ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

22 / 187
エピローグと呼べるものではないかもしれませんが、どうぞ。


第二十二話 再会

 いやあ、婚約パーティーは台無しでしたね~。…主に俺の所為で。

 

 あの後…フェニックスさんとの戦いを終えた俺に魔王様が言った。ついでに、上半身裸だった俺の為にカッコイイ服を貸してくれた。サーゼクスさんマジ魔王。

 

「近い内に、改めて話の場を設けさせてもらうよ。キミの周りはこれから色々大変な事になりそうだからね」

 

 て事は帰っていいんですね? そう判断した俺だけど、その前にせめて両家の親御さんに謝った方がいいよな。というわけで、俺はグレモリーさんにご両親がどこにいるか聞いた。

 

「グレモリーさん。キミのご両親はどちらに?」

 

「え? あ、えっと…あそこよ」

 

 教えてもらった先には、いかにも厳格そうなオジサマと、グレモリーさんにとてもよく似た女性の姿があった。んじゃあ、行きますか。…今の内に最終兵器の封印を解いておこう。

 

「何をする気なの?」

 

「いや、ご挨拶(という名の謝罪)をしておこうと思ってな」

 

「え、そ、それって…!」

 

 おろ? なして顔を赤らめるのグレモリーさん? ま、いいか。彼女をその場に残し、俺はご両親の元へ向かった。

 

「初めまして、神崎亮真といいます。グレモリーさんとは普段から仲良くさせてもらっています」

 

「あ、ああ…」

 

「こ、これはどうもご丁寧に…」

 

 おうふ、顔が引き攣ってる。間違い無く怒ってるよ。けど仕方ないよな。それだけの事をしちゃったんだし。

 

「今回の件の責任は全て俺にあります。ですからグレモリーさんを責める事だけは止めて頂けるよう、切に願います」

 

 もし俺の所為で親子の仲が悪くなったりしてしまったら、俺は一生自分を許せないだろう。既に親のいない俺だからこそ、親子の大切さは痛いほど理解しているから。

 

「フューリー…いや、フューリー殿…」

 

とそこへ、別のダンディーなオジサマが近付いて来た。彼の隣には先程の金髪ドリルヘアーの子の姿もある。

 

「あなたは?」

 

「私はライザーの父だ。貴殿には感謝している。今回の件で息子も学んだろう。フェニックスの力は、決して絶対ではないという事を」

 

 あれ、謝ろうと思ったら感謝されちゃったよ。よくわからんけど、何か嬉しそうだし、わざわざツッコむ事も無いか。

 

「あ、あの…」

 

 ドリルっ子が躊躇いがちな様子で声をかけて来た。頬が赤いけど、もしかしてさっきのフェニックスさんの炎の熱がまだ残ってるのかな?

 

「あ、改めてご挨拶させて頂きます。ライザー・フェニックスの妹のレイヴェル・フェニックスと申します。ま、まさか、伝説の騎士様とお会いできるとは思ってもみませんでしたわ」

 

 レイヴェルさんかー。こうして改めて見ると、いかにもお嬢様って感じの子だなー。ドリってるし、ですわ口調だし。

 

「フューリー殿、レイヴェルは貴殿のファンなのだよ。レヴィアタン様の作られた貴殿の特撮DVDを全て買いそろえるほどまでにな」

 

「お、お父様!?」

 

 …んー? ちょっと今聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんですけど。もう一回言ってくれませんかね? なんか、俺の知らない間に恐ろしい事になってる気がしてならないんですけど。

 

「わ、私は…その…」

 

 もぢもぢするレイヴェルさん。おい、何だこの可愛い生き物は! 誰かカメラ寄越せ!

 

「その内、我が家にも遊びに来て頂きたい。レイヴェルもさぞ喜ぶだろうさ」

 

「お父様! いいかげんに…!」

 

「ははは、これ以上は無粋かな? ではフューリー殿、私達はこれで失礼するよ。・・・グレモリー卿。今日はお互いによい日となりましたな」

 

「ふっ…そうですな」

 

 渋すぎる笑みを交わす二人。カッコいいな。俺じゃ一生あんな顔出来ないだろうなぁ。

 

「そ、それでは、失礼します。…あの、いつでもいらしてくださいね?」

 

 そう言って、先に去って行ったお父さんについて行くレイヴェルさん。ええ子や。今度菓子折りでも持って行こうかな。…家の場所知らんけど。

 

 さてと、謝罪も済ませたし、そろそろ帰るかな。ええっと、とりあえずオカン呼んで…。

 

