ワールドトリガーの世界に転生してその特典に仮面ライダーシリーズの怪人になる能力を持って後悔する話。   作:怪物怪人怪獣さん

10 / 32
今は溜め時………


第10話神様。今夜は凄く疲れました。報われないこの仕事をいつまで続ければ良いですか?

人間蒸発……昭和の一時に聞こえたこの言葉……

令和の現代でも、毎年何千万人も行方不明になる

俺が転生してもう19年の歳月が流れた……

神の命令とはいえ、数を数えるのも忘れたくらい

転生者達を結構……狩った。

三門市の総人口は約28万人。

その28万人の中、ボーダーのスポンサーや

その関係者を含め全支部と本部の人数を合わせ

ボーダーの人間は28万人の1割にも満たない。

この1割が俺、甲斐馬隼人が守る優先対象だ。

勿論、残りの三門市の市民も守る対象だが、

その中に今も我が物顔で混じっているのが、

獲物の転生者達だ。只の馬鹿も厄介だが、頭が

回る馬鹿の搦め手を警戒しないと面倒だからな。

教授「……であるからにして。」

(おっと、今は講義に集中しないと。)

俺は今、自分が通う大学の教授の講義を受けて

いる。

講義の内容をしっかりと理解しないといけない

 

……講義が終わり、俺は教科書と筆記用具を

持って移動する。

普通の時間は希少だ。甲斐馬隼人の時間は特に

……モンスターと皆に呼ばれている俺だが、

最初は名前を考えていた。でも幾つ物怪人に

替わる俺にオリジナルの名前は無く、

良くて『ネームレスマン』ぐらいしか思い浮かば

なかった……

大学は色々な人が通う。勉学に励む人。就職の際

の学歴に箔をつける為に通う人。友達と思い出

作りって言う人。コネで裏口入学した連中。

本当に色々な人だ。

 

辺りを見れば皆も俺も普通の人なのに、俺は、

怪人の特典を持った転生者で、周りと色々と

違う……その目に見えない境界線がやけに

はっきりしていた。

藤丸「おっ。」

「あっ、すいません。」

色々考えたら、誰かとぶつかったようだ。

互いに教科書やら資料やら落として一緒に拾う

前方不注意は良くないな。

落とした人のノートに記載された名前を見て、

『藤丸のの』

自然と相手の顔を見る。

「あっ(゜ロ゜;?」

藤丸「おめぇ、何でここに……?」

互いに顔を見合わせて

「……通ってるんです。ここに……」

また遭遇するとは思わなかった……色々と、

確率がある。

ワールドトリガーで大学生の隊員やオペレーター

は割といる。問題は高校生や中学生とメンバーと

違い、学校名が明確な高校生達と違い大学生は、

大学生括りで、○○○大学とか書いてない事だ。

 

自分が何気なく通っている大学にボーダーの

登場人物が通っているなんて想定はしても確率

があるだろ!?どんな天文学的な確率だ!?

 

たまにある映画のCMに力入れ過ぎて本編見たら

只のクソ映画だったか!?

 

俺は手早く彼女が落とした物を先に拾い彼女の

手に渡して、自分の拾い。

「では……」

神風の如く迅速にこの場を緊急脱出する!!

藤丸「おいっ!?待てよ……」

緊急脱出に不具合発生!!通り過ぎようと

したら肩を掴まれた。

藤丸「……ちょっとツラ貸せよ。」

「はい……」

笑顔で、彼女はそれはそれは姉御の笑顔で

だが肩に置いた手の力は凄まじく。

俺を緊急脱出させないようにした……

女性には弱い男。甲斐馬隼人。

だが逃げるのが俺だ!?

藤丸「なぁ、お前私と同じ大学生だったのか?

学科は!?」

俺が逃走すると分かっていたのか、クラッチン

グスタートして追いかける藤丸さん。

そして……あっさり追い付かれる俺。

「ちょっ近い近い!?」

だが壁側に直ぐに追い込まれ壁ドンさせられる

(やだ!?ボーダーの男よりずっと漢前……)

変なトキメキを覚えるが、顔近っ!?良い香り

がする!?ってヤベー!?追い込まれた!?

