暑さにやられてグッタリしていた結果、今になってしまいました(泣)
先々週の活動報告で土曜日とかほざいてたのに、気づけば一週間以上経っててビビりました。
大変申し訳ありませんでした。
今後はまた投稿ペースを復活させていく予定です。
今回でようやくZECTのメンツ全員登場させられた・・・先が思いやられます。
ワームを一掃した天道と合流した加賀美は職員室にいた。
現在、雄英高校の教員達はワーム襲撃の事後処理に追われて東奔西走している。
今回の件について折り入った話をする為、両者は職員室で待機するように言われていたのだ。
「全く、お前の行動力には恐れ入るよ天道・・・」
「何てことは無い、俺にかかればこの程度朝飯前だ。ただ、生徒の一人が重症を負ってしまったというのが気にかかる。もう少し早く勘づいていればな・・・。」
窓から差す明かりが雲に隠れたのか、辺りが少し暗くなった。
自信過剰ながら、己の不覚を自覚することができて素直に頭を下げることも知っている。
加賀美は「そんな性格が憎めねぇんだよな」と笑った。
「ハハハ、流石だな。傲慢なんだか謙虚なんだか、変なところで優しいよなぁお前・・・なあ天道、ところで質問なんだけどさ・・・」
「ん?構わない、言ってみろ。」
「じゃあ遠慮無く言わせてもらうけどな、、、なんで俺だけ縛られて放置されてんの?」
その質問が両者の友情で温まった良い雰囲気を粉砕した。
天道は当たり前のように来客用のソファーに腰掛けて緑茶を飲んでいるのだが、一方の加賀美はというと鞭やら捕縛布やらで過剰なほどグルグル巻にされて部屋の隅に捨てられている。
「安心しろ、俺も最初は縛られた。お前のような凡人で無い俺は簡単に抜け出せたという差を除けば、今のお前はここに来てすぐの俺と同じ状況にある。」
「人間じゃないお前と同じにすんな!どうあがいても解けねぇぞコレ、あ〜クソ!また絡まってやがる。ここをこうして、ああして、ッダー!背中つったぁ!!」
無理に後手で作業を続けたことが祟ったらしく、加賀美は背中に走った激痛に悲鳴を上げた。
「椅子に縛られているのなら、腕と椅子との隙間を上手く使って手首を返せば抜けられるが、床に転がされているとなると少々めんどくさいな。まず手を自由にするには手首の関節を軽く外してそのまま手の甲を・・・」
「落ち着いて説明してんなぁ!背中シヌ、シヌゥ!!ガタックゼクター助けろォォ!!」
その後ガタックゼクターが窓を突き破り助けに来たのだが、主人に似て不器用な彼は全く解けず結果として捕縛具をゼクターホーンでぶった切り加賀美を救出した。
その間、加賀美は「待って!俺もちょっとっ斬れてる!斬れてるからぁ!!」と、時速990kmの斬撃に悲鳴を上げ続けており、天道に鼻で笑われたそうな。
「すまない、待たせたなっと・・・お前達、何してたんだ?」
一連の後始末を終え入室した教師達が見たのは、背中がありえない角度にひん曲がり服があちこち破れている加賀美と落ち着き払ってソファーに身を委ねる天道の姿だった。
両者の背後にある窓は木っ端微塵に砕け散っていて、冷たい風が吹き込んでいる。
「ようやく来たな。さて、まずは今日襲ってきた奴らについてだが「いやいやいや!!」
「全然進めねえぞ?!普通に話始めてるけど進めねえぞ!!何してたらそんななるんだよ?!」
当たり前のように話し始める天道をプレゼント・マイクが止めにかかる。
その話も重要だが、少なくとも今話すべきは後ろで転がってるその人間に何があったかだ。
「安心しろ、この男はいつもこうだ。気にしていると何も進まないから無視して結構だ。」
「おい天道!人が死にかけてんのになんだその言い草は!それからそこのヒーロー共もなぁ、ただ叫んでてうるさかったからって理由で人を捕獲すんなよ!お前達も時速1000kmの斬撃を浴びてみるか?!」
天道の言葉を聞くなり復活した加賀美の発言を聞いたとき、教師一同は思った。
