ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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オリ主覚醒以来ですよ。こんなに悩んだのは・・・。


第百四十六話 夢の形

イッセーSIDE

 

決戦となるフィールドは、余計な物が一切存在しない広大な平地だった。ここなら思う存分戦う事が出来る。『禁手』状態で立つ俺の隣には部長がいる。この人を勝たせたい。それが、俺達眷属の総意だ。

 

「ねえ、イッセー」

 

「なんですか部長?」

 

「決戦前に聞いていいかわからないけれど、あなたが言っていた“夢の形”・・・掴めたのかしら?」

 

夢の形・・・。ゲーム開始前、会場入りする時に俺が部長へ言った言葉だ。ひょっとして、ずっと気にしていてくれたのだろうか。

 

「すみません。結局まだ何も・・・。でも、後一歩の所までは来てると思うんです」

 

「そう・・・。なら、ひょっとしたら、この戦いで得られるかもしれないわね。私は知りたいわ。夢を見失い、苦悩しながらも掴みとったあなたの“答え”を。叶うなら、その夢の中に私や朱乃達も含まれていたら嬉しいけれどね」

 

『さあ、激闘に激闘が続いたグレモリーとバアルの勝負もついにこの時を迎えました! 正真正銘、これが最終決戦です! グレモリーチームからは『王』のリアス選手と、せきりゅーてーこと『兵士』の兵藤選手! そしてバアルチームからは先程とてつもない実力を見せてくれた『王』サイラオーグ選手と、謎に包まれた『兵士』レグルス選手です!』

 

『せきりゅーてー!』

 

『がんばれ~!』

 

歓声の中に子ども達の声が含まれていた。もしかしたら、あの中にファンレターを送ってくれた子がいるのかもしれない。

 

『最終試合を始めます。両者とも悔いの無い勝負をしてください』

 

そして、最終決戦の幕が上がった。俺はすぐさま『練成』を行い、両腕と両脚にブースターを追加した。脚にまでブースターを増やすのは初めてだが、さっきの木場との戦いでサイラオーグさんが見せた速さに対抗するにはこれでもまだ足りないかもしれない。

 

「リアス、まずはお前に感謝したい。お前と、お前の眷属達と戦えた事を、俺は心の底から嬉しく思っている。お前の眷属は素晴らしい者達ばかりだった」

 

「それはこちらも同じよ。あなたの眷属達が見せた覚悟や想いは私の眷属達に勝るとも劣らぬものだったわ。今日、あなた達と戦えた事は、きっとあの子達にとって大きな意味になると思っているわ」

 

部長とサイラオーグさんが互いの眷属達を称えあう。続いて、サイラオーグさんの視線が部長から俺に移った。

 

「・・・ようやくだ、兵藤一誠。ようやくお前と戦える時が来た。こうしてお前と対峙しているだけで、歓喜で体がうち震えるぞ」

 

「サイラオーグさん。俺にはあなたの様な立派な夢や志はありません。そんな俺を信じて仲間達がこの場所に俺を送り届けてくれた。だから俺は・・・俺の全てをあなたにぶつけます!」

 

「そうだ! それでいい! 俺の野望を越えるつもりで来い! そうでなければ、この俺の拳がお前を打ち砕く!」

 

「イッセー。存分にサイラオーグと戦って来なさい。あの『兵士』は私が抑えておくから」

 

部長が『兵士』を見据える。するとそれに応えるように『兵士』が着けていた仮面を外した。その下から現れたのは、俺や木場とあまり変わらないであろう少年の顔だった。だが次の瞬間、『兵士』の体が驚くべき変貌を始めた。

 

巨大化する体、全身を覆う金色の毛、太さを増す腕や脚、そして、裂けた口から伸びる鋭い牙と、長く伸びる尻尾。既にそこに少年の姿は無く、代わりに一匹の巨大で勇壮なライオンの姿があった。

 

「な、何だ・・・!?」

 

『な、なんと! バアルチームの『兵士』の正体は巨大な獅子でした!』

 

『あれは・・・まさかネメアの獅子!? 『獅子王の戦斧』か!?』

 

『ご存知なのですかアザゼル総督!?』

 

『十三の『神滅具』にも名を連ねる神器だ。元祖ヘラクレスの試練の相手だった獅子を封じたその神器は、極めれば一振りで大地を割るほどの威力を放ち、巨大な獅子にも変化するという。それがまさかサイラオーグの眷属になっていたとは・・・。報告では所有者はここ数年ずっと行方不明になっていたはずだが』

 

神滅具!? あのライオンが!?

