ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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(主人公への)説明会です。今まで以上に強引ですが、この小説は勢いのままに書いていますので、それが好ましくないと思ったらすぐに戻ってください。


第五話 テンプレでもいいじゃないだってオリ主だもの・・・

 痛いセリフと共に魔法少女と別れた俺は、気付けばまたしても森の中に立っていた。空は相変わらず紫色だ。だが、さっきと同じ色のそこには、魔法少女もイケメンも、あの赤ドラゴンや白ドラゴンの姿も無い。それと、俺の姿も元の状態に戻っていた。

 

『ほい、転移完了や。体の調子はどうや? 気分が悪いとか無いか?』

 

「大丈夫だ。問題無い」

 

 あれ、このセリフ、なんかのフラグだったような…。ま、いいか。それより、ここはどこ? あとすっげえ今さらな疑問なんだけど、あのドラゴンとか、翼持った人達ってなんなの? まさか、この世界に来て初めて出会った相手があんなとんでもないものになるとは思って無かった。

 

『ここは冥界。悪魔の住む世界や。あの赤と白のトカゲちゃんの名前は『赤龍帝』ドライグと、『白龍皇』アルビオンで、あの翼の子達はそれぞれ天使、堕天使、そして悪魔や。そしてここはアンタがさっきまで戦っとった場所とほぼ同じ場所や。ま、あの時代から千年ちょっと経っとるけど』

 

「…は?」

 

 ステイステイ。うん、ちょっと落ち着こう。一片に全部の疑問に答えてくれたのは嬉しいよ? けど、その答えが全部俺の予想の範疇を三段くらい跳び越えてるんですけど。もう一度、それぞれについて詳しく聞かせてもらえませんかね。いや、マジで。特に最後について!

 

 まず、冥界って何? ハイスクールD×Dって冥界が舞台なの? タイトル詐欺じゃね?

 

『んー? 別にそういうわけやないよ。ちゃんと人間が住んどる世界もあるで』

 

「なら、何故俺をそこに送らなかった?」

 

 あ、割とどうでもいいけど、口調が似ても自分の事は“俺”って呼べるのね。よかった。これでアル=ヴァンみたいに“私”とかだったらもう泣いてた。仕事とかならまだしも、普段の生活で自分の事を“私”と呼ぶ男って寒いと思うんだ。これあくまで俺の考えだからね?

 

『とりあえず適当な場所に送るだけ送って、後の事はアンタと話し合って決めよう思うてな。ほら、おばちゃんせっかちやから。まあ、あのトカゲちゃんと悪魔ちゃん達の戦いの近くに送ってまうとは思わんかったけど』

 

 いや、知らんがな。…っと、今さらっと気になる事言ったな。

 

「…あなたはあのドラゴンの事を知っているのか?」

 

『ちょっとな。その世界の事を勉強したんよ』

 

 そう言って、オカンは俺に色々教えてくれた。まず、あの赤ドラゴン…ドライグと、白ドラゴン…アルビオンについて。

 

 『赤龍帝』と『白龍皇』なんて中二心をくすぐる呼び名を持つあの二頭は、ずっと争いを繰り返してたらしい。で、ドラゴン達はイケメンや魔法少女のような悪魔、黒い翼のオジサマ達堕天使、白い翼の女性達天使がやってた戦争の最中に現れて、三つの陣営に恐ろしいほどの損害を与えたらしい。いやあ、どこの世界にも戦争ってあるのね。怖い怖い。

 

 このままじゃ“オワタ”になると危機感を抱いた三陣営は、戦争を止めて一緒にドラゴン達を止める為に協力する事にしたらしい。胸熱展開だね。んで、いよいよ決戦だ! って所で空気も読まず乱入したのが、騎士(笑)こと俺だった。…やっぱり死にたい。

 

 そういうわけで、俺が千年前の魔界に跳んだのは、オカンの適当さが原因だったのだ。そして、俺が千年の時を超えこの時代に来てしまったのは、あの騒ぎの中、俺がふと思った「千年後くらいに行きたい」という願望を叶えてくれたかららしい。望むのなら今度こそ人間界に送ってやると言われたので早速お願いしようとした…その時だった。俺の耳に争う様な声が聞こえて来たのは。

 

「こんな人里離れた森の中に人がいるのか?」

 

 奥から聞こえて来る男と女の声。正直、関わりたくは無かった。だが何故だろう。俺の足は自然とそちらに向かっていた。女の声に焦りが混ざっているから? 男の「犯してやる!」という下卑たセリフが耳に入ったから? あるいは、その両方から嫌な胸騒ぎを覚えたから?

