ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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2014年 7月8日 日刊ランキング(加点式)第三位。奇跡や・・・奇跡が起きたで!

前回の更新でお気に入り登録数が百件以上増えました。この駄作が急にそんな評価を受けるわけが無い。そして前回といえば木場君の暴走。・・・つまり、そういう事でいいんですね?


第十六話 いつから生身なら弱いと錯覚していた?

夜、俺達は揃って夕食の時間を過ごしていた。ちなみに作ったのはカレーである。その中で、グレモリーさんが今日一日の修行についてそれぞれに成果を尋ねた。

 

「さて、とりあえず一日目が終わったけど、みんな今日はどうだった?」

 

「つ、疲れたッス」

 

「わ、私もですぅ」

 

グロッキー状態の兵藤君とそこまでとはいえないまでも疲れた様子のアーシア。それとは対照的に、姫島さんと塔城さんはいつもの微笑みと無表情で答える。

 

「まだ一日目ですし、何とも言えないですわね」

 

「同じく・・・」

 

「そう。なら祐斗は? 神崎君との修行はどうだった?」

 

グレモリーさんの問いに、木場君は興奮した様子で答え始めた

 

「とても充実したものになりました。部長、先輩は凄いです。結局、僕の攻撃は避けられるか防がれるかで一撃も与えられませんでしたし。反対に強烈な一撃を受けて気絶してしまいました。ふふ、あんな激しいヤツは初めてでしたよ」

 

褒めてくれるのはいいけど、こっち見ないで! キミの雰囲気がヤバ過ぎてアル=ヴァン先生の全力の一撃を叩き込んでしまったのは悪いと思ってる。だけど、あの時の俺にそれ以外にどうしたらよかったって言うんですか!?

 

「・・・驚いたわね。祐斗が手も足も出なかったなんて。なら神崎君、あなたから見て祐斗はどうだった? 遠慮無く言ってちょうだい」

 

え? うーん・・・そうだなぁ。必死過ぎてあんまり覚えてないんだけど、とりあえず言えるのは・・・。

 

「速さは大したものだと思う。だが、その代わり、一撃一撃が軽い気がした」

 

剣を振るスピードはあのクレイジー神父を上回っていたが、あの時、たった一度だけだが受け止めた一撃の方が木場君より重かった。

 

「察するに、木場君は手数の多さで勝負するタイプじゃないのか?」

 

「はい、その通りです。僕は一撃よりも速さに重きを置いています」

 

ああ、やっぱりね。なら、その長所をそのまま伸ばしていった方がいいんじゃない? なんて偉そうな事を言ってみたが、木場君は納得したように頷いてくれた。ええ子や。こんな素人意見にも耳を傾けてくれるなんて。今ならちょっとくらい触られても・・・なんてなるわけねえよ。俺はノーマルだ!

 

「あらあら、神崎君はよく祐斗君を見ているのね。ちょっと妬けてしまいますわ」

 

いや、そんなつもりは毛頭ありませんよ? けど、今の会話で姫島さんは仲間ハズレにされてしまった気分になったようだ。ならばここは年長者としてしっかりフォローせねば。

 

「? なんですか、神崎君。私の顔をそんなに見つめたりして」

 

「大丈夫だ姫島さん。キミの事はいつも見ているからな」

 

「ッ!?」

 

自称、気配り上手な神崎さんは友達の変化は見逃しませんよ? だから安心しなさい。そういう意味を込めての発言だったが。

 

「え、ええっと・・・」

 

おや? 姫島さんの様子がおかしい。顔が赤いが、カレーが辛かったのか? 一応、甘口で作ったはずだけど。

 

「朱乃・・・あなた、思ったより学習能力が無いのね」

 

「ふふ、先輩って思っていたよりも情熱的な方なんですね」

 

「同じ事をイッセー先輩が言っても何も無かったでしょうけど・・・」

 

「相変わらずサラッと毒吐くね小猫ちゃん!」

 

「はうう・・・リョーマさんは朱乃さんみたいな方が好みなんでしょうか」

 

おいおい、一遍に喋られたらお兄さんわからないよ。とりあえずアーシア、自分の胸を擦りながら溜息を吐くのは止めなさい。ほら、兵藤君が見てるぞ。

 

そんな騒がしい夕食を楽しみながら、一日目の夜はゆっくりと更けていったのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

修行二日目。俺は朝から外に出ていた。今日は午後から塔城さんに付き合う予定となっている。それまでの時を、俺は自身の修行にあてる事にした。ま、せっかくの機会だし、この体がどれほど凄いのか検証してみようというわけだ。

 

別荘から少し離れた場所に、大きな岩がごろごろ転がっている場所を発見し、そこを修業の場と決めた。軽い柔軟をこなし、体が温まった所で、早速始める事にした。

 

ふふふ、アル=ヴァン先生ならば、この程度の岩を壊すなど、第四次のドローメを倒すくらい容易い事なのだよ。・・・いや、マジで雑魚だったよなアイツ。HPが三ケタとか生身ユニット並みじゃん。

