ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜 作:ガスキン
サーゼクスSIDE
「そろそろ時間だな」
魔王としての仕事を終えた僕は机の上に置いた端末を起動させた。数秒して、画面にミカエルの顔が映った。
「やあ、ミカエル。調子はどうだい?」
『可も不可も無くといった所でしょうか』
「つまり、普通というわけだな。それは結構。では、早速話し合いを始めようか」
『待ってください。アザゼルはどうしたんですか?』
「今回、彼は欠席だよ。なんでも体調が優れないらしい」
『そうですか。では、今回は私達だけという事ですね』
「そういう事になる。・・・ところでミカエル。こうして私達が話し合いの機会を設けるのはこれで何回目だったかな」
『私の記憶が正しければ、今回がちょうど五十回目ですよ』
そうか。もうそんなになるのか。駒王協定以前では、ほとんど機会が無かったというのに、ここ最近で一気に回数が増えてしまった・・・まあ、原因は一つしかないのだけれど。
『・・・またフューリー殿関係の話ですか?』
「察しがいいなミカエル」
『察しも何も、最近のあなたはその話しかしないじゃないですか』
画面の向こうのミカエルが目を細めるが、僕はそれに気付かないフリをして話を続けた。
「キミも知っているだろうが、少し前に私の息子がある本を出版した」
『『鋼の救世主』ですね。天界でも凄まじい人気ですよ。私も読んでます』
「ありがとう。感想はまたの機会に聞かせてもらうとして、実はその本を巡ってとある問題が浮上してな」
『問題・・・ですか?』
「その話をする前に、今からURLを送るのでそこに飛んでみてくれ」
端末を操作し、ミカエルへURLを送った。アザゼル作のこの端末であれば、天界でも冥界のネットを閲覧する事が可能となる。
『届きましたが・・・『鋼の救世主について語ろうぜ563(723)』『騎士様に掘られ隊(62)』『堕ちた聖女を妄想してみた(103)』『フューリー様×レヴィアタン(1)』『モードFってどう見てもオーバーキルじゃね(381)』『フューリーの二回目のパワーアップはきっとこうなる3(79)』・・・なんですかこれは?』
「ここは不特定多数の者達が自由に書き込みを行う場所・・・所謂掲示板というものでね。今キミが読み上げたのは、それぞれがそれを題材に話し合うタイトルみたいなものだ」
『・・・ざっと見た所、ほぼ全てがフューリー殿関係のタイトルになっているようですが』
「ああ、その通りだ。ここは神崎君についてのみ交流する場らしい。ミカエル、そのタイトル群の一番最後を見てみてくれ」
『最後というと・・・ッ! こ、これは・・・』
目を見開くミカエル。最後に表示されているタイトルは『フューリー教の集い』となっていた。
『サーゼクス。これは、ここを利用している方々のグループみたいな物なのですか?』
「・・・いや、ミカエル。このフューリー教というのは実在しているんだ」
『なんですって!?』
目を全開にして狼狽するミカエル。それを宥め、僕は話を続けた。
「私も存在を知ったのは最近なのだが、地下組織として随分前から活動自体はしていたらしい。組織のトップはイライザという悪魔で、旧魔王派に所属していた。彼女だけでなく、組織の幹部もほとんどが旧魔王派の者達と聞いている」
『まさか旧魔王派・・・ひいては『禍の団』がフューリー殿の名を利用して構成員を集めようと画策を?』
「私も最初はそう思ったが、どうやら違うらしい。イライザ達はすでに旧魔王派から離脱しているとの情報が私の元に届いている」
『その情報の信憑性はいかほどのものなのでしょう?』
「間違いなく事実だろう。何せ、それを私に教えてくれたのは同じ元旧魔王派の者だからね。キミはカテレア・レヴィアタンを憶えているかい?」
『・・・ああ、あの残n・・・中々にユニークな性格の女性悪魔ですね。ええ、憶えていますよ。レーティングゲームでフューリー殿の眷属として戦った方ですね』
「カテレアが旧魔王派を離脱したのは駒王協定の時だが、実はそれ以前から旧魔王派内部でイライザ達は離脱の計画を立てていたそうだ」
『組織の分裂自体はだいぶ前から決まっていた様ですね。しかし、何故イライザ達は旧魔王派を離脱したのでしょう。まさか、カテレアの様にフューリー殿を追いかけて・・・なんて理由ではないでしょう』
「・・・」
『・・・まさか』
「正解だよミカエル。イライザ達は皆カテレアと同じく神崎君に心酔した者達だ。そしてその結果・・・」
『自分達の信仰の対象にしてしまった・・・。それがフューリー教というわけですね』
「ここで最初の話に戻るのだが、どうやら『鋼の救世主』がこの教団の経典にされているらしい。まさか、このような形で使われる様になるとは予想もしていなかったよ。まあ、カテレア曰く、フューリー“教”と謳ってはいるが、今の所は一ファンクラブだと思っていていいらしいけれどね」
とはいえ、それを鵜呑みにして放置しておくつもりは無い。その存在が冥界の秩序を乱すというのならば、その時は僕も容赦はしない。何せ、悪魔だけでなく、堕天使、さらには天使までもが何名か入信しているとも聞いている。堕天しないのは、純粋な信仰の対象だからだろうか。それも時間の問題かもしれないが。
「いつか、三大勢力に新たな勢力が加わるかもしれないな」
『お願いですからそういう事を口にしないでください』
「はは、冗談だよ冗d・・・すまない、ミカエル。謝るからそんな目で見ないでくれ」
『・・・いずれにせよ、今後も動向を気にしておく必要がありますね』
「その点については既に手を打ってある。何かあったらキミにもすぐに連絡するよ」
『お願いします。それでは、今回の話は以上ですか?』
「いや、もう一つある。実は、以前神崎君から預かった『悪魔の駒』の調査結果が上がって来たんだ。その報告もしておこうと思う」
『フューリー殿に新たなる力を与えた、異世界の神の力が込められた駒ですね。何かわかったのですか?』
「結論から言わせてもらうと・・・何もわからなかった。私が調査を依頼したのはアジュカだ。『悪魔の駒』の生みの親である彼をして、神崎君の駒の解析は出来なかったんだ」
『そんな事が・・・』
「神崎君はレーティングゲームで共に戦った堕天使の少女達三人を正式な眷属にした。にも関わらず、三人は堕天使のまま、悪魔に転生しなかった。それはつまり、神崎君の駒には悪魔への転生機能が無いという事になる。これは『悪魔の駒』の存在価値そのものを揺るがすものだ。彼の駒は既に『悪魔の駒』とは違う物へと変化しているのは間違いない。間違いないはずなんだ・・・」
だけど、それ以上はわからない。この分だと、おそらくアザゼルの方もいい結果は得られていないだろう。後でこちらの結果を送っておこう。
「なに、これまで散々驚かされて来たんだ。今さら一つ二つ増えた所で構わないさ。なあ、ミカエル」
『目が笑ってませんよサーゼクス。ところで、先程から気になっていたのですが』
「なんだい?」
『画面の右に映っている小ビンは何ですか? 中に錠剤が入っている様に見えるのですが・・・』
「ああ、これかい? これはね・・・」
僕はミカエルにしっかり見える様に小ビンを持って答えた。
「胃 薬 だ よ」
本編が難産だとつい幕間に走ってしまう・・・。
トップは辛いよはシリーズ化となりました。今後も、三陣営のトップのみなさんには苦労してもらいます。