 

「『獅子王の戦斧』の本来の所有者は既に亡くなっている。俺がコイツと出会った場で、怪しげな集団の手にかかってな。本来であれば所有者が死んだ時点で神器も消滅するはずだったのだが、コイツは消えるどころか戦斧から獅子へと姿を変え、復讐とばかりに所有者を殺した者達を全滅させていた。俺は、この出会いは獅子を司る母の血筋がもたらしてくれた縁だと思い、コイツを眷属にしたのだ」

 

「運命の出会いって事かしら・・・」

 

『所有者が存在しないにも関わらず、意思を持ち動き、悪魔にまで転生しちまったってのか・・・』

 

「コイツは力が不安定でな。暴走してしまえば勝負どころでは無い。こうして俺と共に出る試合でしか出せないのだ。いざという時は俺がコイツを止める。・・・これが、コイツを出さなかった本当の理由だ」

 

「まさか、相手が神滅具だなんて。・・・いいえ、臆するわけにはいかないわ。行くわよイッセー! 何が相手であろうとも、私達は勝利を掴みとってみせる!」

 

「はい!」

 

全ブースター最大出力! 初っ端から全力全開だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

正真正銘、俺のフルパワーを乗せた渾身の一撃をサイラオーグさんの顔面に叩き込んだ・・・はずだった。

 

「・・・どういうつもりだ?」

 

「なっ・・・!?」

 

俺の拳を顔面で受け止めたまま、サイラオーグさんが静かに口を開く。う、嘘だろ・・・!? 通じて無いのかよ・・・!?

 

「これがお前の全力か? そんなはずはないだろう。悪神を・・・聖槍を退けたお前の力がこの程度のはずが無いだろう!」

 

「くっ、ドライグゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!』

 

幾重にも倍加を重ね、俺は必死になって両拳を叩き込んだ! 何度も何度も、十発、二十発、それ以上に何度も何度も。なのに・・・サイラオーグさんは鼻血どころかよろめく事すら無く黙って俺を見下ろしていた。まるで、子どもの駄々っ子パンチを受け止める大人の様に・・・。

 

「何故だ、兵藤一誠。この期に及んで何故、力を出し惜しみする! お前はその様な男ではないはずだ!」

 

随分買いかぶってくれてますね。こっちはさっきから全力だってのに!

 

「くそっ! くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

こんなにも・・・こんなにも差があるっていうのかよ! 俺の拳は、俺の想いは、この人には届かないっていうのかよ! やっぱり・・・やっぱり、夢を持たない俺には、夢を持つこの人には勝てないっていうのかよ!

 

「これが・・・お前の限界だと言うのか・・・!」

 

そんな呟きが聞こえた瞬間、俺の腹部にサイラオーグさんの拳が撃ち込まれた。鎧が呆気無く破壊され、俺の肉体そのものまでもが撃ち砕かれていった。

 

「が・・・はっ・・・」

 

「イッセーーーーーーーッ!」

 

部長の叫び声を聞きながら、俺の意識は呆気無く沈んでいったのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

周囲に広がる白い空間。ここは・・・神器の中か? 間違いない、先輩達が座っていたテーブル席がある。

 

「俺、何でここに・・・。それに、先輩達の姿が無い・・・?」

 

俺を認めてくれていた歴代の先輩が一人もいない。あのオッサンも、『鎧崩壊』を教えてくれたあの残念な先輩も、誰もいなかった。

 

「・・・はは。そうだよな。あんな情けない姿を見せちまったんだ。見捨てられたって仕方ねえか」

 

結局、俺の拳は一発もあの人に届ける事が出来なかった。先輩達からしてみれば、こんな出来の悪い後輩なんざ見たくも無いって所か。

 

