比企谷八幡と仮想世界(改稿版)   作:チャキ

7 / 10
どうもチャキです。第7話ですどうぞ。


第7話

 

2022年十二月八日。デスゲームSAOが開始されてから三十二日目。第一層のボスモンスターであった《イルファング・ザ・コボルドロード》が倒され、このウルバスの転移門が開通してから、早くも四日過ぎ去っていた。そして、今俺達は通常よりも用心深くなっている。なにせ、俺達は忌み嫌われているプレイヤー2人なのだから。ベータ時代に誰よりも高い層まで登り、そこで得た知識を駆使してボスを倒し、ラストアタック・ボーナスをかっ攫っていた一人の《ビーター》ことキリトと、そのビーターが唯一実力を認めた一人のプレイヤー。それは《ビーターの相棒》ことエイト。幸いと言うべきか、キリトとエイトという名前こそあっという間に流布したものの。アバターの容姿を直接知っているプレイヤーは多く見積もっても四十人前後しかいない。そしてこのSAOでは、無関係な他人のカーソルに名前は表示されない。ゆえに、今のところ俺達はこうやって街を歩いても石を投げられずに済んでいる。まあ、仮に投げられても紫色のシステム障壁に阻まれるだけなのだが。それでも、キリトは念の為と一層ボスからドロップしたレア防具《コート・オブ・ミッドナイト》は除装し、額に幅広のバンダナまで巻いている。俺も一応別の装備に変え、バンダナまで巻いている。変装してまで主街区に潜り込んでいる理由は、別に人恋しいからではなく、ポーションや携行食類の補充と装備のメンテナンスをしなければならないからだ。主街区ウルバスから南東に三キロほど離れた小村《マロメ》にも道具屋はあるのだが品揃えがイマイチなんだよな。そのうえメンテを依頼すべきNPC鍛冶屋がいない。そんな諸事情により、このウルバスの南市場でまずアイテム欄にしこたま補給物資を詰め込んでから、次なる用事を済ませるべく通りの端っこを歩いていると、曲がり角から2人の人影が出てきた。このままではぶつかってしまうそう思ったのでなんとか足を踏ん張り衝突を阻止することができた。

 

エイト「…すいません」

 

「いえ、大丈夫です」

 

一言謝罪する。それに相手は大丈夫と答えてくれた。けれど、俺達はぶつかりそうだった2人を見ると、どこかで見たような容姿だった。それもそのはずだろう。短い時間とはいえパーティーを組んでいたのだから。

 

エイト「そうですか。では、俺達はこれで。…おい、早く行くぞ」

 

キリト「あ、ああ」

 

俺達は少し顔を下に俯かせながら、2人の前を通り過ぎようとした時だった。

 

「どこに行こうとしているのかしら?」

 

エイト「は、はい?」

 

キリト「ど、どうかされましたか?」

 

できるだけ初対面を装って応答する。

 

「私達を無視するなんて酷いよエイト」

 

エイト「無視だなんて…」

 

キリト「そ、そうですよ。俺達って、以前どこかでお会いしましたか?」

 

キリトも俺の考えがわかったのか初対面を装った。

 

エイト「そ、それに俺はエイト?という名前じゃないぞ。な、じょ、ジョニー」

 

キリト「そ、そうそう。こいつの名前は…ま、マイケ…」

 

とキリトが言いかけた時だった。2人の女性プレイヤーの鋭い視線が発射され、俺達の眉間を深々と貫通した。

 

「エイト…」

 

「お会いしたどころか。一緒にパーティー組んだりしたと思いますけど」

 

キリト「……あ、思い出しました。今思い出しました。な」

 

エイト「あ、ああ…思い出しました。俺も今思い出しました」

 

キリト「俺達の部屋でお風呂貸したことも思い出し」

 

と言いかけた時、がすっと音がした。見るとロングブーツで鋭いカカトがキリトの右足甲に炸裂していた。うわぁ、痛そうだな。とりあえず俺達は2人を周りに人がいない所へ移動し改めて挨拶をかわす。

 

キリト「や、やあ…久しぶりだね。アスナ、フィリア」

 

エイト「久しぶりだな」

 

そう、出会った2人とは、第一層ボスの時にパーティーを組んだフィリアとアスナだ。

 

アスナ「こんにちは、キリト君、エイト君」

 

フィリア「久しぶり、エイト、キリト」

 

エイト「まさか、こんなところで出会うとは」

 

キリト「ああ、俺も思ったよ」

 