(((わりとコイツのほうがヤバい性格してね?)))・・・と。
「彼に関してはもう一回拘束したほうが良さそうね・・・」
「そもそも、どさくさ紛れの不審者と思って身柄を拘束したんだがなぁ・・・」
ヒーロー達はゾーンに入った加賀美にの暴走に苦笑いした。
天道と加賀美は職員室の奥にある部屋に通された。
大きな円卓が設置された、プレゼンルームのような部屋に二人は並んで座りつつ教師達がやってくるのを待っている。
しばらくしてドアが開けられるとそこにいたのは・・・
「やあ、はじめまして!私の名は根津と言ってね、この雄英高校の校長を務めているのさ!生徒を帰したり、緊急で職員会議したりやってたら遅くなってしまってね。お待たせして申し訳無い。」
一匹か・・・一人か・・・一体の人語を話す小動物が立っていた。
雄英高校の校長を名乗る彼は、本人からすれば大きな椅子に器用に座ると饒舌に語り始める。
「さて、何から話せばいいのやらという感じだけれど、本題に入る前に私からもお礼を言わせてほしい。天道くんと言ったね、生徒達を守ってくれて本当にありがとう。君のおかげで最小限の被害で済んだのさ!」
「俺にかかればこの程度容易い。だが、その言葉は有り難く受け取ろう。」
椅子に座ってクルクルと回っていた天道は、そう言いながら天を指し示した。
「なるほど、かなりの手練のようだね。やっぱりZECTの関係者だけある、ということかな?」
根津の一言で一気に周囲の空気がピリついたものへと変わる。
加賀美は根津の次の言葉を聞くべく敢えて黙っていた。
「先日ヒーロー協会に送りつけられた映像には度肝を抜かれたものさ。ZECTと聞いて我々が想像する組織の姿とは随分かけ離れたものだったからね。挙句の果て、異星人だの侵略だの・・・まるで辻褄の合わない情報が大渋滞!」
「組織の印象はアンタ達が勝手に後付したものだ。ネットやらマスコミやらが面白ずくに考察しただけで、実際の組織とはまるで違う。」
地を這うような声からは、加賀美が既に不機嫌なことが充分に伺えた。
ZECTという組織についての考察はインターネットを中心にあちこちで行われていた。
その多くは「ZECTとは”無個性”の人間が集まった武装集団で大規模テロを計画している過激組織だ」、「異形型の”個性”を持つ人間を無作為に殺害して回っている組織で歪な見た目の者から殺すというルールがある」、「近年多発している連続失踪の犯人で攫った人間で人体実験をしている」などなんの根拠も無い考察ばかりである。
(組織内に無個性の人間が圧倒的に多い、連続失踪の犯人であるワームと戦っているなど一部当てはまってはいるが。)
もとから少しドスの利いた声をしている加賀美の威圧はかなりの迫力があったが、根津は一切動じること無く続ける。
「そうは言うけれどね、君たちが良からぬ行いをしているという情報が公安を通じて私の耳にも入っているんだよ。もしも本当にそうでないと言い切れるなら・・・」
根津はそこで言葉を区切ると一息おいてから静かに続けた。
「全て話して貰えないかな?君たちが今まで経験してきた真実、その全貌を。」
この場には根津以外にも雄英高校の教師が勢ぞろいしている。
この場で全てを打ち明けるということは、この場にいる全員にその詳細まで知られるという事だ。
加賀美は眉間のしわを撫でながらしばらく考えこんでいる様子だったが、ふと天道の方に向き直ると何かを決心した目付きで尋ねた。
「自分を信じてもらいたいときはまず相手を信じてみるってことらしい。今回どう話を進めるかは俺に一任されてるからな、俺は全部話すぞ天道。もしも言われたくないことがあれば言ってくれ。」
「日本語がおかしいのが気になったが、構わない。お前が信じるままに行動しろ。」
「そうか・・・お前がそう言ってくれるなら・・・」
・・・・・・
<天道視点>
