ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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おかしい・・・。天獄篇を買ったはずなのに、いつのまにか第三次OGをやっている自分がいた・・・。


第百一話 どうやら騎士(笑)だけでなく家主(笑)にもなってしまったようです

「さてと・・・そろそろ私達はお姫様の所へ帰りましょうか」

 

「だな」

 

「わかりました」

 

そろそろ解散しようという流れになり、ヴァーリさん、美猴さん、アーサーさんが最初に動いた。それをアザゼル先生が引き止める。

 

「おうこらテロリスト共。なに普通に帰ろうとしてやがる」

 

「ふうん、協力者に対してずいぶんな言い方ね。今回来たのは私達の思惑があったからであって、『禍の団』は関係無いって伝えたはずだけど?」

 

「ふん、いきなり首突っ込んで来やがった癖によく言うぜ。・・・まあいい。結局、俺の警告をしっかり守ったみたいだしな。今回だけは特別に見逃してやる」

 

「流石ね、アザゼル。適当な所や強引な所が目立つけど、そうやって何だかんだで約束はきっちり果たす所だけは好きよ」

 

「“だけ”ってお前・・・。褒めてんのか貶してんのかどっちだよ・・・」

 

「もちろん褒めてるのよ」

 

「・・・そうかい」

 

憮然としつつちょっと嬉しそうなアザゼル先生。・・・やっぱり、アザゼル先生=父親。ヴァーリさん=娘の式は成立するんじゃないだろうか。

 

「ヴァーリちゃん。色々ありがとな」

 

「一誠、最後のあの一撃は見事だったわ。あなたの『覇龍』・・・楽しみにしてるから」

 

「うん。いつになるかわからないけど、俺も絶対にキミと同じ場所に辿りついてみせるから。・・・あ、それと、結局先輩にお願い出来て無いけどいいの?」

 

「ええ。亮真はともかく、あの様子じゃフェンリル達自身が納得してくれそうにないから」

 

「そ、そっか。だからさっき“ぱっくん”されたわけだな。手は大丈夫なの?」

 

「問題無いわ。あの子の神器のおかげで傷一つ残って無いから」

 

おやおや、何だか仲良さそうな雰囲気じゃないですか。俺の知らない間に何があったんですかね。

 

「っと、そうだ。先輩! ちょっと来てください!」

 

何だ何だ? いきなりのご指名に戸惑いつつ兵藤君とヴァーリさんの所へ向かう。

 

「どうしたんだ兵藤君?」

 

「なんかヴァーリちゃんから話があるみたいですよ」

 

「え? ちょっと一誠? 私は別に・・・」

 

「何でもいいから話しときなって。次にいつ会えるかわかんないんだし。ライバルも多いんだから」

 

「ライバル? あなた何の話を・・・」

 

「恋路を応援するのも“友達”の務めってね」

 

「なっ・・・!?」

 

「へへ。という事で、お邪魔虫は退散させていただきまっす」

 

去り際に兵藤君が耳打ちすると、ヴァーリさんが酷く驚いた表情を見せた。普段あまり感情を荒立たせない彼女だけに、珍しい光景だった。一体何を耳打ちしたかもの凄く気になる。

 

(友達ってそんな事までするの? というか、恋路って何よ。まさか、周りからは私が亮真に恋愛感情を持っている様に見えているのかしら。それこそありえないのに。私にとって彼は目指すべき目標であり、いつか倒すべき相手であり・・・私の初めての友達で、出会う度に『禍の団』を抜ける様促して来るお節介さんで、実は嗜虐心に溢れてて私と相性が抜群だったり、私の『覇龍』を侮る事も笑う事も無く普通に受け入れてくれたり、話してるとたまに私の心に変なモヤモヤを生じさせる人ってだけで、それ以上でも以下でも無いのに)

 

「ヴァーリさん。話って?」

 

難しい顔で思案中のヴァーリさんへ声をかけると、彼女は一瞬だけ体をビクッとさせて俺の顔を見つめて来た。

 

