ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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アザゼル先生、愛されてるなぁ・・・。


第百二十九話 ようこそ我が家へ

「探したわよ。家にお邪魔したのに迎えてくれたのはあなたの眷属と神喰狼達だけだったんだもの。聞けばまだ学園から帰って無いて言うから街の散策も兼ねてあなたを探していたのよ。けどまさか、こんな所で買い物袋片手に歩いてるとは思わなかったけど」

 

まさかの登場を果たした二人に対し、驚き過ぎて言葉を失っていた俺の持つ買い物袋をヴァーリさんが指す。そこで何とか言葉を発し、学園祭の準備で使うものだと答えると、ヴァーリさんは少し興味のある様な素振りを見せた。

 

「ふうん、学園祭ねぇ。私、学校なんて行った事ないからわからないんだけど、面白いの?」

 

学校に行った事無い!? ええい、この子のご両親は何考えてたんだ! 同世代との触れ合いがあれば、彼女が露出趣味に目覚める事だって無かったかもしれないのに!

 

「興味があるのなら今から一緒に学園に行ってみないか」

 

「でも、学園祭ってまだ先なんでしょ? 今から行っても意味無いと思うのだけれど」

 

「確かに、今はまだ準備期間中だが、雰囲気は十分感じられると思うぞ」

 

自分達で考えた出し物に向け、仲間達と遅い時間まで協力して作業を進める。そういった準備も含めて学園祭だと俺は思っている。実際、みんなと一緒に何かをするって思った以上に楽しいものだからな。

 

「ふうん、あなたがそう言うなら行ってみるのも面白そうね。アザゼルもいるんでしょ? どっちみち彼に話をしておかないといけないしね。オーフィスもそれでいいわよね?」

 

「フューリーが行くなら我も行く。フューリーとの約束を果たす為には、フューリーの傍から離れるのはよくない」

 

言葉通り、俺の傍に来て俺の顔を見上げて来るオーフィスちゃん。約束。約束か・・・。俺も忘れて無いよオーフィスちゃん。あのペロリスト共との戦いの後に交わした、今度遊びに来るってヤツだよね。そういう事なら大歓迎さ!

 

「そうと決まれば早速行きましょう。ほらオーフィス、手を寄越しなさい。いつかみたいにはぐれられても困るし」

 

「ん・・・」

 

オーフィスちゃんの手を握り、ヴァーリさんが歩き始める。その姿は、何だか仲のいい姉妹みたいで和んでしまいそうになる。・・・が、ヴァーリさんの背中にタテヒダイボウミウシとウチナミシラヒメウミウシが交差している姿が描かれた物がプリントされているのを見た瞬間、そんな気分は一瞬で失せた。ホントに何なのそのTシャツ? 前がナマコで後ろがウミウシって・・・。そこは後ろもナマコの絵じゃないの? ハイセンス過ぎて何を訴えたいのか俺にはさっぱり理解出来ないよ。

 

「それにしても、神喰狼を室内犬と同じ扱いするなんて、あなたってやっぱり面白いわね、亮真。まあ、流石に無限を前にしちゃったから少し怯えてたけれど」

 

そういや、このオーフィスちゃんこそがこの世界で最強云々って事になってるんだっけ。俺にはどう見ても物静かな女の子にしか見えんのだが、他のみんなからしたらやっぱり凄かったり恐ろしく見えたりするのだろうか。しかも、アル=ヴァンセンサーの反応も皆無って事は、この子は俺に対して敵意とかそういう感情を一切持ってないって事になるんだよな。それもあって、やっぱり俺にはこの子がそういう存在だとはとても思えない。

 

「外に出すのは抵抗があってな。ところでヴァーリさん、そのTシャツは・・・」

 

「あげないわよ?」

 

むしろ頼まれたってもらいませんけど! てかめっちゃ気に入ってるっぽいし。いやけど、ここは逆に考えれば、露出の激しい服よりマシだからいいのか。うん、そうだ。そういう事にしておこう。

 

俺はそれ以上考える事を止め、二人の後に続いた。数十分後、学園に戻って来た俺は、そのまま二人をオカルト部のみんながいる旧校舎まで案内した。ちょうど兵藤君と木場君が休憩中なのかペットボトルのお茶に口をつけていた。まずはあの二人に紹介しよう。お、向こうも気付いたのか顔をこっちに・・・。

