天の道をヒロアカで往く男   作:913

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遅くなりました!

今回ようやく天道が入学します。このペースで完結できるのだろうか?




迎えろ、新生活の男!

 

 

3月も下旬に差し掛かり、ポツポツと蕾が開き始めた大通りの桜並木。多くの自動車や通行人が行き交う都会特有の喧騒が街の活気を知らせているようだった。

 

しかし次の瞬間、一切の音が世界から消え去った。その直後には、何者も動かなくなった街に赤い残像が飛来する。その残像はそれと共にやって来たいくつかの黒ずんだ残像と幾度となくぶつかり合い、やがてそのうちの一つを爆散させた。

 

それに動揺したのか、黒ずんだ残像達は街の大通りから離脱し人気の無い廃ビルへと逃げていった。それを追いかけた赤い残像が廃ビルに到着すると同時に、世界が再び動き始めた。

 

"CLOCK OVER"

 

そこに立っていたのはライダーフォームのカブトと、4体のエピラクナワーム。彼等はかつて現れたテントウムシ型のワームと同種であり、体色が黒色に変色している点以外にこれといった差はない。一見、人数差故ワーム側が優位に立って見えるが、一度戦った相手に敗戦を喫すことがない天道にとってはこの程度の人数差は”有って無い”ようなものだった。

 

相手が棒立ちなのを確認した4体のワームがカブトへの距離をジリジリと詰め始める。カブトは静かにワーム達を見渡しながら、どんな攻撃にも対応できるように利き足を一歩引いて先制攻撃に備えた。

 

そして今、まさに両者の緊張が最高潮に達しようという瞬間だった。廃ビルの壁が突然崩壊したかと思うと、メタリックブルーの美しいバイクが凄まじい速度でワームたちの方へと突っ込んでいった。そのバイクはワームに激突する直前で勢いよくドリフトし、先頭にいた一体を後輪で吹き飛ばした。隊列を乱されて慌てるエピクラナワーム一同を横目に、フルフェイスヘルメットの運転手はその場にバイクを駐車してヘルメットを脱ぎつつカブトの方へと駆け寄る。

 

「遅くなって悪かったな天道、無事か?」

 

カブトの目の前でファイティングポーズを取りながらカッコつける運転手こと、加賀美新にカブトは呆れ七割苛立ち三割といった様子で答えた。

 

「遅れて来たかと思えば、大層な登場だな。」

 

「そうか、なら良かった。あとは俺に任せとけ!」

 

天道の返答を最後まで聞くこと無く自己完結で済ませた加賀美は天道の言葉に満面の笑みで返すと、右手を天高く掲げた。それに答えるように、空の彼方から青いボディを持つクワガタ「ガタックゼクター」が加賀美の手の中へと飛び込んでくる。

加賀美はそれを握り締めながら、力強く宣言した。

 

「変身ッ!!」

 

"HENSHIN"

 

ゼクターが装着されたベルトからカブトよりもトーンが高い電子音声が発されると、ヒヒイロカネ製のアーマーが六角形を基準に展開されていく。「仮面ライダーガタック マスクドフォーム」加賀美の全身を覆いきったそれは、まさに”戦いの神”の名を冠するに相応しい猛々しさを纏っていた。

 

「行くぞ!ウオォォ〜〜〜!!」

 

雄叫びと共にエピラクナワームへと飛びかかっていくガタックは一体目に組み付くと、顔面への頭突きを食らわせそのまま大外巻込で投げる。その勢いを利用して立ち上がり、二体目を大きく振りかぶりつつ殴打。怯んだところを強引に引き寄せて膝蹴りを叩き込んでから頭を鷲掴みにして空いている方の腕でラリアットを打ち込む。

更に、吹き飛んだ二体目のエピラクナワームへと両肩に装着されたガタックバルカンで高イオン光弾を掃射して撃破した。

 

「ぅおっし!あと三体だ」

 

「いや、、、二体の間違いだな」

 