「フューリーさん!」

 

 脳内会話を行おうとした俺の耳に、幼い少女特有の甲高い声が届く。すわ、何事!? とそちらに向けば、一人の女の子が俺の方へ向かって走って来ていた。

 

「おっと!」

 

 しかも、そのまま俺の胸に飛び込んで来ましたよ!? 流石に避けるわけにいかないので、そのまま受け止めると、女の子はパッと俺の顔を見上げた。

 

「ひっく、会えた…! ぐす、やっと会えたよぉ…!」

 

 ホワット!? 何で泣いてるのこの子!? 会えた? こんな子初めて…。

 

 いや…違う。間違い無い。この子…あの時の魔法少女だ!

 

「ずっと…ずっと信じてたの。絶対また会えるって…あなたの言った運命が、きっとまた私達を巡り合わせてくれるって・・・!」

 

 あー…そういえば、そんな鳥肌モノなセリフを吐いた覚えが…。しっかし、何なんだこの反応? てっきり痛い人間だと思われてるとばかり思ってたのに、これじゃ俺と再会出来たのが嬉しいみたいじゃないか。この騎士(笑)に対してですよ? 冗談にしては笑えないぜ。へ、ここでおめでたい勘違いをするほど俺は間抜けじゃねえですよ?

 

「元気そうで良かった」

 

 とりあえず、あたりさわりの無い事を言ってみると、魔法少女は涙を拭いつつ、笑みを浮かべて答えた。

 

「え、えへへ…あの時、あなたが助けてくれたからだよ。ずっと、お礼が言いたかったの。本当に…本当にありがとう。私を助けてくれて」

 

「礼はいらない。俺はただ、キミを守りたかっただけだからな」

 

 そもそも、助けるどころか、むしろ最初は俺がキミに怪我を負わせる所だったんですけどね。いや、アル=ヴァンモードも使えなかったのに、よくやったと思うよ、あの時の俺。

 

 でも、俺にとっては少し前の出来事だけど、彼女にとったら大昔の事なのにずっと感謝の気持ちを持っててくれたなんて…。凄く律儀な子なんだなぁ。

 

「はうっ…!?」

 

 などと感心している俺の前で、いきなりゆでダコみたいに真っ赤になる魔法少女。なんだ? さっきのレイヴェルさんといい、この子といい、悪魔の女の子ってのはみんな瞬間湯沸かし器みたいな機能でもついてるのか? 何のために?

 

「うう…そんなセリフずるいよぅ。…でも、嬉しいかも」

 

 ブツブツ独り言を呟く魔法少女。セリフとか嬉しいとか何の事だろう。ま、俺には関係無いか。

 

「お姉様!」

 

「ッ! 支取さん?」

 

 またしても聞き覚えのある声の主は、まさしく支取さんだった。しかも、その後ろには他の生徒会のメンバーも揃っている。

 

「あ、ソーナちゃん」

 

「あ、じゃないですよ! こ、こんな大勢の皆さんの前でなんて事をしてるんですか!」

 

「だってだって、フューリーさんだよ! ずっと会いたかった人にやっと会えたんだよ! 今の私は誰も止められないのです! えへん!」

 

「なんですか、そのドヤ顔は!」

 

「へ~、ソーナちゃんもドヤ顔って知ってるんだぁ」

 

「話を逸らさないでください!」

 

 普段学園で見るクールな彼女とは真逆の様子に思わず面食らう。何気に彼女の大声なんて初めて聞いたな。

 

「支取さん。キミはこの子と知り合いなのか?」

 

「それは…」

 

「私とソーナちゃんは姉妹なんだよ? とっても仲がいいんだ~」

 

 支取さんの言葉を遮り、魔法少女が答える。そういえば、さっき支取さんはお姉様って言ってたな。見た目どう考えても逆だと思うんだけど、この子も外見を変えてるのかな。

 

「そ、それよりも、神崎君。まさか、あなたが悪魔の関係者。しかも、あの伝説のフューリーその人であった等と誰が予想出来たでしょう」

 

 俺はキミ達が悪魔だという事実に驚いてますけど…。

 

「そう言う割には、落ち着いているみたいに見えるが?」

 

「まさか、明かされた事実が大き過ぎて受け入れられていないだけです。時間が経てば、きっと驚きますよ。私だけじゃなく、ここにいる全員が」

 

 支取さんの言葉に、後ろにいた真羅さん達がコクコク頷く。伝説かぁ…。今の俺なら例えどんな内容だろうと受け止める覚悟はあるぞ!