まだ二層までしか解放されてないとはいえ、かなり広いのにここで鉢合わせしてしまうとは、どんな確率だよ。そんな事を思っているとアスナが口を開いた。

 

アスナ「それで?キリト君とエイト君はそんな変な格好して、何コソコソしているのかしら?」

 

「「うっ…」」

 

それには返答には困ってしまうものだな。

 

エイト「まぁ……あれだ。ちょっと買い物を…」

 

キリト「そ、そうそう」

 

アスナ「ふーん…」

 

フィリア「本当は変装しているんでしょ」

 

エイト「は?違ぇし、イメチェンだ。な?」

 

俺はフィリアの問いに速攻で返答し、キリトに同意を求める。

 

キリト「お、おう。イメチェンだ」

 

アスナ「へー、イメチェンね……。悪いけど、全然似合ってない」

 

フィリア「私もそう思う。なんでそんな派手なバンダナつけてるの?しかも2人揃って」

 

フィリアはわかって言っているのだろうか、それともわかっていないのだろうか。いや、絶対にフィリアはわかっている。アスナもわかっているのだろう。

 

エイト「……わかっるんだろ本当は」

 

フィリア「知ってるよ。2人が元テスターへの恨みとかを全部背負おうとしているのは。無茶し過ぎだよ」

 

アスナ「でも、それはあなた達が決めた選択なんだから、私は何も言わないわ。でも、それなら私達の選択も尊重してよね。他人に何を思われようと、私にはどうでもいい事。あなたの友……仲間と思われるのが嫌なら、最初から声掛けたりしないわ」

 

フィリア「私も、他の人にどう思われようと関係ない。私はエイトやキリトの事を友達だと思ってから話しかけてるの」

 

エイト「……まったくお見通しって訳か」

 

キリト「……みたいだな」

 

フィリア「それに……あれから少し考えたんだけどね。あの時は理由があったとしても、私はエイトとキリトが悪者になるのは嫌だった。2人が傷つくのが嫌だった!」

 

エイト「フィリア……」

 

フィリアの目は本気の目をしていた。それに目から筋を引いて涙がこぼれた。そう、フィリアは泣いているのだ。

 

エイト「泣く事かよ」

 

フィリア「わからないよ……何でか涙が止まらないの…」

 

フィリアの目からポタポタと涙が流れでてくる。

 

キリト「この世界は涙は隠せないから。だからガマンしようと思っても、涙は出てくるんだ」

 

マジでかよ。この世界はそういうしようかよ。

 

エイト「意外と不便だな」

 

アスナ「そうでもないよ。泣きたい時は泣いても良いんだから」

 

母ちゃんと似たような事聞いた。そうか、フィリアは俺達の事を思って泣いてくれているんだな。俺は泣いているフィリアに近づいていき、そして妹がいた時にしてたようにフィリアの頭に手を置く。すると一瞬フィリアの身体がビクッと震えたが、何も抵抗はしてこない。そしてそのままフィリアの頭を撫で始める。

 

エイト「ありがとうなフィリア。俺達の事そんな風に思ったくれていたんだな。そんな風に言ってくれたの初めてだ。これからはあんな事……極力しないようにするから。だから……その…泣かないでくれ」

 

フィリア「ほんとに?」

 

エイト「え?」

 

フィリアは顔を上げてこちらを見てくる。まだ涙目だがそう俺に聞いてくる。その姿は昔の事を思い出す。あの時はフィリアが迷子になってしまい、俺が見つけた時に泣きながら抱きついてきた時の姿が似ている。

 

フィリア「本当にもうあんな事しない?」

 

エイト「あ、ああ…善処します」

 

フィリア「エイト」

 

エイト「はい、もうしません」

 

フィリア「約束だからね!」

 

エイト「は、はい」

 

フィリアの圧に圧倒されてしまった。そんな光景をキリトは何やら微笑ましく見ていたが、それに気づいたアスナがキリトに向かって言い放った。

 

アスナ「言っときますけど!キリト君にも言ってるのよ!わかってる!?」

 

ずいっと詰め寄るようにして、人差し指を指しながらキリトに言った。

 

キリト「わわ、わかった!わかった!俺もしない!」

 

アスナ「まったく……」

 

キリトもアスナの圧に圧倒されたらしい。

 

フィリア「エイト、頭撫でるの上手くない?」

 

エイト「え?ああ…多分、妹がいた時の名残だろう」

 

フィリア「あ、そっか…それで上手いんだね」

 

エイト「嫌だったか?」

 

