベンチに座っている男性プレイヤーに、その座っているプレイヤーに背を向け立っている女性プレイヤーの会話を盗み聞きをする。気づかれる心配は無い。俺の隠密スキルは高い。それに気づくのは相当な索敵スキルを持つ者くらいだろう。

 

 

「随分と無茶なレベル上げをしているそうじゃないカ」

 

そう男性プレイヤーに声掛けたのは鼠のアルゴ。そうなると、その男性プレイヤーはキリトとなる。まぁ、それを知っていて盗み聞きをしているんだけどな。

 

キリト「新しい情報は入ったのか」

 

アルゴ「金を取れるようなもんはないナ」

 

キリト「情報屋の名が泣くな」

 

アルゴ「ベータテストにもなかったはじめてのイベントダ。情報の取りようがねぇヨ。クリスマス・イヴ。つまり今日の深夜にイベントボス、背教者ニコラスが出現するある樅ノ木にナ。有力ギルドも血眼に探してんゾ。お前目星ついんてんダロ」

 

キリト「さぁな」

 

いや、あれは絶対に目星ついてるな。

 

アルゴ「マジにソロで挑む気カ?」

 

だが、キリトはそんな問いかけを無視して人混みの中へ消えて行った。

 

エイト「行っちまったな」

 

アルゴ「そうだナ」

 

エイト「聞いていたか本当に情報はないのか?」

 

アルゴ「ナイナ」

 

エイト「そうか…………じゃあ、行ってくる」

 

アルゴ「……頼むヨ」

 

エイト「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺はキリトに気づかれないように後を追う。キリトが向かった場所は《迷いの森》という森林ダンジョン。巨大な樹々がうっそうと立ち並ぶ森は基盤状に数多くのエリアに分かれている。ひとつのエリアに踏み込んでから数分経つと東西南北の隣接するエリアへの連結がランダムに入れ替わるというなんとも厄介なダンジョンだ。森を抜けるには数分で変わる前に突破するか、主街区の道具屋で販売している高価な地図アイテムで確認しながら歩くしかない。高かったが俺も一応もっているが、目的の場所はキリトしか知らない。だから、キリトがエリアを出たら俺もすぐにそこからでないといけない。そうなるとバレる可能性が高い。まぁ、もうバレているとは思うけどな。そして、数回エリア移動した時だった。キリトがこちらを見ながら立っていた。やはり、バレていたらしい。

 

エイト「よォ、奇遇だなキリト」

 

キリト「跡を尾けて来た癖によく言うよ」

 

エイト「そりゃ、喋れるからな」

 

キリト「屁理屈言うなよな」

 

そんな会話をしている時だった。後ろのワープポイントから集団が現れた。数にして5人くらい人数。その人数の中に見知った顔がいた。そいつは第1層で出会い、短い時間だが一緒に過ごした仲だ。だが、フロアボスの時とかは一緒に攻略したりしている。そしてそいつの名はクライン。ギルド《風林火山》のリーダーをしている。

 

クライン「よお、おふたりさん。奇遇だな」

 

エイト「さっきの会話聞いてたのか?」

 

クライン「さぁな。どうだろうな」

 

エイト「はぁ…それで?キリトはやっぱりあれ狙いか」

 

キリト「……ああ」

 

クライン「ガセネタかもしれねぇアイテムに命かけてんじゃねぇよ!ソロ攻略とか無謀なことはやめろよ!俺らと組むんだ。それにエイトといる。それでアイテムはドロップさせた奴の物で恨みっこ無し、それで文句ねぇだろ!」

 

確かにそれが1番安全な方法だし、1番使用されているルールだ。

 

キリト「それじゃあ意味ないんだよ。俺1人でやらなくちゃ…」

 

そう言って背中に背負っていた片手直剣の柄をを強く握る。その瞬間風林火山のメンバーを武器を構えるが、それをクラインが手で静止させる。

 

クライン「おめぇよをよ、こんな所で死なす訳にはいかねぇんだよキリト!」

 

俺もクラインと同意見だ。お前を死なせないという依頼を受けている以上死なせる訳にはいかない。というか依頼がなくても死なせなかったがな。そんな事を思っているとこのエリアに新たな侵入者が姿を現す。今度は数人所では無い。大人数だ。そんな光景に呆気にとられて振り向いたクラインにキリトが声を投げかける。