 

「先輩! カッコ良かったッス! 俺、感動したッス!」

 

 匙君が興奮した様子で俺の手を握る。地味に嬉しい。俺、なんだか彼には嫌われてると思ってたから。

 

「そうですね。…まさか、会場に乗り込んでまでリアスを助けるなんて。…少しだけ、彼女が羨ましいと思ってしまいました」

 

 女性陣が同感だとばかりに頷く。それって、俺がお祝いに来た事が? なんだ、そんな事なら心配しなくてもいいですよ?

 

「もし…」

 

「え?」

 

「もし、グレモリーさんと支取さんの立場が逆だったとしても、俺はここに来ていた」

 

「なっ…!?」

 

「もちろん、真羅さんや、由良さん、それに他の子達だったとしてもな」

 

 彼女達だって大事な友達だ。俺でよければいつでもお祝いに駆けつけますぜ? ただ、今回のように、余興として戦わせるのは勘弁してほしいですけど。

 

「え、ええ…!?」

 

「それって…!」

 

「あう…!」

 

 …やべ、調子に乗り過ぎたか? 支取さん達の顔がえらい事になってる。けどさ、自分の晴れの舞台に是非ともお祝いに来て欲しいなんて言われたら誰だって嬉しくなるだろ? だからテンションの上がった故の発言という事で勘弁してください。

 

「やっぱり…やっぱり、アンタは敵だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 そして匙君、キミは何でそんな親の仇でも見る様な目で睨んで来るの!? お兄さん、怖いよ!?

 

「こ、コホン! で、でぃえは、私達はこれで失礼しましゅ! お、お姉しゃま、神崎君にあまり迷惑をかけないでくだしゃいね!」

 

 そう言い残して生徒会メンバーを引き連れて足早に去って行く支取さん。…なんか所々噛んでたけど、調子でも悪いのか?

 

「にっしっし~。ソーナちゃんもフューリーさんの魅力にメロメロだね~。けど、負けないよ~」

 

 支取さんを気遣う俺の耳に、魔法少女のその言葉は届かなかった。

 

 そうして、俺は魔法少女とも別れ、グレモリーさん達の所へ戻った…。のだが、何故か頬を膨らませたグレモリーさんと、いつもの微笑みなのにどこか怖い姫島さん、ジト目で見つめて来る塔城さんに、苦笑いの木場君、そして滝の様な涙を流している兵藤君に出迎えられてしまいましたとさ。

 

 その後、兵藤君達と一緒に人間界へ送ってもらい、俺は自宅へ帰った。ドアを開けた途端、アーシアに泣きながら抱きつかれた。うーん、寂しかったんだねぇ。やっぱりこの子も一緒に連れていくべきだったかな。

 

 トトトと足音を鳴らせ、すり寄って来る黒歌の頭を一撫でし、俺はアーシアと一緒にリビングへ向かった。何があったのかと真剣な顔で聞いて来る彼女に一連の出来事を話す。途中、「ま、負けませんから!」なんて言われたんですけど、誰かどういう意味での発言か教えてくれませんかね。

 

 はあ、なんか急に疲れて来たな。今日は色々あったし。久しぶりにラフトクランズモードにもなったしなー。というわけで、さっさと寝る事にしようかね。

 

 夕食と風呂を早めに済ませ、俺はベッドに横になった。…あ、燃えた制服どうしよう。代えってあったっけ?

 

 そんな事を考えながら、俺の意識は次第に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、目を覚ました俺は、自分の顔面を一発殴ってみた。

 

「…痛い」

 

 って事は、これは夢じゃない。現実、リアルなんですよ。この頬に感じる痛みも…。

 

「すう…すう…」

 

 目の前で裸のまま眠っているグレモリーさんも。

 

 誰か…誰か! 俺にこの状況を説明してくださーーーーーーい!!!

 

 彼女を起こさないよう、俺は心の中で盛大に叫んだのだった。




これにて二巻部分終了。次回から三巻部となります。その前に、ちょっとした日常編とかオリ主設定とか入れてもいいかと思ってますけどね。・・・一度、無限ちゃんに会わせようかな。

ちなみに、フューリーのファンはこれからも増えます。例えば・・・原作で死んでしまった旧魔王派のあの女性とか、ロボット好きな若手のあの子とか・・・。

それと、今回で私の書きたかったというか、考えていた部分は全て書き終わったので、これからは毎日の投稿では無くなると思いますが、ご容赦ください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。