ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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今回から二巻部分となります。というか、気付いたら一週間連続で投稿してるよ俺。久々の快挙だ。


第二章 戦闘校舎のフェニックス
第十三話 同居人が出来ました


 友達が悪魔でした…。頭大丈夫? とか思われるかもしれないが、俺は至って正常です。むしろ、周りが異常なんです。

 

 数日前、グレモリーさんによって突然彼女が部長を務めている『オカルト部』へ連れて行かれた俺とアルジェントさん。魔法陣や謎の文字の書かれた壁等、予想以上に本格的な雰囲気のそこで、グレモリーさんは衝撃的な事実を口にした。

 

『その前に私達の正体を教えてあげないとね。神崎君・・・私達はね、『悪魔』なの』

 

 そう言って背中から翼を出すグレモリーさん。彼女だけじゃなく、その場にいた姫島さんや木場君、塔城さん、さらには兵藤君までもが同じ物を出したのだ。

 

『…え?』

 

 それに対し、アホみたいに呆けた声を出す俺。いや、だってさ、いきなりそんなん見せられたら誰だってこうなるだろ?

 

 この物語…というか、この世界に悪魔がいるというのはオカンから聞いたし、実際あの赤髪イケメンや魔法少女を見たから疑いはしないけどさ。まさか、こんな近くに、しかも友達が悪魔だったなんて誰が予想出来る?

 

 内心酷く驚いている俺に、グレモリーさんは色々な事を話してくれた。

 

 …正直、内容が濃く、かつ難しい部分があって全てを一度に理解する事は出来なかったが、長々とした説明をまた最初から話してもらうのも申し訳なかったので、とりあえず理解しましたって感じのポーズをとってしまった。また機会がある時にでも姫島さん…は何言われるかわからないから、木場君にでも聞いてみるか。

 

 ただ、そのグレモリーさんの話の中で一つだけ不思議に思う所があった。オカンの話の中では、悪魔と天使と堕天使はあの赤と白のドラゴンを倒す為に自分達がやっていた戦争を中止して一緒に戦っていたはずだ。てっきりそれからはみんな仲良くなったとばかり思っていたのに、まさかまた争うようになっていたとはな。

 

 その疑問を口にすると、グレモリーさんは酷く驚いているようだった。木場君の説明を挟んだ後、彼女の一言に俺は衝撃を受けた。

 

『…神崎君。あなた、“フューリー”という単語を聞いた事は?』

 

 咄嗟にお茶を吹き出さなかった自分に花丸をあげたい。聞いたも何も、それってもしかして、俺の事ですか? Why!? なんで千年以上前の俺の恥の一部が今にまで伝わってるんですか!?

 

いや、落ち着け、名前が同じで別人って事かもしれないだろ! …けど、もしそうじゃなかったら? そんでもって、今にまで伝えられている理由が『いがみ合う三つの種族が一致団結し強大な敵に立ち向かっている最中に突然現れて、聞いているこっちが恥ずかしいと思うセリフを叫んで戦場を混乱させた痛すぎるヤツ』って感じで伝えられているとしたら? あの赤髪イケメンや魔法少女が言いふらしたのか!?

 

「つーかさー、僕達が一生懸命に戦ってたのにさー、あれはないよねー」

 

「ほんとほんと、てかいきなり抱きしめて来るとかどういう神経してるのかしらね? 訴えたら勝てたわよ」

 

 なんて感じで! や、やべえ…。こんなのバレたらもう俺、悪魔にも天使にも堕天使にも指差されて笑われるぞ。「あ、伝説の騎士(笑)だ」とか、「ヴォーダの闇って何ですか? 教えてくださいよ騎士(笑)様」とか言われたら俺は即行で引きこもりになる自信があるぞ!

 

『絶望せよぉおおぉおをを!』

 

『いや・・・初めて聞くな』

 

『・・・そう』

 

 どこからか絶望総代の叫びが聞こえて来たが、もちろんそんなのゴメンだ。よって、絶望の未来を回避する為、嘘を吐く俺。グレモリーさんもそれ以上追及して来なかったが、気のせいかな、なんかその目が疑ってますって言ってるような気がした。止めて! 俺のライフはもうゼロよ!

