一瞬の時を止める色彩の鬼殺隊員   作:ドドドード・ドードリオ

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颯くんの傷は猗窩座戦の冨岡さんをイメージしていただければわかりやすいと思います。(猗窩座にお腹ドスッ!ってやられた時)


第八話 雷の呼吸 その壱

颯「…」

 

鎹鴉「動かないノカ」

 

颯「この腹の傷を見ろよ…貫通はしてないけど体内に拳が入ったんだぞ…あぁ痛え…」

 

鎹鴉「そんなお前のために人を呼んでやった。感謝シロ。」

 

颯「まじすか先輩ありがとうございます」

 

鎹鴉「フッ…」

 

ドヤ顔(?)をしてる鎹鴉の頭を撫でながら俺はその場で助けを待った。誰が来るのかな…ぶっちゃけ誰でもいいや…早くこの傷を治したい。

 

 

「鎹鴉が言っていたのはこの子供のことか。」

 

颯「え?え!?」

 

「確かに腹の傷が深い…歩けるか?」

 

颯「あ…結構難しいです……」

 

「仕方ない…」

 

鎹鴉よ…お前…めっちゃ仕事人だな…

 

 

颯「その…あなたは…?」

 

「お?儂か?」

 

 

慈悟郎「儂は元鳴柱の桑島慈悟郎じゃ。今は雷の呼吸の育手をしておる。」

 

颯「そうなんですね。…今、育ててる人っていますか?」

 

慈悟郎「今はまだおらんなぁ…」

 

颯「では!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桑島さんの小屋に入れてもらい、どうしてあそこにいたのか、怪我した原因は、そして俺について話した。

 

慈悟郎「そうか…鱗滝のやつがお前を…」

 

颯「はい…何が適性があるかが未だに分からなくて…」

 

慈悟郎「…適性があるかどうかの話じゃなさそうじゃな。」

 

颯「…と言いますと?」

 

慈悟郎「お前に適性の呼吸などない。【全ての呼吸が適性】なんじゃ。」

 

颯「…え?」

 

慈悟郎「おかしいとは思わんか?刀の色が 透明 なことに…お前が習った水の呼吸と炎の呼吸を見せてくれ。」

 

颯「は、はい…」

 

 

そう言われて俺は水面切りから拾ノ型 生生流転、不知火から煉獄までの型を一通り放った。

 

 

慈悟郎「うむ…これで確信した。」

 

颯「刀が透明なのがそんなに…」

 

慈悟郎「自分では気がついてないんじゃな…」

 

慈悟郎「水の呼吸を使った時、刀の色が青色に変わり、炎の呼吸を使った時は刀が赤色に染った。」

 

颯「えっ!?」

 

慈悟郎「刀が透明の剣士は どんな型でも使える。儂はそう考えた。確かに二つ以上の呼吸を使うことも不可能ではないが…必ず技の練度に差が出る。」

 

颯「なるほど…」

 

慈悟郎「お主の水の呼吸、炎の呼吸はどちらも極限まで精度が高い。」

 

何その考察…めっちゃ納得いく…

どの呼吸も使える…じゃあどんどん使える呼吸増やしていけば刀が色んな色に変わっていくのか…

 

【色】…?

 

特典は二つ、時を止める能力と 色の呼吸…

 

 

 

そういうことか。やっと分かった。

 

 

 

色の呼吸は、一つの【色】に固定されない、様々な【色】を使って戦えるから…色の呼吸なんだ…!

 

 

 

 

慈悟郎「おい、聞いておるか?」

 

颯「あっ、はい。」

 

慈悟郎「では儂は今何の話をしたと思う?」

 

颯「蕎麦が美味しいって話を…」

 

慈悟郎「全然聞いておらんではないか!」

 

そう言って慈悟郎さんは俺の頭にゲンコツをする。痛てぇ。

 

 

慈悟郎「お前の体質は特殊じゃ。使える呼吸は多い方が良い。だから儂が雷の呼吸を教えてやると言ったんじゃが…」

 

颯「本当ですか!?」

 

慈悟郎「さっきもそう話したんじゃ!ちゃんと聞いておれ!」

 

颯「是非!是非お願いします!」

 

頭を下げてお願いする。霹靂一閃!霹靂一閃を使えば大抵の鬼は瞬殺!