「・・・それは違うわよイッセー」

 

「ッ!? エ、エルシャ・・・さん・・・」

 

一人テーブル席の前で佇んでいた俺の背後に、いつの間にかエルシャさんとベルザードさんが立っていた。

 

「こんな所にまで意識が落ちて来るなんてね。・・・早く戻りなさい、イッセー。戦いはまだ終わっていないわよ」

 

「・・・無理ですよ。エルシャさんも見てたんでしょ? 俺はサイラオーグさんには届かないんです。あの一撃を受けて、ハッキリそう思ってしまったんです」

 

「そうね。あの男はかつてないほどの強敵。間違い無く、あなたがこれまでに対峙して来た敵の中で最強の男だわ。・・・だからこそ、あなたは戦わないといけないわ。それに、この戦いはあなただけの戦いじゃないんでしょう?」

 

「俺だけの戦いじゃない・・・?」

 

ベルザードさんが空を指差す。つられて見上げてみると、そこには血を吐きだして倒れている俺の姿が映し出されていた。これって・・・外の映像か・・・!

 

『イッセー! 立ちなさいイッセー!』

 

その映像の中、レグルスと戦いながら必死に俺に向かって部長が声をかけてくれていた。

 

『あなたはこれで終わる様な子じゃないわ! いつだって、誰が相手だって、あなたは絶対に諦めなかった! だから私達も戦えたのよ! だから立ってちょうだい!』

 

「部長・・・」

 

『イッセー君!』

 

木場!? アイツ医務室にいたはずじゃ・・・! それだけじゃない、朱乃さんにゼノヴィアに小猫ちゃんまで・・・!

 

『僕達は信じてる! キミなら必ずサイラオーグ・バアルに勝てると! まだ目覚めていないギャスパー君だって、そう思っているはずだ! だから!』

 

木場の叫びに、木場以外の三人が力強く頷く。みんな、こんな事になっちまっても、まだ俺を信じてくれているのか・・・。

 

『兵藤! 何やってんだよお前は!』

 

さ、匙!? アイツも会場にいたのか!?

 

『俺達はアガレスに勝ったぞ! なのに、ライバルであるお前が負けちまってどうするんだよ! 俺と決着をつけたいんだろ! だったら、俺以外のヤツに負けるんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

「は、はは、無茶苦茶言いやがるぜアイツ・・・」

 

『兵藤選手、果たして立つ事が出来るのか!』

 

『立つさ。アイツは絶対に立ち上がる。アイツは・・・兵藤一誠は、俺の自慢の生徒だ。アイツの底力を舐めてんじゃねえぞ!』

 

「アザゼル先生・・・」

 

そんな事、普段は一言も言ってくれない癖に。ちくしょう、嬉しいよ。

 

『イッセーさん!』

 

『白音の頑張りを無駄にしたら私が許さないわよ!』

 

アーシア、小猫ちゃんのお姉さんまで・・・。

 

『立ってよせきりゅーてー!』

 

『せきりゅーてーが負けるもんか!』

 

『そうだよ! せきりゅーてーは絶対に諦めないもん!』

 

『頑張れせきりゅーてー!』

 

『せきりゅーてー立ってー!』

 

会場中の子ども達が俺の名を声を張り上げて呼んでくれている。こんな情けない姿になっちまった俺を、あの子達はそれでも応援してくれるのか・・・。

 

―――「それいけ! せきりゅーてー」のモデルであるキミは冥界の子ども達にとってまさに夢と希望の象徴なんだ。

 

サーゼクス様の言葉が頭を過る。こんな俺を見て子ども達が夢や希望を持ってくれる。だったら、俺はそれだけの男にならないといけない。子ども達にとってのせきりゅーてーにならないといけない。今なら、ハッキリとそう思える事が出来る・・・!

