ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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第百八話 本能と理性の狭間

イッセーSIDE

 

「そいやさぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「たわばっ!?」

 

手近な鳥頭へ一発ブチ込む! それだけで鳥頭は吹っ飛んで行く。おいおいぃ、脆すぎんぜ鳥頭さんよぉ! その程度で今の俺達と止められると思うなよぉ!

 

「ほらほらどうしたぁ! 私に攻撃を当てられない様では話にならないぞぉ!」

 

四方八方から迫る攻撃を、ゼノヴィアは最小限の動きとアスカロンによって全て捌ききる。いいぜいいぜぇ。お前も乗って来たじゃねえかよゼノヴィア。

 

「無理してそいつ等を相手取るな! ともかくあの娘を確保・・・!」

 

「誰を確保するですってぇ・・・?」

 

そこら辺にあった木の棒に聖なるオーラをありったけ込め、イリナが周囲を睨みつける。それだけで、アーシアに近づこうとした連中の動きが止まった。

 

(す、凄い! なんだか今の皆さんもの凄く頼りになります! ・・・でも、今の皆さんを見ていると、黒歌さんに貸して頂いた漫画に出て来た不良さん達を思い出してしまうのは何ででしょう)

 

「ゴァァァァァァァァァ!!!」

 

鳥頭や狐を何人か片付けた所で、奥に控えていた赤い巨人が両腕を振り上げて襲い掛かって来た。へ、こっちから仕掛ける手間が省けたぜ! いくぞドライグ!

 

―――いつでもいいぞ相棒!

 

「っしゃあ! 逝けやオラァァァァァァァァァァ!!!」

 

『Explosion!!』

 

拳と共に打ちつけた力を解放する。同時に巨人の腹がベコリとへこみ、巨人は口から血を吐き出しながらその場に崩れ落ちた。

 

「な、なんだ! なんなんだコイツ等は!?」

 

それはこっちのセリフじゃボケ。とりあえず一人とっ捕まえて正体をゲロさせてやろうか。そう思って戦闘不能にした鳥頭の元へ近づこうとしたその時・・・。

 

「双方矛を収めるのじゃ!」

 

甲高いその声は、幼い女の子特有のものだった。声のした方へ俺達が一斉に振り向くと、そこには巫女装束を身に付けた女の子が立っていた。その頭部には、獣の耳が生えている。もしかして、小猫ちゃんと同じく妖怪の子なのかもしれない。

 

「く、九重様・・・!」

 

「何をやっておるお主等! 不用意に悪魔や天使に手を出すなと言われておるであろう!」

 

「で、ですが九重様! この者達はヤツ等の仲間の可能性が!」

 

「たわけ! その者達の服装をよく見るのじゃ!」

 

女の子にそう言われ、鳥頭達が俺達の制服をジロジロチェックする。瞬間、鳥頭達の表情が強張った。

 

「この服はまさか・・・!?」

 

「うむ、間違い無く“兄様”が着ていた物と同じじゃ。ならばこの者達がヤツ等の仲間であるはずが無いであろう」

 

「た、確かに九重様のおっしゃる通り。であれば、我等は何の罪も無い者達へ危害を加えようとしてしまったのか・・・!」

 

「我等は何という事を・・・!」

 

「盛り上がっている所悪いが、そろそろ俺達にも説明してくれねえか?」

 

そろそろ我慢出来なかったので声をかけると、女の子は俺達に向かって深々と頭を下げた。

 

「すまんの。そうしたいのは山々じゃが。まずはこやつらの手当てをしてやらねばならん。おそらく近い内に再び顔を合わせる時がある。その時に改めて謝罪させてもらうので、この場はひとまず下がらせてもらうぞ」

 

次の瞬間、突風と共に女の子達の姿は消えてしまった。

 

「・・・にしても、赤剛鬼を拳一つで倒すとは・・・兄様以来じゃな」

 

最後に、関心と驚きの混ざったそんな言葉を残して。

 

「・・・行ってしまったな」

 

