魔物使いで奴隷使い   作:しおだれはみさーもん

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第二話【曇り空】

翌日、エリゼがギルドへ行ってみたいとの事だったので、アレン達は冒険者ギルドへとやって来た。

 

「へぇーここが冒険者の方々が集う場所ですか」

 

「ああ。依頼を受ける時はここに来るんだ」

 

「なるほど……」

 

エリゼは初めて見る光景に興味津々といった感じだった。

 

ちなみに、エリゼは自分の正体を隠すために魔法で髪の色を茶色に変え、服装もアルトリアのお下がりの服に着替えている。

 

「じゃあ行こうか」

 

「はい!」

 

エリゼは元気よく返事をした。

 

「あっ!ご主人様!あそこに依頼書がありましたよ!」

 

メダリアが掲示板の前で騒いでいる。

 

メダリアは掲示板の前に立つと、目を輝かせて張り出されている紙を見つめた。

 

「ふふっ、メーちゃんはしゃいじゃって可愛い〜」

 

「そうね」

 

ネーヴェとスノもメダリアの様子を見守りながら微笑んでいる。

 

「ご主人様ご主人様!これなんかどうでしょう?」

 

メダリアが一枚の依頼書を指差す。

 

「どれどれ?『最近森にオークの群れが現れた。至急討伐されたし』か……確かに放っとくわけにもいかないし受けとくか」

 

「はい。頑張ります!」

 

メダリアはやる気満々といった様子だ。

 

「お前たちもこれでいいか?」

 

アレンが後ろを振り返る。

 

「私は構わないわよ」

 

「私もいいですよ」

 

「スーちゃんも〜♪」

 

「よし、じゃあこれにするか。受付をしてくるからここで待っていてくれ」

 

「「「「はーい」」」」

 

四人とも素直に返事をして待つことにした。

 

「すみません。この依頼を受けたいのですが」

 

「はい、かしこまりました。では、手続きを行いますのでこちらに必要事項をお書きください」

 

「わかりました」

 

アレンは書類を受け取ると記入を始めた。

 

「今の時期のオークは繁殖期を迎えているため気性が荒くなっているので十分お気をつけ下さい」

 

「分かりました。それでは」

 

アレンは書類を書き終えると、受付嬢に渡した。

 

「はい、承りました。ご武運を」

 

「ありがとうございます」

 

アレンはお礼を言うと四人のところに戻ろうとした、その時だった。

 

「いやっ!やめてください!」

 

エリゼの悲鳴が聞こえる。

 

「なんだ!?」

 

アレンは慌てて声のした方向に向かった。

 

すると、そこにはエリゼの腕を掴む男の姿があった。

 

「離して!」

 

エリゼは必死に抵抗するが、男は構わずエリゼを引っ張る。

 

その男の姿はアレンと犬猿の仲であるコール=フレイザーだった。

 

「おい!何をしているんだ?」

 

「あん?なんだアレンか。落ちこぼれがこの俺に何の用だ?俺はこの女が気に入ったんだよ。だから俺の女にしてやるんだ」

 

「ふざけるな!彼女は大切な俺達の仲間だ!手を出すな!」

 

「うるせえなぁ〜。大体テメェみたいな落ちこぼれの奴が仲間とか笑わせるぜ。そんなんで大切な仲間とやらを守れるのか?」

 

「なっ!?」

 

アレンは言葉に詰まる。

 

「真面目な話お前は自分でも分かっているんだろう?お前は仲間の足を引っ張っているとな。そんなお前が一緒にいたところで何も変わらないだろうが」

 

「やめてください!私は──」

 

エリゼが止めようとするがアレンがそれを静止させる。

 

「アレンさん……」

 

「…………」

 

「黙っちまったな。図星だったか?」

 

「そんなんだから“ミカを守れなかった”んだろうが。“お前がミカを殺した”ようなもんじゃねえか!」

 

「……ッ!!」

 

アレンは何も言い返せなかった。

 

「いい加減にしなさいよ!」

 

「そうだよ!エリゼちゃんを無理やり連れて行こうなんて許さないよ!」

 

「スーちゃんも怒ったよ!」

 

ネーヴェとメダリアとスノが抗議の声を上げる。

 

「ハッ!どうせそうやっていつも奴隷共に守られてきたんだろう?アレン」

 

「……」

 

確かにそうだ。

 

アレンは今までの事を思い出す。

 

メダリアと戦ったガドラド戦も、ネーヴェが新たに加わったダークセンチピード戦も、風人竜と化したスノ戦も全てメダリア達に助けてもらったのだ。

 

自分はただ彼女たちに守られていただけだった。

 

アレン自身もそれは分かっていた。

 

自分は無力だと。

 

「ご主人様……」

 

「アレン……」

 

「お兄さん……」

 

メダリア達が心配そうな顔でアレンを見る。

 

「はぁ……興醒めだ。もういい。この女返してやるよ。せいぜい慰められてな」

 

「あっ……」

 

エリゼは掴まれていた腕を振り解かれてその場に尻餅をつく。

 

「じゃあな」

 

コールはそれだけ言うと去って行った。

 

「大丈夫かエリゼ?」

 

「はい……でも私の事よりもアレンさんの方が……」

 

エリゼは俯いて答える。

 

「いや、俺は平気だよ。あいつの言ってる事も間違っていないしな」

 

「ですけど……!私が自分の正体を明かせば!」

 

「エリゼ、君が気にする必要はないさ。これは俺の問題なんだから」

 

「それに奴隷共だってさ。エリゼの魔法は完璧だな。エリゼの正体を知ったらあいつ腰を抜かすだろうな」

 

「アレンさん……」

 

「それよりも、そろそろ行こうか」

 

「は、はい」

 

エリゼは何かを言いたげだったが、結局口を閉じた。

 

「あのクソ野郎……ぶっ殺してやりたいわね」

 

ネーヴェが怒りを抑えながら呟く。

 

「スーちゃんもムカつく〜」

 

スノも同じ気持ちのようだ。

 

「まぁまぁ落ち着いて。ネーヴェちゃん、スノちゃん」

 

メダリアが二人を宥める。

 

「むぅ……分かっているわよ。だけどあんな奴が勇者と思うと腹が立つわね」

 

「全くだね〜」

 

ネーヴェとスノは、コールに対して相当ご立腹のようだった。

 

「それにメダリア。貴女も落ち着きなさい。剣に手をかけているじゃない」

 

「え?……あっ」

 

ネーヴェに指摘されてメダリアはようやく自分が武器に手をかけてしまっている事に気づいた。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「別に謝らなくてもいいのよ。私だって同じ気持ちだし」

 

「スーちゃんも〜」

 

「それにしても、ミカっていう人の事初めて聞いたわね。メダリアは知ってる?」

 

「ううん。私も初めて聞いたよ」

 

「そうよね。一体どんな人だったのかしら?」

 

「分からないけど、きっと凄い優しい人だと思う」

 

「おーい!何話してるんだ?三人共置いてくぞー!」

 

アレンが遠くから呼びかける。

 

「はーい!今行きます」

 

「分かったわ」

 

「今行くよ〜」

 

三人は返事をしてアレンの元に向かう。

 

(ご主人様本当に大丈夫かな……)

 

メダリアは、近付くアレンの後ろ姿を見ながら不安を募らせるのだった。

 




最後まで読んでくれてありがとうございます!
久しぶりに登場したコール君。変装したエリゼ様に気付かなくて草
さて、アレンの過去ミカという人物についてはEpisode1で書いていますがこれからアレンはどうなっていくのでしょうか。
是非いいねとブックマークをどうか……!!!
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