ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜 作:ガスキン
なお、十月十日現在、作者は四週目に入りましたが、ケツにレーヴァテインブッ刺したロキはぜひとも七章でネタにしたかった。
イッセーSIDE
グレートレッドの背に乗り次元の狭間を脱出した俺とオーフィス。その眼前にとてつもなく巨大な怪獣の姿が見える。その大きさはグレートレッドを越えていた。あの怪獣・・・あの時シャルバが呼び出しやがった魔獣か!
『・・・僕、あんな化物と戦わないといけなかったのかぁ・・・』
『よかった・・・俺の時代に現れなくて本当によかった・・・』
『ふ、ふん。あ、ああああんなの大した事ななななな・・・』
魔獣の動きを観察する俺の中で、歴代の先輩達が声を震わせながら口々に神崎先輩への思いをこぼしていた。あのオッサンですら気の毒に思うほど声が弱々しくなっている。
―――はーっはっは! フューリー様のお怒りに触れた者は、みなすべからく滅びるのだ! 全ての者どもよ、フューリー様を称えろ! 平伏せ! 崇めよぉ!
ドライグ・・・。うん、この戦いが終わったら、ちょっと休もうか。昇格試験の前にアザゼル先生からドラゴンの気分を落ち着かせる薬があるって聞いてるからさ、それも貰って来てやるよ。
「・・・」
「オーフィス?」
無言のオーフィスの視線の先・・・そこにはたった今抜け出て来た次元の狭間に通じる穴があった。その中から真っ黒い何かが噴き出しているのが確認出来る。・・・あれ? 心なしか穴が大きくなってる気が・・・。
「先輩についてなくてよかったのか?」
神崎先輩に興味深々なコイツなら、てっきり一緒に残るかと思ったけど、意外なほどアッサリこっちについて来たんだよな。
「我、あのフューリー好きじゃない」
「え?」
「我の知るフューリー、もっと明るい。もっと温かい。あのフューリーは暗い、冷たい。我の心、どうしてかざわつく。我の知るフューリーに戻って欲しい」
「お前・・・」
相変わらずの言葉足らずだが、言いたい事はわかる。しかしまあ、中々可愛げのある事言うじゃねえか。
『待ってイッセー、あなたは気付いていないの?』
エルシャさん? あなたは大丈夫なんですか?
『まあ、二天龍を一人で圧倒したって時点である程度わかってたつもりよ。それでもかなりの衝撃はあったけれどね』
あ、やっぱり・・・。それで、俺が気付いてないって何にですか?
『「
そう言われるとそんな気がしないでもない・・・。そういや、以前みんなで祭りに行った時にはすでにそんな感じだったって部長が言ってたっけ。俺、あの時桐生とばっかり絡んであんまり先輩達と話せなかったんだよな。
『そんなオーフィスにも忌避されるなんて・・・それだけあの姿になったフューリーは普段の彼から乖離しているって事なんでしょうね』
んー・・・俺はそうは思いませんよエルシャさん。
否定する俺にエルシャさんは疑問を投げかけて来た。
『え、でもあなただって相当恐怖を感じていたじゃない』
はい。それは間違いないです。ぶっちゃけ、直視した瞬間ちょっとちびりましたし。・・・けど、次元の狭間から出る直前の先輩の言葉を聞いて、その恐怖はすぐに消えました。
―――兵藤君、あなたが危険な目に遭っていたのに何も出来なかった私がこんな事を言える資格が無いのはわかっています。ですが、どうかお願いします。冥界を・・・大切な仲間達を守る為、私と一緒に戦ってくれませんか。
それを聞いて俺は確信したんです。どんな姿になろうとも、この人は俺の知っている神崎先輩なんだなって。そして、あの人が頼ってくれるのなら、俺はそれに全力で応えたいんです。
『彼の事、信頼しているのね』
当然ですよ。なんたって、俺の目標としている人ですから!
『そう・・・ちょっと妬けちゃうわね』
ああ、歴代所有者だった身としては、やっぱり“フューリー”っていう存在に何か思うものがあるんですか?
『・・・馬鹿』
なんかいきなり罵倒されたんですけど!? エルシャさん、俺、なんか失礼な事言いましたか!?
