ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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・・・こんな青春を送りたかった(泣)


第百三十四話 祭り・・・それはリア充達の巣窟である

無事アザゼル先生から許可をもらった俺は、すぐさまリアスにその事を伝えた。そのまま彼女がオカルト部の部室に集まったみんなに事情を説明。レイヴェルさんを含めた全員が参加する事になった。さらに、途中で姿を現したアザゼル先生から、ロスヴァイセ先生やレイナーレさん達にも事情を説明して参加させるとの言葉があった。レイナーレさん達はオーフィスちゃんが来ていることから知らないから、アザゼル先生から説明しておいてくれるらしい。

 

それから、一旦解散した後、女性陣が揃ってどこかへ出かけて行き、帰って来たのは夜の八時半を過ぎた頃だった。みんなが帰って来る間、俺は遊びに来た美猴さんにゲームに付き合わされる事になった。アーサーさんとも色々話をしたが、彼の妹さんも一緒に祭りに参加するらしい。

 

そして祭り当日、部屋で着替えをしているとゼノヴィアさんと紫藤さんとレイヴェルさん、続けてレイナーレさん達、最後にロスヴァイセ先生とヴラディ君がやって来た。そして、それと入れ代わるように、俺は家を追い出されてしまった。

 

「これから色々準備しないといけないから、リョーマは先にお祭り会場に向かっててちょうだい」

 

こう言われては仕方無いので、俺はそのまま祭り会場へ向かう事にした。歩き始めてすぐ美猴さんとアーサーさんに遭遇したので、せっかくだからと二人にもご一緒してもらう事にした。

 

でもって現在、俺は祭り会場の入り口でみんながやって来るのを一人で待っていた。美猴さんは会場から漂って来る美味しそうな匂いに我慢出来ず突撃。アーサーさんはそんな美猴さんを監s・・・見守る為に先に会場に入って行ってしまった。

 

・・・にしても。まだ早い時間だっていうのに、既に相当な数の人達がやって来ている。うーむ、こうして一人この場にいる事が非常に居心地が悪い。さっきから会場入りする人達からめっちゃ視線を向けられている。俺以外にも待ち合わせしてるっぽい人はいるのに、何で俺だけこんな目に・・・。

 

「あ、先輩がいたよイッセー君」

 

「お、ホントだ! おーいセンパーイ!」

 

そんな俺の元へ救世主登場! 元気よく駆け寄って来た兵藤君と木場君に片手を上げて挨拶をする。

 

「早いな二人とも」

 

「それはこっちのセリフです。てっきり僕達が一番だと思ってました」

 

「リアス達に準備があるからと追い出されてしまってな。仕方無いからここでみんなを待ってようと思ったんだ」

 

「じゃあ、まだ先輩以外の人達は来てないって事ですか?」

 

「いや、美猴さんとアーサーさんも一緒だったんだが、二人は先に会場入りしたよ」

 

「へっ、あの猿野郎のこった。どうせ食い物の匂いに我慢出来なくなったんだろうよ」

 

「そういう事なら、僕達もここで部長達が来るのを待ちますよ。いいよね、イッセー君」

 

「おう・・・って、あれ、アイツ等・・・」

 

兵藤君の視線を追いかけると、そこには松田君と元浜君の姿があった。向こうもこっちに気付いたのか、手を振りながら近づいて来た。

 

「イッセーじゃねえか! それに木場に神崎先輩も!」

 

「この組み合わせ・・・はっ! イッセーお前、このイケメン二人を利用して女の子をナンパするつもりだな!」

 

「何だと!? おいイッセー! そんな真似して恥ずかしくねえのか!」

 

「うるせえ! 誰がそんな事するか!」

 

あはは、なんだか一気に賑やかになったな。やりとりを見守る俺と木場君の前で、兵藤君達の会話は続く。

 

「じゃあこんな所で何やってんだよ。会場に入らねえのか?」

 

「部長達を待ってんだよ」

 

「部長って・・・まさかリアス先輩か!?」

 

「しかも“達”って事は他の子も!?」

 

驚愕する松田君と元浜君。その直後だった。前方からおおきなどよめきが聞こえて来たのは。

 

「何だ?」

 

俺達はそろってそちらへ目を向け、そのどよめきの正体を知る事となった。赤、青、黒、黄、白、様々な色の浴衣に身を包んだ艶やかな集団がこちらに向かってゆっくりと近づいて来ていた。その集団を率いているのは、赤い浴衣を着た紅髪の美少女・・・即ち、リアス・グレモリーその人であった。

 

「お待たせ、リョーマ。イッセーと祐斗も来てたのね」

 

「リアス、その格好は・・・」

 

「言ったでしょ。準備があるって」

 

その瞬間、俺は全てを理解した。そうか、昨日出かけたのは浴衣を買う為で、俺を追い出したのは、みんなの着つけをする為だったのか!

