ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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今回は回想回です。オリ主の勘違いが一つ解けます。


第三十七話 晒し者じゃないですか!

昼休みが終了し、午後の授業が始まった。苦手な数学だったが、俺はとても上機嫌で黒板に書かれた数式をノートに写していた。というのも、先程セラフォルーさんからとても嬉しい話が聞けたからだ。

 

セラフォルーさんが実は魔王だと聞かされた後、俺は彼女と二人きりで色々話をさせてもらった。その際、姫島さんが凄く微妙な顔をしていたけれど、おそらく俺が魔王様相手に失礼な事をしでかさないか心配だったんだろう。以前サーゼクスさんの前で婚約パーティーを無茶苦茶にしてしまった前科があるので、そう思われても仕方ないのは仕方ないんだけどな。

 

支取さんが生徒会室を開けてくれたので、俺達はそこで話をする事にした。二十分くらいしたら戻ると言い残し出て行った支取さんは、去り際に申し訳なさそうに俺に頭を下げた。きっと身内が迷惑をかけて悪いとか思ってたんだろうな。彼女真面目だし。

 

まあ、そういうわけで、俺はセラフォルーさんと向かい合う形で椅子に座り、彼女と話を始めた。当然というか、最初はやはり俺の事について色々聞かれた。ただ、好きな食べ物とか趣味はまだいいとして、好みの女性のタイプまで尋ねられるとは思ってなかった。しかも、その質問の時だけ、妙に真剣な感じでだ。メモまで取ってたけど、一体何の参考にするつもりなんだろうか・・・。

 

あと、これも当たり前というか、あの時、セラフォルーさんの前から消えてから俺が何をしていたのかも聞かれた。正直、これ以上嘘を吐きたく無かったが、リアス達と違う事を言えば矛盾が生じるので、同じ様に記憶が無いのだと伝えると、凄く悲しい顔をされた。マジで、今から修正とか出来ないかね。リアス達も含めて心苦しさMAXなんですけど。

 

それから、俺の力についてもいくつか説明して、今度はセラフォルーさんから悪魔側についての話をしてもらう事になった。ここで、俺がずっと抱いていた不安が払拭される事となった。

 

不安というのは、悪魔のみなさんの間で語り継がれていたフューリーの伝説。それがどれほど痛くて恥ずかしい感じで伝わっているのか。いよいよその真相が明らかになる時が来た。

 

結論から言うと、俺が予想していた物とは違っていた。それどころか、俺は悪魔を救った救世主扱いされているらしい。そんな俺が、前回のパーティーで再び姿を見せた事が広まり、冥界では大騒ぎだとか。正に奇跡だ。俺の恥ずかしい言動を好意的に受け取ってくれた悪魔のみなさんには本当に感謝の思いしか無い。・・・この時の喜びを、俺は一生忘れる事は無いだろう。

 

大人から子どもまで、フューリーの名を知らない悪魔はいないとまで言われてしまった。けど、寿命の長い悪魔の時間感覚はわからないけど、千年以上前の人物がどうしてそこまで人気があるのか俺には不思議だった。だって、たった一度しか姿を見せてないんだぞ。

 

そう口にすると、セラフォルーさんは得意気に胸を張りながら答えた。フューリーを題材にした特撮物を作ったからだと。おかげで子どもには大人気だし、大人も夢中になっていると。ちなみに監督はセラフォルーさん自身だそうだ。

 

いや、意味わからん。特撮ってあの変身! とか叫ぶやつだろ? ちなみに、主人公のキメゼリフは「貴様をヴォーダの闇に還してやる!」だとか。ノリノリなポーズでセリフを叫ぶセラフォルーさんを見て泣きそうになった。なんでよりによって一番恥ずかしいそれが採用されてんの!?