 

『兵藤一誠・・・これがお前の強さか』

 

そして、俺を倒した張本人であるサイラオーグさんが、腕を組みながら倒れ伏す俺へ語りかけていた。

 

『皆がお前を信じている。皆がお前に夢を託している。皆がお前に希望を見出している。お前は・・・皆の夢や希望が形を成した存在なのかもしれんな』

 

「俺が・・・みんなの夢や希望を・・・」

 

『お前は、やはり俺にとっての真の好敵手になり得る男だ。立て兵藤一誠! お前を呼ぶこの声が、お前を求めるこの声がお前には聞こえているはずだ! 限界を越えてみせろ! お前は赤き龍帝なのだろう!』

 

勝利を狙うのなら、俺に止めを刺してしまえばいい。なのにサイラオーグさんはそうしない。この人も、俺を信じてくれているんだ。敵であるはずの俺を・・・!

 

『兵藤君・・・』

 

「神崎先輩・・・」

 

『俺は・・・俺には、キミにかける言葉が見つからない。だから、ただ信じる。どこまでも真っ直ぐな、兵藤一誠という後輩を・・・!』

 

ありがとうございます。それだけで十分ですよ先輩!

 

「どう? これでもまだ戻りたくないかしら?」

 

エルシャさんの問いかけに、俺は首を横に振った。悩んだつもりだった。吹っ切れたつもりだった。だけど、俺は結局何もわかってなかったんだ。

 

主が、仲間達が、恩師が、ライバル達が、子ども達が、尊敬する人が俺を待ってくれている。俺を信じてくれている。

 

「・・・ようやくわかった。俺の夢の形・・・。こんなにもシンプルで、こんなにも大切な物だったんだな・・・」

 

「その言葉を待っていたぞ」

 

俺の前に初めて見る男性が立っていた。わかるぞ、この人が最後の歴代所有者だ。この瞬間、俺は歴代所有者全員に認められたんだ。

 

「へっ、馬鹿な癖に頭を使おうとするからだ」

 

「まあまあ、それがこの子の良い所でもあるからさ」

 

「オッサン・・・先輩・・・いつの間に・・・」

 

「彼等はずっとここにいたわよ。ただ、自分を追い込み過ぎていたあなたが目を逸らしていただけ。さあ、イッセー。今こそあなたの『覇龍』を目覚めさせる時よ。あなたがイメージする最強の存在へ至るのよ」

 

俺がイメージする最強。それは・・・。

 

イッセーSIDE OUT

 

 

リアスSIDE

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「イッセー!?」

 

雄叫びと共に立ち上がったイッセー。その体を暗い炎のオーラが包み込んだ。

 

『こ、これは!? 兵藤選手になにが起きたんだぁ!?』

 

『まさか・・・! いや、だがあの暗いオーラは・・・』

 

誰もが見守る中、オーラがゆっくりと治まって行く。そして、その中から現れたイッセーの姿に、私は目を見開いた。

 

「イ、 イッセー・・・その鎧は?」

 

イッセーが纏っていたのは赤龍帝の鎧では無く、リョーマの纏う物に瓜二つの鎧だった。ただ一つ違う事と言えば、その鎧を彩るのは赤でも蒼でもなく、赤銅色という所だけだった。

 

『フュ、フューリー!? 兵藤選手、伝説の騎士と同じ鎧を纏っています! これはどういう事なんでしょう!?』

 

「それがお前の奥の手なのか、兵藤一誠?」

 

サイラオーグの問いかけにイッセーは答えない。代わりに独り言のように小さく声を発したのだった。

 

「・・・違う。違うよエルシャさん。これじゃダメだ。ダメなんだよ・・・」

 

リアスSIDE OUT

 

 

イッセーSIDE

 

エルシャさんから最強のイメージを求められた時、俺が思い浮かべたのは神崎先輩だった。それは間違い無い。俺の中で最強の存在は神崎先輩だ。その結果が、この神崎先輩と同じ鎧って事か。

 

『おめでとう、イッセー。それがあなたの得た『覇龍』の形よ』

 

祝福の声を送ってくれるエルシャさん。だが、俺はこれっぽっちも嬉しく無かった。

 

「・・・違う。違うよエルシャさん。これじゃダメだ。ダメなんだよ・・・」

 

『え?』

 

確かに俺は神崎先輩に憧れてる。目標にしている。だけど、俺は神崎先輩そのものになりたいわけじゃない。先輩の強さは先輩だけのものだ。例え同じ姿形や力を持っても、それはただ真似ただけの別の存在になっちまう。そんなの、先輩に対する最大の侮辱だ。だから俺は、俺の可能性の先で、先輩と肩を並べられる男になりたいんだ!