『知らないわ。それより、目を凝らしてあの魔獣の周りを見てごらんなさい』
アッハイ。
言われた通りに魔獣の周りに目を遣ると、数人の人影が確認出来た。さらに集中して観察すると、その中の一人はなんとグレイフィア様だった。敵の強大さを考えたらあの人が出撃していてもおかしくない。じゃあ、他の人達もルシファー眷属の方々なのだろうか。みなさん、放ってるオーラのデカさが半端じゃない。
『それでもあの魔獣を止められない。つまり・・・』
わかってますエルシャさん。あのルシファー眷属が苦戦するほどの力をあの魔獣は持っている。シャルバの野郎、めんどくさいヤツ創りやがってぇ・・・!
魔獣を睨みつけると、向こうもこちらに目を向けて来た。六つの目の全てに敵意が込められているのがわかる。まあ、グレートレッドほどのデカさの存在に気付かないわけないもんな。
「・・・っておい、アレって・・・」
新たな人影がグレイフィア様達に近づく。それは神崎先輩の眷属の子達だった。と思ったら、そんな彼女達に緑色のビームが放たれる。何とかそれを回避した彼女達の前に、あの野郎が姿を現した。
「皇帝機・・・シャルバか!」
今すぐぶん殴りに行ってやりたい気持ちになったが、俺はそれを抑えた。アイツをぶっ飛ばすのは俺じゃねえ。あの人だからな。
瞬間、後方に浮かぶ次元の穴の奥から気が狂いそうなほどの激烈な殺気を纏った存在が姿を現した。闇を孕む蒼き鎧に身を包み、禍々しき光を放つ光輪を背負いながら、“あの人”がついに出陣した。冥界を・・・自分の大切なものを傷付けようとする侵略者達に裁きを下す為に。
「シャルバ・・・お前の事は絶対許せねえけど、今だけは同情してやるよ・・・」
―――相棒、どうやら俺達の相手はあの魔獣のようだな。
おう、そうだなドラ・・・ド、ドライグ!? 正気に戻ったのかお前!?
―――何の話をしている?
お、お前記憶が・・・。いや待て! それじゃ神崎先輩を見たらまたお前・・・!
―――? おかしな事を言うな相棒。フューリーなど
はあ!? お前こそ何言って・・・!
『ダメよイッセー』
エルシャさん!? でもドライグのヤツ・・・!
『ドライグは今
ド、ドライグ・・・。お前そこまで追い詰められて・・・。
『だからイッセー。これからこの戦いが終わるまで、フュ・・・“彼”の事は可能な限り口にしない様にね。じゃないと・・・本当にドライグが壊れちゃうわ』
・・・はい。
―――ん? 泣いているのか相棒? なぁに、臆する事は無い! 俺とお前が力を合わせれば魔獣の一匹や二匹物の数ではない!
ああ、頑張ろう。でもって、終わったらアザゼル先生直行コースな。
さりげなく目を魔獣からシャルバの方へ向けると、ヤツは皇帝機のブースターから激しい炎を噴かせながらもの凄い速度で移動を始めた。多分逃げ出したんだろうが、きっと無駄に終わるだろう。
―――ところで相棒、グレートレッドからお前に提案があるそうなんだが。
提案? グレートレッドが俺に?
―――ああ、「あのモンスターにガンつけられたのが気に入らない。だからアレを倒す気なら力を貸す」だそうだ。
えぇ・・・。いや、力を貸してくれるのは滅茶苦茶ありがたいけど、ガンつけられたからって・・・。
―――あと、「自分のお気に入りの寝場所を台無しにしてくれたのも、元々はアイツ等が原因だろうから」とも言っている。
寝場所・・・あの次元の狭間の事か。気に入ってたのかよ。でも台無しって・・・。
『ゴゴゴゴゴ』←闇に浸食された次元の穴。
「あっ・・・(察し)」
いやまあ、あの人がブチ切れたのはアイツ等が原因だから間違いじゃないけど・・・これってある意味とばっちりじゃ・・・。
―――赤龍帝と赤龍神帝が手を組むか・・・ククク、面白いじゃないか。
面白いかどうかはさておいて。力を貸してくれるっつっても具体的にどんな方法で?
