第十四話 時柱
颯「鱗滝さぁんただいま帰りました…帰りましたはおかしいな…」
鱗滝「暫く顔を見せなかったが…柱になったそうだな。」
颯「はい、これまでの呼吸法、刀の使い方を教えてくれた鱗滝さんのおかげです。」
鱗滝「儂はただ道を作っただけだ。ここまで剣の道を極めたのはお前自身の力だ。」
颯「なるほど」
鱗滝「積もる話もあるだろう。今日は泊まっていきなさい。」
颯「元よりそのつもりです。」
俺は入隊後、鬼殺隊士として沢山の任務を受けては鬼を殺し、受けては殺しを繰り返していると柱に任命されていた。愼寿郎さんはまだ柱だがもうすぐ杏寿郎に炎柱を継がせたいと俺に話をしていたことを良く覚えている。
瑠火さんはもう亡くなっていて葬式には俺も参加した。炎の呼吸を受けていた時の思い出がふと蘇る。
葬式が終わった後、杏寿郎と愼寿郎さんから「葬式に来てくれてありがとう」と言われた。大切なものをくれた煉獄家には返しきれない恩がある。そう言ったら愼寿郎さんは頭を下げてもう一度お礼を言っていたんだっけ。
あ、そうそう。俺が柱になった時に、ナミアムダブツの人が同時に柱になった。19歳の岩柱、[悲鳴嶼行冥]さんである。岩の呼吸は俺もまだ知らない呼吸だ。
颯「なので岩の呼吸…教えてもらおうかなーって…でもよく知らないんですよね…重い武器とかを使うって話も聞いたことありますし。」
鱗滝「まぁ間違ってはいない。特殊な加工をして玉鋼を鉄球などの形に仕上げた岩の呼吸の使い手は良く見るが…刀でその呼吸を使う者は未だに見た事がない。」
颯「そこでなんですが…鱗滝さん、この山の頂上って最近行ってますか?」
鱗滝「頂上か…なぜだ?」
颯「入倒した後にここに来た時に鉄を置いたんですよ。頂上に。」
鱗滝「鉄か……刀を捨て、新しい武器でも作る気か?」
颯「刀は使いますよ?これは想像なんですけど…例えば…………」
鱗滝「なるほど…それは儂も見たことがない。確かにそれを実現するには多くの玉鋼が必要だ……刀鍛冶に相談してみてはどうだ?」
颯「それもいいかと思ったんですが…結構難しくて断られそうで…」
鱗滝「彼らの職人としての心を甘く見るな。きっと、[それ]を作ってもらえるだろう。」
颯「なるほど……あ、お腹減りました。」
鱗滝「よし、晩飯にするか。」
颯「わーい」
颯「では行ってきます……あれ?どこにあるんですか?刀鍛冶の里って。」
鱗滝「そこは御館様に言ってもらえれば分かるだろう。柱の意見ならある程度聞いてもらえる。」
颯「分かりました……そういえば御館様の屋敷ってどこにあるんですか?前にお医者さんと一緒に行った時も目隠しされて鴉に案内されて産屋敷邸に行きましたし」
鱗滝「……次の柱合会議を待つしかない…」
颯「えぇ…まぁとにかく行ってきます。」
「鱗滝さん…あいつは…一体?」
鱗滝「あいつが志木寺颯だ。」
「…強いんですか?」
鱗滝「あぁ。お前よりも、義勇よりもな。」
時柱の朝は早い。まぁ早くないけど。夜だけど。
颯「一般隊士との任務かぁ…十二鬼月の危険性ねぇ…本当にそんなの…」
「なんと!まさか合同する柱がお前だったとは!」
颯「…ん?おぉ!杏寿郎か!」
杏寿郎「うむ!階級はまだ壬だがな!」
颯「みずのえ……下から2番目か。」
杏寿郎「まだ俺は入隊したばかりだ!ここから階級を上げていく!」
颯「…そうだな。天国にいる瑠火さんにも炎柱にになった、お前を見せてやらなきゃな。」
杏寿郎「…あぁ。母上が誇りを持てるような柱になると俺は誓ったからな!そしてお前を超える!!!!!」
颯「耳が痛え」
颯「ここの寺だな。」
杏寿郎「そのようだ。俺が中に入ってみる。不意打ちで攻撃をされるなら俺の方が良いだろう。」
颯「えっちょっ」
杏寿郎「参る!」
寺の襖を開けた瞬間・・・
