魔物使いで奴隷使い   作:しおだれはみさーもん

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お久しぶりです
第三章突入です!


第三章
第三章第一話【エリゼ=パール】


「こちら粗茶です…」

 

「わあ、ありがとうございます!」

 

赤毛の少女アルトリアが、金髪の少女エリゼ=パールにぎこちない動きでお茶を差し出した。

 

その目は泳いでおり、どこか緊張しているようだ。

 

対するエリゼはというと……。

 

(うーん、どうしましょう? こういう時ってどんな顔すればいいんでしょうか?)

 

アルトリアの緊張をよそに、彼女は優雅な仕草で紅茶を口に運びながら苦笑いしていた。

 

(ちょっ、ちょっとアレン!これはどういう事よ!どう見てもこの方は王女様じゃないのよ!)

 

(そんな事を言われても……色々あったんだよ!)

(だから何があったのか教えなさいよ!?)

 

(あ、ああ。実はかくかくしかじか……)

 

時はエリゼが自己紹介を時に遡る。

 

*

 

「ちょっと待って下さい!え、エリゼ=パールって王女様じゃないですか!本当なのですか師匠!」

 

「ああ、エリゼ様ご本人だ」

 

緑髪の女性ミラはさらりとそう答える。

 

「いやいや!ああ。じゃないですよ!なんでそんな平然としてるんですか!下手したら不敬罪で首が飛びますよ!メダリアお前達も頭を下げるんだ!不敬罪で死にたくないぃぃぃぃ!!」

 

地面に頭を擦り付けているアレンにエリゼは困った様に笑い、メダリア達の顔は引きつっている。

 

「大丈夫ですよアレンさん。私はお忍びでここに来ているのですから。それに私の事はエリゼとお呼びください」

 

「そういう問題じゃありません!仮にも王族の方を呼び捨てなんて出来ませんよ!」

 

「ふむ、ではエリゼ姫と呼ぶといい」

 

「姫って呼んでいい訳あるかぁ!!」

 

「あの……もう普通に接してもらって結構ですよ?」

 

「いや、しかしですね……」

 

「私が良いと言っているのですから気にしないで下さい。それと口調も普段通りで構いませんよ。それともご命令しましょうか?」

 

「分かりました……分かったよエリゼさ……エリゼ」

 

「はい、それでよろしいです♪」

 

エリゼはとても満足そうな笑顔を浮かべた。

 

「ところでなんで師匠はエリゼ様と」

 

「エリゼ様?」

 

「……エリゼと一緒にいたんですか?」

 

「それは私がミラさんにお願いしたんです。ちょっとした家出みたいなものです」

 

「なるほど、そういう事だったか。…………はい?」

 

ん?今とんでもない言葉を聞いた気がする。

 

「家出って言いませんでした?」

 

「はい。言いましたけど?」

 

「えっと、その家出というのはどういう意味ですか?」

 

「そのままの意味ですよ。少しの間だけ王国から離れようと思いまして」

 

「なっ!?」

 

アレンは絶句して固まる。

 

そして数秒後、再起動すると慌てて叫んだ。

 

「なっ、何を考えてるんだ!そんな事許されるはずがないでしょ!今頃王国は大騒ぎに……」

 

「いえ、大丈夫です。私の魔法で私そっくりの子を置いてきましたから♪」

 

「なっ!?」

 

再びアレンは絶句する。

 

そしてまた数秒後に再起動すると叫ぶ。

 

「な、なな、何やってんのおおおぉ!?」

 

「だってこのままだと一生幽閉生活ですよ?そんなの嫌じゃないですか。折角こうして自由に旅が出来るようになったというのに……」

 

エリゼは、悲しげに目を伏せる。

 

「そ、それはそうかもしれないけれど……。でも、どうして俺達に同行を頼んだんだ?」

 

「ミラさんが信頼出来る方達だと言っていましたので。私一人だけだと心細いですし……」

 

「うぐぅ!」

 

(くっ!確かにこの人は放っておけないオーラが出ていて危なっかしい!

 

「あー、そういえばまだ自分たちの事説明してなかったな」

 

アレン達は自分達の事について話し合った。

 

「……つまり、アレンさんは才能を持っておらず、メダリアさん、ネーヴェさん、スノさんが奴隷という事ですか」

 

「ああ、そうだ」

 

「そう……ですか」

 

エリゼが複雑そうな表情をする。

 

「どうかしたか?」

 

「いえ……メダリアさん、ネーヴェさん、スノさん」

 

エリゼが三人の所へ歩いていく。

 

「「「は、はい!」」」

 

メダリア達が緊張した面持ちで返事をした。

 

王族と奴隷、立場が違いすぎるゆえに会話するなど、本来なら有り得ない事なのだ。

 

どんな言葉が飛んでくるのかビクビクしていると、エリゼから出てきたのは予想外な言葉だった。

 

