ポケモンと 剣の世界へ   作:りてらしー

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なかまを ふやして つぎの まちへ

 僕はあの後始まりの街から最も近い小町へ行った。

 広場で多数のプレイヤーが留まっていたことから、もしかすると僕が一番早くこの町についたのではないかと思っていたのだが、その町に着くと、既に一人プレイヤーが着いていた。

 その場には僕とその人以外誰もいなかったし、こちらにも気づいている様子だったので話しかけてみた。

 

「こんばんは、僕が一番最初にこの町に着くんだと思ってたんだけど、速いね」

 

「え、っと、こんばんは」

 

「あ、緊張しないで。そんな怪しいもんでもないからさ。あ、僕はシロ。よろしく」

 

「ああ、どうも、俺はキリトです……」

 

「キリトか。というかためでいいよ。ネットってそういうもんでしょ」

 

「確かにそれもそうで……そうだな」

 

 町にあったベンチに腰を下ろしてキリトと話してみると、結構話が弾んだ。

 

「へぇー。ベータテストに当たってたんだ」

 

「ああ、幸運だった。いや、今となっちゃ不運なんだけどさ」

 

「地獄に仏というかなんというか、ベータテストの知識がキリトの強さに還元されるんだろう? ポジティブに考えてこうぜ」

 

「ああ、けどポケモンなんてのはベータテストじゃ一切情報が出されてなかったからな……」

 

「あれ、そうなんだ?」

 

「ポケモンは俺もキャラクリのときとあのチュートリアルのとき以外で一切聞いたことがない。フィールドに湧くようになったとは言ってたけど、まだ見たことないしな」

 

「ふむ。低確率ポップなのか、ポップするエリアが限られているのか……」

 

「他のプレイヤーの目撃情報なんかを得られる機会もまだないしな。分からないことばかりだ」

 

「今のところ唯一ポケモンとの接点はショップ販売のモンスターボールと、初期から持たされているこのポケモンだけってことか」

 

「そういえば、シロはどんなポケモンが渡されてるんだ?」

 

「俺はケロマツっていうポケモンだよ。全然なついてくれてないんだけどさ」

 

 言いながら、ケロマツをボールから出してみる。

 ケロマツは若干眠そうにしている。ただでさえ懐かれてないのに、無理やり起こすのはよくなかったかもしれない。

 

「悪いな、ケロマツ。こんな時間に起こして」

 

「カエルみたいだな」

 

「ああ。ところでキリトはどんなポケモンを渡されたんだ?」

 

 キリトは俺は……と言いながらモンスターボールのボタンを押す。

 それから飛び出してきたのは一頭身のフォルムから短い足と手が生えていて、頭のてっぺんからは魚のひれのようなものがついていてその左右に細丸の突起がついている。

 色はグレーに近い青がメインカラーで腹に当たる部分は赤色のラインが入っている。

 それはあたりを見渡した後、キリトの足に頬をすりすりとしている。

 

「なんだ、そいつ。随分懐いているみたいだけど」

 

「フカマルっていうらしい。懐いてくれてるのはうれしいんだが……」

 

 フカマルを観察していると、キリトの足をガジガジと噛み始めていた。

 

「ボールから出すと毎回こうなるんだよ。だから少し困ってる」

 

「なるほど」

 

 確かに、装備の耐久も減りそうだし、噛み癖は困るな。

 でも、あんな感じで懐いてくれてるのは可愛いと思う。

 僕のケロマツはつっけんどんな感じだし。

 

「ケロマツ、あんな感じでほおずりしてくれてもいいんだぞう、なんてね」

 

 冗談を言うと、ケロマツはこちらを睨みつけ首の綿をぶん投げて来る。

 あえなく綿に命中してしまう僕。

 

「はは、冗談ですよケロマツさん」

 

「なにやってんだ。お前ら……」

 

「いやあ、キリトたちを見てるとそういう関係性に憧れてね。それにしても、これべたべたするんだけど。まあいいや、起こしてごめんなケロマツ。戻って」

 

 ケロマツをボールに戻すと、流れでキリトもフカマルをボールに戻す。

 

「ところで、キリト。唐突だけどパーティを組まないか?」

 

「本当に唐突だな」

 

「今話してキリトが信用できるって分かったからさ、他のプレイヤーと交流を持ちたいと思ってたし」

 

 キリトが信用できると感じたのは本当だ。

 時々意地が悪いような、悪戯好きな面があるが、根が優しいんだなと会話の節々から感じさせられた。

 それに、デスゲームであるこの世界で一人で居続けるのはきついものがある。

 

「……少し、時間をくれないか」

 

 帰ってきた答えは、意外なものだった。

 てっきりすぐにオッケーしてもらえるものだと思っていた。

 しかし、キリトにはキリトの事情があるのだろうと納得する。

 

「ああ、別に構わないよ。百年だって待ってやるさ」

 

「ありがとう。シロ」

 

「別に、わざわざお礼を言うほどの事でもないけど。あ、フレンド登録だけしとこうな。パーティを組む気になったらDMをくれ」

 

 結局、その日は僕とキリトはパーティを組まずに別れてしまった。




キリトはボールからでてしまった。

この時のキリトって多分、クラインを置いていってしまったことを悔やんでると思うんですよね。
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