藤丸「取り敢えず一緒にメシ食うぞ。」

「あっはい……」

もう一度言う。女性に弱い男。甲斐馬隼人。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

大学の食堂。

藤丸「まさかおめぇもここに通っているなんてな

。意外だぜ。」

向かい合う二人。

テーブルにはカレーうどんがあり、

互いに食事をしている。

「俺もですよ。」

驚きの表情を心の中にしてポーカーフェイスを

何とか維持する隼人。

突っ込みタイ事が多過ぎる。あのボーダーの

登場人物と一緒に飯食ってるよ!?俺、

サインして下さいって声にだして言いたいよ。

一緒に写真撮って下さいって言いたいよ!?

ってか俺キモ!?何ボーダーの登場人物前に

テンション爆上がりしているんだよ!?

落ち着け俺!?落ち着きを取り戻せ!?愛は

良いから!?そこら辺にしまって!?あっ、

愛がどっか行った!?取り敢えず落ち着け!?

前の世界の父さんを思い出せ

!?クールになれ??モチツケ!?

藤丸「私の顔に何かついているか?」

藤丸の顔を凝視していたからか彼女は怪訝な

顔つきをする。

「相変わらず姉御ですね。」

藤丸「よし!?その喧嘩買ってやるや!?」

藤丸は素早く箸を動かして、

「あ~~俺の油揚げが!?」

甲斐馬のカレーうどんの油揚げを掠め取る。

藤丸「早い者勝ちだよ!?頂くぜ!?」

う~んジャイアン感があるな~~

「……味わって下さいよ。藤丸さん。」

何か……信じられないな。俺の目の前で、

テレビや漫画で見た人がいる事実に……

勿論、これまで沢山のボーダーを助けた事は

ある。

でも基本はモンスターの怪人としての姿でだ

。普段の俺の姿なんて目の前のこの人くらい

しか見せていない。

藤丸「ここの油揚げはやっぱり旨い。」

見てて幸せになる笑顔だ。

 

「カレーが頬っぺたについていますよ。」

(やっぱり笑顔が素敵ですね、姉御。)

心の声は口には出さず、俺は別の言葉を言う

藤丸「あっ、ホントだ。」

こんな風にボーダーの皆が、転生者の毒牙に

掛からないように狩り人は奴らを狩るんだ。

この笑顔を守りたいから、皆愛し合いながら

この世界を生きているんだから、

 

転生者はやはりこの世界に取って不要の存在

なのか……異物は所詮異物でしかない。

俺もその一人だ。

藤丸「さて……」

カレーうどんを食べ終えた彼女は、俺と向き

合い

藤丸「色々とあんたに聞きたい事がある。」

真剣な雰囲気になる両者、

うどんの麺が延びる前に食べ終えよう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

自分で言うのも何だが、目の前のコイツは謎だ?

私を見る視線は普通と下心がある奴のが基本だ。

コイツに下心や邪な物は感じない……女性として

は好感を持てる紳士って奴だ。

だったら普通か?…………それでもない……

コイツが私を見る目は、まるで嵐山隊を見て応援

するファンのソレに近い。

緊張しているのか少しソワソワしているのも

有名人にあった人特有の奴だ……謎過ぎる。

自分達、弓場隊はテレビの広報担当じゃない。

だから私がボーダーの人間とは知らない筈なのに

…………それに雰囲気がやっぱり何か周りとは

違う。

邪な奴とかじゃない。例えるなら、

藤丸「取り敢えず、前は助けてくれて本当に

ありがとう。」

前回、相手のペースに乗せられてお礼の言葉

を伝え忘れたからな。

「市民としての当然の義務です。」

藤丸「??でも相手は二人がかりで、良く立ち

回りできたな。しかも凶器を持ってたし、」

会話して分かる事は、甲斐馬はクールぶってる

けど熱い奴って事だ。

「……ああいう連中に後れは取らないくらいに

身体は鍛えてますから……」

藤丸「……何かスポーツでも、」

「いえ、喧嘩慣れしているだけですよ。」

藤丸(何かある。ソレが何かわからないが、)

女の勘がコイツの抱える秘密に反応している

藤丸「ところで……」

「はい?」

藤丸「お前の好きな物は何だ?私は炭酸飲料

とチョコレートに漫画。」

相手の事を知るならまず自分の事を話す事、

フレンドリーに自分の好きな物を話して

会話を弾ませる。友達作りの基本だ。

「……すいません。」

藤丸「どうした?」

「コレと言った物、好きな物がないんです。」

そう笑う隼人の顔はやけに寂しい印象を見せて

私は失言した事実に気付く。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

転生して転生者を狩る人生……ボーダー本部や

玉狛支部に入隊したい願望も、ボーダーの登場

人物と会話を楽しく弾ませたいささやかな願い

すらも、許されない。

 