ヌルっとガタックの隣に現れたカブトが後ろを指差す。振り返ると、体を袈裟に斬りつけられたであろうエピラクナワームが真っ二つになって丁度爆散するところだった。

 

「相変わらず仕事が早いなぁお前は。てか戦ってたんだな、全然気づかなかったぞ。」

 

「お前が鈍いだけだ、さっさと片付けるぞ」

 

「ああ、キャストオフ!!」

 

"CAST OFF"

 

そう言うと加賀美は、大アゴを模したゼクターホーンを展開した。全身のアーマーが音を立ながらロックを外す。そして次の瞬間には、それらは残らず吹き飛ばされて青く彩られたライダーフォームのアーマーが姿を表した。

 

"CHANGE STAG BEETLE!"

 

「クロックアップ!!」"CLOCK UP"

「クロック、、、アップ」"CLOCK UP"

 

赤い複眼が輝くマスクがガタックホーンに左右から挟み込まれ、キャストオフを終えたガタックはカブトと共にクロックアップを発動する。同じくクロックアップしたエピラクナワームの攻撃を避けつつ、ガタックはガムシャラにカブトは確実にダメージを与えていく。

激しい攻防の末、一体がガタックの投げっぱなしフロントスープレックスで投げ飛ばされ、もう一体もカブトの三日月蹴りで崩れ落ちた。

 

二人のライダーは止めの一撃を放つべく、フルスロットルを押し込む。

 

"1,2,3"「ライダー、、、キック」"RIDER KICK"

"1,2,3"「ライダーキック!!」"RIDER KICK"

 

ゼクターホーンを一度閉じ再び展開すると、稲妻状に収束されたタキオン粒子が二人の全身を駆け巡る。カブトはお馴染みの上段回し蹴りでエピラクナワームの側頭部を撃ち抜き、ガタックは助走をつけてから体当たりのようにレッグラリアートを叩き込んだ。カブトが天を指すと同時に、エピラクナワーム達は黒い炎となって爆散。

激闘の舞台となった廃墟に、再び静寂が取り戻されたのであった。

 

"CLOCK OVER"

"CLOCK OVER"

 

 

 

 

「ふ〜、、、にしても最近ワームがほんとに多いな・・・。ほとんど全滅したはずなのにどっから湧いて出てきてんだと思う?」

 

「さあな。なんにしろ、”擬態”の特性を公表しなくて正解だったのは間違い無い。」

 

「まあ、それ以外は全部世に晒したけどな。俺のイエデンとか。」

 

変身を問いた天道と加賀美は、廃ビルを後にした。未だに収まる気配のないワームの襲来に違和感を感じつつも、何も手掛かりが無い現状はどうしようもない。そしてお前のしかも実家の電話番号を暴露して何になるのだ、必要無いだろう。天道はそんなことを考えていると、ふとある事を思い出した。

 

「そういえば例の”行方不明のゼクター”とやらは見つけたのか?」

 

「へ?ああ、それなんだけどさ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

<天道視点>

 

 

時は前回の最後、即ち一ヶ月ほど前へと遡る。

心地よい昼下り、ZECT本部に呼び出された俺は田所の突飛な発言に首を傾げていた。

 

「カブティックゼクターが消えた?」

 

俺の疑問にノートPCを手にした岬が答える。

 

「ええ、恐らくジョウントの暴発でね。」

 

そう言いながら開かれたPCの画面に映し出されていたのは、カブトゼクターを簡略化したような見覚えの無いゼクターだった。

 

「”カブティックゼクター”はホッパーゼクターと同じで親父が作ったもんなんだ。何でも、量産可能な即戦力?だとか言ってた気が・・・。」

 

「えーと、、、つまり分かりやすく言うと?」

 

ようやく虫取り網地獄を脱し、話の本題に参加して来た風間が問う。

 