 

後ろの子達にも目をやる。そこで気付いたが、朱乃は黒、ゼノヴィアさんは青色といったように、みんなそれぞれの髪の色と同じ色の浴衣を着ていた。

 

「えへへ、浴衣なんて初めて着ました」

 

「私は普段和服だからあんまり変わらないにゃ」

 

「・・・やべえ」

 

「イッセー君?」

 

「やべえ。やべえよ木場。俺は今、猛烈に感動している! こんな最高なモノが見れたんだ! 俺はもう死んでもいい!」

 

「ふふ、イッセー。褒めてくれるのは嬉しいけど、それは大袈裟よ」

 

「大袈裟なもんですか! ねえ、先輩もそう思うでしょ!」

 

ここで俺に振るのか兵藤君・・・。けど、まあ俺としては概ね彼と同意見だな。これほどの美女、美少女の浴衣姿を見て嬉しく無いわけがない。

 

「そうだな。確かに兵藤君の言う通りだ。リアスはいつもの長髪を纏める事で全然雰囲気が変わってより艶やかに見えるし、朱乃は正に大和撫子だ。外国生まれのアーシアやゼノヴィアさん達も違和感どころか逆に着こなして見える。他の子達も含めて、みんな本当に綺麗なんだが・・・。すまない。もっと今のキミ達を表現するのに相応しい言葉があるはずなのに、俺の貧相な語彙力ではこれが限界だ・・・」

 

くやしいのう、くやしいのう。こういう時、小説家の人達がマジで羨ましくなるわ。よし、これからもう少し本を読む様にしよう。・・・鋼の救世主以外で。

 

(・・・あれで素なんだよね先輩は)

 

(俺はもう慣れた。それよりもナチュラルにあの集団に混じって真っ赤になってるギャー助の方が俺は心配なんだが)

 

(寄る所があるって僕達と別れたのはこの為だったんだね)

 

(アレって恥ずかしがってるだけだよな? いや、恥ずかしがってる事自体がおかしいんだけどよ)

 

(・・・)

 

(無言止めて。俺が変な事言ってる感じになるから)

 

(どうしようこの空気・・・)

 

(こういう時はあの人を呼ぶしかねえ)

 

(あの人?)

 

「すう・・・アザゼル先生ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

っ!? な、何事だ兵藤君!? そんなヒーローの助けを求めるかのようにアザゼル先生の名を・・・。

 

「おいイッセー! 人の名前を馬鹿みてえな大声で叫んでんじゃねえ!」

 

来ちゃったよ先生!?

 

「ったく、ただでさえ目立つ集団だってのに、これ以上注目浴びる様な真似をすんな」

 

注目? って、うお!? 周囲からめっちゃ視線を集めてるぞ俺達!? さっきの比じゃない!

 

「おいオーフィス。アレは着けて来たんだろうな」

 

「ん」

 

短く返事をしたオーフィスちゃん。その頭には紫色のリボンが着いていた。似合ってるけど、ひょっとしてアザゼル先生がプレゼントしたのだろうか。

 

「そのリボンの中心の玉は小型の認識阻害装置になっている。いつぞやにフューリーに渡した物よりもずっと強力なヤツだ。急ごしらえで作ったもんだが、それがありゃあお前だってバレやしねえだろうぜ」

 

「わざわざリボンにする所に、あなたの優しさが感じられるわねアザゼル」

 

「・・・フン」

 

お、おお。まさかド直球なツンデレをアザゼル先生で見られるとは・・・。言ったら殴られそうだから何も言わないが。

 

「あ、あの・・・」

 

軽い衝撃を受けている俺に、ヴァーリさん・・・正確にはヴァーリさんの後ろに隠れていた女の子が声をかけて来た。

 

「キミは?」

 

「ル、ルフェイ・ペンドラゴンといいます。えっと、その、兄がお世話に・・・」

 

兄? ・・・あっ! ひょっとしてこの子がアーサーさんの妹さんか! 昨日聞いた特徴と合致する所があるし間違いないだろ。

 

「で、伝説の騎士様に会え、じゃなくて、お会い出来て嬉し、光栄です」

 

そういう割にはヴァーリさんの後ろの隠れたまま顔も見せてくれないんだけれど。

 

「この子は緊張してるだけだから、気にしないであげてちょうだい。ところで、美猴とアーサーはどこ?」

 

「あの二人なら先に会場内に入っていったぞ」

 

「なら、これで全員集まったわけだし、私達も行きましょう」

 

「待って。いくらなんでもこの人数でぞろぞろと行動したら他の人達の迷惑になるわ」

 

確かに、改めて人数を確認すると、俺、リアス、朱乃、アーシア、小猫、兵藤君、木場君、ゼノヴィアさん、紫藤さん、ヴラディ君、黒歌、アザゼル先生、ロスヴァイセ先生、レイナーレさん、カラワーナさん、ミッテルトさん、レイヴェルさん、ルフェイさん、オーフィスちゃん、ヴァーリさん、ついでに松田君と元浜君も入れると・・・二十人越えちゃってるよ。もはや団体レベルだ。リアスの言う通り、この人数そのままに動くのも大変だ。

 

「そうね。ならこうしましょう。メインイベントの花火までまだ二時間近くあるわ。それまで、各自グループを作って好きに時間を潰しましょう。その後、花火会場で合流というのはどうかしら」