だから今日貴方とこうして会話出来るだけで、

俺は幸せなんだって満足しないと……

これ以上は、転生者の下衆野郎と変わらなく

なる。

中学生の時、転生者と戦い同級生を巻き込み

死なせた事がある。

数少ない友人で、俺と同じ特撮オタクだった。

モンスターの変身する仮面ライダーの怪人の

デザインに強い興味を持ち、

彼を驚かせる為、モモタロスの姿で彼と対話を

しようとした…………

そんな時、転生者が俺の通う中学に現れて、

俺は友達を屋上に待たせて、迎撃に向かう。

転生者は大した実力はなく、問題ないかと

思ったが、襲撃の被害と校舎が老朽化していた為

屋上が崩壊。屋上にいた友人は4階の高さから

落ちてこの世を去った……

 

「ご馳走です。」

カレーうどんを食べ終えてその容器を片付ける

「今日は本当に楽しかったです。」

一生分の幸運を使ったと錯覚する。

「では、さようなら。」

狩り人は狩りの獲物と狩り場の事だけ考えて

おけばいい。

余計な事を考えておけば、また失う事になる

ぞ。大切な者を……

戒めろ!?

お前は、普通の人達とは違う……

お前は……彼らが恐れるモンスターなのだから

……

俺は藤丸さんの元を離れる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

離れて行った甲斐馬の後ろ姿を見て、

藤丸「……」

何か……距離感を見誤ったな。

アイツもアイツで色々抱えているのに、

普段の自分のペースでグイグイ行き過ぎたな。

藤丸「……テンション上がっていたのか?

私が!?」

自分の中でアイツとこの大学で再会した事に

どれだけ喜んでいたんだよ。恥ずかしいわ。

 

藤丸「…今度…謝らないとな……」

相手のペースを警戒して自分ペースでグイグイ

はヘタすれば押し付けだ。

藤丸「……何で私、緊張していたんだろう。

単に助けてくれたお礼の言葉を伝えて、

アイツの事を知りたかっただけなのに……」

 

彼女も彼女で緊張していた事実を隼人は知らない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〔推奨OP仮面ライダーアマゾンズシーズン1〕

 

夜の三門市にて、

銀の仮面ライダーと黄色と黒の怪人が宙を跳ぶ

仮面ライダーアマゾンシグマの特典を持つ転生者

とトラアマゾンに姿を変えたモンスターが、

血を流す!?

ビルとビルを移動して真っ赤な赤い血がシャワー

となり三門市のあちこちに降り注ぐ!?

「糞!?」

防御無視の攻撃で止まらない!?

この転生者には痛覚を遮断しているから、

生はんかの攻撃じゃ、こっちがヤバい!!

遠距離戦闘をする前に距離を詰められる!?

鋭い爪が胸を斬り裂き血が噴水のように飛ぶ

!!

「アマゾンには!?アマゾンだ!?」

尋常じゃない空腹が凄まじい空腹が発生する!?

アマゾン素体に姿を変えたモンスターは、

シグマの転生者と文字通り死闘を展開する!?

吹き出す赤い鮮血!?舞う血飛沫!?

ビルから暗い路地裏に両者は落ちて、

鋭い爪が互いの皮膚と肉を斬る!?

倒れ込み近くの鏡がバラバラに砕ける!?

「クタバレ!!」

そこに何時もの冷静な自分はいない。

致命傷を避けて相手の懐に入る!?

両腕の刺をシグマの両目に突き刺し眼球を斬り

裂く!?

転生者「!!!!!!」

既に理性が壊れた転生者に対して、

「選んだ特典を誤ったな!?」

転生者の頭蓋骨を縦に引き裂き!?

首無し死体となり肉体が崩壊する。

モンスターは、ショッカーの幹部怪人のイカ

デビルに姿を変えて地面に倒れ込む…………

「…………いつまで奴らを狩れば良い……」

地面に落ちたアマゾンシグマのベルトを睨み

付けて、

甲斐馬は終わりの無い戦いに疲労を感じるの

だ。

ふと元の姿に戻り、神様に連絡して特典を始め

とした回収連絡を終えた時、

 

割れた鏡に映る自分は……別人のように

嗤っていた。

「!!!!!!」

鏡を無視して隼人は歩き出す……

 

もう一人の狩り人が鏡から現れる。




転生特典をもらって後悔する話って本当に
難しい……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。