 

 けど、そんな俺の嘆きなど知った事では無いとばかりに、グレモリーさんは突然俺に「悪魔にならないか」と勧誘して来た。たしか、『悪魔の駒』を使ったら人間でも悪魔になれるんだったよな。それで兵藤君も悪魔になったらしいし。

 

 けど、グレモリーさん。勧誘の言葉が思いつかなかったとはいえ、「あなたが欲しい」なんて言ったら駄目だぞ。俺のように身の程をわきまえている人間なら大丈夫だけど、他のヤツ等絶対勘違いするぞ。お兄さん心配だ。

 

 それはともかく、悪魔か。俺としては…まあ、どっちでもよかった。けど、アルジェントさんは別だ。グレモリーさんの言う通り、また可愛らしい彼女を狙っていつまた変態共が襲って来るとも限らない。土地を任されるほどの力を持っている彼女に助けてもらえるのなら、是非ともそうした方がいい。なので勧めてみると、俺がなるなら自分もなるとの事だ。

 

 きっと、自分だけっていうのが不安なんだろうな。ならば、そこは年長者として先に悪魔になってやろうじゃないか! 一歩前に出た俺の胸にグレモリーさんがチェスの駒を当てた。なるほど、これが『悪魔の駒』か。

 

 続けて、グレモリーさんが仰々しい呪文のような物を唱え始めた。それが終わると、駒が俺の胸の中に吸い込まれて行った…かと思えばすぐに出て来た。えーっと、これは成功でいいのか?

 

『こ、駒を受け付けない!? いえ、むしろ駒が自ら出て来たの!? どういう事!? こんなの前代未聞だわ!』

 

 あ、やっぱり失敗だったのね。うーん、何でだろう。ひょっとして、このチートボディが悪魔になる事を拒否したのかな? それとも、『悪魔の駒』を異物と判断したとか? なんか悪魔になると光に弱くなるって言ってたし、わざわざ弱点が増える様な存在にならなくても今のままで充分だとか? あくまで予想だけどな。

 

 グレモリーさんが酷くショックを受けていた。そんなに俺を悪魔にしたかったのかな? けど、こんな痛い人間を悪魔にしたらそれこそ悪魔全体の恥になりますよ? こんだけ言ってるけど、俺これからもアル=ヴァンモード使い続けると思うし。じゃないと怖くて戦いなんか出来たもんじゃない。…いや、待て。何で戦う事前提なんだ俺?

 

 そんな感じで、あの日は過ぎて行った。そして俺は家に帰るなりベッドに飛び込み、過去の過ちによる羞恥心で枕を涙で濡らしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…マさん。リョーマさん!」

 

「はっ…!」

 

 名前を呼ばれ、深い思考の海から抜け出す。目の前には可愛らしく首を傾げているアルジェントさんがいた。

 

「どうしたんですか? さっきからお呼びしても全然反応されませんでしたけど」

 

「いや、すまない。ちょっと考えごとをな」

 

「そうですか。もし、何か悩みごとがあるなら遠慮無く話してくださいね。解決出来るかわかりませんけど、一緒に考える事は出来ますから!」

 

「ありがとう。アルジェントさん」

 

「お礼なんていりません。私は、その…リョーマさんの為なら何でもしますから」

 

 ああ…天使や。ここに天使がおるで。なんか、アルジェントさんの背中に白い翼が見えるよ…。

 

「それと、私の事はアーシアでいいですよ。これからリョーマさんにはお世話になるんですし、そもそも年下なんですから」

 

 え、いいの? 基本を崩す気は無いけど、許可を貰えるのなら遠慮無く呼ばせてもらうぞ?

 

「アーシア。…これでいいか?」

 

「…はうぅ」

 

 ちょ、今自分でいいって言ったよね? なんでそんな恥ずかしそうなの?