フィリア「ううん、嫌じゃないよ」

 

エイト「そうか、なら良かった」

 

どうやら、フィリアは泣き止んでくれたらしい。泣き止んでくれて良かった。もし、このままだと俺達が悪者なってしまう所だった。一層の時に嫌われ者になったのに、更に嫌われ者になってしまう所だった。あれ?でもよく考えたらやばくね?女性に触ると確か犯罪防止コードが女性の視界に表示されるんだったよな。そしてそれを発動させると牢獄に飛ばされてしまう。そう思いパッとフィリアの頭にのせていた手をどかした。

 

フィリア「あっ……」

 

フィリアは少し残念そうな顔になっていたが、エイトはそんな事には気づいていない。何故なら、それはフィリアに犯罪防止コードを発動されてしまうのではないかと思っているからだ。

 

エイト「な、なぁフィリア。不要に頭を触ってしまって悪い。だから、犯罪防止コードを発動させないでくれ」

 

フィリア「そんな事しないよ。だってはち…エイトがそういった意味で触ったんじゃないってわかってるから」

 

エイト「お、おう。そうか、そう言ってもらえて助かる」

 

いや、ホント良かった。もしかしたらクリアされるまで監獄行きだったわ。

 

アスナ「それで?2人はどこ行こうとしていたの?」

 

キリト「あ、ああ、ちょっとフィールドに出てレベルを上げようかと思って」

 

アスナ「ふーん、なるほどね。じゃあ、私達も参加しても良いよね」

 

キリト「え?」

 

アスナ「何?その反応?私達が一緒だと何かまずい事でもあるのかしら?」

 

キリト「い、いや、そんな事あるわけないじゃないですか!なぁ!エイト!」

 

エイト「なんでそこで俺に振るんだよ。まぁ、確かにまずい事はないけどよ」

 

フィリア「じゃあ、私達も一緒でも問題ないよね」

 

エイト「まぁ…そうだな」

 

アスナ「じゃあ、私達もレベル上げについて行っても」

 

アスナ・フィリア「「いいよね?」」

 

キリト・エイト「「…はい」」

 

俺ら弱すぎだろ。俺らもしかして将来結婚する事があるとすれば、相手に尻に轢かれるのかもしれないな。そして、フィリアとアスナをパーティーに加わり俺達はレベル上げの為にフィールドに出た。

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「…ハァッ!」

 

鋭い気合いとともに、細剣用ソードスキル《リニアー》が宙に銀色の軌跡を描き、蜂型モンスター《ウインドウワスプ》の弱点である腹を付け根を正確に貫いた。ギイイィッ、と金属質の悲鳴を上げ、巨大な蜂はポリゴン片となって四散した。パーティーを組んでいる俺の視界にも、経験値とコルの加算ログが流れる。そしてアスナはどうやらレベルが上がったみたいだ。

 

アスナ「やった!」

 

フィリア「やったねアスナ!」

 

アスナ「うん!」

 

フィリアはアスナのレベルが上がった事を祝っていた。するとフィリアが俺らの方へ視線が移った。

 

フィリア「ちょっと2人共。アスナがレベル上がったんだよ」

 

キリト「あ、ああ…おめでとうアスナ」

 

エイト「おめんとさん」

 

アスナ「ふふっ、ありがとう」

 

フィリア「よーし!この調子で行くよ!」

 

アスナ「ええ、そうね」

 

フィリア「ほら、エイトとキリトも」

 

エイト・キリト「「お、おう」」

 

やはり強制らしい。まぁ、断ったらウルバスの時みたいな圧が来るかもしれないしな。その後、全員が1レベ上がった時には、もういい時間になっていたのでウルバスに戻ったと同時に、町のあちこちにある鐘楼から、澄んだ音が鳴り響いた。どこか郷愁を感じさせるゆったりとした旋律が、夜の訪れを告げている。午後七時、フィールドに出ていたプレイヤーたちが一斉に戻ってくる頃合いだ。ウルバスの目抜き通りを歩くプレイヤー達は皆、いかにもほっとしたと言わんばかりの笑みを滲ませている。道の両側に立ち並ぶレストランや酒場からは賑やかな歓声が漏れ聞こえ、今日一日の生還を祝う乾杯の音頭も時折混じる。一層最前線の街や村でもいちおうは見られた光景だな。だが、こんな光景を見るのはなんだか久しぶりのようだ。

 

キリト「……俺ら、この時間にウルバスに戻ってきたの、今日が初めてだな」

 

エイト「……そうだな」

 