「お三方は今まで辛い思いをされてきたと思います。本当に申し訳ありませんでした」

 

「「「へっ?」」」

 

エリゼが深々と頭を下げたその姿に三人は、キョトンとしている。

 

「今回の件は、全て私が父と母の非人道的政策を止められなかった結果招いた事。許してほしいとは言いません。ただ謝らせてください。本当にごめんなさい」

 

エリゼは再び頭を深々と下げる。

 

「「「……」」」

 

三人とも呆然としていた。

 

それはそうだ。

 

王族であるエリゼが頭を下げるなど、想像すらしていなかったからだ。

 

「あの……顔をお上げ下さいエリゼ様」

 

最初に我に返ったのはメダリアだった。

 

「こんな事でエリゼ様に頭を下げられては困ります」

 

「しかし……!」

 

「私達にはエリゼ様のお気持ちだけで十分です。それに確かに私たちは酷い目にあってきました。でも、そのかわりご主人様と出会えたんです。だから私は幸せです。もう過去の事は気にしていません」

 

「メダリアさん……」

 

「ええ、そうね。今の生活も悪くないし」

 

「ネーヴェさん……」

 

「そーだね〜スーちゃんもお姉ちゃんにメーちゃんにお兄さんと出会えたからね〜」

 

「スノさん……」

 

エリゼは、感動したように目を潤ませている。

 

「ありがとうございます。皆さんの優しさに感謝します。ですが、私も罪滅ぼしをさせて欲しいのです。何か私に出来ることはありませんか?」

 

エリゼの言葉に三人は考え込む。

 

「それじゃあ……私たちとお友達になってくれませんか?」

 

メダリア達三人娘の提案にエリゼは目を丸くする。

 

「そんなことでいいのですか?」

 

「そんなことじゃありませんよ!私達にとってはとても大事な事です」

 

「そう……ですね。分かりました。これからは王女としてではなく、お友達としてよろしくお願いいたしますね?メダリアちゃん、ネーヴェちゃん、スノちゃん」

 

エリゼは花のような笑顔を浮かべて手を差し出した。

 

「うんよろしく!エリゼちゃん」

 

「ふふっよろしくエリゼ!」

 

「よろしく〜エーちゃん♪」

 

三人とも嬉しそうに手を取り合う。

 

そして、その様子をアレンとミラは微笑ましそうに見つめていた。

 

*

 

「なるほど、そういう事があったのね」

 

アレンの説明を聞き終えたアルトリアは、納得した様子だった。

 

「そういうわけで俺たちと一緒に来ることになったんだ」

 

「そういう事ならば仕方ないわ。でもまさかエリゼ様が王国から出るなんて……」

 

「俺も驚いた。まあ、エリゼが自分で決めた事だし、本人が良いならそれで良いんじゃないか?」

 

「それもそうね。ところで……」

 

アルトリアの視線がエリゼに向けられる。

 

「エリゼ様はこれからどうするんですか?住む場所とか」

 

「そういえば考えていませんでしたね……どうしましょう」

 

エリゼは顎に指を当てながら考える。

 

「ご主人様ご主人様!私たちと一緒に住むのはダメなんですか?」

 

メダリアが名案だと言わんばかりに声を上げる。

 

「それは……」

 

「うーん……」

 

「ふむ……」

 

「ん〜?」

 

「え?なっ!?」

 

全員の視線が一斉に自分に集中している事に気づいたエリゼは困惑の声を上げた。

 

「な、何ですか!?一体?」

 

「エリゼさえ良ければ一緒に住まないか?」

 

それに、このままエリゼを放っておくとまた厄介な事に巻き込まれそうな気がする。

 

それだけは絶対にまずい!

 

アレンの言葉にエリゼは戸惑う。

 

「えっ!?で、でも流石にそこまで迷惑をかける訳には……」

 

(でもアレンさんたちと一緒に住んだら楽しそうかも……)

 

「それに、エリゼは行く当てがないだろ?」

 

「そ、そうですけど……」

 

「別に遠慮する事はないさ。アル姉もそれでいい?」

 

アレンがチラッとアルトリアを見る。

 

「全くしょうがないわね……」

 

「ということだ。エリゼ、どうかな?」

 

「……はい。是非お願い致します!」

 

エリゼは頬を染めながらも嬉しそうに笑う。

 

「そうと決まればスノちゃんとエリゼ様の歓迎会をするわよ!」

 

アルトリアが気合いの入った声で宣言した。

 

「「「「おおー!」」」」

 

アレン達が拳を突き上げて叫ぶ。

 

「エリゼちゃんも食べたいものがあったら言ってね!」

 

「ええ、ありがとうございます」

 

こうして、楽しい楽しい夜を過ごすのであった。

 




もっとモチベ降ってこないかなぁ
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