ゼノヴィアが剣を収めながら連中が消えた方向へ目を向ける。なんとも腑に落ちない終わり方だったが、俺達の使命は無事に果たせた。

 

「アーシア、怪我は無いか?」

 

「はい。みなさんが守ってくれましたから」

 

「「「よし・・・!」」」

 

そして、俺達はハイタッチをし、互いの健闘を称え合うのだった。

 

Mission01『謎の連中からアーシアを守れ』クリア。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

襲撃を退けた後、俺達は松田達と合流し、伏見稲荷での観光を終えホテルへ戻った。そして、豪華な夕食を心ゆくまで堪能した。いやあ、一仕事終えた後の飯はやっぱり美味かったぜ。

 

そんでもって夕食後、俺達はアザゼル先生とロスヴァイセさんに襲撃を受けた事を報告した。それを受けた二人は困惑していた様だった。

 

それからスコルについて、ゼノヴィアの考察も含めて話そうとしたけど、先生はすぐに確認して来ると言ってどこかへ行ってしまった。なので次の機会へお預けとなった。

 

先生達と別れ、ロビーで松田達と明日の予定を話し合い、俺は部屋に戻った。その際、二人が妙に興奮していたのが気になったが、俺はしばらくしてその理由に気付いた。

 

部屋に戻り、布団の上でジッと過ごす事十数分・・・。

 

「さて・・・行くか」

 

俺は立ち上がり、部屋を抜け出した。そのまま大浴場のある階まで下りて行く。

 

「あ、イッセーさん!」

 

俺がその階へ到着すると同時に、アーシアとゼノヴィア、イリナに桐生がタオルやら着替えを持って姿を現した。

 

「やあ、アーシア。これからお風呂か?」

 

「はい! イッセーさんはどうしてここに? 男子のみなさんの入浴時間はまだ先ですよ?」

 

「そうだっけ? あはは、俺とした事が勘違いしちゃってたな。すぐに戻るよ。それじゃアーシア、ゆっくりお風呂タイムを楽しみなよ」

 

「はい!」

 

ニコニコ顔のアーシアが大浴場の入口へ消えて行く。そうだ、アーシア。キミは何も心配しなくてもいい。

 

「・・・頼むぞ、イッセー」

 

「中の事は私達に任せておいて」

 

「ああ。何であろうと侵入はさせねえ。全てここで止めてみせる」

 

続いて、ゼノヴィアとイリナが俺の肩を叩きアーシアの後を追う。残された桐生が疑わし気な視線を送って来た。

 

「アンタ・・・まさかこんな正面から覗くつもりだったの?」

 

「・・・はは」

 

思わず笑い声を洩らしてしまった俺を見て、桐生が首を傾げる。

 

「何よその笑い?」

 

「心配すんな。そんな事するつもりはねえよ。だから安心して入って来い」

 

なんだか可笑しな気分になってしまい、俺は思わず桐生の頭を撫でてしまった。・・・さて、ここにいたら変な疑いをかけられちまうし、ひとまず非常階段の方へ向かうとするか。

 

「な、何よ・・・調子狂うわね」

 

桐生の呟きは俺の耳には届かなかった。

 

イッセーSIDE OUT

 

 

ロスヴァイセSIDE

 

これから女子の入浴時間になる。そうなれば警戒しなければならないのが男子による覗きだ。特にあの松田君と元浜君には注意しなければならない。

 

それと、一応兵藤君も。けれど、最近の噂を聞くと彼はそんな事しない様に思えるけれど。

 

そんな事を考えていると、非常階段の扉が開き、なんと兵藤君が姿を現した。な、なんという事だろう。やっぱり噂なんて当てにならないのね。

 

「見損ないましたよ兵藤君! 覗きなんて犯罪行為に手を染めるなんて!」

 

「ファッ!? 何でいきなりdisられてんだ俺!? ま、待ってくださいロスヴァイセさん! 俺は覗きをするつもりは無いですって!」

 

「え? じゃ、じゃあどうしてここへ・・・?」

 

