長かった……
第4装甲師団
前線司令部
未知の機甲師団の出現を受け、グラ・バルカス帝国陸軍の第4装甲師団の前線司令部は大混乱に陥っていた。
「第11装甲師団の第27捜索連隊が、全隊連絡途絶しました!」
「洞窟内の第45戦車連隊より報告!"ワレ敵新鋭戦車部隊ト遭遇セリ"!応戦に入ります!」
「速すぎる!もう接触したのか!?」
混乱しているテントの中に、前線の視察にたまたま現場に居合わせたボーグ・フリッツ少将が入ってきた。
「ボーグ少将に敬礼!」
「いい。大佐、何が起きているか説明せよ!」
「はっ、どうやら今までの現政権軍とは違う別の戦車部隊が現れた模様でして、洞窟内の部隊が戦闘に入りました」
前線指揮官は簡潔に状況を説明する。前線指揮官としてこの戦区を担当する戦闘団長は、ボーグ自らが指名した指折りの人材だ。言葉遣いから優秀さが伺える。
一方で、その簡潔な説明を受けたボーグは、顎に手を当て、わずかな時間で思考を巡らせこう言った。
「何、政権軍ではない部隊だと?まさか……」
「おそらくですが、事前の情報にあったニホン軍の部隊が、ついに動いたのかと……」
「重い腰を上げてきたか……今度の相手は厳しいぞ!」
ボーグは前線指揮官の言葉を受け、そのままさも当然のように自ら陣頭指揮を取ろうとする。しかし、そうしようとしたボーグを前線指揮官は止めた。
「ボーグ少将」
「なんだ?」
「敵の突破力は高く、この司令部は最前線となる可能性があります。ここは連絡機を使って、後方司令部の方に退避してください」
前線指揮官はそう言って、テントの外に止めてある簡素な連絡機を使うように進言した。それは今しか脱出のタイミングがない切り札に等しい。
「……良いのか?連絡機を使ったら、ここには帰っては来れんぞ?」
「私は前線司令官です、最後までここで指揮を続けなければなりません。しかし、貴方は後方の部隊も纏めて指揮する必要があります」
「…………」
前線指揮官はボーグにそう言って説得をする。彼をこのまま放っておけば、最も危険な最前線で指揮を取り続けるだろう。それはよろしくなかった。
ボーグは彼の説得を受け、納得できないながらもその言葉に従うことにした。彼も冷静になり、自分にはまだまだ指揮すべき部隊がたくさんあることを思い出したのだ。
「……わかった、使わせてもらおう。大佐も、くれぐれも死ぬんじゃないぞ?」
「無駄死にするつもりはありません、大丈夫です」
前線指揮官は笑顔で敬礼をし、ボーグ少将を見送った。
「ボーグ少将、こちらです」
「ああ……大佐、達者でな」
「はっ、少将こそ!」
ボーグ少将は最後にそれだけ伝えると、補佐官に連れられテントを後にした。前線指揮官はそれを見送ると、目の色を変えて卓上に戻った。
同時刻 空洞洞窟内
第45戦車連隊
『第3戦車中隊、部隊壊滅!残存は2両のみ、敵戦車に抜けられた!』
『敵の展開が速すぎる!』
『くそっ、ダメだ、この陣地は捨てろ!対戦車砲は置いて行け!』
一方で、空洞山脈に先んじて突入した戦車連隊は崩壊の兆しが見え始めていた。
先遣部隊として突入したのは、グラ・バルカス帝国陸軍の第4装甲師団、第11装甲師団の一部部隊。彼らは洞窟の左翼側を担当している。
そして速力に勝るミリシアル帝国陸軍の第18機甲師団隷下の一個機甲旅団が、右翼側を突破して回り込む手筈だった。
だがミリシアル機甲旅団が、未確認の敵新鋭戦車部隊と交戦に入った。それはわずか一時間前のことであったが、その後部隊は10分も待たずに壊滅してしまったのだ。
その後はこちらの戦列を穿ち続けるような、突破に次ぐ突破の連続であった。それはもう、鮮やかなまでの戦線浸透と裏取りであり、我々には対処の時間をまるで与えてくれない。洞窟内の部隊は、既にその半数が壊滅していた。
「中隊長、前線ラインが突破されています!このままではこちらにも来ますっ!」
