彼の者は言った、戦争は自国繁栄の為に行うと。
彼の者は言った、戦争は利益独占の為に行うと。
・・・そして彼の者は言った、戦争で得られるもの等皆無だと。
共和国名士百科第二項172頁より
「若!ここにおられたのですか!」
詰問するかの様な口調にあるポケモンが閉じていた目を擦りながら起き上がる。若干耳を閉じながら彼は形ばかりの反撃を試みる。
「うるさいなぁ、毎日毎日意味があるかも分からない事務仕事ばっかり・・・たまには何も考えず昼寝したってバチは当たらないよ。ライボルトもほら、一緒に寝よう?」
「若、何を仰っているのですか!この地域一帯を取り仕切っているのです、彼等の困り事は我々の困り事、慕ってくれている民の為に仕事するのは当然でしょう!」
「あーもう分かったってばぁ!」
ピカチュウは体を捩らせながら立ち上がるとライボルトの体に跨がりぺちぺちと彼の頬を叩いた。
「・・・何をされているのですか。」
「二代目組長を組長とも思ってない冷たい部下への健気な仕返し。」
「組長の自覚がおありなら仕事を放って昼寝等なさらないでしょう。さあ、そのまま乗ってて良いですから屋敷に戻りますよ。」
「はーい・・・」
ライボルトに運ばれて屋敷に戻ると、もう1匹の側近が迎えてくれた。
「遅えぞ兄弟、若を連れて帰るのにどれだけ時間食ってんだ。」
「屋敷にいると思ったらまさかの外だったんだよ!」
「レントラーも一緒に昼寝しに行こうよ!気持ち良いよ?」
ライボルトに食って掛かるレントラーにピカチュウが昼寝の提案をすると、黒い尻尾でひっぱたかれてしまった。
「いった!何するんだよ!」
「失礼、仮にも我々が忠誠を誓ってる若がその様な妄言を吐かれるとは思わずつい尻尾が動いてしまいました。」
「・・・君達やっぱり僕の事嫌いだろ!どうせ父さんの様なポケモンにはなれないさ!」
ピカチュウはふて腐れて再び屋敷を飛び出してしまう。
「若!・・・行かれてしまった。」
「追いかけても無駄だろ。あの方も馬鹿じゃない、危ない所には行かない筈だ。」
追いかけようとするライボルトをレントラーが止める。彼らは元々ピカチュウの父親に仕えていたのだが、今のピカチュウが産まれてからは彼の教育係兼側近として従事していた。その為父親の様にしてあげようと特にライボルトが奮起していたが裏目に出てしまった様だ。
「私は間違っているのだろうか・・・。」
「どうせ何時かは起こり得た事だ。親父殿の生き様は俺でも惚れ込んでしまう程だからな、今の若がコンプレックスになるのも仕方ないだろ。」
2匹が話し合っていた時、部下の1匹がダッシュで駆け込んできた。
「大変です、大変です!」
「喧しいぞコリンク!てめえは喚きながらしか動けねえのか!」
「それどころじゃないんです!帝国が・・・帝国が共和国に宣戦布告してきたんです!」
神祖帝国某所―
「部隊の準備は済んだかな?」
「はっ、陛下の意向のままに。何時でも行動可能です。」
「そうか・・・それじゃあ始めようか。平和ボケした共和国に見せつけてやると良い、我々帝国の軍によって己の国が崩壊する様を。・・・サーナイト、君の活躍にも期待するよ?」
「仰せのままに、我等陛下への忠誠をもって共和国を滅ぼして差し上げます!」
「・・・さあ見せて貰うよミュウツー殿、君達の哀れな抵抗を。」
時計の針は動き出す、最早誰も止める事は出来無い・・・
全然話進んでないとか言ってはいけない。
次回は共和国の中枢の話です。それにしても伏線張り過ぎて回収出来るか怪しいな?