 

「嫌なら元の呼び方に戻すが?」

 

「い、いえ! 戻さなくていいです! 頑張りますから!」

 

 遠慮しなくても、頑張らないといけないくらい嫌なら戻すよ? けれど、気合い入れてる彼女を見て何も言えない俺。

 

さて、そろそろ本題に入ろうか。そもそも、休日である今日、俺がどうしてアルジェントさ…アーシアと一緒にいるのか? それは先程彼女が言った“お世話”という言葉に関係がある。

 

 と言っても、別に難しい話じゃない。単純に、彼女がこれから俺の家に住むというだけの話だ。…唐突過ぎて意味がわからない? よろしい、ならば順番に語ってやろう。

 

 変態共が処分され(よくわからんが、おそらくグレモリーさんに通報されて全員逮捕)、教会が機能しなくなった事でアーシアも住む所が無くなってしまった。不憫に思ったグレモリーさんが近くのホテルに数日間泊まらせてあげていたそうだ。さすが、グレモリーさん。俺らに出来ない事を平然とやってのける。そこに痺れる憧れる!

 

 けどまあ、流石にそんな生活をずっと続けているわけにもいかない。そこで話し合った結果、グレモリーさんが俺の家に住ませてあげたらどうかなんて提案をしたのだ。別に俺はそれでも構わなかった。部屋なら余っているし。けど、野郎が一人暮らししている家に住むって言うのは年頃の女の子には抵抗があるんじゃないのか?

 

 そう思って顔を顰めている俺を見てアーシアは勘違いしたのか、悲しそうに顔を伏せてこう言った。

 

「ご迷惑…ですよね」

 

 …お前ら、そんな顔でそんな事言われて断れるか? もし断るというヤツがいたら、俺がオルゴンクローを装備した上で全力ビンタしてやるから安心しろ。もちろん魂と直撃をかけてな! そして、誓おう。これから先、万に一つの可能性で、彼女に邪な思いを抱いたその時、俺はオルゴンソードで自分の“アレ”を全力で斬り飛ばすと!

 

 というわけで、この度同居人が出来ました。そして今は、彼女の日用品を買いに近くのデパートへ足を運んでいる最中だ。そういえば、この先だったな。レイナーレさん達に出会った公園は。

 

「あ、公園ですね」

 

「ああ、俺が彼女達に出会ったのもここだった」

 

「…レイナーレ様達の事ですね」

 

 今頃どうしてるのかな。堕天使にも会社というものがあるなんて驚いたけど、きっと反省して頑張っているんだろうな。

 

「俺は…彼女達の力になれたのだろうか」

 

 あまりに悲しかったので偉そうに説教してしまったけど、彼女達からしたら、社会の厳しさも知らない若造にあんな事言われて憤慨ものだったかもな。いや、生前はちゃんと仕事してましたよ? けど、今は精神はともかく肉体は十八だからなぁ。

 

「もちろんですよ、リョーマさん。それに、部長さんから伝えて頂いたあの言葉…あなたはレイナーレ様達の命だけじゃなく、心も救ったんだと思います」

 

 命(社会的な意味)と心…か。アーシアがそう言うならきっとそうなんだろうな。ちなみに、どうして彼女がグレモリーさんの事を部長と呼んでいるのかと言うと、事情を知った俺達も、非正規部員としてオカルト部に所属する事になったからだ。

 

「私は、悪魔でも悪い悪魔といい悪魔がいる事を知りました。そして、部長さん達はみんな優しくて素敵な悪魔さんだと思います」とはアーシアの談である。

 

「ほら、後五十回よ!」

 

「はい、部長!」

 

 そのまま公園を通り過ぎようとした俺の耳に、聞き慣れた声が届いた。興味本位でそちらに目を向けると、そこには腕立て伏せをする兵藤君と、その背中に乗って回数をカウントしているグレモリーさんの姿が確認出来た。

 

「あ、部長さんにイッセーさん!」

 

 アーシアの声に反応したグレモリーさんがこちらに振り向いた。

 

「あら、アーシアに神崎君。おはよう」

 

「はい、おはようございます!」

 

「おはよう。何をしているんだ?」

 

「イッセーを鍛えているの。この子の能力は鍛えれば鍛えるほど強くなっていくものだからね」

 

 確か『赤龍帝の籠手』だったっけ? 一回しか見てないけど、カッコいい籠手だったよな。って、あれ? 赤龍帝って確か、あの赤ドラゴンもそう呼ばれていた様な…。

 

「ぶ、部長! 俺もアーシアと先輩に挨拶を!」

 

「いいからあなたは腕立てを続けなさい。無駄口を叩く余裕があるなら回数を増やすわよ!」

 