「えっと・・・あれよ。フェンリル達をどうするか気になったの」

 

「どうもこうも、責任を持って飼うつもりだよ。オーディンさん曰く、番犬にはちょうどいいらしいが」

 

「ふふ、神喰狼が番犬だなんて、あなたは家を要塞にする気かしら」

 

そう言って笑うヴァーリさんだが、どうも笑顔がぎこちない。今のフェンリルについての話題も、本当に聞きたかった事なのか疑問に思えた。

 

「・・・亮真。あなたは今も私が『禍の団』にいる事に反対なの?」

 

「ああ」

 

いきなりの話の転換に面食らいつつしっかり答える。今までもそうだったが、最近立て続けに連中のさらなる腐れっぷりが判明してしまったのでその考えだけはしっかり示しておかないといけない。

 

「・・・そう。でも私はまだ『禍の団』を抜けるわけにはいかないの。あの子を・・・オーフィスを一人にしておくわけにはいかないから」

 

「なら二人で抜ければいいじゃないか」

 

「・・・え?」

 

「簡単な事だ。キミと一緒にあの子も抜ければいいんだよ。連中があの子を利用するだけ利用して、あの子の望みを叶えてあげていない事はあの子自身から聞いたからな」

 

「それは出来ないわ。それに、仮に一緒に抜けたとして、『無限の龍神』なんて存在を受け入れてくれる所なんて・・・」

 

「その時は俺の家に来ればいい。既に同居人が四人もいるんだ。これから女の子二人増えた所で問題にはならない」

 

言うだけ言って後は知らん・・・なんて無責任な真似をするつもりは無い。それに、こっちに住めばオーフィスちゃんだってきっと友達を作れるはずだ。

 

「あははは!」

 

いきなりヴァーリさんが腹を抱えて笑い始めた。よっぽどおかしいのか、目に涙まで浮かべている。

 

「ヴァ、ヴァーリさん? 何がそんなに面白いんだ?」

 

「何がですって? これが笑わずにいられるものですか。オーフィスを・・・あの『無限の龍神』をただの女の子扱いする人なんて、世界中探してもあなただけよ亮真。あなたって、どこか他の人とずれてる気がするわ」

 

ちょっと待てい! 露出強のキミが言ったってブーメランにしかならんぞ!

 

「でも、あなたの気持ちは素直に嬉しいわ。これからどうなるかはわからないけど、その時はよろしくね」

 

おお、これはひょっとして、ヴァーリさんも抜ける方向で気持ちが固まったのだろうか。よくやったぞ俺。諦めずに訴え続けてよかった。

 

「・・・それじゃあ、そろそろ行くわね。また会いましょう、亮真」

 

ヴァーリさん達は俺達の見守る中、魔法陣の向こうへと消えていった。そうして、彼女達を見送った後、俺達もそれぞれの家に帰るのだった。

 

「もしもし。私よ。・・・ええ。またあなた達の力を借りなければならなくなりそうだわ」

 

帰宅してすぐ、リアスがどこかへ連絡を入れていた。それがちょっとだけ気になったが、疲労と眠気のダブルパンチで限界だった俺は、フェンリル達を連れて自室へ戻った。とりあえず、今日はみんなここで寝てもらう事にしよう。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

その翌日、オーディンさんが北欧へ帰るという事で、みんなで見送りする事になった。本人はもう少しゆっくりしたいみたいだったけど、これから忙しくなるから仕方ないとの事だった。

 

それはいいのだが、オーディンさんは最後にとんでもない置き土産を置いていった。

 

「という事で、オーディン様の命により、本日より駒王学園の教師として働かせて頂く事になりましたのでよろしくお願いします」

 

そう言ってぺこりと頭を下げるのは、オーディンさんの付き人だったはずのロスヴァイセさん。

 

「戦乙女である私がオーディン様の下から離れるのは非常に、非常に心苦しい事ではありますが、オーディン様ご自身に命令されては仕方がありませんので、学園生活を通じてフューリー殿を監視するという役目をしっかり果たさせて頂きたいと思います」