「生産コストが最も低いザビーゼクターと、資格者の戦闘能力がそのまま反映されやすく汎用性に優れたカブトゼクター。それらを組み合わせることを目標に、三種類作成されたのがカブティックゼクターだ。計画自体はマスクドフォームと必殺技時のタキオン粒子過剰発動をオミットすることで全て成功したんだが・・・」

 

「消えた・・・と。」

 

申し訳無さそうに頷く田所以下、ZECTの面々。

その時点で愕然としているというのに、加賀美からさらなる衝撃の事実が伝えられた。

 

「しかもアレって、、、言いにくいけど、、、どこぞのバカが改良したせいでハイパーゼクターに対応しちゃってるんだよ、、、うん。」

 

「で、、、それを管理していたのは?」

 

製作者の名が出た時点で察してはいたが、敢えてこう訪ねた。

・・・もちろん加賀美に。

 

「俺の、、、、、、親父です」

 

「あの男も懲りない奴だな。関わると何かしらの不幸に見舞われる。」

 

「おっしゃる通りで・・・」

 

加賀美の父親は善人と言えば善人なのだが、如何せん全てにおいて胡散臭い。俺でさえ、一時はワーム以上に危険な人間だと判断するほどに怪しかった。が、それは全てネイティブを欺き世界を救うための演技だったらしい。

(と言っても、俺はまだ奴が妹を引き合いに出したことを許してはいない。あの時ばかりは、本気で殺意が湧いたものだ。)

 

「で?それを俺達にどうしろと?まさか、探すのを手伝えとは言うまい?」

 

面倒事を押し付けられそうな気配を感じた俺は、予防線を張る。

それに風間も続いた。

 

「全くもってくだらない。天道はまだしも、私はまるで関係が無い。ゴン、帰るぞ。」

 

俺の足元にくっついていたゴンは、「またね」と手を振ると風間の元へ歩いて行った。

いつの間にか、随分と大人びた雰囲気になったゴンへ俺は軽く手を振り返し見送る、、、はずだった。

 

「ちょっと待ってよ!」

 

意外にも風間を引き止めたのは、ついさっきまで散々絡まれていた岬だった。

 

「例え貴女のお願いでも、そんなことに私の手を煩わせるのはどうも癪に障るんです。次の仕事もありますし、、、では。」

 

「で、でも、もし手伝ってくれるならさっきのモデルの話を引き受けてもいいけd「引き受けましょう!さあゴン、ゼクター探しの旅へ行こう!!ああ、日程は来週のうちに電話連絡しますので。それじゃまた!」

 

・・・今に始まったことではないが、驚くほどに軽い男だ。もはや風ではなく、紙と言ったほうが正しいくらいに軽い。アレに振り回されているゴンが不憫でならないと、俺は深い溜息をついた。

 

「単純な人で助かったわね、、、加賀美くんあとはよろしく。」

 

なんとか風間を協力させることに成功した岬は、枕を手に仮眠室へと消えていった。恐らく風間への対応で心身共に疲弊したのだろう。

 

「あ、はい。任されました、ってことで天道話はわかったよな?」

 

「分かったからと言って誰が「一応ひよりにも連絡して店にも協力してもらおうぜ。最近客の入りが良いらしいからすぐ見つかったりしてな!」・・・ああ、もう好きにしろ。」

 

 

 

 

 

「大介、どうしたの?」

 

「え?ああ、いや何も。それより、お前は早く仕事の連絡を回せ。」

 

「うん、今やってる」

 

「頼んだ」

 

(今の俺を見たらあの人はどう思うだろう?ゼクターを捨てて戦いから逃げた俺を軽蔑するだろうか?・・・そうならない為には、やっぱり・・・)

 

「やらざるを得ない、ですか。ね、麗奈さん?」

 

 

この後、風間からゼクターを返せと連絡があったのは、言うまでもないことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・そして現在に至る。

 

「それが全然見つかんなくてさぁ、国外にまで行っちゃった説すら出てるくらいなんだよ。」

 