 

キリト「お前らも尾けられたな、クライン」

 

エイト「連れがいるなんて聞いてねぇぞ」

 

クライン「うるせぇ!」

 

そんな会話をしていると、クラインの横にいた風林火山のメンバー達がクラインの顔に近づけ、低く囁いた。

 

「アイツら《聖竜連合》っす。レアアイテムの為ならヤバイ事する連中っす」

 

そのギルドは俺も知っている。血盟騎士団と並ぶ名声を誇る、攻略最大ギルドだ。そして、キリトが剣を抜こうとした時、クラインの叫び声がキリトの手を押しとどめた。

 

クライン「くそっ!クソッタレが!!」

 

クラインは腰に身につけていた刀を鞘から抜き取り、再びキリトに向け怒鳴った。

 

クライン「行けっ、キリト!ここは俺らが食い止める!お前は行ってボスを倒せ!だがなぁ、死ぬなよ手前ェ!俺の前で死んだら許さねぇぞ、ぜってぇ許さねぇぞ!」

 

そう言われキリトはクラインに礼の一言も口にせず最後のワープポイントへ足を運んだ。

 

クライン「エイトよぉ!お前も行ってくれ!アイツを死なせる訳にはいかないからよォ!今のアイツについていけるのはお前だけなんだ!だから頼む!」

 

クライン……お前

 

エイト「…わかった」

 

そう言ってクライン達に背中を向けた瞬間、クラインがまた怒鳴った。

 

クライン「エイト!言っとくけどよぉ!お前も死んだらぜってぇ許さねぇからな!一生恨んでやるからな!」

 

怖ぇよ……

 

エイト「ああ、わかってる。死ぬ気はサラサラない!」

 

クライン「そうか」

 

エイト「あとは頼む」

 

クライン「おう」

 

そして、俺は急いで最後のワープポイントを通過した。追跡スキルを使いキリトの後を追うと、そこにはモミの巨木があり、他の樹がほとんどない四角いエリアだった。積もった雪で真っ白に輝き、全ての生命が死に絶えた平原のように見える。

 

キリト「やっぱり来たのか」

 

エイト「…ああ。だが安心しろ。最後は譲ってやるからさ」

 

キリト「別に手伝わなくてもいいって」

 

エイト「俺が勝手にやるだけだ。だから気にするな。それにもうすぐ時間だ」

 

視界の端の時計が零時になると同時に、どこからともなく鈴の音が響いてきて、梢の天辺を見上げた。漆黒の夜空、正確には上層の底の背景に、ふた筋の光が延びていた。よくよく凝視すれば、何か奇怪な形のモンスターに引かれた巨大なソリらしい。モミの木の真上に達すると同時に、ソリから黒い影が飛び降りてきて、盛大に雪を蹴散らしながら着地したのは、背丈が俺たちよりも3倍ぐらいはある怪物だった。一応人型だが、腕が以上に長く、前屈みの姿勢ゆえにほとんど地面に擦りそうなくらいだ。せり出した額の下の暗闇で、小さな赤い眼が輝き、顔の下半分からは捻れた灰色の髭が長く伸びて下腹部まで届いている。

 

グロテスクなのは、その怪物が、赤と白の上着の同色の三角帽子を被り、右手に斧、左手に大きな頭陀袋をぶら下げていることだった。多分、あの頭陀袋には武器や防具、巨額なコルといったアイテムが入っている設定だろう。でも、今はそんなことどうでもいいことだ。

 

そして《背教者ニコラス》はクエストに沿ったセリフを口にするつもりなのか、縺れたヒゲを動かそうとした。

 

キリト「うるせぇよ」

 

キリトはそう呟き、剣を抜いて、右足で思いっきり雪を蹴った。それに続くようにして俺も雪を蹴った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パリンと《背教者ニコラス》がポリゴン片のように砕け散る音が聞こえる。俺とキリトはニコラスを撃破することができた。もちろんトドメはキリトがした。そして、キリトはニコラスから手に入れたアイテムを確認している間、俺は赤色の危険域なったHPをポーションを飲み回復する。久々だな赤に到達したのは。しかも、さっき最後の回復アイテムを使ってしまった。過去1辛い戦いだったな。