「ひ~~!」

 

「が、頑張ってくださいね、イッセーさん」

 

「それはそうと、二人はどうしたの? 休日にわざわざ出て来るなんて…もしかして、デートかしら?」

 

「ふええっ!? デ、デートなんてそんな…!」

 

「誤解だ。俺達はこれからアーシアの日用品を買いに行くだけだぞ? なあ、アーシア」

 

 実際、こんな可愛らしい子とデート出来たら最高だけどな。けど、今回はそんな浮ついたものじゃない、必要なものを買いに行く。ただそれだけだ。

 

「…はい、そうですね。それだけです」

 

 おや、アーシアの表情が暗い。もしかして、俺なんかとデートしていたと勘違いされて気分を害したのか? さっきもかなり動揺していたしな。地味に傷付くが、彼女も傷ついているのだから耐えよう。…帰ったらまたベッドで泣いてやる。

 

「…なるほど。今は一方通行ってわけね。頑張りなさい、アーシア」

 

「はうぅ…」

 

「けれど、羨ましくもあるわね。何も縛る物が無く、そうやって想える相手がいるのって…」

 

 一瞬だけ、グレモリーさんが悲しそうに顔を俯かせた。けれど次に瞬間にはいつもの余裕のある表情に戻っていた。

 

「グレモリーさん?」

 

「ううん、何でも無いわ。気にしないで」

 

「わかった。けど、いつぞやも言った気がするが、悩みや困った事があるならいつでも相談してくれ」

 

「ええ、その時はお願いね」

 

「先輩! 今度遊びに行っていいですか?」

 

 腕立てを続けながら兵藤君がそんな事を口にする。もちろん、それは大歓迎だけど。今は筋トレに集中した方が…。

 

「イッセー…いいわ、後百回追加ね」

 

「ファッ!?」

 

 健闘を祈るぞ兵藤君。頑張れ、マジで頑張れよ…!

 

 兵藤君の悲鳴を背に、俺達は公園を後にし、改めてデパートへと向かった。そこで二時間ほど買い物をし、二人して両手にパンパンになった買い物袋を手に、家へと帰るのだった。

 

 新しく始まった日常。環境が環境だった所為か、アーシアは中々に世間知らずな所もあったが、そこは俺がフォローするという形で彼女はすぐにこの家に馴染んだ。

 

 とても充実していた毎日。だが、それはある日、一人の女性によって突然破られてしまった。

 

 ここは俺の部屋で、俺は今ベッドに仰向けで横になっている。そして、その俺の腹の上に…裸のグレモリーさんが馬乗りになっていた。

 

 プロデューサー! 裸ですよ裸! いや、マジで何もつけてない。辛うじてパンツは装備しているが、上は生まれたままだ。その豊満なバストも、その先端の薄桃色の部分もフルオープン状態だった。夢? 夢だよなこれ? 友人でエロい夢見るとか我ながら最低だな! 確認と戒めの為に全力で頬を抓ったが…めっちゃ痛かった。あれ、夢じゃない?

 

「突然ゴメンなさいね、神崎君。けど、真っ先に頭に浮かんだのがあなただったから」

 

 何の話!? 混乱の極みにいる俺を尻目に、グレモリーさんは続ける。

 

「それに、あなたは前にこう言ってくれた。「悩みや困った事があるなら相談してくれ」…と」

 

「い、いや、確かにそう言ったが、それとこの状況に何の関係が…」

 

「お願い、神崎君。私の悩みを解決するために…私を抱いてちょうだい」

 

(ぶふぉっ!?)

 

 フューリーについて触れられても耐えた俺だが、この時ばかりは我慢する間も無く吹き出してしまうのだった。




オリ主の中で新たに、堕天使は会社員という公式が出来ましたが、これはリアスが、オリ主はすでに事件の顛末を知っていると勘違いして、レイナーレ達の本当の目的を話していないからです。なのでオリ主は未だに真実を知りません。

アーシアはウチの子になりました。異論は認めます。

そんでもってリアス襲来。この小説では、リアスの好感度は亮真の方が高いです。その為に一年間同じクラスで交友させました。今はまだ、友人レベルではありますけどね。

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