 

おっと、余計な事を考えてしまった。集中、集中。

 

深く深呼吸し、腰を落とす。そして右腕を振りかぶり、自身の身長よりも少し高いその岩の中心に向かって全力で殴りかかる。

 

「騎士パンチ!」

 

俺の拳が突き刺さった岩は、バカでかい音を発しながら見事に砕け散った。流石アル=ヴァン先生だぜ! もちろん、痛みなんてこれっぽっちも感じない。

 

「さあ、次だ!」

 

なんかテンション上がって来た! 今なら誰も見てないし。どんだけ恥ずかしいセリフを吐いたって、どんだけ恥ずかしい動きをしたって自由なのだ!

 

俺は次のターゲットを選び、そこから十分な距離を取った。そして助走をつけ、目標まであと一メートルまで迫った所で思いっきりジャンプした。

 

「ゲイ・・・じゃない。ガイ・モード発動! ミドガルズオルム!」

 

・・・あかん。昨日の木場君との一件が予想以上に尾を引いてしまっているようだ。ええい! ならばこのモヤモヤも一緒に叩きこんでやる!

 

生前のスパロボ最新作の主人公機の技の名を叫びながら、空中で右足を突き出す。あの肩車コックピットって最早ギャグだよな。あんな美人の太ももに挟まれるなんて羨ましい限りだけど。主人公のフィールグッド云々のセリフは太ももについての感想を言っているんだと思ったのは俺だけじゃないはず。

 

カッコつけてしまいましたが、実際はただの飛び蹴りなんですけどね。そういえば、この世界に来て一年以上経ってるけど、元の世界じゃもう後編出てるのかな。

 

そんな事を考えている間に、必殺の蹴りがまたしてもあっけなく岩を破壊する。ゲームならこの後、敵の背後に回り込んで拳から気弾みたいなの撃つんだよな。いや、俺には出来ませんよ? けど、せっかく真似したんだからそこまでやってみようかな。

 

反動で再び跳躍し、砕けた岩の後ろに降り立つ、そして、記憶を頼りにそれっぽく拳を構える。はい、ここまでが一連の流れです。

 

そうやって満足した次の瞬間・・・俺の拳から緑色の何かが飛び出し、目の前の岩を粉微塵にしてしまった。

 

「・・・はい?」

 

目の前で起きた出来事に固まる俺。出たよね? 今確かに出たよね? 妄想じゃないよね?

 

・・・キェアァァァァァァァァ!? マジで出ちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? オカン! オカァァァァァァァァン!!! 俺の体から何か出て来たんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

『おー。久しぶりの呼びだしやなぁ。心配しとったんやで~』

 

あはは、それは済みませんでしたね。後で全力で謝りますから、今は俺の疑問に答えてください!!

 

鼻水出しそうなくらい慌てふためきつつ自分の身に起こった事を説明すると、オカンは呆れたような口調で答えた。

 

『あんなぁ。いっちゃん最初に説明したやろ? 完成する事の無い贋作はどこまでも変化していくて』

 

いや、確かにそう説明されましたけど・・・。え、まさか、ラフトクランズだけじゃなくて、この体自体がって事?

 

『そういう事や。その体も本物を模した物やろ? アンタが「こうやったらこうなる」っちゅうイメージをすればそのまんま実際にそのイメージ通りに起こるわけや。せやから気弾が出たんや』

 

ナンテコッタイ。

 

『まあ、流石に人間の体の構造上不可能な事は出来へんけどな』

 

ええっと・・・つまり、体を使った技は出来るけど、武装は出せないって事でいいのか? 残念。ワームスマッシャーとかリボルビングステークとか使えたらよかったのに。しょうがない。ミドガルズオルムが出来るなら、あのスタイリッシュ指パッチン攻撃も可能だって事で我慢しよう。

 

『例外として、アンタが選んだ例のロボットの武器だけはその姿でも出せるからな。そんじゃ、ウチはこの辺で。そろそろ買い物に行かんとあかんから』

 

あ、行ってらっしゃい。・・・神様でも買い物するのね。

 

しっかし、計らずもここでまさかのパワーアップを果たしてしまうとは。いや、何でもやってみるもんだね。

 

その後、俺は延々と岩を砕く作業に没頭し、約束の時間となった所で、塔城さんの所へ向かった。もちろん、彼女との修行では特別な事はしなかったけどな。




「気付いたら手から変なのが出て来ました。誰の所為ですか?」オリ主

「それも私だ」作者

だって、単純に殴ったり蹴ったりするのに飽きたんだもん。どうせならとことんまで改造してやろうと思ったんだもん。後悔は無い! ただ、ゲイモードは永遠に発動しませんのであしからず。

スタイリッシュ指パッチン攻撃って何? と思った方は『ジェニオン・ガイ』で検索してみてください。すぐにわかると思います。

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