 

そして、キリトは目的のアイテムを見つけたのか実体化させた。キリトの手には卵くらいの大きさで、そして七色に輝く美しい宝石だった。

 

キリト「サチ……サチ……」

 

キリトは蘇生したいプレイヤーの名前を声に出して、ポップアップメニューからヘルプを選択した。そこにはそのアイテムの解説が記されていた。それを見てから反応がないと、思った瞬間……

 

キリト「うああ……あああぁぁ……!」

 

キリトが突然叫びを上げた。

 

キリト「あああ…あああああ!」

 

キリトは手にあった宝石を地面に叩きつけ、絶叫しながらブーツで何度も踏みつけている。そんなことしても、宝石は割れることも、ヒビが入る気配すらなかった。だが、それでもキリトはまだ踏み続けている。一体何があったんだよ。

 

エイト「おいキリト!一体何があったんだよ!」

 

俺は後ろからキリトを羽交い締めのようにして止めさせる。だが、未だに叫び続け暴れている。

 

エイト「いいから落ち着けよキリト!」

 

それを言った後、少ししたら落ち着いたのか叫びや暴れも内容なった。

 

エイト「それで?蘇生はできないのか?」

 

キリト「……見てみれば分かる」

 

そう言われ俺は雪に埋もれている宝石を手に取って、ヘルプを開いた。この宝石の名前は《還魂の聖晶石》らしい。そして、そのまま解説を見ると【このアイテムのポップアップメニューから使用を選ぶか、あるいは手に保持して《蘇生:プレイヤー名》と発声することで、対象プレイヤーが死亡してからその効果光が完全に消滅するまでの間(およそ十秒)ならば、対象プレイヤーを蘇生させることができます】と記されていた。その記されている中の一部…(およそ十秒)のところだ。それを見た時、自分の目が見開いた。

 

エイト「十……秒……」

 

それは取ってつけたようなその一文が、これ以上ないほど明確に、冷徹な現実を突きつけられた感じだ。およそ十秒。それが、プレイヤーのHPがゼロになり、仮想体が四散してから、ナーヴギアがマイクロウェーブを発して生身のプレイヤーの脳を破壊するまでの時間。てことは…キリトが蘇生させたい人はもう…………。

 

キリト「もう、俺には必要のない物だ。エイト、お前にやるよ。……じゃあな」

 

静かにキリトはそう発した。そして、ゆっくりと元のエリアに戻るワープポイントへ向かった。俺は数秒反応に遅れながら、急いでキリトの後を追う。

 

森の中に残っていたのはクラインと風林火山のメンバーだけだった。聖竜連合の姿はなかった。クラインたちの人数が減っていないこと確認でき安心する。一体どうやって聖竜連合の侵入を阻止したのかは分からないが、キリトと俺は近づいていく。

 

クライン「…キリト…エイト…」

 

どうやらあっちもこっちに気づいたようだ。

 

クライン「どうだったんだ?」

 

キリト「…アイテムはエイトが持ってるよ」

 

クラインの言葉にキリトが返し、それを聞いたクラインは俺の方を見る。

 

エイト「……これだ」

 

俺はクラインに手に持っていた聖晶石を手渡した。クラインは俺と同様にヘルプを開き見た。それを見たクラインの目は大きく見開いていた。

 

クライン「……十秒って……」

 

俺と同じ反応するクライン。誰だってそうだ。

 

キリト「……それ、エイトかクラインやるよ。次にどっちかの目の前で死んだ奴に使ってやってくれ」

 

それだけ言い残し、出口に向かおうとしたキリトのコートをクラインが掴んだ。

 

クライン「キリト……キリトよぉ……」

 

クラインの頬にふた筋の涙が伝うのを見た。

 

クライン「キリト……お前ェは……生きろよ……もしお前ェ以外の全員が死んでも、お前ェは最後まで生きろよォ……」

 

クラインはキリトに何度も生きろと繰り返す。そしてキリトはクラインの手から、コートの裾を引き抜いた。

 

キリト「じゃあな」

 

そう言ってキリトはここから去ろうとする。すると、俺は声上げた。

 

エイト「キリト!」

 

そう声をかけてもキリトは反応がない。だが、そんなこと構わず再び口を開く。

 