・・・ビル郡の合間から辛うじてみえる夜の冬空はほとんど星が見えなかった。
皮膚を切り裂いてしまいそうな風が、並んで歩く俺達の耳に悲鳴を残して吹き去っていく。
俺と加賀美が人気の無い路地へ踏み入ったとき、押し黙っていた加賀美がふと口を開いた。
「なあ天道、お前はこれで良かったのか?」
「当然だ。俺は俺とあの娘たちが笑って過ごせる世界を守る。」
不意に立ち止まって聞かれた質問に若干のデジャブを感じるも、俺は俺の信念を答えた。
もう二度と妹の涙を見なくて済むような世界を作るために、俺はこの世界をまるごと救うと決めたのだ。今更後になど引くものか。
「でも、よ・・・やっぱおかしいだろ!こんなの!」
「またか、もういいだろう?」
加賀美の怒鳴り声を聞くのも何回目だろうか。出会ったときからまるで変わらぬ感情の起伏の激しさを今では愉快にさえ感じる。
「良くねえ、絶対良くなんかねえよ。お前みたいな・・・お前は確かに特別だけど、それでもお前みたいな子供にこんなこと頼み込むのが情けなくて・・・スマン・・・」
「一先ず顔を上げろ、そんな調子だと頭を下げるのが癖になるぞ?」
律儀なんだか愚直なんだか・・・諸々が非常識極まりないにも関わらず、こういうところで誰よりも良識をわきまえられることには素直に感心する。
だが、それにしても謝罪が多すぎる。頭を下げっぱなしの人生程つまらないものは無いということがわかっていないのだろうか?
「何度も言うが、お前が頭を下げる理由など無い。仮にお前がいなくとも、俺は今と同じ道を切り開いているに違いない。それに、おばあちゃんはこう言っていた・・・運命に俺が導かれて行くのではない。俺が俺の運命を望んだ道へと導く、何時も。」
「そっか・・・そうだな!俺、お前みたいな奴が友達で良かった!おかげでいつも助けてもらってる。お前が困ったときは俺もいつだって助けるからな!」
「それにはまず、俺と横並びに立つところからだな。」
「ええ?!そこは”ありがとな加賀美、愛してるぜ!”とかだろ?!」
「よせ、文面が色々と誤解を招きかねない。」
相変わらず単純な奴だが、屈託なく笑っているくらいがこの男には丁度いい。
守りたいとは全く思えない男だが、頭の片隅くらいには加賀美のことも置いといてやろう。
俺達の頭上では見えないながらも、絶えず冬の星座達が輝いていた。
<第三者視点>
ビル街にひっそりと佇むその建物は、周りのビルと比べて一回りほど小さい。
ここは、今や世界で有数の企業にまで上り詰め各国に支店を構える企業、ディスカビルコーポレーションの日本支部である。
現在、ZECT本部基地はその建物の地下深くに位置していた。なぜこんなところにあるかと言うと、ZECTの再収集に際して圧倒的資金難にあった彼等に協力を申し出たじいやが総力を上げて作成したからである。
なので「坊ちゃまのご友人様の危機とあらば、じいはいつでも手を貸しましょう。」と、悪い顔一つせずに”全て手作業で”基地を作成した彼のことを「神」と崇める隊員も少なくないそうだ。
なお、天道と岬は彼がいつかのように過労でぶっ倒れるのではと気が気で無かったという。
天道と加賀美がエレベーターの扉を越えるとそこは一般企業とこれと言って変わらぬ小洒落たオフィスが広がっている。
これはワームよろしく、ZECTも表向きは一般企業に擬態することで機密性の高いマスクドライダーシステムなどの情報を守秘するべく作成されたという意図があった。(じいやが快適な空間を提供しようと作り込んだから、という理由もあるが。)
広々とした部屋の中ではゼクトルーパーの隊員達が、パソコンに向かい何やらワームのデータを入力している。
オフィスの奥へ歩みを進めた二人は気持ち良さげに寝息を立てている一人に声をかけた。
「・・・高鳥、起きろ。」
「ふぇ?ああ、ししょーじゃないれすか!ほうしたんれすか?」