「それは・・・」

 

俺が事情を説明すると、ロスヴァイセさんは慌てて頭を下げて来た。

 

「ご、ゴメンなさい兵藤君。まさか、あなたがこちら側に回るなんて」

 

「ロスヴァイセさん。この場所は俺に任せて、あなたは大浴場の入口へ行ってください。流石に正面から攻めて来るとは思いませんけど、可能性はゼロじゃないですから」

 

「いいんですか? なんならシトリー眷属の誰かをつけて・・・」

 

「いえ、俺一人で十分です」

 

「わかりました。頼みますよ兵藤君」

 

ロスヴァイセさんが扉の向こうへ姿を消す。さて・・・俺の予想が正しければ、そろそろ来るはずだが。

 

「イッセー!?」

 

来たか・・・。階段の上から松田と元浜。そして数人の男子が姿を現した。

 

「部屋にいないから探したぞイッセー。何でこんな所にいるんだよ?」

 

「それはこっちのセリフだ。何しに来たお前等」

 

「そんなの、女風呂を覗きに来たに決まってるじゃねえか!」

 

悪びれる様子も無く元浜が答える。すると、後ろにいた男子が声をあげた。

 

「おい元浜! いい物見せてやるって・・・まさか覗きの事かよ!」

 

「それ以外に何がある?」

 

「ざけんなコラ! バレた時の事考えろや!」

 

「リスクを恐れる者に栄光は訪れない! だから俺は挑戦するのだ!」

 

「というわけだイッセー。お前も俺達と一緒に理想郷へ向かおうぜ」

 

「―――断る」

 

きっぱりと拒絶の意思を示す。すると、松田達は愕然といった表情を俺に向けて来た。

 

「あ、あれ・・・。おかしいな。俺の耳がおかしくなってなけりゃ、お前今断るって言ったか?」

 

「ああ。俺は女風呂を覗くつもりは無い。そして、覗こうとするお前等を見逃すつもりもない」

 

「なっ!? 女風呂だぞ!? 裸体パラダイスだぞ!? それを覗かないなんて正気か!?」

 

「そうだな。・・・覗きたくないって言ったら嘘になる」

 

最近じゃ大人しくなっただの、暑苦しくなっただの好き勝手言われてるが、俺の女の子好きな部分は無くなってしまったわけじゃないのだから。

 

「だったら・・・!」

 

「それでも俺は覗くわけにはいかない。俺は・・・俺はまだ死にたくねえんだよ!」

 

『ぐすん・・・イッセーさんに覗かれちゃいましたぁ』

 

『・・・モードF発動』

 

わかってるもんね! 絶対こうなるもんね! どう考えても黒焦げアフロじゃ済まないもんね!

 

「この兵藤一誠がいる限り、何人たりともここは通さない! それでも覗きたいというのならば、俺の屍を越えて行けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

自身を奮い立たせるよう、腹の底から声を出す。

 

「くっ・・・ここでKISHIBEのセリフとは、本気なんだなイッセー」

 

「手伝うぞ兵藤!」

 

一人の男子が俺の隣へ駆け下りて来た。さっき元浜へ抗議の声を上げたヤツだ。

 

「お前・・・」

 

「今、あそこには俺の彼女も入っているはず。それをむざむざコイツ等に見せるわけにはいかない」

 

「わかった。なら一緒にやるぞ!」

 

「・・・誤解してたよ。お前ってこんなに熱いヤツだったんだな。何だか俺も燃えて来たぜ」

 

思いがけない援軍を得て、俺の女風呂を巡る戦いが幕を開けたのだった。

 

イッセーSIDE OUT

 

 

イリナSIDE

 

『―――俺の屍を越えて行けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

イッセー君の叫び声が私の耳に届く。たぶん、聞こえたのは私とゼノヴィアだけだと思う。

 

「やはり覗きを企んでいたヤツ等がいたか」

 

「ええ。でもイッセー君がいれば大丈夫よ」

 