俺も意識して探すようにしてはいるが、手掛かりの一つも見つからない。

こういうものは思っているよりも近くにあると考えていたが、一向に見つかる気がしない。

 

「ま、いっか。気長に行こーぜ。」

 

「気長にしているうちにハイパーゼクターでも使われたらどうする?」

 

「ああ、それもそうだ。割と現状ヤバいな!」

 

「確かに厄介ではあるが、そんな時は俺がどうでもできる。あの日以来ハイパーゼクターは俺の前に現れていないが、俺が望めば必ず帰ってくる。」

 

俺がそう言うと「できることなら、使う場面に会いたくないけどな」と笑いながら言う加賀美に俺は「お前は機会も何も一度きりだろう?」と返す。そんな他愛の無いやり取りがどうも間が抜けているようで思わず笑いがこみ上げた。ありきたりな帰路を行く俺達の背を夕日が見つめている。

 

振り向いて見えた東の空はまだ、薄暗いながらも青く晴れていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・そういえば加賀美」

 

「ん?どうしたよ?」

 

「お前、乗ってきたバイクどうした?」

 

「・・・あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<第三者視点>

 

桜が満開を迎えた4月某日。天道総司は遂に雄英高校の入学式当日を迎えた。

糊と新品特有の生地の硬さで全くフィットしない制服に袖を通し、丁寧にファイリングされた手続き用の書類をカバンに詰める。これがごく普通の少年なら初々しいことこの上ないのだが、天道がやると卒業生が久し振りに制服を着たかのような貫禄がある。成人男性のコスプレだと言われたら普通に信じてしまいそうな雰囲気だ。

 

「それじゃあ樹花、行って来るから良い子で待ってろよ?」

 

「う、うん。」

 

いつもならば元気に送り出してくれるはずの妹が口籠っている。天道はきっとこれから自分が家にいなくなるのを寂しがっているのだろうと推測した。それにもう数日後には、樹花も中学生になる。兄として樹花を安心させる為、天道はいつにも増して優しく話かけた。

 

「安心しろ、樹花が部活から帰ってくるまでには帰ってくるから。な?」

 

「ほんとに!?ありがと、、、じゃなくてね!もちろん寂しいよ?寂しいけどそれ以上に、、、お兄ちゃんが遂にちゃんと学校行くのかって思うと、、、嬉しくて。」

 

樹花が思っていたことは天道想像とは全く異なるものだった。そもそも天道樹花は兄より社交的で友人も多く、ついでに全国小学生選手権大会バトミントンの部にて三連覇を果たしている超絶エリート妹である。天道本人が思っている以上に、天道の将来を案じていたのだろう。

 

(妹になんて心配をさせてるんだ俺は・・・)

 

それもそのはず。天道の中学までの学校生活といえば・・・

・小学校の集団生活が低レベルで退屈なあまり、ほとんどサボっていたが宿題だけはしてお

 りテストはオール満点(ただし友人は0、それよりも来たるべき日に備えて特訓の日々)

・中学はワームとの戦いで1年以上休んでいた(なのに何故か通信簿はオール5)

 

・・・という壮絶な学校生活だったのである。なお、この後にひよりからも電話があり余計なことをせず真面目に通うようにと何度と無く言われていた。

天道は妹を安心させる為にも、ちゃんと学校へ行こうと心に誓いを立てるのだった。

 

 

 

 

 

玄関の扉から出ると外は快晴、絶好の新生活日和の朝だった。天道はいつも通りにカブトエクステンダーのエンジンを吹かして出発しようと跨がる。しかしここで、天道の脳裏に稲妻が走った。この日本という国では基本的に国立、県立に問わず公立高校はバイク通学どころか免許の取得すら禁止されているところが大多数なのだ。

無論、勤勉な天道がそれを知らないはずは無い。そこで、天道が出した答えは・・・

 

(バイク通学で問題は、、、無いな。移動は速いに越したことがない。)

 

