ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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とあるフラグの為に原作を二十巻まで読破してついにわかった。ハイスクールD×Dの世界において、真のイケメンとは木場君でもヴァーリでもなく、デュリオ兄さんなのだと! なんなのあの人、優しいとかそういうレベルじゃねえよ・・・。

ストラーダじい様もカッコ良すぎだし。これは、オリ主の教会へのイメージをなんとかして変えなければ(使命感)・・・!



第百五十一話 目と目が合う瞬間

「・・・というわけで、みんなの意見を聞かせて欲しい」

 

そう言って、俺は眼前の四人・・・黒歌、レイナーレさん、カラワーナさん、ミッテルトさんの顔を見渡した。

 

「ええっと・・・。もう一度確認させて欲しいんだけどねご主人様。あなたはリアスとサイラオーグ・バアルのゲームを見て、自分もこのままじゃいけないと思った」

 

「そして、ご自分に出来る事は何かを考えられて思いつかれたのが、『王』としての自分を成長させる事」

 

「そこで、『王』である自分に眷属である私達が何を求めるのか。どうすれば私達の『王』として相応しくなれるか意見を貰いたいと思い」

 

「こうしてお家に招いてくれたって事でいいっすか?」

 

「ええ。どんな些細な事でもいいので、お願いします」

 

黒歌もレイナーレさん達も、それぞれに真剣に悩み、考えてくれた上で俺の眷属になってくれた。なのに、俺は今日までみんなの『王』として何も出来ていなかった。いや・・・していなかった。あのゲームで、リアスやサイラオーグさんと、二人の眷属達との関係を見て、俺は改めて思った。俺がまずやらなくてはならないのは、『王』としての自覚を持つ事だと。

 

「と、とは申されましても。私達からすれば、眷属にして頂いただけでも奇跡だと言えますのに・・・」

 

「この上、あなた様に何を求める事がありましょうか」

 

「そ、そうっすよ。アザゼル様もおっしゃってましたけど、むしろ相応しい眷属になるために頑張らないといけないのは自分達っすから」

 

いやいやいや、そりゃこっちのセリフですってば。うーん、遠慮してんのかなあ。

 

「・・・わかったにゃ」

 

「黒歌?」

 

「ご主人様。私もレイナーレ達の意見と同じだよ。とっても強くて、けど、それ以上にとっても優しいご主人様は最高の『王』にゃ。もしご主人様に出会わなければ、私ははぐれとして、レイナーレ達はこの街を脅かした存在としてリアスに始末されていたかもしれない。それでも私達はこうしてここにいる。主殺しと下級堕天使の為に、あなたが下げなくてもいい頭を下げてくれたから。三陣営のトップから与えられた褒美の権利を罪の帳消しに使ってくれたから。あなたが手を差し伸べてくれたから、私達はここにいるの」

 

「・・・」

 

「そんなあなたが『王』であるという事だけで、私達は十分なの。とはいえ、ご主人様がこうしてわざわざ意見を言う場を設けてくれたんだから、一つくらい意見を出さないと悪いにゃ。そういうわけで、私は今からみんなで外に遊びに行く事を提案するにゃ」

 

「「「え?」」」

 

「遊びに行く?」

 

「そうね・・・。ちょうどケーキバイキングのお店が近くにオープンしたみたいだから、そこに行くにゃ」

 

「ちょ、ちょっと待って黒歌。どういうつもり?」

 

「レイナーレ。これはアンタ達のためでもあるのよ」

 

「どういう事っすか?」

 

「アンタ達はまだご主人様に壁がある。・・・いえ、壁という表現はよくないわね。伝説の騎士にどう接すればいいのかわからないって感じかしら」

 

「それは・・・」

 

何か言おうとしたレイナーレさんに黒歌が顔を近付ける。カラワーナさんとミッテルトさんも巻き込み何やらヒソヒソと話し始めた。

 

(・・・私達と違って、人間であるご主人様の寿命は短い。その限られた時間をずっとその調子で送るつもり?)

 

(((ッ・・・!)))

 

おおう、レイナーレさん達の目が全開になったぞ。何を言ったんだ黒歌さんや。

 

「・・・そうですね。黒歌の言う通りです。神崎様、私は・・・いえ、私達は、眷属として、あなたともっと親睦を深めたいです」

 

え、ホントに行くの? いや、別に不満とかそういうんじゃないけど・・・。

 

(レイナーレ。「女としても」が抜けてるわよ」)

 

(は、はあ!? な、何を言ってるのかしら黒歌は!)

 

(そ、そうだ! 神崎様は我等にとって敬愛すべき主であって、そ、そういう不埒な感情は抱いていない!)

 

(そ、そうっす! ケーキバイキングって聞いて、アーンしたりとか、口についたクリームを取ってもらうとか全然考えたりしてないっすよ!)

 

またヒソヒソ話してる。やっぱり仲いいなこの子達。うーん、俺もあの中に入れる様にもっと仲良くならないといけないなぁ。

 

そういうわけで、俺は四人と一緒に街へ繰り出す事となったのだった。玄関で靴を履きながら、俺は心の中で呟いた。

 

あれ、俺の思っていた展開と違う・・・。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

「あー! あのシリーズの新作って今日発売だったんすか!?」

 

ケーキバイキングの店へ向かう途中、とある家電量販店の正面に張られたゲームのポスターを見てミッテルトさんがそう叫ぶ。

 

「うう、欲しい」

 

「ちょっとミッテルト。神崎様を待たせるんじゃないわよ」

 

「でもお姉様ぁ・・・」

 

「はあ・・・。神崎様、大変申し訳ありませんが、少しお時間を頂いてよろしいでしょうか」

 

「はは、構いませんよ」

 