鬼「何バカみたいに襖開けてんだよ!十二鬼月の怖さを知らない阿呆め!」
お、鎌みたいなので奇襲をかけるつもりなのか。
杏寿郎「くっ!颯!俺に攻撃をしている隙を…」
颯「もう終わった。」
時の呼吸 参ノ型 金烏玉兎
鬼「なっ…俺は下弦の弍なのに…!!??」
鬼「おっお前!志木寺颯じゃないか!?クソっ!山吹色の髪をしたガキだけかと思った!クソ!クソ!俺は隊士を何十人も食っているんだぞ!それを」
颯「よし、今日の任務終わり。囮役になってくれてごめんな。」
杏寿郎「…」
颯「?」
杏寿郎「わっはっはっは!よもやよもやだ!まさかこれ程までに差がついていたとは!自分でも強くなったと思ったが、やはりお前には適わんな!」
颯「…当たり前だろ?柱舐めんな!」
杏寿郎「父上も同じ土壌にいると思うと道は果てしなく遠いな!でも俺は諦めない!」
颯「分かった。もう分かったから」
杏寿郎「俺も父上のような立派な炎柱になる!」
颯「落ちつけ」
杏寿郎「ではまた会おう!颯!次に会う時は柱合会議かもな!」
颯「階級上がりすぎだろ!」
杏寿郎「確かにそうだ!」
颯「さて…鱗滝さんのとこにでも行きますか…土産でも買ったし。」
狭霧山に行こうとすると何かの騒ぎ?があった。
颯「えーっと…なんの騒ぎですか?これ」
村人「君は村の人じゃないから知らないんだね。実は明日、蔦子ちゃんが祝言を挙げるのよ!」
颯「蔦子ちゃん…へぇ…それはおめでたいですね!」
村人「そうなのよ!良ければあなたも見るために今日は泊まっていく?」
颯「あ、じゃあお言葉に甘えて……先にご飯代渡しときます。」
村人「別にそんなかしこまらなくても…えっ…何この量。」
颯「そういえば蔦子さんの家の場所って?」
村人「どうしてそんなことを…?まぁ教えてあげるけど…」
颯「ではおやすみなさい…」
村人「えぇ。おやすみ。」
村人「zzz…」
颯「いくか…」
蔦子「義勇…あなたはここに隠れていて…」
義勇「蔦子姉さん…そんな…」
蔦子「大丈夫よ。姉さんに任せておいて。」
義勇「お、俺が代わりに…だって…姉さんは明日祝言を…」
蔦子「しっ!静かに…」
鬼「美味そうな小娘だなぁ…俺は今あまり腹は減ってねぇが…小娘は大好物だ。だが子供の声が聞こえたなぁ…子供はもっと大好物だ。まずは一人目…ここの村のやつを全員食い殺すんだ…俺は……」
蔦子「ひっ…」
鬼「子供を差し出せば見逃してやるが」
蔦子「子供なんて…いない…」
鬼「じゃあ俺の聞き間違えか?ま、いいか…そんなことは…さてと…けひひ…」
颯「けひひじゃねーよ死ね」
色の呼吸 黄ノ型 霹靂一閃
鬼「あ?」
蔦子「体が消えて…」
颯「大丈夫ですか?」
蔦子「き、君は…?」
颯「ん~…まぁさっきみたいなやつを駆除する仕事をしてる感じですかね。もうあんなやつはいないので安心してください。」
義勇「…本当か?」
颯「おん」
蔦子「あ、ありがとうございます…」
颯「明日祝言を挙げるのに災難があっちゃ困りますからね。ではこれで…」
義勇「…待ってくれ。」
颯「うん?」
義勇「…鱗滝さんを…知ってるか?」
颯「知ってるけど…なんで?」
義勇「…お前…もしかして、志木寺颯…か?」
颯「ん?そうだけど…」
義勇「そうか!お前が!」
颯「え 何」
颯「何歳なん?」
義勇「13だ。」
颯「俺より1歳上なんだな…なんで鱗滝さんを知っているんだ?」
義勇「…俺はあの人に呼吸法を教えてもらってる。」
颯「ほうほう」
義勇「そしてよく聞かされる、お前のことを。」
颯「お前て」
義勇「? 年上だろう。」
颯「こいつ冨岡義勇だったわ。」
義勇「話を戻すぞ。鱗滝さんはよくお前のことを話していた。儂を超えた だとか あの子は柱になる等だ。」
へぇ…嬉しいもんだねぇ。
義勇「俺はそうは思わない。明日の昼、手合わせを願う。」
そうはならんやろ。