 

「それは構わんが、フューリーとオーフィスは一緒に行動してもらうぞ」

 

「「「「「異議あり(にゃ)!!!」」」」」

 

「これは俺が許可を出した条件の一つだ。異論は認めん」

 

(それだけじゃねえ。下手したら先輩を巡って血の雨が降ってたかもしれない)

 

(先生はそれを危惧したからこそこの条件を出したんだ)

 

オーフィスちゃんと一緒か。まあ、元々オーフィスちゃんとの思いで作りの為の企画なんだし、むしろ望む所だな。

 

「ほら、さっさとグループ決めて中に入っちまえ。いいかげん周りの視線が鬱陶しいんだよ」

 

その後、アザゼル先生によって適当にグループを決められ、俺達は祭り会場へ放りこまれるのだった。

 

SIDE OUT

 

 

 

イッセーSIDE

 

「ちくしょう、なんでよりにもよってコイツ等となんだよ」

 

松田が恨めしげな視線を送って来る。けど、そりゃこっちのセリフだ。何でお前と元浜と俺の三人組なんだよ。

 

「おかしいだろ! あんなにもたくさんの女の子達がいたんだぞ! なのになんでこの組み合わせになる!?」

 

「勝手に入り込んでた癖によく言うぜ」

 

「それよりもだイッセー! お前いつの間にあんな黒髪少女と知り合いになってんだ! 京都でも九重ちゃんと知り合いになってたし、アレか、お前は幼女を惹きつける力でも持ってんのか!?」

 

「あの子だけじゃねえ! 他にも見知らぬ女の子が何人かいたぞ! なんでお前ばっかり良い思いを!」

 

「お、射的があるな」

 

こういう時のコイツ等は無視するに限る。俺は二人を置いて射的の店に向かった。

 

「おう、らっしゃい!」

 

「おっちゃん。一回ね」

 

「はいよ! 玉は六発だ。精々頑張りな!」

 

「よっし! やってやるぜ!」

 

という感じで気合いを入れてやってはみたが・・・結果は悲惨だった。ちくしょう、収穫物ゼロかよ。

 

「はは! だっせえなイッセー!」

 

「んだとコラ! ならお前やってみろよ!」

 

「いいぜ。俺の美技に酔いしれな!」

 

・・・一分後、そこには地面に崩れ落ちる松田君の姿がありました。

 

「だーっはっはっはぁ! 確かにいい美技(笑)を見せてもらったぜ松田!」

 

「元浜ぁ! 頼む、俺の仇をとってくれぇ!」

 

「だが断る」

 

「まあ気を落とすなよ松田。美技(笑)を見せてくれた礼にたこ焼きでもおごってやるからよ」

 

「ええい! (笑)をつけるな(笑)を! おっちゃん! もう一回だ! 次こそ絶対に・・・!」

 

「―――アンタ達、店の前で何騒いでんのよ」

 

背後からの声に振り向くと、そこには黄色い浴衣姿の桐生が呆れ顔で立っていた。

 

「桐生!? 何でお前がここに!?」

 

「はあ? 私がお祭りに来ちゃ変なの?」

 

「い、いや、そういうわけじゃねえけど」

 

「ふん。とりあえず松田、邪魔だからどきなさいよ」

 

「たわば!?」

 

松田を下駄による一撃でどかした桐生に、おっちゃんが親しそうに声をかけた。

 

「おおっと、藍華ちゃんじゃねえか! 今年も来てくれたんだな!」

 

「今年も楽しませてもらうよ。とりあえず一回分ね」

 

そういいながら、桐生は二回分のお金をおっちゃんに渡した。あれ、コイツ今確かに一回分って・・・。

 

「はいよ! じゃあ十二発な!」

 

「「「え?」」」

 

声を揃えて疑問符を浮かべる俺達を尻目に、桐生は玉を銃に込め・・・さらに別の銃にも玉を込めると、それを両手で持って構えた。

 

「に、二丁持ち・・・だと?」

 

そして、気付けば俺達の背後に人だかりが出来ていた。誰もが桐生を見つめている。まるで、この時を待っていたかのように・・・。

 

「で、出た・・・。トゥーハンドの藍華だ!」

 

群衆の一人が叫ぶ。何その漫画キャラみたいな二つ名。え、こいつってそんな有名なの?

 

「ねえおじさん。上段の方にある景品だけど」

 

「お、やっぱりそっちに目がいくかい! 今年はちょっと奮発したんだ!」

 

「そうなんだ。・・・けどさ、おじさん」

 

「なんだい?」

 

「別に・・・全て撃ち落しちゃっても構わないんでしょう?」

 

この時、横から覗きこんだ桐生の顔は・・・完全に得物を狙うそれになっていたのだった。

 

「いくわよおじさん。景品の予備は十分かしら?」




桐生「体は眼鏡で出来ている」

一話で終わらせるつもりが色々ぶっこんだら収まらなくなってしまいました。まだ祭り回は続きます。次回は他のグループも書きつつ、イッセーと桐生をもう少し絡ませます。

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