ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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オリ主がある人物へまたONEGAIします。


第百三十三話 それお願いちゃう脅迫や

「なんというか・・・すっかり家の一員って感じね」

 

呟くリアスの目線の先には、アーシアと一緒にソファに座ってテレビを見ているオーフィスちゃんの姿がある。

 

「慣れって怖いわ。私、いつの間にかオーフィスと普通に会話出来るようになってるもの」

 

「・・・私もです」

 

朱乃と小猫が続けて口を開く。確かに、最初の頃こそおっかなびっくりだった彼女達も、いつの間にか普通にオーフィスちゃんに接する様になってたな。

 

「まあその結果、あの二人の非常識さを知る事になったわけだけれど・・・」

 

「・・・リアス達はまだマシにゃ。日中ずっと付き合わされる私の身にもなってみなさいよ」

 

疲れた声でそう発言したのは黒歌だ。近頃愚痴に付き合わされる回数が増えているが、彼女は彼女で色々大変らしい。

 

「けれど、本当に拍子抜けするくらい大人しいし、この調子ならオーフィスが満足するまで特に問題は無さそうね」

 

「それがそうもいかなくなったみたい」

 

「どういう意味かしら、ヴァーリ?」

 

「その話の前に・・・入ってちょうだい」

 

「よお! 邪魔するぜぃ!」

 

「お邪魔いたします」

 

ヴァーリさんに促されてリビングへ現れたのは、なんと美猴さんとアーサーさんだった。それぞれに人懐っこい笑顔と、さわやかな笑顔を見せながら俺達の顔を見渡して来た。

 

「美猴にアーサー!? な、なんであなた達が・・・!?」

 

「実は、オーフィスを連れ出した事が他の派閥の者達にバレてしまいまして」

 

「いやあ、俺っちの力なら余裕で誤魔化せると思ってたんだが、ちょっち連中の事舐め過ぎてたわ」

 

「なので、一度オーフィスに戻って来て頂きたいと思ってここへお邪魔させて頂きました」

 

「ルフェイは?」

 

「心配すんな。ちゃんと一緒に連れて来てあるぜぃ」

 

「・・・というわけよ。お姫様はまだ満足してないみたいだけれど、そろそろ帰らないといけないみたい」

 

俺達はそろって顔を見合わせた。もちろん、帰る事は決定事項だったが、それにしたって急だ。ようやくオーフィスちゃんとも仲良くなれて来ていたと思っていたのに・・・。

 

「我が戻らなければフューリー達が困るのか?」

 

「そうね。ここに匿っていると知られれば、きっとすぐに追手を差し向けてくるでしょうね(まあ、伝説の騎士や神喰狼のいる家を襲う気概が他の派閥にあるとは思えないけれど)」

 

「・・・そう。なら、我は戻る」

 

「オーフィスちゃん・・・」

 

アーシアが表情を沈ませながらオーフィスちゃんを抱きしめた。このまま何もせずにお別れ・・・ってのは俺も嫌だな。何か、何か最後に思い出になる様な事が出来れば・・・。

 

「ちょっといいかしら。オーフィスを連れて帰るの、三日くらい遅らせる事は可能かしら?」

 

「ええ、それくらいでしたら構いませんが」

 

「なら、みんなでこれに行ってみない?」

 

リアスが一枚のチラシを机の上に置く。俺達はそれを取り囲むように覗きこんだ。第三十八回 駒王町花火大会のお知らせと大きな文字で書かれていた。

 

「リアス、これは・・・」

 

「本当なら先月にあったはずなんだけど、事情があって一ヶ月ずれちゃったらしいわ。ゲーム前に気分のリフレッシュも兼ねて眷属の子達と一緒に行くつもりだったのだけれど、最後なんだし、どうせならあなた達も思いっきり楽しんでみたらいいんじゃない」

 

リアス、ひょっとして俺と同じ事を考えて・・・。

 

「ふふ」

 

「ッ・・・!」

 

顔を上げると、リアスが俺に向かってウインクして来た。ちくせう! やっぱりそうだったのか! 惚れてまうやろ!