彼女の名は高鳥蓮華。天道がかつてZECTに入隊した際に副官を務めた女性だ。
当初は凛とした表情を称え、冷たげな印象の彼女だったが天道達との交流を経て元の無邪気な一面を取り戻し彼等の協力者となった。
その後、サルにてアルバイトをしていたが、ZECT再収集命令に応じてゼクトルーパー部隊隊長に就任する。
なお現在は元の性格を取り戻し過ぎた影響で、戦闘以外は食うか寝るかというフニャフニャ状態になっているため、ほぼデスクに突っ伏しているだけだという。
「いっはいどーしたんれす?こんな時間にふるなんて珍しいれすね?」
指輪に搭載されたワイヤーをいじりながら尋ねる高鳥の目は虚ろだった。
明らかに呂律が回っていない発言に違和感を感じた加賀美は、隣の席に座る女性に声をかけた。
「あの、岬さん?もしかして彼女飲んでます?」
「いいえ、シラフよ。よくわからないけど、今日は朝からずっとこの調子でね。何でも創作料理にハマり込んでロクに寝てないんだとか何とか。寝言でも料理の話してるくらいハマってるみたいね。」
加賀美の先輩にあたり、現在はオペレーター兼組織内の金銭管理を担当する彼女、岬佑月が呆れ笑いを浮かべながらそう告げると加賀美は顔を青くした。
「いやいや、創作料理って・・・闇鍋の間違いじゃないのk、グェ?!」
突然えづいた加賀美を周囲の者が見やると、そこには高鳥のワイヤーが首に巻き付いてギリギリと締め上げられる彼の姿があった。
「なんかいいました〜?」
「いえ、なんも・・・言ってな、い、ゔぇッ」
口は禍の元という言葉の模範を示しつつ加賀美は安らかに(大嘘)天へ召されて逝った。
しかし、それを気に留める者は誰もおらず、岬は白目を向いて痙攣している加賀美に「起きたら今日の顛末をまとめて提出しといてね。」とだけ告げて再び書類に目を通し始めた。
ただそれを見下ろす天道のみが、(よく死ぬ奴だな、お前は)と不思議な感傷に浸っていた。
「そう言えば、貴方はこの娘をいつから名字呼びするようになったの?前に会ったときは蓮華って呼んでた気がするのだけれど・・・」
不意に投げかけられた問いに、天道はいつもとはかけ離れた声の小ささでこう述べた。
「ああ・・・ひよりがな、いくら親しい人でも女性を名前呼びするのは気持ち悪いからやめたほうがいいって言ってたから・・・それで、変えてみたんだが・・・」
「なるほど、心中察するわね。」
それがひよりのヤキモチであることを天道はまだ気づいていない。
(妹さんのことになると少しは可愛げあるのよね、彼って)と岬は心の中で微笑んだ。
根津は病院の廊下を一人歩いていた。ワームの襲撃で倒れた生徒を見舞うためである。
足音だけが響く廊下で、根津は天道と加賀美の言葉を思い出していた。
(彼等は私達よりもずっと”正義”をしていた。でなければあんな言葉は浮かばないだろう。・・・平和の象徴がいつ消えるかも分からぬ現状、やはり彼等と手を取ったのは正解だったんだろうね。例えそれが公安を敵に回すことに繋がるとしても。いや、そもそも公安の情報が誤っていたことがおかしいのだけれど・・・)
根津は歩く速度を早めながら、昼間のやり取りを思い出していた。
「悪い夢・・・であって欲しい話だな。」
「アンタが俺の話を信じないのは勝手だが、万が一でも俺の仲間を侮辱するような真似だけはするなよ?今までどれだけ歯ぁ食いしばってきたか「分かってる。」
「・・・信じてるからこそ、夢と思いたいんだよ。」
加賀美から一連の経緯を聞いたイレイザーヘッドが腕を組み直しながら呟く。
教師達はあまりにも荒唐無稽な内容を前にして、ついて行けないという様子だった。
「その話をあなた達以外に知っているのは?」
「組織の人間、あとはほんの一握りの関係者のみ。」
「嘘だろ!?そんな侵略だの支配だのって話がマジに出てんのに国は動いてないってのか?!」
ミッドナイトの問に加賀美が簡潔に答えると、プレゼント・マイクが驚きのあまり声を上げる。