「・・・合体」
「はい? 今なんて?」
ぼそりと呟くオーフィスに聞き返すと、今度はハッキリと答えた。
「ドライグの体、グレートレッドの中で再生した。今のドライグ、真龍と同じ体。だから、合体出来る」
「が、合体!? 俺がグレートレッドと!? いやいやいや! ニチアサの戦隊ヒーローが乗り込むロボットじゃねえんだからさ・・・!」
―――オーフィスの言う通りだ。相棒、今のお前ならそれが出来る。そして、『覇龍』の真の力の解放もな!
「真の力!? おい、それってどういう意味・・・!?」
ドライグにその先を促そうとしたその時・・・突如としてグレートレッドの体から真紅のオーラが放たれた。それは瞬く間に俺を包み込み、周囲一帯を紅に染めていった。
―――兵藤一誠の復活だ! 精々派手に暴れてやろうじゃないか!
「誰でもいいから説明責任果たしやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
イッセーSIDE OUT
グレイフィアSIDE
逃走するシャルバ・ベルゼブブの後を追う様に、神崎様の姿もまたその場から消え失せていた。
「シャルバとサマエル・・・一体なにをしでかしやがったんだ?」
シャルバの逃げていった方向を見据えながら、スルトがそう口にした。
「忘れたのですかスルト。兵藤様はサマエルの毒とシャルバの策によって命を奪われた。つまり・・・」
「ご主人様にとっては、自分から大切な後輩を奪った憎むべき敵って事にゃ」
「シャルバ・ベルゼブブはフューリー殿にお任せしておいた方がよさそうですね」
「てか、下手に首突っ込んだらこっちがヤバそうだ・・・」
「ええ。私達は『超獣鬼』に集中を・・・」
そう言って、改めて私達が『超獣鬼』と対峙しようとしたその瞬間だった。
「おりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突如として現れた巨大な存在が私達の脇を駆け抜け、『超獣鬼』の顔面へその拳を叩き込んだ。殴り飛ばされた『超獣鬼』は凄まじい音をたてながら大地へ倒れ込んだ。
「えっ?」
「はっ?」
「にゃ?」
『超獣鬼』を殴り飛ばした巨人は、ゆっくりとこちらに振り返った。
「うおおお、なんか勢いのままに殴っちまったけど、マジで巨大化しちまったよ俺ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「・・・兵藤様?」
赤い鎧を纏い、空に向かって叫び声をあげるその巨人の顔は、間違い無く兵藤様のものだった。彼の目が私達を捉える。
「あ、グレイフィア様! 兵藤一誠帰って参りました!」
「え、あ、はい。お帰りなさいませ。・・・ではなくて!」
「おい、聞いたかベオ! あの姐御がノリツッコミしたぞ!」
「サーゼクス様にいい土産話が出来たな!」
「二人とも、少し黙っていなさい」
「兵藤様、あなたの身に何があったのですか?」
「ええっと、話すと長くなるんですけど・・・」
そこまで言って兵藤様が口を噤んだ。ある一点を見つめるその瞳が瞬く間に鋭いものへと変わった。
一体何を見ているのか。彼の視線を追うと、その先には黒煙が立ち昇っている都市部があった。先行して暴れている『禍の団』構成員や小型魔獣達によりいくつかの建物や施設等の破壊は確認されているが、未だ死者は出ていない。負傷者もほぼ軽傷で済んでいると聞いている。
「兵藤様、『超獣鬼』はあの都市部を目指しています。なんとしてもここで止めなければなりません。お力を貸して頂けないでしょうか」
「・・・」
「兵藤様?」
私の言葉に何の反応も見せない兵藤様。しかし次の瞬間、私の耳はハッキリとその声を捉えた。
「・・・許さねえ」
それは静かでありながらその実激しく燃え盛る、理不尽を決して許さない
グレイフィアSIDE OUT
イッセーSIDE
巨大化の戸惑い、巨大魔獣への不安。それら全てが、煙を上げる都市部を見た瞬間吹き飛んだ。
「・・・許さねえ」
自分を認めないから滅ぼす。そんなテメエ勝手な理由で、悪い事なんて何一つしていない、普通に、穏やかに、幸せに暮らしていた人達を傷付けた。
「許さねえ」
一体どれだけ多くの人を悲しませた。どれだけ多くの人を泣かせた。どれだけ・・・どれだけ多くの子ども達を怖がらせた。
「許さねえ!」
俺はシャルバを止められなかった。カッコつけて一人残った挙句負けてしまった。こんな俺では子ども達に応援してもらえる資格なんか無い。けど、それでも・・・!