「分かっている!」
第11装甲師団隷下のある戦車中隊は、この状況下でも動くに動けずにいた。なぜなら一部の車両が砂塵を吸い込んでエンジンが停止、その車両を野戦修理に当たらせていたからだ。
中隊長は背後で通信機を手に取っていた部下に戦況を聞き出す。
「通信、状況は?」
「はい。未確認の敵部隊とは、政権軍との前線ラインにて接触しました。僅かな間にこちらの防御線が突破され、形勢不利です」
「それは分かっている。他の味方部隊は?」
「右翼のミリシアル第43機甲旅団も、我々と同じ状況で苦戦を強いられています。反乱軍に関しては、部隊が散り散りになって包囲されている模様で……」
「ちくしょう……状況は良くないか。仕方ない、動ける者だけで前進しよう。少しでも多くを脱出させるのだ」
「了解です!」
中隊長がそう指示を下すと、全員が戦車に乗り込み始めた。
彼らの有する戦車は、日本に対抗すべく誕生した4号戦車"ルプス"。この戦車は彼らの中隊どころか、他の全ての師団がこの戦車に置き換えられている。
頼もしい高馬力エンジンと長砲身の75mm対戦車砲を備え、装甲は複合装甲と呼ばれる複数の素材を束ねた装甲板になっているという。
間違いなく攻撃、防御共に帝国最新鋭だ。
『こちら五号車、前方に敵戦車を視認!』
「何っ、もう来たのか?」
だが彼らが戦闘を開始しようと乗車したその時、通信機に悲鳴のような報告が上がった。見ると双眼鏡を使わなくてもわかる至近距離に、大量の土煙が見えた。
双眼鏡を照らしてみると、その戦車は楔形の砲塔が目立つ大型の戦車だった。まだ遠いのに相当大きく見える。重戦車に見えた。
そして、敵は一列に連なった単縦陣を組んでいる。その車列は一台の砲身がない大型の装甲車?を盾に進んでいる。
『一台がこっちに突進して来る!ものすごいスピードだ!』
「やむ得ないか……全車、その場で応戦!弾種徹甲!あのデカブツを撃ち抜け!」
中隊長は隠れる暇はないと判断し、その場での応戦を指示。各車両が先頭から迫ってくる大型装甲車に狙いを定めた。
「撃てっ!!」
一列に並んだルプスから、一斉に主砲の爆炎が噴き出し、12発の75mm砲弾が放たれる。 元が高角砲なだけあって、その初速は通常の戦車砲よりも高速だ。
その高初速で高貫通の砲弾が、突進して来る90式改造装甲車に向かってまっすぐ飛翔し、砲塔に対してほぼ全ての弾がダイレクトに命中した。
「やったか!?」
砲塔が激しく爆発したのを見て、砲手が期待を込めた。だが、90式改造装甲車は突進を止めることなく動き続けている。その様子を見て乗員は絶句した。
正面に貼り付けられた爆発反応装甲が砲弾を無力化し、明後日の方向へ弾いたのだ。例えその爆発反応装甲を貫通したとしても、その内側に張り巡らされた複合装甲は貫けない。
その事実を知らない彼らは、敵戦車が被弾に怯むことなく突っ込んできているように見え、恐怖を抱いた。
「ちゅ、中隊長……!」
「くそっ、怯むな!全車、撃ち続けろ!」
中隊長は怯む事なく、射撃の指示を続けた。各車が各々のタイミングで撃ちまくり、どうにかしてあの装甲車を撃破しようとするも、全く効いてない。
「撃て!撃ち続けるんだ!」
『車列が広がっています!新たに中隊規模の敵戦車を確認!』
その報告を受けてキューポラからその様子を見ると、装甲車を盾にしていた敵戦車の車列が一列に広がり、射撃体制をとっていた。
「あれが敵の本命か……全車、砲身付きの方を狙え!」
『了解、発射!!』
各車両が目標を砲身付きの戦車に狙いを定め、砲弾を撃ち込む。移動目標に対して撃ち込んだため何発かは外れたが、中隊は練度が高いためそのうちの半分は当たった。
しかし──
敵戦車はその砲弾を激しく弾くと、そのままこちらに砲身を向けてきた。
「ま、全く効いてない!?」
『敵戦車発砲!!』
その砲撃は、大砲というには重く、大きすぎた。