加賀美は小さなため息を吐き出しながら口を開いた。
「多少認知はしていたんでしょう。でもこの国がそんな厄介事に進んで首を突っ込む訳もない。官邸も公安も万事ヒーロー頼みなのと同じだ。俺達が秘密裏に活動しているのをいいことにして、世に何も知らせぬまま丸く収めようとしていた。それが事実です。実際、皆さんも今日まで知らなかったわけで。」
「厄介事は見て見ぬ振りして平穏を装うか。御上様らしいな。」
「ケッ相変わらず腐ってんだな、政治家ってのは。」
ブラドキングに続いて毒づくパワーローダー。
彼は根津と共にサポート科とヒーロー科2年B組を連れて課外学習へと出向いていたのだが、緊急事態を察知して帰還し会議に参加していた。
「わかったでしょう?ワームという侵略者が再び活性化を始めたということは、恐らく新たな危機がすぐそこにまで迫っているってことだ。前回の総攻撃も痛み分けのような形での決着だったということは、もし今後それ以上の規模で奴らが攻めてきたらその時こそ・・・」
「人類が認知する間もなくワームにとって変わられる・・・ということですか。」
13号が冷や汗を拭いながらそう言うと、加賀美は無言で頷く。
「だから今の俺達には、ヒーローの協力が必要不可欠なんだ。」
「なるほど、確かに雄英はかなり多くのヒーローと繋がりを持つ機関だ。それに、”ヒーローを目指す少年が異星人と人知れず戦ってきた正義の組織の英雄だった”なんて、マスコミが喜びそうな美談だしな。組織のイメージアップには持ってこいってわけだ。だから彼は雄英に入れろと言ってきたのか。」
「教育機関やらZECTをよく思わぬ者からの批判も集まりそうではあるけれど、雄英関係者全員が味方してしまえば話にも信憑性が出るしある程度なら第三者による改ざんや情報操作も可能。よくできた話ね。」
加賀美の言葉から真意を汲んだイレイザーヘッドとミッドナイトが半ば感心したようにそう言うと加賀美は改めて立ち上がり頭を下げた。
「虫が良すぎるのは分かってる、それでも人類が生き残るためにはあんた達が必要だ。
俺達に力を貸してくれないか?」
ヒーロー達は悩んでいた。加賀美の話は到底嘘とは思えないだけでなく、ついさっき本物の異星人を両の目で見ているのだ。それが真実だと分かっている。
しかし、まだ吹っ切れないのはZECTという組織への固定概念が未だ彼等の中には強く根付いていたからだった。
重苦しい沈黙が空間を支配しようとしたとき、終始黙っていた天道が遂に口を開いた。
「一つ言わせてほしい・・・」
天道は自分に視線が集まったことを確認すると、ゆっくりと語り始めた。
「超常が当たり前となった世界、世間ではそれを「夢は現実に」などと軽い調子で謳ってはいるがそれは大間違いだ。毎日のように事件が起きて人が死ぬことが当たり前になった今の世の中は夢は夢でも悪夢の間違いに違いない。」
「何を言いたいんだ?」
セメントスの疑問には答えず、天道は閉じていた瞼をゆっくりと開眼した。
「その悪夢に人々はまるで気づいていない。なぜなら、お前達ヒーローがそれを誤魔化す中和剤になっているからだ。空想の超人みたいな能力者がこぞって悪を成敗するという、どこか非現実的な日常の繰り返しが社会を常識ごと改変してしまった・・・というわけだな。」
「つまりヴィランの凶行は俺達ヒーローに発端があるって言いたいのか?」
不機嫌そうに憤るブラドキングの発言に天道は首を振る。
「そうは言わない、ヒーローは俺から見てもよくやってると思う。
表向きの平和と安全を取り繕うだけでも、相当苦労するだろうに・・・。
ただ、この”個性”社会は上手いことして平和に見せているだけだ。現実は仮初めの理想郷を国家ぐるみで演じている無様な三文芝居に過ぎない。
お前たちの守ってる”平和”は所詮作りものだ、中身なんて無い。それを理解しているか?」
(((!!!)))