当たり前のように一般常識の敗北。例え何を言われたところで、自分が納得しなければそれは飲み込まない。それが天道の持ち得ている美学であり、それは新たな場所へ踏み入れる時にも変わらない。天道の乗ったカブトエクステンダーは晴れ渡る朝の街をスピードに似合わぬ静かさで駆け抜けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜雄英高校1年A組〜

 

 

それから約1時間後、1年A組の教室には既に20人の生徒が揃っていた。

 

「おい君!机に足をかけるな!先輩方や机を作った方に申し訳無いと思わないのか?!」

 

「思わねえよ、テメェ!どこ中だクソが!!」

 

(ツートップ・・・)

 

もとい、揃っているという言い方は的確でない。初日からゴリゴリに柄の悪さを表に出していく少年と、それと対象的に「真面目」という単語を濃縮してそれを擬人化したような眼鏡の少年がバチバチに衝突している。その光景に戦慄する者、半ば呆れて苦笑いを浮かべる者、そんなことよりこのクラスは大当たりだと女体を舐め回すように見る者と三者三様十人十色の子どもたちが一つの部屋に詰め込まれている、、、敢えて良い言い方をするならば、年相応にわちゃわちゃとした空気感だったとでも言えるだろうか。

 

 

 

そんなこんなで気づけば時刻は、8時29分を回る。すると、教室の外に横たわっていた黄色い塊がモゾモゾと動き始めた。器用にドアの前まで辿り着いた黄色の中身が、半ば威圧するようにいまだ仲良く(?)会話している生徒達へ声をかける。

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け、ここはヒーロー科だぞ?」

 

(((((な、なんかいるうぅぅ!!!)))))

 

急に現れた不審者に生徒が驚かないはずも無い。顔色の悪い男が黄色い寝袋から顔だけ覗かせつつ話しかけてくるなど、もはや新手のホラー映画である。

そんな生徒達の驚きを他所に、懐から生ぬるくなったゼリー飲料を取り出す寝袋の男こと相澤消太。それの封を開こうとキャップ部分に手をかけたとき、更に癖の強い男が現れた。

 

「ロクに飯も食わずして教員が務まると思うな、ここはヒーロー科だろう?」

 

(((((なんかもっとメンドそうなやつ来たあぁぁぁ!!!)))))

 

一見外国人にも見える日本人離れした顔の男は、眉間に皺を寄せながら取り上げたゼリー飲料をくるくるともて遊ぶ。生徒たちの印象通り、かなり面倒くさい男である天道総司はドアの前で横たわる相澤を迷惑そうに見下ろしていた。

 

「こういう栄養補助食品の類は、あくまで栄養が枯渇している場合に緊急で摂取するものだ。日常的にパカパカと食べるものでは「はい、未だに静かになっていませんね。次からは、俺が来る前には静かに着席しているように。それと天道、お前遅刻だぞ。」

 

天道のありがたいお言葉をスルーした相澤はそう言いながらノソノソと立ち上がると、寝袋を丁寧に畳み始める。その背に向かって天道は身の潔白を主張した。

 

「馬鹿を言うな、まだ7秒も時間に猶予がある。」

 

そう言うと天道は唯一空いている自分の席へと歩いていく。荷物を下ろし、軽く机のホコリを払って椅子に座る。天道がサッと足を組むと同時に、ホームルーム開始のチャイムが鳴り響いた。相澤は黙ってドヤ顔をこちらに向ける天道を除籍どころか、殴り飛ばしたい気持ちを噛み殺して言葉を絞り出した。

 

「はぁ、、、まあいい、俺は担任の相澤消太だ。よろしくね、早速だが全員コレを来て表に出ろ。」

 

そう言って取り出したのは、雄英高校指定の体操着。

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

相澤の真意が見えない発言と行動に真面目男こと飯田が挙手するが、何でも無く却下されてしまった。その後相澤は「急ぐように」とだけ述べて教室を後にしてしまい、残された生徒たちはあっけらかんと静かになっている。