 

「花火だけじゃなくて、出店もたくさん出るみたいよ」

 

「ラーメンはあるのかぃ!?」

 

「さ、さあ、そこまではわからないけど」

 

「よっしゃ! せっかくだから俺っちはこの花火大会に行くぜぃ!」

 

「美猴、私達の意見も聞かずに決めてもらっては困ります」

 

「いいじゃねえかアーサー! おめえもたまにはハメを外してはしゃいでみろよ!」

 

「あらあら、なら浴衣を用意しないといけませんわね」

 

「どうせなら赤龍帝達も呼ぶにゃ」

 

「オーフィスちゃん! お祭りですよお祭り!」

 

「?」

 

美猴さんをきっかけに活気づくみんな。そこへポツリと小猫が呟く。

 

「あ、でも、外出はアザゼル先生に禁止されてるんじゃなかったですか?」

 

「俺が先生を説得する」

 

確かに、以前はオーフィスちゃんを外へ連れ出す事を許してもらえなかった。けど、今回は絶対に許してもらえるよう全力を尽くす! 必要ならDO☆GE☆ZAの封印を解いてやるぜ!

 

(ご主人様の目が本気を通り越してヤバい事になってるにゃ・・・!)

 

そうと決まれば、早速明日アザゼル先生に話をしてみよう! いっそ先生も誘ってみるのもいいかもな!

 

SIDE OUT

 

 

 

アザゼルSIDE

 

「ッ・・・!?」

 

放課後、職員室にいた俺をとんでもないプレッシャーが襲った。これ絶対“アイツ”だろ。俺の胃がキュッとなったから間違いねえ!

 

「な、何だか寒気がしますな」

 

「ち、ちょっと冷房効きすぎなんじゃないですか」

 

「れ、冷房はついてませんよ」

 

「で、でも、震えが止まらないんです」

 

他の教師達が顔を青ざめさせながら口々に異常を訴える。そうしている間にも、プレッシャーは職員室に向かって少しずつ近づいて来ていた。

 

(来るなよ。来るなよ。そのまま通り過ぎてどっか行っちまえ)

 

職員室の入口まで残り五メートルといった所か。四・・・三・・・二・・・一・・・。そして、プレッシャーの発信源は入口の前で止まった。

 

「・・・失礼します」

 

否定したくとも、その声が俺の脳裏にヤツの顔を浮かばせた。そして扉が静かに開かれ、ヤツが・・・青い死神がその姿を現した。

 

「お、おお、神崎か。何か用か?」

 

「アザゼル先生に少しお話が。・・・大丈夫ですか? 震えてますけど」

 

「あ、ああ、よくわからんが、体調でも崩したかな」

 

「そうですか。お大事に」

 

(お前の所為だろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

心の中で絶叫している間に、フューリーは俺の元へ一直線に近付いて来た。つーかおかしいだろ! 何で学園内でこんなふざけたプレッシャー放ってんだよ! 下手したら気絶者が出るぞこれ!

 

「すみません、アザゼル先生。実は先生にお願いしたい事がありまして」

 

「・・・場所を変えるぞ」

 

「アザゼル先生、私も・・・」

 

「いい。お前はここで待ってろロスヴァイセ」

 

俺はフューリーを連れて職員室を出た。さて、これ以上被害者を増やさない為にも・・・屋上にでも行くか。

 

階段を上る俺の後ろを無言でついて来るフューリー。それが逆にプレッシャーを際立たせて、俺の胃が益々悲鳴を上げ始めた。くそ、まだ回復系神器所有者を発見すらしてねえのに・・・!