「これ以上、誰も悲しませねえ! 誰にも涙は流させねえ! そして、子ども達の笑顔を守る為にも、『超獣鬼』! テメエはここで俺がブッ倒す!」
俺の体から紅蓮のオーラが立ち昇る。危険だと判断したのか、グレイフィア様達(オーフィスも混ざってる)はその場から大きく後退した。
―――猛っているな相棒! それでこそだ!
力を貸してくれドライグ! アイツは、俺の全力で欠片も残さず消し飛ばしてやる!
―――望む所! だが、お前に力を貸したいのは俺だけではないようだぞ!
『そういうこった! 気合い入れろよ小僧!』
『技だけじゃない。今度こそ真の意味でキミに力を貸す事が出来そうだ』
オ、オッサン!? それに残念先輩まで! いったい何を始めるつもりですか!?
―――相棒、いつぞやに俺はお前の『覇龍』はフルパワーではないと言ったのを覚えているか?
は? あ、ああ、そういやそんな事も言ってたな。
―――では、その後に言った事は?
その後? ええっと・・・確か、フルパワーに耐えられるドラゴンの体でも手に入れられれば・・・って、おい、まさか!?
―――気付いたか! そうだ。今のお前の体はドラゴンの物! 故に今ならば解放できるはずだ! お前が辿りついた真の『覇龍』! 『覇龍』を越えた『覇龍』を!
真の『覇龍』・・・。
『正直、ここから先はどうなるかわからない。あなた以外そこまで至った者がいないのだから。・・・だけど、気負う必要は無いわ。あなたには私達が・・・歴代の赤龍帝全員がついているのだから』
エルシャさん・・・。はい! もう迷いません! みなさんの力を、俺に貸してください!
『ええ!』
―――準備は良いな相棒!
「おう!」
俺は深く深呼吸し、詠唱を始めた。
「我、目覚めるは夢の果てを追い求めし探究者なり!」
『『『『『我らは漕ぎださん! 果てしなき夢の大海原へと!』』』』』
ッ!? 先輩達が新たな詠唱を・・・!?
―――相棒、お前は一人じゃない! エルシャ達の想いも乗せて行け!
よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
「未来ある者達の無限の夢と希望を背負い、決して絶えぬ紅蓮の意志をここに示さん!」
『『『『『我らの夢! 我らの希望! その全てを未来への礎とせん!』』』』』
「愛するものを、かけがえのないものを守る為に!」
『『『『『たとえ何が立ち塞がろうと、我らはその悉くを打ち倒さん!』』』』』
そして、俺は最後の一文を口にした。
「赤き龍帝は今・・・偉大なる勇者達と共に、紅の極致へと至る!」
『Juggernaut Infinity Drive!!!!!!!!!』
『ッ・・・! イッセー、あなた・・・!』
へへ、ビックリさせられたお返しですよ。
偉大なる勇者達・・・もちろんエルシャさん達の事だ。
やがて、俺の全身を包んでいた真紅のオーラが消えた時、俺が纏っていたのは『赤龍帝の鎧』ではなく、『覇龍』のそれだった。
真の『覇龍』として発現したその鎧は、胸の“D”や巨大な機械翼はそのままに、パッと見ただけでも、両手両足を覆う様に装着された巨大な爪や、右肩に付けられたドラゴンの顔を模したショルダーアーマー等、違いが見受けられる。きっと他にも色々機能が追加されてるんだろうが、一々確認している暇はねえ!
「俺は実戦派なんでな! 実験台になってもらうぜ『超獣鬼』!」
―――見せてやれ相棒! お前の全力をな!
・・・何だ? ドライグの声に合わせるように、右肩のドラゴンの瞳が点滅した様な・・・。
「考えるのは後だ! 今はとにかく、やぁぁぁぁぁってやるぜぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
何も考えず、俺は『超獣鬼』に向かって拳を振り上げるのだった。
久々の更新なので変な部分があるかもしれません。気付いたら修正します。