 

 そして、俺の目にその光景が飛び込んで来た。

 

 ―――纏っている和服を無残にも破かれ、片胸が完全に露出している女性。

 

 ―――見たくも無い部分をさらけ出し、女性にのしかかろうとする男。

 

 俺は間髪入れずに走り始めた。女性がネコミミや尻尾を装備しているとか、魔界に何で和服があるのかとか、気になる所はあるが、今俺がやらなければならないのはその理由を知る事では無い。

 

 今俺がやらなければならないのは…この握り締めた拳を、あの強姦魔の横っ面に全力で叩きつける事だ!

 

「現・行・犯!!!」

 

「パムッ!?」

 

「にゃっ!?」

 

 加速をつけた一撃は正確に男の頬を直撃し、男は大きく吹っ飛んだ。アル=ヴァンの身体能力+怒りの威力は凄まじく、男を受け止めた太い木が半ばからへし折れ、それでも威力が殺しきれなかったのか、男は二本目、三本目の木々を巻き込んでいった。

 

「だ、誰にゃ…?」

 

 女性が戸惑いの顔を向けて来る。とりあえず、その刺激的すぎる格好を何とかしないとな。俺は上着を脱ぐとそれを彼女の肩にかけた。

 

「大丈夫。俺はあなたの味方だ」

 

 状況を見るに、彼女は汚される正に寸前だった。そう、寸前で済んだのだ。これであと少しでも来るのが遅れたら、いや、そもそもここに来ようと思わなかったら。考えただけでゾッとする。

 

「テ、テメエ、何者だ!」

 

 強姦魔が鼻血を吹き出しながら戻って来た。つーか、いいかげんズボン穿けや。

 

「俺が誰だかわかっているのか! いや、そもそもその女があの悪名高き黒…」

 

「黙れ」

 

 自分でも驚くほど低く冷たい声が出た。女性を守るように男の前に立つ。

 

犯罪者に人権など無い…なんて過激な事を言うつもりは無い。罪は罪。だが、そこには色々な事情があるかもしれない。根っからの悪人では無く、仕方なく犯罪に手を染めた者だっているかもしれない。

 

 だが強姦魔。テメーは別だ。理性を失い、ただ自分の欲望を満たす為に女性の心と体に深すぎる傷を負わせるテメー等は擁護のしようが無いクズだ。この世で最も重い罪は殺人だが、この世で最も憎むべき犯罪は強姦だと俺は思う。異論は認めない。

 

「男の風上にもおけない下衆が。それ以上この女性に近づくな」

 

「ぐうぅ! テメエこそ黙れ! 犯罪者に加担したテメエも同罪…」

 

「ふんっ!」

 

 クズと話す気は無いとばかりに、俺はもう一度男の懐に飛び込むと、渾身の昇ry…アッパーを放った。ゴキッ! という物騒な音と共に、男は上空へ舞い上がりUターン。そして地面に熱烈なキスをかまし、気絶した。

 

 男をブッ飛ばした俺は、女性の様子を確認しようと振り向いた。だが、そこに彼女の姿は無く、俺が貸した上着と、その中に包まった黒い猫だけがいた。

 

「猫…?」

 

 あの女性はきっと俺が男をブッ飛ばしている間に逃げたのだろう。逃げる前に一言残して言って欲しかったと言うのは酷だろう。それよりこの猫、かなり衰弱してるみたいだ。それにケガもしている。このまま放っておいたら間違い無く死んでしまう。

 

「オ・クァーン」

 

『…何や?』

 

 名前を呼ぶと、少し間を空けてオカンが返事をした。何か様子が変だ。

 

「どうかしたのか?」

 

『いや、アンタの行動にまた感動してしもうて。おばちゃん、このままじゃ脱水症状で倒れそうや』

 

 神様でも脱水症状になるのね。てか、やっぱり感動屋だなこの人。

 

『それで、何やの?』

 

「転移する時、この猫も連れて行きたいのだが」

 

 放置しては後味が悪すぎる。可能ならケガが元気になるまで面倒を見てあげたい。

 

『それくらいならお安い御用や。それじゃ、今度こそ人間界へ送ったる』

 

俺は上着を羽織り、猫を優しく抱きあげた。そしてその直後、俺は三度目の転移を果たしたのだった…。




後半まさかの熱血主人公。なんか情けない部分が多い彼ですが、やる時にはやるんです。

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