キリト「いつもこうなのか?もしかして、今日って何かの日だったか?」

 

いや、十二月八日は別に祝日ではなかったはずだ。

 

アスナ「ここ数日は、ウルバスもマロメもだいたいこんな感じだと思うけど。君達、昼間だけじゃなくて夜もどこかに隠れていたの?」

 

キリト「い……いや、まあ、その…」

 

エイト「……その…」

 

アスナの問いは、そこまで人の目が気になるのかという意味だろう。しかし、俺が夜のウルバスに立ち入らなかったのは、したくてもできない事情があったからだ。《体術》スキルについて話すなら当然その事情にも触れることになるのだが、歩きながら手短に済ませられるような内容でもないしな。

 

エイト「隠れていたと言えばそうなような違うような」

 

いきおいアヤフヤになる俺の答えに、アスナはいっそう胡散臭そうな顔で言った。

 

アスナ「だから、気にしすぎだって言ったでしょ?」

 

フィリア「そうだよ。さっきから何十人ってプレイヤーとすれ違ってるけど、誰も絡んで来てないでしょ?」

 

フィリア達の言う通り、バンダナを外しいつも通りの装備にしてある。キリトはあの黒いコートはしていないが、誰一人気づいていない。それか認識した上で放っておいてくれてくれているのか。というより、生還の喜びと夕食への期待で、俺達男剣士の顔なんかいちいち見ていられないだけのような気がする。

 

フィリア「ほらね?だから気にしなくても良いんだよ」

 

エイト「グリーンダヨってか」

 

キリト「懐かしいなおい」

 

おっと、思わずそんな事言ってしまった。

 

アスナ「ま、それよりも早く行きましょう」

 

フィリア「そうだね」

 

 

その後、俺達はレストランへ向かった。そこで晩御飯を四人で食べる事になっている。それと、俺とキリトはフィリアとアスナにショートケーキをご馳走をすることになっている。晩御飯のメニューはサラダにシチュー、そしてパンというメニューだ。料理の代金はフィリアとアスナ持ちだが、このデザートに関しては俺ら持ちだ。ていうかこのケーキ、これだけで今さっき食べた料理を上回る金額とかありえねぇよ。大きめの皿にドーンとそびえ立つ生クリーム塊の威容には驚いてしまう。ケーキらしく円柱から三角に切り出した形をしているが、一辺の長さ十八センチ、高さ八センチ、頂点の角度も六十度はあるだろう。と言うかクリームの量すげぇな。

 

キリト「こ……こんなの、ショートじゃないだろ……」

 

エイト「ショートケーキのショートは短いって意味じゃねぇからな」

 

キリト「え?そうなのか?」

 

エイト「ああ、確か…砕けやすいやもろいっと言った意味でも用いられる語で、ショートケーキは「ショートブレッド」ともいってショートニングを使って作られ、サクッとしたビスケットのようなものであったことから、そう呼ばれるようになったらしいぞ。まぁ、だいぶ前に見たからうろ覚えだけど」

 

キリト「そんな意味だったのか」

 

そんな事よりも、テーブルの上に存在するケーキは2皿だけという事実。理由はさっきも言ったがケーキの価格が高くて、俺はフィリアにキリトはアスナにご馳走することになった。

 

エイト「まぁ、そんな事より早く食べたらどうだ?俺らの事は気にせずさ」

 

キリト「そうそう」

 

アスナ「うん、そのつもりよ……というのは冗談よ。私もそこで鬼じゃないわ。三分の一までなら、あなたも食べていいわよ」

 

そう言ってアスナはフォークでケーキを切り取った後、カトラリー・バスケットからフォークを一つ取り出し、キリトに手渡した。

 

キリト「あ、ありがとう」

 

フィリア「私もあげるよエイト」

 

エイト「いいのか?」

 

フィリア「もちろん!一緒に食べよ」

 

エイト「ああ、ありがとうな」

 

俺もフィリアからフォークを受け取り、フィリアが切り取ったケーキを口に運んだ。それと、ケーキを食べている間、俺は考えていた。それは、あの事をフィリアに話そうと思っていた。遅かれ早かれいつかは話すつもりだったしな。アスナにも話してみようかね。

 

エイト「なぁ、フィリア、アスナ。この後、時間あるか?」

 

アスナ「え?この後?」

 

フィリア「あるにはあるけど。なんで?」

 

エイト「ちょっと話しておきたい事があってな。聞いてくれるか?」

 

フィリア「話ってまさか……話してくれるの?」

 

