ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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第百五話 旅立ちの日に

アーシアSIDE

 

修学旅行の前夜、万が一があってはいけないと、私は最後の荷物チェックを行っていた。私の所為で誰かに迷惑をかけたくないですからね。

 

「あら・・・?」

 

部屋のドアからカリカリとひっかく音が聞こえたので開けると、部屋の前にスコルちゃんがいた。

 

「がう!」

 

部屋に入って来たスコルちゃんが、広げられた荷物を見て私の方を向いて来た。

 

「あのね、私は明日から修学旅行へ行くの。だから忘れ物が無い様に確認してたんだよ」

 

「がうがう!」

 

尻尾をフリフリさせながら見つめて来るスコルちゃん。・・・もしかして、自分も連れて行って欲しいって思ってるのかな?

 

「ゴメンね、一緒には連れていけないの。お土産買って来るからお留守番お願いね」

 

「がう・・・」

 

シュンとするスコルちゃん。思わずカバンに入れてこっそり連れて行ってあげようかと思ってしまった。し、しっかりしなさいアーシア・アルジェント。

 

スコルちゃんはその後も、私が荷物を全部確認し終わるまで部屋の隅にジッと座っていた。そうして、私が寝ようとベッドに横になった時に飛び込んで来たので、今日は一緒に寝る事にした。

 

(早く明日にならないかな・・・)

 

今からワクワクが抑え切れなくて、私は中々寝付けないのだった。

 

アーシアSIDE OUT

 

 

IN SIDE

 

修学旅行当日、俺達は揃って玄関でアーシアを見送る事にした。

 

「楽しんでいらっしゃいね、アーシアちゃん」

 

「たくさん思い出作ってくるにゃ」

 

「・・・お土産期待してます」

 

朱乃、黒歌、塔・・・小猫がそれぞれにアーシアへ声をかける。俺も続けてそれに倣った。

 

「アーシア、気をつけて」

 

「リョーマさん・・・」

 

アーシアが突然抱きついて来た。思わず抱きしめ返してしまった俺に、アーシアは小さな声でこう言った。

 

「えへへ、離れ離れになる前にリョーマさん成分を補給するのです」

 

ははは、そうかそうか・・・相変わらずこの天使様は俺を殺す気が満々の様で。誰か、鼻血やらその他を我慢出来た俺を大いに称えてくれませんかね。

 

「ほら、白音。あなたもああいう風に甘えたらいいにゃ」

 

「勉強になりま・・・って何で私に振るんですか」

 

「あれを素でやれるのがアーシアちゃんの恐ろしい所ね・・・」

 

ヒソヒソ話をする三人の前で、俺とアーシアはどちらともなく離れた。

 

「それじゃ、そろそろ行きましょうか、アーシア」

 

リアスが玄関の扉を開ける。彼女だけは駅まで一緒について行く事になっている。なんでも、兵藤君達に渡しておかないといけないものがあるらしい。

 

「はい!」

 

「みんな、後の事はお願いね。・・・それとリョーマ。帰って来たら私にも同じ事をしてもらうからそのつもりで」

 

「え?」

 

最後に謎の言葉を残し、リアスとアーシアは出て行った。同じ事って何すりゃいいんだ? ・・・まあいいか、帰って来たらリアスに聞こう。

 

「さて、私達も学校へ行く準備をしないといけませんわね」

 

「ああ。けどその前にフェンリル達の食事を用意しないと。みんなもう起きてるのか?」

 

「はい。ここに揃って・・・あれ?」

 

「スコルがいないにゃ」

 

黒歌の言う通り、フェンリルとハティはそこにいたが、スコルの姿がどこにも無かった。まだ寝てるのかと思って全員で家の中を探してみたのだが、それでも見つける事が出来なった。

 

「どういう事だ。これだけ探しても見つからないなんて」

 

「あの、先輩」

 

「ん? 何か知ってるのか小猫?」

 

「いえ、そうじゃないんですけど。アーシア先輩が出て行く直前、持っていた旅行カバンが不自然に動いた様に見えたんですけど」

 

「・・・まさか」

 

SIDE OUT

 

 

イッセーSIDE

 

とうとうこの日がやって来た。高校生最大のイベントにして、俺にとっては命をかけた戦いの舞台でもある修学旅行が。

 

「よし・・・行くか」

 

靴ひもをしっかり縛り、俺は荷物を手に立ち上がった。

 

「忘れ物は無いんでしょうね、イッセー?」

 

「まあ、人様に迷惑をかけない範囲で精一杯楽しんで来い」

 

父さんと母さんが珍しく俺を見送ろうとしてくれた。なんだろう、今なら普段言えない様な事が言えそうな気がする。

 

「父さん、母さん、今日まで俺を育ててくれてありがとう。本当に感謝してる」

 

「ど、どうしたのよイッセー。いきなりそんな事言うなんて」

 

「まさかお前からそんな言葉が聞けるとはなぁ。こりゃ今日明日は雨でも降るか?」

 

俺の言葉に首を傾げる両親。我ながらこのタイミングで言う事ではないと思うが、それでも言いたかった。

 

「ゴメン。なんか急に伝えたくなってさ。それじゃ・・・逝って来ます」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

二人に送り出され、俺は家を出た。・・・不思議だ。昨日まで滅茶苦茶不安だったのに、今は凄く気分が落ち着いている。これなら旅行も楽しめそうだ。

 

―――相棒。

 

おう、おはようドライグ。旅行中もよろしく頼むぜ。

 

―――わかっている。俺は全力でお前をサポートしてみせるさ。俺とお前が力を合わせれば不可能なんて無い・・・そうだろう?