 

「「ぶっ!?」」

 

向けた瞬間、なんかとんでもない勢いでお茶吹き出したんですけど! ど、どうしたんだ二人とも!? その芸はお笑いの道を歩む者にしか許されないぞ。

 

「ちょ、せ、先ぱ・・・え、え!? ヴァ、ヴァーリちゃんとオーフィ・・・ナマコ?」

 

「ウ、『無限の龍神』オーフィス!? 何故ここに・・・ナマコ?」

 

正にビックリ仰天といった表情を見せたと思ったら、二人してヴァーリさんのTシャツに書かれた文字を口に出す兵藤君と木場君。そっちかい! とツッコミを入れる資格は俺にはありませんですはい。

 

「元気そうね、一誠。それに聖魔剣使い君。言いたい事はわかるけど、私もオーフィスも別にケンカを売りに来たわけじゃないわ」

 

「我はフューリーに会いに来た。お前達は関係無い」

 

「その言葉を信じろと?」

 

「亮真と一緒なのが何よりの証拠だと思うけれど?」

 

「・・・イッセー君、部長達を呼んで来てくれ」

 

「わ、わかった!」

 

全速力で校舎内へ飛び込む兵藤君。時間にして僅か一分で、彼はリアス達を引き連れて戻って来た。

 

「ヴァーリ! どういうつもり・・・ナマコ?」

 

「テロリストのトップが何を・・・ナマコ?」

 

「・・・ナマコ?」

 

「みんな、どうし・・・ナマコ?」

 

「ミカエル様に知らせ・・・ナマコ?」

 

「あなた達! 私の後ろに・・・ナマコ?」

 

「ナマコ怖いナマコ怖いナマコ怖いナマコ怖いナマコ怖いナマコ怖いナマコ怖い・・・」

 

「ナマコって何ですの?」

 

「え、ええっと、海に住んでる生き物なんですけど。あ、冥界には海って無かったんでしたっけ。うむむ、どうやって説明しましょう」

 

順に、リアス、朱乃、小猫、ゼノヴィアさん、紫藤さん、ロスヴァイセ先生、ヴラディ君、レイヴェルさん、アーシアの発言内容だ。人気過ぎだろナマコTシャツ(背中はウミウシ)! あとヴラディ君はナマコのトラウマでもあるのか?

 

「あらあら、勢揃いね。ついでにアザゼルも呼んで来てくれないかしら。どうせ説明するのなら一度で済ませたいから」

 

「お、俺が行って来ます!」

 

アザゼル先生のいる職員室へ向け、再び駆けて行った兵藤君。数分後、アザゼル先生は彼に手を引っ張られながら姿を現し・・・。

 

「・・・ファッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

そして、ヴァーリさんとオーフィスちゃんの姿を見るなり、旧校舎全てに響きそうな声量で叫んだ後、崩れ落ちるのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

「・・・以上が、俺が二人と出会ってからこれまでの説明です」

 

全員が勢ぞろいしたオカルト部室内で、俺はアザゼル先生への説明を終えた。隣では、ヴァーリさんが朱乃に淹れてもらったお茶を飲み、反対に座ったオーフィスちゃんがお茶菓子として用意したクッキーをもっきゅもっきゅと口に運んでいる。よし、俺のも食べていいぞオーフィスちゃん!

 

「ちなみに、気絶してしまったアザゼル先生を心配して、アーシアが神器を使ってくれました。調子はどうですか?」

 

「問題ねえ。ありがとよ、アーシア。・・・そうか、回復系の神器所有者を傍に置いておくのも一つの手かもしれねえな・・・」

 

「何の話ですか?」

 

「気にすんなイッセー。それよりもこっちだ。おい、ヴァーリ。お前の目的はオーフィスをフューリーに会わせる・・・そうなんだな?」

 

「その通りよアザゼル。これまでも何度か来ようとしてたんだけど、他の派閥の連中の目が鬱陶しくてね。そうしている間に亮真の本が出たでしょ? オーフィスったら、ルフェイと一緒にそれを読んで益々亮真に会いたくなっちゃったみたいなの。だから今回は強引に他の連中を振り切って連れて来たのよ」