「そうだな。アイツはやる時にはやる男だからな」

 

「ところで話は変わるんだけど。私がいない間に神崎先輩と何か進展はあったの?」

 

私がそう言うと、ゼノヴィアはキョトンとした。

 

「なんだ藪から棒に」

 

「えへへ、ちょっと気になっちゃって。ほら、一緒に口説かれた身としてはね?」

 

「ふうん、アーシアってまだ生えてないんだ」

 

「はうあ!? み、見ないでください桐生さん!」

 

押し黙るゼノヴィア。反対からアーシアさんと桐生さんのそんな会話が聞こえて来た所で、ようやく口を開いた。

 

「・・・別に何も無いさ」

 

「え、そうなの?」

 

「お前はまだ先輩と関わるようになって短いからわからないだろうが、あの人の傍にいるとな、自分との格の違いを嫌でも理解させられるんだ。先輩の事を聞けば聞くほど、見れば見るほど、自分なんかではとても釣り合う様な人では無いと気付いてしまう」

 

「そんな事は・・・」

 

「元々、私は恋愛というものに興味は無かった。だから私が先輩へ抱いているこの想いが恋なのかどうかはわからない。・・・ただ、それに気付いてしまった時、何とも言えない虚しさを感じてしまったのも事実だ」

 

それって、もう完全に恋だと思うのだけど。

 

「今の私に出来るのは、精々特訓に付き合ってもらうだけだ。・・・でも、私はそれで構わない。先輩と二人で何かに打ち込む事が出来る。・・・それだけで私は幸せなんだと思う」

 

そう締めくくったゼノヴィアの顔は、どこか満足している様に見えた。ひょっとして、自分の中のモヤモヤを吐きだしてスッキリ出来たのかもしれない。

 

「・・・なんというか。あなたってそんな健気な人だったかしら?」

 

「さあな・・・自分でもよくわからないよ。というか、そういうお前はどうなんだ?」

 

「え? あ、わ、私の事はどうでもいいじゃない! ほら、アーシアさんと桐生さんが移動するから私達も行きましょう!」

 

誤魔化す様に立ち上がり、私は二人の後を追いかけた。

 

・・・なんで誤魔化してしまったんだろう、私?

 

イリナSIDE OUT

 

 

イッセーSIDE

 

覗きを企んだ全員をとっちめて先生に引き渡し、女子の入浴時間が終わるまで、俺は非常階段で待機し続けた。そうしてようやく役目を終えた所で、アザゼル先生が姿を見せた。

 

「おう、ご苦労さんイッセー。ロスヴァイセから事情は聞いてるぞ」

 

「先生、何か用ですか?」

 

「ああ、俺とお前達に魔王少女様から呼び出しがかかった。これから近くの料亭に行くぞ」

 

魔王少女って・・・セラフォルー・レヴィアタン様か!

 

Mission02『覗き魔をぶちのめせ』クリア。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

しばらくして、俺達は先生と共にホテルを出て街の一角にある料亭へ足を運んだ。そこには先生の言っていた通りセラフォルー・レヴィアタン様がいらっしゃった。

 

さらに、匙を始めとするシトリー眷属の子達もいた。そうして全員が揃った所で、魔王様が何故ここにいるのか説明が行われた。

 

曰く、この京都の妖怪のみなさんと協力体制を得る為にわざわざお越しになったらしいのだが、どうも良く無い事が起こったらしい。

 

「この地を束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明になってるんだって」

 

ッ・・・! それって割と真面目にヤバい事なんじゃないのか?