 

「分からない男だ」

 

天道は相澤が消えたドアへ向けてそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

<天道視点>

 

 

いつまでも呆けている訳にはいかないと、着替えて言われた通りに出てきたのだが。何を言っているんだ、この相澤という男は。唐突にプログラムを無視した体力テストを始めると言い出したかと思えば、当然の疑問を投げかける少女の質問には気怠げに一言。

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る暇ないよ〜・・・」

 

いたいけな少女の純粋極まりない質問に返答した相澤の言葉へ俺は心の内で講義する。

嘘をつけ。仮にヒーローという職種が入学式という人生の節目すら体験できないようなものだとしたら、「ヒーロー飽和社会」などと揶揄されるほど職業人口は増えていないはずだ、と。

 

「雄英高校は自由な校風が売り文句、それは教師側もまた然り。」

 

(果たして非情なこの世にはその安い理屈が通じるのだろうか?万が一でも、俺の妹の担任がこんな調子の良い話をしたら俺は間違いなく訴訟する。この場にあの娘たちがいなくて良かったな、相澤よ。)

 

今さっきこじつけたような相澤の話を聞き流していると、不意に当の相澤と目が合った。言いたいことがあるなら言えと目で訴えたが、相澤はしばらく考え込むように目を伏せてそのまま話を再開する。一つ言えることは、この男は何をしたいのかが全くわからない人間だということだ。これでよくヒーローが務まるものだ。

俺はぼんやりと彼方へ飛んでいく誰かが投げたボールを目で追いながら、必然的に始まるであろう体力テストに思いを馳せた。

 

 

因みに、、、

 

(さて、デモンストレーターは天道、、、いや、むしろ生徒のやる気を削ぎ落とす発言しかしないな。ならば入試1位の爆豪か?だが、コイツはコイツで性格に難あり。どうしたものか・・・)

 

相澤が俺を見つめていたのは単なる品定めだった、というのは後に知ったことだ。

 

 

 

 

 

何はともあれ、今日から俺の新たな日々が始まることに変わりはない。

この場所で俺という特異な人間はどこまでできるだろうか?

なんにせよ、往くのは天の道であることに変わりはないのだから案ずることは無いだろう。

 

なぜなら俺は、天の道を往き総てを司る男。俺の名は、、、天道総司

 

 

 

 

 

序章「新たな始まり」〜完〜

 

 





次回 仮面ライダーカブト in hrak

遂に訪れる新たな幕開け!
天道総司は果たして雄英高校で生活できるのか?

そして天道はもう一人の最強と出会う・・・

「私が来た!!」

天の道を往き総てを司る!





〜為にならない格闘技講座〜


大外巻込とは・・・通常の大外刈と違い、自分の体を相手に持たれかけるようにして投げる
         (というより倒す?)技。多分ですが、柔道以外で使い所は無いでしょう。                
         連想し難い方は、プロレス技のEVILを思い浮かべてください。


フロントスープレックスとは・・・相手と向かい合った状態で正面からクラッチ、そのまま
                捻りを加えて後方へぶん投げるレスリングの技。
                またの名をベリー・トゥー・ベリースープレックスとも。
                今回カッガーミンが使ったのは、ブリッジを殆ど使わず
                背筋で真後ろにふっ飛ばす感じだったのでどちらかと言うと
                パワースープレックスに近いかも。
                作者が自爆した技ランキング堂々の一位である憎い投げ技。


三日月蹴りとは・・・痛い。ただただ痛い蹴り。理屈とか以前にマジで痛い。
          一見ただのミドルですが肝臓や膵臓、時に肋骨の隙間などヤバい急所を
          確実に足の側面で撃ち抜く技なので食らってはいけないです。
          死にます。




次回はもう少し早く投稿できるように努力しますので、気長に待ってやってください。
イマジンが出てきたら、文才が欲しいって望みます。

稚拙な本作をお読みいただきありがとうございました。ではまた次回!
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