ポケモンと 剣の世界へ   作:りてらしー

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いつもの 衝動的なあれ。


あのせかいへ フルダイブ

 西暦2022年。とある大手電機メーカーが発明したナーブギアという電子の仮想の世界に入れる(フルダイブできる)夢のようなゲームハード。

 世間一般では仮想世界への接続機器として紹介されているが、学生時代を現在進行形でラノベとゲームで費やしているアオハルのアの字もないような生活を送っている僕のような輩にとって、インターネットに直接行く、──行くという表現で合っているのかは知らないが──というのはゲームへの応用しか考えられなかった。

 

 そんな夢のゲームハード、ナーブギアの発表から六か月ほどたった今日。世のVRゲーマーたちが熱望した、フルダイブ型MMORPG、ソードアート・オンライン、略してSAOの正式サービス開始日である。

 SAO発売に合わせてナーブギアを買う人が続出したり、そもそもナーブギアにSAO同梱版があったりと、どれだけSAOというゲームが他のVRゲームにくらべ、クオリティやユーザーからの期待度がずば抜けているかが分かるであろう。

 その結果、SAOの初期製造ロット2万本はあっという間に完売し、全国にSAOを買えなく絶望している負け犬どもが多数誕生した。人の不幸は蜜の味である。

 

 僕の口ぶりから察する通り、βテストには受からなかったものの、初期製造ロットの中の一つを購入することに成功したのだ。 

 これがどれだけ名誉なことか、お分かりいただけるだろうか。

 ソフト発売当日が休日出校日なのにも関わらず行きつけの家電量販店に前日の夕方から一睡もせず並び続け、その店で最速購入することができたのだ。学校には遅刻したし先生の中には休んでいる先生もいて丸々一時間自習もあった。これがSAO効果である。

 

 前置きはさておき、そろそろ準備をしなければ。ゲーマーたるもの、新ゲームがサービス開始されるときは最速スタートを目指すのが常識だ。

 ベッドに横たわり、ベッド上部に置いていたナーブギアを被る。

 あまりの興奮に、体がむず痒いような、くすぐったいような感覚がする。

 

 部屋の時代錯誤なアナログ時計がサービス開始の三十秒前を指した瞬間。

 

「リンクスタート」

 

 

 

 

 

 

 白の空間に、黒や赤色、緑に黄色といった太線が僕の横を通り過ぎていく。もしくは逆かもしれない。

 様々なチェック項目が出てくるが、オールグリーン。いい調子である。

 

 VRゲームにありがちな初期動作チェックを終えた後、視界が暗転する。演出だろうか。

 

「はじめまして、ソードアート・オンラインの せかいへ ようこそ!」

 

 初老の男性の声でその言葉が聞こえてくる。やはり演出だったようだ。

 世界に光が戻る。

 目の前には白衣を着た白髪の老いた男性。

 

「わしはオーキド、みんなからはポケモン博士と呼ばれて慕われておるよ」

 

 ポケモン博士? 聞き慣れない単語だ。果たしてSAOはそんな設定だっただろうか。もしかしてパチモンをつかまされたか? 

 

「この浮遊城アインクラッドには、ポケットモンスターと呼ばれる生き物たちが、いたるところに住んでいる!」

 

 オーキドと名乗る男性は、腰から赤白の球を取り、それを真っ二つに開き、中から何かが出てくる。

 あれは、青色の……ウサギ、だろうか。浮遊城アインクラッドという単語には聞き覚えがある。それこそSAOの舞台であるが、やはりポケットモンスターと言う言葉に聞き覚えはない。

 話の流れから察するにあのウサギのことをポケットモンスター、その略称がポケモンなのだろう。

 

「そのポケモンという生き物を、人はペットにしたり、勝負に使ったり……そして……わしはこのポケモンの研究をしてるというわけだ」

 

 ひとしきり話終わると、オーキド博士は赤白の球に再びポケモンを直す。突っ込むのも野暮かもしれないが、どういう仕組みなんだろう。

 

「でははじめに、君のことについて教えてもらおう!」

 

 導入が終わり、遂にキャラクリエイトか。

 ふむふむ。性別が選べて髪型と顔の位置に身長やその他もろもろも変えられるのか。

 うーん、経験上顔はともかく、体格を現実とかけ離れたものにしてしまうと、違和感がすごいことになるんだよな。

 身長は166cmそのままで、顔は……やはりイケメンだろう。女の子が寄ってきそうな超イケメンだ。

 

 うん、これぐらいいじれば完成か。

 

 完了を押すと、オーキド博士が再び現れる。

 

「つぎに、君の名前は?」

 

 プレイヤーネームは……いつもと同じくシロでいいか。

 

「シロ!」

 

 オーキド博士がこちらの目を見て名前を呼んでくる。

 

「いよいよこれから、君の物語のはじまりだ!」

 

「ゆめとぼうけんと! ソードアート・オンラインのせかいへ!」

 

「レッツ ゴー!」

 

 オーキド博士が手を振って見送ってくれる。

 きっとNPCだろうけど、挨拶ぐらいしないとな。

 

「行ってきます!」

 

 オーキド博士は驚いたような表情をしたあと、目を細めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づくと、僕はファンタジー世界というイメージにピッタリな街の広場の真ん中に立っていた。

 辺りを見渡して分かったが、見えるものが綺麗だ。他のVRゲームよりも数段上だと思う。

 

 今から、俺の冒険は始まるのだと思うと、興奮が止まらなかった。




短い。
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