 

「アザゼルちゃんからあなた達の報告は聞いてるよ。おそらく、あなた達を関係者だと勘違いしちゃったみたいだね」

 

「つまり、ここのトップである妖怪が攫われたって事だ。まあ、間違い無く『禍の団』が絡んでやがるな」

 

ああ、またあいつ等か。懲りないというかなんというか・・・。

 

「事が事だけに公には出来ないわ。だから、何とかして私達だけで事を収束させないといけないの。私はこのまま協力してくれる妖怪のみなさんと一緒に動くつもりよ」

 

「なら俺も動かせてもらおう。・・・ったく、ここなら思う存分“ゆっくり”出来ると思ったのによぉ」

 

「先生、俺達は・・・」

 

「お前等はまだ動かなくていい。せっかくの修学旅行なんだからな。とりあえずは楽しめ。必要になったら俺からまた指示をするからよ」

 

そういう事で、俺達はこのまま旅行を続けるという結論で解散となった。・・・あ、またスコルの事報告するの忘れてしまった。次こそはちゃんと忘れない様にしないと。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

二日目、この日、俺達は清水寺へ行く事からスタートした。ちなみに、今日はスコルも一緒だ。今はアーシアの鞄の中ですやすや眠っている。

 

三年坂から始まって清水寺、銀閣寺、そして金閣寺と、観光名所を次々と回った。時計を見ると、既に午後二時を過ぎていた。

 

「ひ、ひったくりよ! 誰か捕まえて!」

 

一杯歩いて疲れたのでお茶屋で休憩していると、外から女性の叫び声が聞こえて来た。すぐに出てみると、こっちに向かって鞄を持った男が走って来ていた。

 

「野郎、逃がすか・・・」

 

「えいしゃおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

俺が男の前に立ちはだかろうとした次の瞬間、横から飛び込んで来たスーツ姿の中年男性の飛び膝蹴りが男の顔面に突き刺さり、男は悲鳴と共に倒れた。

 

「お、お見事です課長・・・!」

 

そのまま男を取り押さえる中年男性に、部下と思わしき男性が驚きの声を上げている。

 

「がははは! まさか健康の為に始めたムエタイがこんな所で役に立つとはのぉ!」

 

うーん、昨日の田中さんといい、京都の人ってアグレッシブな人が多いんだな・・・。

 

「兵藤君」

 

そんな風に男性達を眺めていると、ロスヴァイセさんがやって来た。

 

「アザゼル先生からあなた達を迎えに行くよう言われました。今から私と一緒について来てください」

 

「え、でも今は松田達が・・・」

 

俺の言葉は最後まで続かなかった。な、なんだ? 何でアイツ等寝てんだ?

 

「すみません、勝手ではありますが、あの方達には眠って頂きました」

 

驚いている俺の前に、お茶屋の店員さんが姿を見せる。・・・ってあれ!? いつの間にか獣耳と尻尾が生えてる!? じゃあこの人も妖怪!?

 

「改めて自己紹介を。私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。昨日の件で我等が姫君が謝罪の場を設けたいとの事でして、皆様をお連れしたく存じます」

 

昨日の件? 姫君? ・・・あ、もしかしてあの女の子の事か!

 

「という事です。九尾の御大将の事も含め、全員で話をするのであなた達も同行してください」

 

突然の事に頭が追いついていないが、とにかく行かなければならない。俺達はそのまま女性の後をついて行き、金閣寺の敷地内にある人気のない鳥居を潜った。

 

その瞬間、俺達は別世界へと足を踏み入れていた。

 

薄暗い空間に古い家屋。そして・・・妖怪達が俺達を出迎えた。

 

「悪魔か?」

 

「天使もいるぞ」

 

「おや、人間もだ。珍しい事もあるものだ」

 

そんな会話があちこちから聞こえて来る。そのまま家屋群を抜けると、今度は林が現れ、さらにそこを通り過ぎた所で、巨大な赤い鳥居が出現した。

 

その向こうに佇むデカイ屋敷・・・その前にアザゼル先生達、そして・・・予想通りあの女の子が立っていた。

 

「よくぞ来てくれた。私は京都に住む妖怪達を束ねる者―――八坂の娘である九重と申す」

 

堂々とした口調で、その子は自分の名を名乗るのだった。




イッセーはエロを失ってはいません。ただ、越えてはいけないラインをわきまえているだけなんです。

修学旅行が終わるまでに、イッセー達はいくつのMissionを達成しなければならないのか・・・。


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