 

非常にとか仕方無いとかやけに強調するロスヴァイセさん。だけど、そんな言葉とは裏腹に、顔は嬉しそうだった。

 

(へっ、あのジジイにしては随分な気の遣い様じゃねえか。弄るだけじゃなくて、ジジイなりにちゃんと考えてやってんだな)

 

「何ですかアザゼル先生? そんな微笑ましい物を見る様な目を私に向けて」

 

「いいや、何でもねえよ。ま、精々頑張るこった」

 

「ええ。お役目はキッチリ果たしますよ」

 

(やれやれ、素直じゃねえ所は主譲りってか?)

 

というわけで、ロスヴァイセさん改めロスヴァイセ先生が新たに加わり、また俺の日常が賑やかになりそうだった。その後、ついでとばかりにフェンリル達の周りの物を買う為にペットショップに寄って色々買う事にした。ちなみに、食べ物に関してはロスヴァイセ先生から基本的には何でも食べると教えてもらった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

さらに次の日。今度はバラキエルさんがこの街を去る事になった。護衛対象だったオーディンさんが既にいないので当然と言えば当然なのだが。

 

またしばらく離れ離れになるであろう親子の時間を邪魔しないようにと、今回は見送りを止めておこうという流れになったのだが、そんな俺達の家に、両手一杯に荷物を持った朱乃とバラキエルさんが訪ねて来た。

 

「おはよう、リョーマ」

 

「あ、ああ、おはよう。どうしたんだ、バラキエルさんまで一緒に。それに、その荷物は?」

 

「これは私の私物よ。今日から私もこの家でお世話になるわ」

 

「・・・え?」

 

「ちなみにリアス達にも了承を得ているわ」

 

ちょっ! 待って待って待って! 初耳! 俺は初耳ですから! え、一応家主は俺なんですけど、その俺だけはぶられるってどういう事ですか!?

 

「フューリー殿。貴殿・・・いや、無礼を承知であえてキミと呼ばせてもらう。朱乃を託せられるのはキミしかいない。私のいない間、朱乃を守ってやってくれ」

 

バラキエルさん、あなたもか! あなたは立場的に反対せにゃ駄目でしょうが! 大事な娘を野郎の家に住ませるとか何か間違いがあったらどうするんですか! いや、別に間違いを起こす気は無いですけどね!

 

「来たわね朱乃。部屋に案内するからついていらっしゃい」

 

「わかったわ」

 

階段の方から顔を覗かせるリアス達に返事をして、朱乃が呆然とする俺の横を通り過ぎて行こうとしたその時・・・俺の頬に柔らかい何かが触れた。

 

「うふふ、これから今までの遅れを取り戻してみせるわ。覚悟していてねリョーマ」

 

最後に可愛らしくウインクして、朱乃は階段を駆け上って行った。俺はというと、そんな彼女の背を見送りながら、何かが触れた方の頬をそっと擦った。

 

「バラキエルさん。とりあえず、朱乃の荷物を置いたらリビングの方へ・・・」

 

そう言ってバラキエルさんの方へ顔を向けると・・・そこにはおっそろしい表情で俺を見つめるバラキエルさんが立っていた。

 

「ハ、ハハ、ソウダナ。ドウモキミニハイッテオカナイトイケナイコトガタクサンアルヨウダ」

 

ヤバ過ぎるプレッシャーを放ちながら、バラキエルさんも朱乃の後を追って階段を上っていった。

 

「ぐるるる・・・!」

 

フェンリル、あの人は敵じゃないんだから威嚇するのは止めなさい。

 

低い唸り声を上げるフェンリルの頭を撫でつつ、俺はひとまず全員分のお茶を用意する為にリビングへと向かうのだった。




というわけで、七章終了です。次回から八章・・・は原作だと短編集なので、飛ばして九章から始めるつもりです。まあ、勝手に日常編をブッ込んでもいいんですけど。

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