 

今度DVDを送るって言われたけど、正直見たいの半分、見たくないの半分だった。だってへたしたら黒歴史追加じゃん。

 

さらに劇場版もいくつも制作され、フィギュア等のグッズもバカ売れとか。セラフォルーさんも第一期からヒロイン役で出演しているそうだ。その時、カテレアさんっていう女性とヒロイン役を争って勝利したが、彼女はその後、姿を消してしまったらしい。予定では第二期からヒロインを追加するつもりだっただけに残念だったとセラフォルーさんは言う。

 

ついでに説明されたが、セラフォルーさん自身、『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』っていう名前の特撮物で主役張ってるとか。どうりで魔法少女コスが似合ってるわけだ。それと、最近ではパイロットスーツのコスプレにもハマってるみたいで、今日もどっちを着て来ようか悩んだそうだ。パイロットスーツってだいたいピチピチで体のラインがモロに出るから、そっちで来てたらえらい事になってただろうな。・・・なんとなく、ヴァーリさんと並ぶ彼女を想像してみた。凄く・・・危ないです。

 

アホな妄想している俺にセラフォルーさんがとんでもない提案を持ちかけて来た。フューリー復活に合わせ新作を作るから俺に主役をやってくれと。今までは正体が不明だったから鎧姿でしか出せなかったけど、これでようやく正体を明かせるし、それを本人がやるとなれば、大人気間違いなし! と興奮して詰め寄って来るセラフォルーさんの雰囲気に圧倒されつつ、前向きに検討しますとだけ答えた。

 

いやだってすぐに決心なんてつかないよね普通。しかも演技ド素人の俺が・・・待てよ、アル=ヴァンモードならなんとかなるかも。いやいや、何やる気出してんの俺。そしてセラフォルーさん。俺は検討するって言っただけですから嬉しそうにしないでください。そんな顔されたら断ろうとする俺が悪人みたいじゃないですか。

 

キスシーンどうしようとか、やっと恋人設定が活かせるとかブツブツ呟くセラフォルーさん。え、子ども向けなのにそんな事やっていいの? なんて疑問を抱いていると、支取さんが戻って来た。気付かない内に二十分経っていたみたいだ。

 

二人と一緒に生徒会室を出た。そろそろ午後の授業が始まる。

 

教室に戻る途中で、支取さんからどんな話をしたのか聞かれたので、つい主役の話を漏らすと、支取さんから「・・・楽しみです」と予想外のお言葉を頂いてしまった。あら、もしかしてキミ特撮好き? あのお姉さんにしてこの妹さんありってヤツか? とりあえず、逃げ道が狭まった事は理解出来ました・・・。

 

まあ、そんな感じで、魔王少女との対談は幕を下ろしたのだった。色々話が聞けたのは良かったが、なんだかまた悩みが増えてしまった気がするのはどうしてだろう。

 

とりあえず、家に帰ったらみんなに相談してみよう。アーシアや塔城さんはまだしも、リアスや黒歌あたりは面白いからやれとか言って来そうだな。

 

「それじゃこの問題を・・・神崎、解いてみろ」

 

先生の指名にふと意識を取り戻す。ま、今悩んでも仕方無いし、夜まで待つか。

 

俺は席を立ち、黒板へと向かった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

そして夜、俺は昼休みの件をみんなに伝えた。黒歌なんかはもう一人の魔王が来ていた事にまず驚いていた感じだったが。

 

というか、アーシアを除く全員がフューリーの特撮を知っていた事に驚いた。ホントに人気あるんだな。主役の話をしたらぜひともやって欲しいとまで言われてしまった。

 

かと思うと、キスシーン云々の話をした途端に猛烈に反対されてしまった。あれですか。演技とはいえ、俺ごときがあんな可愛い子とキスなど言語道断! 身の程を知れ! って事か。

 

鬼気迫る顔で反対を唱えるリアス達を見て俺はそう思うのだった。




短めでしたが、キリがいいので今回はここまで。

アニメじゃなくて特撮だったようなので、色々修正しました。

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