 

「我は確信した。フューリーと我が一緒なら、必ずグレートレッドに勝てる」

 

「ちょっと待て! って事は何だ。オーフィスをここに連れて来たのはお前の独断だってのか!」

 

「私だけじゃないわ。私のチーム全員の意思よ。何か問題があるかしら?」

 

「ありまくりだ馬鹿! わかってんのか! テロリストのトップが、敵対している相手の所へ訪ねて来たなんて事が知れ渡ってみろ! 他の連中が変な勘違いして暴走したらどうするつもりだ! お前達自身、裏切り者として粛清されるかもしれないんだぞ!」

 

「あら、心配してくれるの? けど、今さらって感じよ。私のチーム、京都で英雄派の邪魔をしたからって既に『禍の団』の中で煙たがられてるもの。先に取り決めを破ったのは向こうだっていうのに酷いと思わない? 最近じゃオーフィスだって軽んじられてるあり様よ? ハッキリ言ってしまえば、既に組織に私達の居場所は無いわ。そろそろ潮時かもね」

 

ッ! 離脱フラグ来た! これで勝つるぞ!

 

「それだけじゃねえ! そもそも、オーフィスを動かすなんて大事を何で事前に連絡しなかった!」

 

「私達は誰の指図も受けない」(キリッ

 

「・・・おい、リアス。この馬鹿娘・・・殺っちまっていいか?」

 

「き、気持ちはわかるけど、とりあえず落ち着きましょう、ね? ヴァーリも、倒れて起きたばかりなんだからあまり刺激しないでちょうだい」

 

荒れてるなぁ、アザゼル先生。完全にヴァーリさんに遊ばれてる感じだ。てか、ヴァーリさんもむしろそのつもりっぽく見える。この二人なりのコミュニケーション方法なのかもしれんが、リアスの言う通り、アザゼル先生の目がちょっとヤバくなって来たからそろそろ止めておいた方がいいと思うぞヴァーリさん。

 

「すう・・・はあ・・・。悪い、ちょっと自分を見失いかけてたわ。ここからは建設的な話をしようじゃないか。ヴァーリ、お前等いつまでこっちにいるつもりだ?」

 

「とりあえず、オーフィスが満足するまではいるつもりよ。明日か明後日か、それとも一週間か、全てはお姫様の気分次第ね」

 

「よし、ならここにいる全員に命じる。オーフィス、及びヴァーリの存在を絶対に周囲に漏らすな。何が何でも隠し通せ」

 

「な、何でですか? むしろ、サーゼクス様とかに相談した方が」

 

「テロリスト指定されてぇならそうしろ」

 

「え・・・!?」

 

「イッセー君、さっきアザゼル先生が彼女に言った事は僕達にも当てはまるんだ。テロリストと通じていたと判断されて罪に問われてしまうかもしれない」

 

「だ、だったらなおさら相談を」

 

「サーゼクス様は理解してくださるかもしれない。けど、他の悪魔達も同じとは限らない。僕達の存在をよく思わない者からすれば、格好の攻撃材料になるからね。もちろん、実際にそんな相手がいるかどうかはわからないけど。褒められる方法ではないかもしれないけど、おそらく、これが最善なんだと僕は思う」

 

「な、なるほど、よくわかったぜ。けど、滞在中どうやって二人を隠すんだ?」

 

「それならもう決まってる。フューリー、お前の所でコイツ等の面倒を見ろ」

 

アザゼル先生の指名に、現在俺の家で生活している子達が揃って目を見開いた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいアザゼル先生。どうして神崎先輩の家なんですか」

 

「伝説の騎士、魔王の妹、神喰狼・・・。イッセー、仮にお前がフューリー達と一切接点の無い普通の悪魔だったとして、そんな連中が住む魔窟に自分から近づく気が湧くか?」

 

「化け物屋敷だってわかってるのに、入るわけありません! 引っ越します!」

 

え、ちょ、言い過ぎじゃない? 地味に傷付くんですけど。

 