その一言がヒーロー達の脳天に稲妻を落とした。
冷静に振り返ってみれば、”個性”社会は辻褄の合わぬことばかりだ。
事実を隠蔽して都合良く指示を出すばかりの公安、オールマイト始めヒーローに平和を委ねっぱなしの世間、毎日のように”個性”の毒牙にかかり死んでいく民間人・・・
気づいていながらも無視してきた現実が、ヒーロー達の前に立ち塞がる。
「考えてもみろ、ただでさえ限界を迎えつつある今の社会が、ワームという侵略者に再び襲われたりなんかしてしまえば・・・加賀美が言うように、それこそ人類は終わりだ。」
「繰り返しになるが、最近になって奴らは再び活性化しつつある。新たな指導者が現れたか、俺達の知らぬ力が働いているのかは不明だが、勢いはかつての総攻撃に迫るほどになってきているんだ。これ以上は俺達だけでは防ぎきれないかもしれない。あんた達が本気になってくれないとダメなんだよ・・・」
天道と加賀美、選ばれし戦士の言葉が遂にヒーロー達を動かした。
「協力してあげてもいいんじゃないかしら?お二人のカワイイ友情に免じて・・・ね?」
「YES,ここまで熱い発破かけられたらやるしか無いだろ!この腐った世の中を憎き虫野郎ごとひっくり返そうぜ!YEAH!」
「もともと公安のやり方は気に食わなかったんだよ、まどろっこしくてたまらんからな!いいだろう、お前達を信じてみようではないか!」
次々と名乗りを上げるヒーロー達を前に天道は満足そうに笑うと続けた。
「決まったな、ならば・・・俺をここの教師にしろ!」
(((要望がデカくなってね?!)))