エイト「キリト!お前は生き残れよ!お前が入ってたギルド達の分まで生きるんだ!たとえそいつらが思ってなくても生きろよ!」

 

そう言い終わると同時にキリトはワープポイントの中へ入っていった。まだ、何か言えたんじゃないか。他に何か言えたんじゃないだろうか。そんな考えが残る。そして、そんな状態が数分続いた後、クラインは落ち着いたのか、立ち上がった。

 

エイト「もう大丈夫なのか」

 

クライン「…ああ、だいぶ落ち着いた」

 

エイト「そうか。……それ、クラインが持っててくれ」

 

俺はクラインの手に持っていた聖晶石を指をさしながら言う。

 

クライン「良いのか?」

 

エイト「ああ。売るなり、焼くなり、煮るなり好きにしろ」

 

クライン「いや、売れるかもしれないが、焼けねぇし、煮れねぇよ」

 

エイト「ふっ、そうだったな」

 

クライン「ったくよ」

 

そんな意味の無い会話をする。

 

エイト「……それじゃあ帰るわ」

 

クライン「ああ、元気な」

 

エイト「そっちもな」

 

そう言い残し俺はワープポイントの中へ入り、迷いの森から出た。そして、49層のミュージェンを歩いていると目の前に見知った人の姿が見えた。その人物は……

 

エイト「…フィリア」

 

フィリアだった。服装はフィールドに出るようなものでは無く、私服だった。

 

フィリア「エイト…お疲れ様」

 

エイト「お疲れ様とは?」

 

フィリア「話は全部アルゴさんから聞いたよ」

 

エイト「なっ」

 

あの鼠野郎、何しゃっべってるんだよ。

 

フィリア「なんで私に言ってくれなかったのかな?」

 

腕を組んで、相当怒ってらっしゃるご様子。

 

エイト「…すまん」

 

そう言うとさっきと打って変わって、眉を下げて悲しそうに言ってくる。

 

フィリア「私ってそんなに頼りないかな」

 

エイト「そ、そんな事は無い!フィリアには助けてもらってばかりだ」

 

フィリア「なら、なんで?」

 

エイト「悪い……これは俺が受けた依頼だったから。それに、これは下手すれば死ぬかもしれない戦いだった。そんな戦いにフィリアを巻き込みたくなかったんだ」

 

フィリア「巻き込んでくれても良かったのに」

 

エイト「すまん……」

 

俺はまた何か間違えたのだろうか。また、あの時のように拒絶されるのだろうか。

 

フィリア「エイトはさ、1人で背負い込んでしまうのが癖みたいになってるよね」

 

その言葉にハッとさせられた。総武にいた時もそんな感じだった。あの時の依頼も……。そして、それでフィリアを嫌悪感を抱かせてしまったのか。

 

エイト「……そうかもしれないな。俺はフィリアを危険に巻き込まないようにしたが、それが逆効果だったんだな」

 

フィリア「エイトはさ、私を守ってくれたんだね」

 

エイト「そうだな」

 

フィリア「ありがとう。エイトの気持ちは嬉しい。でもね、私はエイトに守られるだけの存在じゃない。私だって戦えるんだよ」

 

エイト「ああ」

 

フィリア「だからさ、今度はちゃんと私を巻き込んでね」

 

エイト「ああ、約束する」

 

フィリア「うん、ならこの話は終わり!ね?」

 

エイト「ああ」

 

フィリアとそう約束した。次こそはフィリアにも頼ることにしよう。

 

フィリア「あ、でも、罰としてこの後ケーキ奢ってよ」

 

エイト「ケーキを?」

 

フィリア「うん、そ。ケーキを罰として奢って。それで許してあげる」

 

エイト「それでいいのか?」

 

フィリア「うん」

 

エイト「そうか。わかったよ、罰なら仕方ないよな」

 

フィリア「じゃあ、行こっ!美味しいお店知ってるからさ」

 

そう言うとフィリアは俺の腕の掴んで引っ張っていく。

 

エイト「ちょっ、そんな引っ張るなよ」

 

フィリア「罰なんだから文句言わなーい」

 

エイト「へいへい」

 

その後、俺はフィリアに好きなだけケーキをご馳走した。

 

 

 




こういう感じにしてみました。
ではまたお会いしましよう。
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