 

「俺の夢は・・・俺自身の力で掴みとらないと意味が無いんだ! 大好きな主である部長や仲間である木場達を守る為に! ライバルである匙やサイラオーグさん達に負けない為に! 子ども達の夢や希望を背負う為に! 『禍の団』みたいな悪いヤツ等をぶっ飛ばす為に! 尊敬する神崎先輩の背中に追いつく為に! 俺は・・・俺は、最強の『兵士』になるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

俺は天に向かって高らかと咆哮した! 刹那、纏っていた鎧が爆散し、鮮やかな紅の炎が俺の体を包み込むのだった。

 

イッセーSIDE OUT

 

 

ヴァーリSIDE

 

―――ヴァーリ。

 

「ええ、ついに彼が目覚めたみたいね。見てアルビオン。あの天へと伸びる美しい紅の炎を」

 

―――赤き“覇”を越え、紅き“覇”に至るか。歴代の赤龍帝の中でそのような極致へと至った者はいない。あの小僧・・・。いや、最早小僧などと呼べんな。兵藤一誠は赤龍帝を越えし男になったという事か。

 

「ようやく認めたのね、彼を」

 

―――ああ。我が力を使う事も認めよう。おそらく、向こうにいる“アイツ”もそのつもりなのだろう。

 

「・・・見せてちょうだい、一誠。紅の龍の力を」

 

ヴァーリSIDE OUT

 

 

リアスSIDE

 

「俺の夢は・・・俺自身の力で掴みとらないと意味が無いんだ! 大好きな主である部長や仲間である木場達を守る為に! ライバルである匙やサイラオーグさん達に負けない為に! 子ども達の夢や希望を背負う為に! 『禍の団』みたいな悪いヤツ等をぶっ飛ばす為に! 尊敬する神崎先輩の背中に追いつく為に! 俺は・・・俺は、最強の『兵士』になるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

イッセーの体が再び炎に包まれる。けれどそれは、先程の様な暗い炎では無く、どこまでも鮮やかで美しい炎だった。戦闘中であるにも関わらず、私はその美しさに目を奪われてしまっていた。

 

(最強の『兵士』になる・・・。それがイッセーの中で生まれた夢なのね。あなたらしい、シンプルだけどとても立派な夢だわ)

 

紅の炎の中からイッセーが姿を現す。その姿は赤龍帝の鎧でも、もちろんさっきの鎧でも無かった。

 

炎をそのまま纏ったかのような、汚れの無い堅牢な紅の鎧。そこに、白銀のラインが走っている。ドラゴンの翼を模した勇壮な機械翼に、剣の様な形の尻尾、両肩から伸びるキャノン砲、そして・・・胸に装飾されたアルファベットの“D”を崩した様な形のプレート。あれが・・・あの鎧こそが、イッセーが掴みとった本当の力なんだわ!

 

「行くぜサイラオーグさん! 今こそ俺は、あなたを越えてみせるっ!!!」

 

力強い宣言と共に構えをとるイッセー。それを聞いた私の奥底からも力が湧き出して来るのだった。




みんなの呼びかけで覚醒・・・。やっぱりこれは外せませんね。

一旦別の姿になってから真の姿に変化する・・・。これは第三次Zの主人公機の強化パターンに倣ってみました。これを書いている最中、ずっと「瞳の中の明日」→「禁忌という名の希望」→「太極のオーバーライザー」をヘビロテしてました。

最後にちょっとだけ描写しましたが、イッセーの『覇龍』モードは思いっきりスーパーロボットです。しかも、ソルグラヴィオンとかG・コンパチブルカイザーみたいなガッチガチに武装したヤツです。

次回はイッセーのターン・・・と見せかけてサイラオーグのターンになりそうです。彼にはまだ“アレ”がありますからね。

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