相手の砲撃は無慈悲に中隊の8号車を狙い、装甲を貫いた。相手の10式戦車が放ったのは多目的榴弾だったが、そんなのでもルプスの装甲を貫くのには十分すぎた。
完全に破壊された8号車。砲弾は車内を抉り取るように貫き、弾薬庫が大爆発を起こし、粉々になった。
『8号車大破!弾薬庫爆発!』
「行進間射撃だと!?」
中隊長は相手の砲撃精度の高さに驚く。相手は走りながらこちらに撃ち込んできただけでなく、正確に一撃で葬り去った。
その後も相手は次々と砲撃してくる。
『10号車大破!9号車も擱座!!』
「あれはまぐれじゃないのか……!?」
『4号車大破!脱出者なし!』
『こちら5号車!敵の主砲がこっちを向いている!くそっ、全速で後退しrドゴンッッッ!!』
中隊から次々と悲鳴が上がる。さらには混線した無線からは他の部隊からの悲鳴が上がっていた。
『大隊本部、大隊本部!こちら第2歩兵中隊!敵戦車の突撃を受けて部隊が散り散りになっている!中隊本部ですらハーフトラックを盾にして現位置を維持するのに精一杯だ!!』
『大隊本部より第2歩兵中隊、第1歩兵中隊から援護を回す!それまで何とか持ちこたえ………クソッこっちにも来やがっtザザッ………』
中隊の半分以上の戦車が破壊され、そこでようやく相手の戦術を知った。最初に装甲車を狙ったのが間違いだった。あれは囮だ。
「くそっ、奴ら"砲なし"を盾にしてやがる!これがニホン軍の機甲戦術か!」
「こんな戦術、狂ってますよ!!」
中隊長が怒りのあまりに車内を殴る。そんな中でも敵はさらに進軍してくる。先頭の装甲車がこちらに突っ込んできたのだ。
『装甲車が突っ込んでくるぞ!』
『アイツ、命が惜しくないのか!?』
「操縦手、右に避けろ!ぶつかるぞ!」
中隊長はその突進を避けるように命ずる。その場から右側に避けるが、間に合わなかった一両が相手のドーザーに接触し、その勢いのまま横転した。
「な、なんて突進力だ、まるで戦象じゃないか……!」
「中隊長!前にっ!」
部下が叫ぶ。
それを相手中隊長は、自分達の車両に向けて砲身を向けていた10式戦車を見た。
「こんちくしょう……!!」
その言葉を最後に、中隊長は迫り来る砲弾を見て、意識を手放した。
ミリシアル帝国陸軍
第18機甲師団隷下第43機甲旅団
「第9軽騎兵連隊、通信途絶!ダメです、全く対抗できません!」
「旅団長!各連隊が前線ラインの引き直しを提言しています!」
「くそっ、今の前線は何処なんだ!奴らは何処まで迫っているんだ!?」
ミリシアル帝国陸軍の陣地でも大混乱が起こっていた。敵の進軍が速すぎて、前線が今どこなのか誰も把握できていない。
なお、ミリシアルの陸軍は今までの伝統に則り、戦車部隊も騎兵部隊と呼称される。
そして新設された戦車部隊の場合は普通に戦車部隊と呼称され、名前だけで伝統がある部隊かそうでないかを判断できる面白い軍隊がミリシアル帝立陸軍だ。
だがそんなことはどうでもいいとばかりに、旅団司令部は紛糾する。
「旅団長、洞窟内の部隊はこのままでは壊滅します!」
「分かっている!だが、この状況で助けに行けると思っているのか!?」
「ですが、味方を見殺しにはできません!出口付近の第8帝立戦車連隊に、部隊救出の命令を!」
「そんな暇があるか!我々は現在地を維持するだけで精一杯なんだぞ!」
旅団長がそう言うのも無理はない。実際のところ、敵師団とは火力や突破力が違いすぎて勝負になってない。現在地を死守するだけでも限界が来ていた。
「後衛の第8帝立戦車連隊より連絡!敵機甲部隊が洞窟の出口に殺到!」
「なっ、速すぎる……!」
「くそっ、言わんこっちゃない!」
新たな報告に旅団長が毒づく。
「今すぐ地図のラインを引き直せ!出口付近に陣地を構築しろ!」
「急げ!奴らが出てくるぞ!」
旅団長は弾かれたようにそう言う。だが敵の先鋒はこの間にも凄まじい速度で迫っている。猶予はなかった。