盛り上がっていた教師達が一斉に心の声でツッコミをいれる。
「なんだその顔は?今の反応は俺を認めたということだろう?」
「それが無けりゃ完璧だったよ、天道・・・。」
何を驚いているのかと言わんばかりの天道と、頭を抱えて項垂れる加賀美。
傍から見たならあまりにも滑稽な状況なのだが、教師達はそれをむしろ好意的に受け止めた。
大人びた少年と少年のような大人、両者の態度からは微塵の悪意も見受けられなかった。
仲良くじゃれ合っている両者に根津が話かける。
「まあ、教師は無理としてだね天道くん・・・ウチのヒーロー科でよければ来てみないかい?それだけの経歴があるなら実力は折り紙付きだろうし、そちらの要望に最も答えられると思うんだけど。どうかな?」
「俺を縛r「あああ!それでお願いします!はい、いいですそうして下さい!書類等はこの住所まで着払いで!お世話様です、さいなら〜!!」
加賀美は何か言いかけた天道の言葉を遮り、無理くり話に区切りを付けると逃げるように走り去って行った。
廊下から足音が消えてしばらくすると、根津が喋り始めた。
「・・・と、既に推薦どころか本入試まで終わっている手前、ヒーロー科に入れるなどと言ってしまった訳だけど。・・・人数増やしちゃえば問題ないよね?」
「いいんじゃないですか、それで。ついでに彼のことも世に公表しちゃいましょ?どうせウチの生徒には思い切り正体を見られたわけだし。」
「そうだね、忙しくなりそうだよ。」
(なんだか諸々性急に進め過ぎな気もするけど、こういう時こそケセラセラ精神でいこう。
なにより、今は公安に探りをいれることが先決・・・)
そう思いながら歩いていた根津は、目的の病室にまで辿り着いた。
ドアの前では、何人かの教師と彼を保健室まで運んだミリオが待機していた。
「まだ治療中かい?」
「ええ、なんでも呼吸器系を思い切り裂かれてるみたいで・・・一刻を争うと。すいません・・・」
そう言うとミリオは暗い表情で俯いた。
「いいや、君達生徒が頑張ってくれたから実害は少なかったんだよ。でも、それにしたって大き過ぎる被害は被ってしまったが、それは全て我々教師の責任。君は何も気にしなくて大丈夫さ。」
「ありがとうございます・・・でも、やっぱりあのヴィランは何か・・・」
「それについては後々詳しい説明をするよ。でも、”ガラガラ”
そう話していると病室のドアが開き、外科医と思しき白髪頭の男と雄英の養護教諭であるリカバリーガールが出てきた。
「皆さん、ご安心下さい。彼は一命を取り留めました、もう心配いりませんよ。」
「本当ですか?!」
外科医の言葉にミリオが聞き返すと、彼は優しい笑みを称えながら頷いた。
ミリオを始め、その場にいた全員が安心して胸を撫で下ろす。
しかし、その安堵は束の間だった。
「でもね、あそこまで深くやられた傷は先生の腕をもっても私の治癒を使おうとも、完全に治すことは不可能だった・・・。」
「いいえ、それでも命に別条がないのならそれだけでも「無理だとしてもかい?」
「十分ではないのですか?」と続けようとしたミッドナイトの言葉はリカバリーガールの重々しい一言に遮られた。
「無理って、何がだい・・・?」
既に何かを察しているような様子の根津が静かに尋ねる。
リカバリーガールは堪えるように言葉を絞り出した。
「・・・ヒーローを目指すことさね。」
その言葉を最後に彼等の時間は止まった・・・。
・・・続く
次回 仮面ライダーカブト in hrak
世に知らしめられたZECTの真実、そして雄英に合格した拳藤は何故か天道とお出かけすることに。
入学への準備を整えていく中、二人の元に現れる予想外の奇人!
「女性は芸術作品、丁寧に扱わねば価値が下がりますよ?」
「違うな、どんなに美しい作品も磨き上げなければホコリが積もる。」
天道と拳藤、二人の間を気まぐれな風が吹き抜ける!
一方、夢絶たれた少年の元に集う学友達は彼の復帰を願い出るが・・・
彼の答えは・・・
天の道を往き、総てを司る!!
心情描写がムズすぎる・・・アゲハヤミーに誰かの文才を奪ってきてほしいです。
でも、そんなことしたら映司くんにサゴーゾされそうだからやめます。
それから、今回最後に登場した外科医さんはカブトに登場した方です。
かなりインパクトのある方だったので登場させてみました。
答え合わせは次回にて・・・。
色々ツッコミどころはあるかと思いますが、敢えてそうしているところと意図せず変になっているところが両方あるかと思います。
もしもご意見、ご質問等がありましたら感想と一緒に書いていただけると幸いです。
遅すぎる投稿にも関わらず、出来が悪いです。
全ては異常な暑さでアイデアが揃ってコンファインベントされたせいです。
おかげで語尾がトガちゃんみたいになっているのです。
次回から本調子に戻して行けるように頑張るので、どうか気長に待ってやってください。