 

屋上は無人だった。これから話をするには丁度よかった。

 

「・・・で、話ってのはなんだよ?」

 

「実は、昨日家に美猴さんとアーサーさんが来まして・・・」

 

なるほど、つまりオーフィスを連れ出した事が他の連中にバレちまったわけか。で、オーフィスが帰る前に花火大会に連れて行ってやりたいと。

 

「こうして俺に話をしに来たって事は、俺が前に言った事は憶えてるみてえだな」

 

「はい。ヴァーリさんは黙っていれば問題無いと言っていましたが、やはり先生に許可はもらっておかないといけないと思いまして」

 

「ふん、あの馬鹿娘の考えそうな事だな」

 

「それで、彼女達を連れて行く事を許してもらえないでしょうか」

 

「俺が許可を出さなかったらどうするつもりだ?」

 

「出してもらえるまで、何度でもお願いさせてもらうつもりです」

 

お願い? はっ! お願いってのはそんな殺る気満々なプレッシャーを向けて来ながらするもんですかねぇ! そりゃ脅迫っていうんですよ騎士様よぉ!

 

「・・・お前、どうしてそこまでオーフィスに肩入れする? アイツはお前が憎むテロリスト達の親玉なんだぞ?」

 

「お飾りの・・・です」

 

「・・・」

 

「あの子とは色々話をしました。一緒にご飯も食べましたし、一緒に本を読んだり、ゲームをしたりしました。色んなものに興味を持ち、色んな事を知りたがりました。そうしてあの子と過ごす内に俺は確信しました」

 

そうして、フューリーは今までで一番のプレッシャーと共に俺に向かって断言した。

 

「・・・あの子はあんな連中の所にいてはいけない。あの子を利用するだけ利用して、あの子の孤独を理解しようともしない連中なんかの所に」

 

「お前・・・」

 

オーフィスの孤独はなるべくしてなったようなもんだ。オーフィスの目的は次元の狭間へ戻り静寂を取り戻す事だ。静寂ってのはつまり、自分以外何も存在しないって意味になる。それを当たり前の様に求めるという事は即ち、オーフィスは自分が孤独だと理解していない。コイツは、そんなオーフィスの孤独に寄り添う・・・いや、孤独そのものから解放するつもりか・・・。

 

「お前、それがどんだけ難しい事かわかってんのか?」

 

「もちろんです」

 

「その結果、テロリスト共と真正面から戦う事になってもか?」

 

「叩き潰します」

 

「・・・お節介にもほどがあるぜ」

 

「よく言われます」

 

あーもう無理だ無理。こういう目の色をしたヤツにゃ何を言っても無駄だ。

 

「お前は、目についたヤツを全員救っちまうつもりなのか・・・。くく、だからこそ騎士ってわけかよ」

 

「え?」

 

「何でもねえ。・・・いいぜ、許可を出してやる。精々楽しんでこい」

 

「ッ! ありがとうございます!」

 

おーおー、ガキみてえに喜びやがって。・・・って、コイツまだ十八だったな。

 

「ただし、お前はオーフィスから絶対に離れるな。あと、当日は俺もついて行くからそのつもりでいろ」

 

「わかりました。元々先生も誘うつもりでしたし、丁度よかったです」

 

「祭りは明後日だったな。時間がねえが、用意出来るもんは用意しとくか」

 

そうだ俺。ここはポジティブに考えようじゃねえか。悩みの種の一つがいなくなるんだ。きっと、きっとこれを乗り切れば最高に美味い酒が飲めるはずだ!

 

職員室へ戻る道中、俺は何から手をつけるべきか頭をフル回転させるのだった。




先生がまた色々深読みしていますが、オリ主はただペロリストという変態集団の中にオーフィスがいるのは危ないとしか考えてません。

それはともかく、次回はレーティングゲーム前の最後の日常イベントです。最後なのでレギュラーメンバーだけでなく、他にも色々出してみたいと思います。イッセーと桐生も絡むかも?

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