「17ポーレ(異世界における"ポンド"に相当する単位)を持ってこい!!」
「陣地は掘らなくていい!砲はそのまま置いておけ!」
洞窟の出口では、旅団隷下の対戦車砲中隊が急いで陣地を整えていた。「17ポーレ砲」こと"76.2ミリ魔導砲"をトラックで持ってきて、少し溝を掘った地面に置いて固定した。
8門の"6ポーレ砲(57ミリ魔導砲)"と4門の"17ポーレ砲"、総計12門もの魔道砲が洞窟の出口から1000mの場所に設置される。普通なら万全の構えだ。
それと同時に、先んじて洞窟内に突入した戦車部隊の残存が出口から出てきた。車体後部を敵側に向けるのも構わず、全速力で後退している。
「機甲部隊が戻ってきた!」
「そんな……!10両も残ってないじゃないか!」
その様子を見て、対戦車中隊は絶句していた。第9軽騎兵連隊は突入時には52両の戦車と3両の装甲車が配備されていた筈であり、僅か2割程度の戦力しか脱出に成功していなかった。
ほぼ満身創痍のミスリル巡航戦車らは洞窟内の部隊を置いて逃げてきたようであり、その敗走具合が見て取れる。
恐らく共に突入した歩兵部隊は決死の抵抗を試みているか、或いはニホン軍の攻撃によって全滅してしまったのだろう。
そして兵士達が固唾を飲んで彼らを見守っている時、洞窟の奥が一瞬光ったように思えた。なにかが追い討ちをかけるように、そのミスリル巡航戦車に向け洞窟内から光が迸る。重砲もかくやというその轟きと共に、ミスリル巡航戦車は敵弾を被弾。
後ろに向けた砲塔の正面から、10式戦車の放った多目的榴弾が突き刺さり、装甲はメタルジェットで溶かされ榴弾が内部に破片を散らせる。
内部の乗員はズタズタとなり、ミスリル巡航戦車はコントロールを失って坂道を転がり落ちていく。
「っ……!」
その様子を見ていた対戦車中隊は衝撃を受けた。あまりに乱雑に、そして虚しくミスリル巡航戦車は爆散した。
あの戦車は、ミリシアル帝国陸軍が威信をかけて開発した新型戦車だ。装甲は妥協しているとはいえ、その威信が一撃で大破した。
ミリシアルの兵士たちは敵の強大さに絶句する。
「来るぞ!出てきた瞬間を狙え!」
洞窟の狭い入り口に向け、残存の戦車含む多数の砲門が向けられる。しばらくの静寂が流れ、兵士たちは緊張感に包まれる。
そして──
地響きのような揺れと共に、敵戦車の影が彼らにも見えた。
「出て来た!」
「撃てっ!!」
その戦車が飛び出すよりも前に、彼らは発砲した。距離にして1000m以上離れている。この距離でも、通常の戦車ならば17ポーレ砲は余裕で貫通できたはずだ。
だが、効いてない。
相手の先頭にいた車両──例の装甲車──は弾痕だらけでボロボロだったが、その砲撃を弾いて全速力でこちらに接近していた。強力な複合装甲どころか、中の乗員すら傷を与えるに至らなかった。
「まだピンピンしてるぞ!」
「次弾装填!」
750m、さらに敵は接近してくる。途中でその後ろから砲身付きの多数の戦車が迫って来ていた。
再び発砲。砲弾は全て装甲車に命中するが、まるで効いてる風には見えない。それどころか、足を止めずに接近してくる。
「ま、全く効いてないだと……!?」
「轢き潰されるぞ!避けろ!!」
対戦車砲部隊は絶望を悟り、指揮官が撤退を指示した。その途端、彼らは逃げ出すように陣地を捨てて敗走していく。恐怖で体が震える者もいた。
そんな彼らに向け、敵戦車含む複数の部隊が横陣に広がって射撃を開始した。120mmの戦車砲から40mm、35mmの機関砲、20mm、12.7mmのRWSの攻撃。まるで嵐のようだった。
「対戦車砲隊、壊滅!」
「敵戦車隊、未だ健在です!!」
「クソッタレ……!」
一方の旅団司令部では、対戦車砲部隊の敗走と壊滅の報を聞き、旅団長がテーブルに拳を叩きつけたところだった。