「だ、そうよミッテルト」

 

「あ、ありがとうございます! ソッコーで買ってくるっす!」

 

そう言って店内へ突撃していくミッテルトさん。あ、そういえば最近電子レンジの調子が悪いってアーシアが言ってたな。ちょっと見て行くのもありかもしれん。

 

「・・・ん?」

 

何の気無しに目線を向けた先・・・。横断歩道の向こう側に佇む人々の中に、一際存在感を放つ人物が立っていた。全身を黒の衣装で包み、こちらからでもわかる金と黒の入り混じった珍しい髪色の人物は、大型のトラックが通って行った直後にその姿を消していた。

 

「ご主人様、どうしたの?」

 

「いや、何でも無い」

 

うーん、何だろうこの既視感・・・。少し前にああいう感じの人と知り合った様な・・・。

 

(・・・ああ、“あの人”か)

 

あれは・・・そう、Dとのゲーム直前に受けたテレビ局でのインタビューが終わってからだ。違う環境でトレーニングをすれば新たなものが見えて来ると以前読んだ本に書いてあったので、俺は冥界のとある森へ足を運んだ。そして、そこで俺はとある人物と出会った。射抜くように向けられた金と黒の瞳の輝きは今もハッキリと覚えている。

 

いやあ、あの時ほどこの体に感謝した時は無かったわ。何せ、出会って数秒も経たずに襲って来たんだもんその人。強者がどうとか、天龍を下した力がどうとか色々言ってたけど、こっちとしてはたまったもんじゃなかった。これでもかとばかりに殴られたり蹴られたりした。この体じゃなかったらボロ雑巾じゃ済まなかっただろう。けど、俺は反撃だけはしなかった。

 

もしかしたら、この森はこの人にとって大切な場所だったのかもしれない。そこへ無断で足を踏み入れた俺に対して怒るのは当たり前だ。ティアマットさんの時といい、俺がトレーニングしようとする場所は決まって誰かの大切な場所になってるのはどうしてなんだろう・・・。

 

何度も殴り飛ばされたり、蹴り飛ばされている内に、不意に相手の攻撃が止んだ。フルボッコしている相手がいつになっても倒れないから不思議に思ったのかもしれない。

 

『どうして倒れない?』

 

そう投げかけて来た相手に対し、俺はこう答えた。

 

『この世界で最強ではないあなたでは俺の身体にささくれ一つ作れない』

 

何であんな馬鹿正直に答えてしまったのかはわからない。だけど、俺のその答えを聞いたその人は、納得した表情で言った。

 

『なるほど。私ではまだ最強にほど遠いという事か。キリスト教の介入を煩わしく思いかの地を出てからというもの、修行と見聞の為に様々な場所へ足を運んでいたつもりだったが・・・。世界はまだまだ広いという事か』

 

構えを解いたその人に、俺はまず謝罪したのだが、当の本人は何の事かと首を傾げ、この場所の事を聞いてみたら、自分には縁もゆかりも無いただの森だと言われた。

 

つまり、特に理由の無い暴力が俺を襲っていたのだ!

 

『ところで、何故お前はこんな場所に来た?』

 

そりゃこっちのセリフですがな! と心の中でツッコミつつ、俺はトレーニングの為と答えた。

 

『それだけの強さを持ちながらさらなる力を求めるのか』

 

『俺は負けられない。けれど、今の俺にはまだ足りないものがある。だから・・・』

 

『そうか。お前も求道者なのだな』

 

俺の答えがお気に召したのか、その人は小さく笑んだ。そして、なんと俺のトレーニングに付き合ってくれると言って来た。

 

『なに、ただの気まぐれだ』

 

それから五時間くらい、俺はその人と何度も手合わせした。参考になる様な動きがたくさんあって、とても充実したものだった。

 

別れの時、ここまで付き合ってくれたお礼をと言ったら、その人は満足そうな表情で首を振った。

 

『礼なら既にもらっている。・・・お前との戦いは実に楽しかった。久しぶりに元の姿に戻ってやろうかと思うくらいにな。お前との戦いそのものが、私への最大の礼だよ』

 

それでもと渋る俺に、その人は少し考えてこう言って来た。

 

『・・・ならば勝ち続けろ。何が相手だろうと、何が立ち塞がろうと、お前は勝利し続けろ。覚えておけ、お前を最初に倒すのはこの私だ』

 

そう言って、その人は俺に背を向けた。

 

『また会おう・・・フューリー。私の名前は―――』

 

そして、最後に自分の名前を告げ、その人は森の中へと消えて行った。というか、俺をそう呼んだという事は、俺を知ってたのだろうか? 最初に襲われた時はどうしようかと思ったけど、最終的には色々お世話になってしまった。総評としては・・・物騒だけどいい人・・・でいいのだろうか。

 

しかしまあ、手合わせそのものがお礼と来たか・・・。某百万ゴールドの男と同じ名前なのに対応が全然違うな。あっちは授業料寄越せとか言いそうだし。

 

「・・・というか、そもそも性別が違うしな」

 

「お待たせしたっす! 無事に購入出来たっすよ!」

 

っと、回想している間にミッテルトさんが戻って来た。

 

「それじゃあ、改めて出発にゃ」

 

歩き始める四人の後を追おうとして、俺は最後にもう一度だけ横断歩道の方へ視線を向けるが、当然さっきの人物の姿は無かった。

 

(クロウ・クルワッハさん。物騒だけど根は優しそうな“女性”・・・。また出会う機会はあるんだろうか)

 

「ご主人様、どうしたのー?」

 

「ああ、今行くよ」

 

俺は駆け足で黒歌達を追いかけるのだった。




やっぱり原作というのは先に読んどくべきですね。おかげで色々根回し出来そうですわ。

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