 

はは、やっぱりお前は最高の相棒だよドライグ。お前と一緒なら、きっと何だって出来る。

 

気付けば駅まで後数分の交差点までやって来ていた。すると、まるでタイミングを計っていたかのように、右からゼノヴィア、左からイリナが姿を現した。そして、俺達は誰が言うでも無く並んで歩きだす。

 

「・・・いい顔してるね、イッセー君」

 

「そういうイリナこそ。なんか悟った様な顔をしてるじゃねえか」

 

「昨日、ミカエル様から激励のお言葉を頂いたの。なんだったら天使を数人送ると言ってくださったけど、丁重にお断りさせて頂いたわ」

 

「そうか・・・。ゼノヴィアは?」

 

「脳筋の私があれこれ考えたって無駄さ。全力を尽くす・・・ただそれだけだよ」

 

それを最後に会話が途切れる。でも問題無い。言葉は交わさなくても、俺達の心はとっくに一つになっているのだから。

 

(((そう・・・俺(私)達の戦いはこれからだ・・・!!)))

 

イッセーSIDE OUT

 

 

リアスSIDE

 

「ッ・・・!?」

 

駅に到着すると、既に祐斗が先に来ていた。彼とアーシアと一緒の残りの子達を待っていた私は、突如凄まじいプレッシャーを感じ取った。

 

「部長、この気配は・・・」

 

「中級・・・いえ、下手すれば上級に迫るプレッシャーだわ」

 

いったい何者? そもそもなぜこのタイミングで現れたの? 色々疑問は尽きないが、まずはその正体を確認しなければ。

 

アーシアを背中に隠し、私と祐斗はプレッシャーのする方へ目を向けた。すると、そこには予想だにしない人物達の姿があった。

 

「イ、 イッセー・・・?」

 

真っ直ぐにこちらへ向かって来ているのはイッセーらしき人物だった。このらしきというのは、本当に彼がイッセーなのかどうか自信が無かったからだ。

 

外見は間違い無く彼だ。だけど、私の知るイッセーは普段、あれほどまでに強烈な覇気を纏ったりしていない。そして、それは彼の両隣に並ぶゼノヴィアとイリナらしき人物達にも当てはまる事だった。・・・どうでもいいけど、今の彼等のバックには夕暮れの荒野がよく似合いそうだった。

 

「おはようございます、部長、アーシア、木場」

 

いつもの様な明るい挨拶。そこでようやく私は彼がイッセーだと認識出来た。

 

「お、おはよう、イッセー。な、何だかいつもと雰囲気が違う気がするのだけれど」

 

「そうですか? ゼノヴィア、俺なんか変かな?」

 

「いいや。変じゃないさ」

 

「そうそう。イッセー君も私達もいつも通りですって」

 

いやいや、明らかに違うでしょ! 何なの。私の知らない所で何があったっていうの?

 

「みなさん、これから四日間よろしくお願いします!」

 

深々と頭を下げるアーシアに、イッセー達は互いに顔を見合わせた後、ゆっくりと頷いた。

 

「・・・ああ、こちらこそよろしくね、アーシア」

 

「キミは旅行を楽しむ事だけを考えていてくれ」

 

「それを阻むものは、何であろうと私達が排除してあげるから」

 

「あなた達・・・何しに行くつもり?」

 

アーシアへそれぞれに声をかける三人へ、私はそうツッコミを入れてしまうのだった。

 

リアスSIDE OUT

 

 

IN SIDE

 

一時間目の授業中、俺はチラッと時計を見た。今頃、アーシア達は新幹線の中かな。京都の文化は独特な所もあるから、きっと彼女にとっていい体験が出来るだろう。

 

まあ、兵藤君、ゼノヴィアさん、紫藤さんが一緒だし、彼等と一緒に目一杯楽しんで来てくれればそれでいい。俺は土産話を楽しみにしていよう。

 

そんな事を思いつつ、俺は板書写しを再開するのだった。




果たして、イッセー達は天使護衛計画(勘違い)を成功させる事が出来るのか。そして、いなくなったスコルはどこへ行ったのでしょう。

のんびりな日常とシリアス(一部のキャラだけ)の修学旅行。どっちも頑張って書いていこうと思います。
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