冷静だった将校達も、ここまでくると恐怖で顔が歪む。それでも彼らは指揮に努めようとする。
「旅団長、既に戦闘部隊の半数が崩壊しています!このままでは……」
「……仕方ない、撤退だ!現位置を放棄する!」
旅団長は最後にそう決断した。その言葉を聞き、旅団司令部は撤退の準備に入る。その途端、将校達は弾かれたように行動を開始した。
「撤退!撤退だ!」
「後退のチャンスは今しかない、急げ!」
「警報!敵戦車の先鋒が──」
「うわっ!?」
外を見張っていた伝令兵が司令部に駆け込んだが、時すでに遅かった。旅団司令部がある半地下の塹壕陣地に、ナニカが突っ込んできた。
その衝撃で、旅団長含む将校達はその場に倒れ、テントも潰れてしまった。皆が咳き込む中、誰かが目を開けてソレを見た。
それは砲身のない戦車だった。ゴテゴテした追加装甲が鱗のように張り巡らされ、その巨大さも相まって、化け物のような威圧感があった。
「な、なんだコイツは……?」
「砲身がないだと!?」
「まずい、逃げろ!」
旅団長が危険を察知してそう言った途端、90式装甲車のRWSが彼らに向けられる。
「む、無人の機銃だとっ!?」
それが彼らの最後の言葉となった。
RWSが遠隔操作で弾丸を吹き荒れる。12.7mmのブローニング重機関銃が速射連射乱射で旅団司令部の人員の命を刈り取り、肉体を破砕し、血飛沫に変えた。
最後の将校が恐怖で顔が歪む。中の自衛官はそんな彼らを容赦なく、最後まで一掃した。
撃ち終わると、銃座からの煙だけが旅団司令部に籠った。
ちなみにですが、今回の話は私が描いたこちらのイラストのイメージでやってます
https://www.pixiv.net/artworks/104163420
『10式戦車』
日本国陸上自衛隊が保有する主力戦車、新世界大戦勃発時には900両以上が生産されていた。
10式戦車は、自衛隊機甲部隊の中での立ち位置が90式戦車とは違うと考えられており、至近距離での戦闘は90式戦車が担当し、10式戦車はデータリンクにより90式戦車の攻撃を間接的に援護するのが基本ドクトリンとなっている。
そのため改良型などでは主砲の長砲身化とRWSの装備などを行い、機甲部隊における援護能力を向上している。
生産は八菱重工業が担当しており、転移前から保有していた戦車工場をフル稼働させて納品を間に合わせているが、それでも工場一つではかなりの限界があるようだった。
・基本スペック
乗員:3名
重量:44t
速度:時速70km
装甲:複合装甲+モジュール装甲
武装:
44口径120mm滑空砲×1
車載20mm RWS×1
同軸74式7.62mm機関銃×1
装備:
C4Iデータリンク
・型式
10式戦車A型
10式戦車の初期生産型、そのほとんどは本土に残されている。近代化改修待ちの車両も多く、A型はいずれ廃止される。
10式戦車B型
10式戦車の試験型。主砲の長砲身化、RWSの装備などに伴う重量変化やFCSの改良などの試験を行った後、本土の陸上自衛隊博物館に保管されている。
10式戦車C型
10式戦車の改修型であり、最も多く生産されている型式。
先述の間接援護を達成するべく、主砲を55口径120mm滑空砲にし威力と射程を増強。上部には20mm RWSを装備し、対人火力でも高い能力を付与されている。
10式戦車D型
10式戦車の最新型。
C型から引き継いだ強力な武装に加え、砲塔に日本製のアクティブ防御システムを装備。これは前世界のイスラエル製API防御システムなどを参考に作られ、連合国の対戦車兵器をほぼ無力化することができた。
センサー類の改良・AIコンピュータ搭載・VRヘッドセットの導入なども行い、搭乗員の負担を軽減。国内の評論家からは、これが10式シリーズの完成系とも言われている。
第2、第7師団に優先配備されており、すでに157両が受領を完了している。