「それだけのトンデモ要塞化してんだよコイツの家は。この世で一番物騒だが、同時にこの世で一番安全な場所がコイツの家なんだ。それに、もともとオーフィスはフューリーに会いに来たんだ。なら、フューリーが世話をするのが筋ってもんだろ(同じ場所にぶちこんどきゃ、俺の心労だって少しは和らぐはずだしな)」

 

うーん、確かにその通りだよな。オーフィスちゃんは俺との約束の為に来てくれたんだし、面倒だって俺が見るべきなのかもなぁ。

 

「どうするリョーマ・・・って、その顔を見れば答えは決まってるみたいね。決定権は家主のあなたにあるのだから、私はそれに従うわ。・・・ただし、警戒はさせてもらうわよ」

 

まだ何も言ってないのに・・・。顔を見ればって、そんなにわかりやすい顔してたのかな俺。けど、他の子達もリアスと同じ気持ちの様だし、これでみんなの意見が纏まったな。

 

「わかりました。二人には俺の家で過ごしてもらう事にします」

 

「よし決定な。もう撤回は認めねえぞ」

 

「ふふ、よろしくね、亮真。ロキとの戦いの後の別れ際に交わしたあの言葉が現実になるなんてね」

 

いやに上機嫌なヴァーリさん。それを見たオーフィスちゃんがそっと何かを呟いたが、あまりに小さかったので、聞きとる事は出来なかった。

 

「ヴァーリ、嬉しそう。『禍の団』にいた時、そんな顔した事無かった」

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

二人を連れて帰ると、黒歌が耳と尻尾をピーンと立てるという素晴らしいリアクションを見せてくれた。フェンリル達はフェンリル達で、何故か俺を取り囲むような位置についてジッとしている。まあ、いきなり見慣れぬ人達が現れたから緊張でもしているのだろう。きっとその内なれるさ。

 

夜七時、ヴァーリさんとオーフィスちゃんを加え、みんなで夕食を取る。今日の当番は俺だったのだが、俺の料理はヴァーリさんには好評でオーフィスちゃんも言葉少なめだが全部食べてくれたので、不味くは無かったはずだ。

 

そんでもって、順番に入浴を済ませる。今はヴァーリさんとオーフィスちゃんの時間だ。こんな所まで二人一緒とか、やっぱり姉妹みたいだな。

 

「フューリー」

 

そんな感想を漏らしつつ、麦茶を飲もうと冷蔵庫を開けていると、背後からオーフィスちゃんの声がした。どうやらあがった様だな。俺は何の気無しに振り返り・・・己が目を疑った。

 

「なっ・・・!?」

 

そこには全裸のオーフィスちゃんがいた。ちょ、何やってんのキミ!?

 

「次はフューリーの番。我、フューリーに教えに来た」

 

あ、なるほど。風呂が空いたから続いてどうぞって、服を着る間も惜しんでわざわざ教えに来てくれたんだな。・・・いや、そこは服着てからでいいよ!

 

「ちょっとオーフィス。まだ髪を拭いてないんだから・・・」

 

続けて、百パーセント肌色状態のヴァーリさんが現れた。なんでキミまで素っ裸なのよ!? てか、髪の心配より今の状況の心配してくれよ! オーフィスちゃんはまだいい・・・わけじゃないけど、キミの場合、色々ヤバいんだから!

 

「もう、手間のかかる龍神様だわ。常識というものを知らないんだから」

 

キミが言うなキミが!

 

オーフィスちゃんの手を引いてその場から姿を消したヴァーリさん。後で聞いた所、ヴァーリさんからは俺のいた場所が死角になっていて気付かなかったらしい。

 

とりあえず、あの二人にはこの家のルールの前に、学んでおいてもらわないといけないものがあるようだ。

 

俺は固く、ひたすら固くそう決意するのだった。




今回は手間取りました。特に最後の風呂の件、表現が生々し過ぎ&それを語るオリ主が変態にしかならなかったので書きなおしました。私にはこれくらいの方が丁度いい。・・・プール回? ちょっと何言ってるかわかりませんね。

オーフィス来訪が原作より早まりましたが、これにはちょっとした理由があります。
ヴァーリもただのお伴ではありません。

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