 

慈悟郎「まぁその腹の傷を治してから…」

 

颯「すぐに治します!やった!」

 

慈悟郎「そ、そこまで喜ぶ程か…」

 

 

 

腹の傷を俺は2週間かけて治した。

そしてやっと雷の呼吸が…!

 

慈悟郎「いや、まだ雷の呼吸は教えん。」

 

颯「え、なんで」

 

慈悟郎「足腰を鍛えなければ雷の呼吸は難しい。試しにあそこにある的をできるだけ速く斬ってみろ。」

 

颯「速く…?型を使っても?」

 

慈悟郎「型はダメじゃ。」

 

 

う~ん…すぐに教えてもらったほうがありがたいんだよな…ちょっとズルするか…

 

 

颯「ではいきます…」

 

俺は若干 陸ノ型 朱雀に近い構えをとり、的に向かって飛びかかった。

 

(時よ…止まれ)

 

カチカチカチ…

 

流石に止めてる間に斬ったら警戒されるので的の近くまで移動する。

 

スン…

 

 

的が真っ二つに斬れる。これは勝ったね…合格です。

 

 

 

慈悟郎「遅いな。」

 

颯「ええええええええぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 

 

 

俺は足腰を鍛える。ひたすらに。

 

死ぬほど重い岩を持ちながらスクワット。痛てぇ。

 

雷鳴のような速さを再現するには蹴る力だって必要。だから瞬発力も鍛えなければならない。

 

速く、強く。雷神のごとく。

 

颯「雷神のごとく ってなんですか?」

 

慈悟郎「ごちゃごちゃ言ってないで鍛錬に集中せんか!」

 

 

 

 

 

慈悟郎「そろそろじゃな。」

 

颯「お、てことは…!」  

 

慈悟郎「雷の呼吸の習得を始めるぞ、颯。」

 

 

颯「おぉ!」

 

慈悟郎「だがな…お前のような天才でも雷の呼吸に慣れるのには時間がかかる。炎の呼吸はどのぐらいで覚えた?」

 

颯「二ヶ月です。」

 

慈悟郎「に、二ヶ月か…随分と早いな…そうだな…早くて五ヶ月じゃな。」

 

颯「五ヶ月ですか。」

 

慈悟郎「あぁ。少なくとも最終選別が始まる前には覚えているじゃろう。」

 

颯「それなら安心しました…」

 

 

慈悟郎「では始めるぞ…雷の呼吸の基礎において最強の型…」

 

 

 

【雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃】

【雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 神速】

 

颯「神速を覚えれば普通の霹靂一閃を使う意味が…」

 

慈悟郎「馬鹿者。神速は足に負担がかかる技じゃ。無闇に連続して使えるような型ではない。」

 

颯「なるほど。これって究めに極めれば漆ノ型とかもつくれるんですかね。」

 

慈悟郎「漆ノ型か…神速を超えるような速さを生み出せる剣士なんて想像もつかんが…」

 

颯「…」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

雷の呼吸 漆ノ型 火雷神

 

 

獪岳「畜生!!畜生!!やっぱりあの爺 贔屓しやがったな!!」

 

獪岳「お前にだけ教えて俺に教えなかった!!」

 

善逸「違う 爺ちゃんはそんな人じゃない。」

 

 

善逸「これは俺の型だよ」

 

善逸「俺が考えた 俺だけの技」

 

善逸「この技で、いつかあんたと肩を並べて戦いたかった…」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

颯「…!?」

 

慈悟郎「どうしたんじゃ…さっきからぼーっとしてるが…」

 

颯「いや…霹靂一閃を超える速さってどのくらいなんだろうって思いまして…想像つかないなぁと…」

 

何だ…今のは…あの光景…確か上弦の陸の獪岳と善逸との戦いだよな…

 

そっか…獪岳が鬼になるから今俺の目の前にいる桑島さんも死ぬ運命になるのか…

 

慈悟郎「…大丈夫か?」

 

颯「はい…大丈夫です。」

 

慈悟郎「……儂が将来育てた子を誇りに思う日がいつか来る…なぜか今そう思ったんじゃが…お前がそうなのかもしれんな…」

 

 

違う。違うんだよ。

 

 

俺みたいな鬼滅の世界に関係ない部外者は 善逸みたいに なれない。


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