エイト「ああ、もちろんだ」

 

アスナ「話ってなんの話をするのよ」

 

エイト「それはここではちょっとできない。すぐ近くの宿があるからそこで話す。だから、聞いてくれるか?」

 

フィリア「もちろん聞くよ」

 

エイト「そうか。アスナはどうする?」

 

アスナ「ええ、聞くわ。何か重要そうな感じみたいだし」

 

エイト「サンキュ」

 

キリト「なぁ、良いのか?」

 

エイト「ああ、大丈夫だ」

 

キリト「そっか」

 

キリトはどうやら俺の事を心配してくれているようだ。

 

フィリア「キリトは知ってるの?」

 

キリト「ああ、エイトが教えてくれた」

 

フィリア「そうなんだ」

 

エイト「よし、それじゃあ行くか」

 

キリト「そうだな」

 

代金を支払った後、近くの宿まで行く。俺とキリトが同じ部屋でアスナとフィリアの二人も同じ部屋を取る。その後、俺らの部屋で話をすることになった。

 

フィリア「準備出来たよエイト」

 

エイト「ああ…今から話す事は俺のリアルの事だ」

 

アスナ「エイト君のリアルの話?」

 

エイト「ああ、リアルの事を話すのは褒められた事じゃ無い事は知っている。けれど、話しておこうと思ってな。いつかは話すつもりだったから、だからこの気に話そうと思ってな。ああ、それと俺のリアルの話をしたかって、そっちも話せとは言わない。あくまで俺が話すだけだ。そっちはただ聞いてくれるだけでいい。まぁ、聞いてもあんまいい気分にはならないがな」

 

アスナ「…そう。わかった」

 

フィリア「わかったよエイト」

 

エイト「じゃあ、話すぞ」

 

 

そして、俺はフィリアとアスナに俺のリアルの事を話し始めた。フィリアとは幼なじみという事を話したが、どうやらアスナはフィリアに聞いたようだ。そして、キリト同様俺はフィリアとアスナにリアルであった事を話した。高校入学式の時に事故にあった事や、そして奉仕部に強制入部のことや、奉仕部で受けた依頼の話や、そして親が離婚した事全て話した。

 

フィリア「…そっか、そんな事があったんだ」

 

アスナ「……エイト君、辛いのに話してくれてありがとう」

 

エイト「いや、まぁ、フィリアと約束したからな。いつか話すって。それに二人の事を信用して話してるんだ」

 

アスナ「そっか、ありがとうエイト君」

 

フィリア「ありがとうエイト」

 

アスナ「でも、やり方は褒められた事じゃないけどね」

 

エイト「それは自覚している。自分でもわかっている」

 

フィリア「それでも、エイトのおかげで解決した事や救われた人は少なからずいるよ」

 

エイト「そう…かな」

 

そんな人がいるのだろうか。いや、いねぇだろ。

 

アスナ「でも、今でもそんな事をする人がいるんだね。噂だけで決めつける人が」

 

エイト「どこ行っても同じと思うぞ」

 

アスナ「そうかもしれないけど。でも、エイト君は頑張って3つの依頼を解消したのに酷すぎるよ!」

 

フィリア「そうだよ!真実を知ろうとせずにエイトを悪者にするなんて……」

 

エイト「もう良いんだ。もう済んだことだからさ」

 

フィリア「エイトがそう言うのならもうこれ以上言うのはやめとく」

 

アスナ「そうね。でも…」

 

フィリア「言わせて欲しいことがあるの」

 

エイト「?……なんだ?」

 

一体何を言われるのだろうと少しだが不安になった。もしかしたら、ここにきて拒絶されるのではないだろうかと、思ってしまった。そんな事を思っていると、フィリアとアスナは同時に口を開いた。

 

フィリア・アスナ「「お疲れ様」」

 

エイト「っ!」

 

それは母ちゃんと同じ言葉だった。あいつらに言われなかった言葉が母親以外から言われたのは初めてだった。それがとても嬉しかった。

 

キリト「エイト…?」

 

エイト「大丈夫だ。安心しろ」

 

キリト「そっか」

 

心配そうな表情になっていたキリトの顔は、俺の言葉で安心した顔になった。

 

エイト「ありがとうなフィリア、アスナ」

 

フィリア・アスナ「「っ!……どういたしまして」」

 

 

ああ……良かった。二人に話して良かった。拒絶されないて良かった。

 

 

 

 




いかがでしたか?今回はこんな感じにしてみました。ではまた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。