ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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修行を終わらせたかったが、カテレアさんに書けと命令されたので書いた。後悔はしていない。

※キャラ崩壊(既にしているが)注意。・・・いや、むしろ平常運転かも。



幕間その二 魔王少女と残念さん

「それじゃあね、フューリーさん。今日はどうもありがとう!」

 

「いえ、お役に立てたのなら嬉しいです」

 

何度も振り返りながら手を振るセラフォルーさんに、俺も手を振り返す。突然お願いがあるとグレモリー邸までやって来た時はちょっとビックリしたが、あれくらいの事で喜んでもらえるなら安いもんだ。

 

でも、改めて考えてみると変なお願いだったな。あ行からわ行までを読み上げて、それを録音するなんて。セラフォルーさんはこれでみんな幸せになれるとか言ってたけど、どういう意味だったんだろう。

 

・・・まあ、魔王である彼女には俺なんかでは想像も出来ない深い考えでもあるのだろう。なので考えるだけ無駄かな。そんな事を考えている暇があったら、リアス達の修行に付き合うべきだろう。

 

そう決めて、俺はそのまま修行中のリアス達の様子を見に行くのであった。

 

SIDE OUT

 

 

セラフォルーSIDE

 

フューリーさんに会いに行った翌日、私はカテレアちゃんに会いに彼女の家に向かった。私が考えたとある計画にカテレアちゃんも巻き込む為だ。

 

インターフォンを鳴らす。・・・そういえば、前はフューリーさんと一緒に来たんだっけ。えへへ~、あの時のカテレアちゃん、面白かったな~。私の名前もちゃんと発せられないくらいテンパってたんだよね。まあ、気持ちはわかるけどね。私だって逆の立場だったらビックリしただろうし。

 

・・・思い出しついでだけど、私、フューリーさんに壁ドンされちゃったんだよね。その前には咄嗟の事だったとはいえ、だ、抱きついちゃったし。も、もしもうちょっと勢いが強かったら、あのままキ、キスとかしちゃってたりして・・・。

 

「あわわわ・・・! な、何考えてるんだろ、私」

 

浮かんだイメージを追い出す様に頭を振る。・・・よし、落ちついた。

 

それにしても、遅いなカテレアちゃん。いつもならもうそろそろ返事があるはずなのに。ひょっとして出かけちゃってるのかな?

 

私は門を開けて玄関へ移動した。ドアノブに手を伸ばすと、扉がゆっくりと開いた。うーん、ちゃんといるみたいだね。寝てるのかな? だとしたら鍵もかけずに不用心だよ。

 

「お邪魔しま~す」

 

私は靴を脱いでお家に上がった。さてさて、カテレアちゃんはどこにいるんだろう。とりあえず、カテレアちゃんのお部屋に行ってみよう。予想通りに寝てたりしたらきっとそこだろうしね。

 

私はカテレアちゃんのお部屋に向かった。扉の前、ノックしようと手を上げた直後、中からこんな声が聞こえて来た。

 

「はあ・・・はあ・・・フュ、フューリー様ぁん・・・!」

 

「あっ・・・(察し)」

 

どうやらお取り込み中みたい。もう、カテレアちゃんたらこんな時間から飛ばし過ぎだよ。しょうがない。カテレアちゃんが出て来るまでリビングで待ってよっと。

 

そう決めて、私はその場を立ち去るのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

数分後、ようやくカテレアちゃんが姿を現した。

 

「・・・で、さも当然の様に人様の家でくつろいでいるあなたは何をしに来たのですか」

 

「ちょっとカテレアちゃんに用事があるの。その前にシャワー浴びて来たら?」

 

「用事ですか。どうせまた変な事に巻き込むつもりなのでしょう。・・・まあいいですけど。とりあえず、あなたの言う通りシャワーを浴びて来ますからもう少し待っていてください」

 

「お菓子食べてもいい?」

 

「勝手に摘んでなさい」

 

そう言い残してお風呂場へ向かうカテレアちゃん。それを見送り、私はお菓子に手を伸ばした。

 

さらに数分後、さっぱりした様子のカテレアちゃんが戻って来た。

 

「それで、本題は?」

 

「あのね、今度サーゼクスちゃん主催のパーティーがあるんだけど、その時にね、フューリーさんのお披露目会もやろうと思っているの。ほら、写真とかじゃない本物のフューリーさんを直接見たのってまだごく一部の悪魔だけでしょ? だから、この機会に正式に発表した方がいいかなってサーゼクスちゃんと話しあったの」

 

「わかりました。つまり新しいドレスを用意しておけと言う事ですね」

 

「参加する気満々だねカテレアちゃん。まさかいきなりドレスの心配をされるとは思わなかったよ」

 

「むしろ参加しない理由がありませんけど。・・・まさか、駄目だとは言いませんよね? もしそうであるならば、私は私の全てをなげうってでもサーゼクスの顔に一発かましに行きますよ」

 

「まさかサーゼクスちゃんも楽しいパーティーを企画したのにそんな重すぎる一発を受けるなんて想像もしていないと思うな。それに心配しなくても、カテレアちゃんも参加してもらうから。はい、招待状」

 

招待状を渡すと、カテレアちゃんはそれを大切そうに仕舞った。

 

「・・・今日からパーティーの日まで、万が一にも招待状を盗まれるような事が無いよう家の警備装置のレベルを上げておきましょう。とりあえず、私以外の者が敷地内に入った瞬間魔力弾で昇天するように設定しておけばいいですかね」

 

「うん、宅配便のお兄さんも昇天しちゃうから止めようね」

 

「それで、用件というのはこの招待状の事ですか? もしそうなら確かに受け取ったのでお帰りください。私、これから色々予約やらなんやらで忙しくなりそうなので」

 

「ううん、違うの。本題は別にあってこれはおまけというか・・・」

 

「セラフォルー! あなた、フューリー様に関係する事をおまけ呼ばわりするなんて! そこに直りなさい! フューリー様の奴隷(予定)の私が直々に成敗して差し上げます!」

 

「普通に奴隷とか言うあなたに正直引いてるんだけど、本題もフューリーさんの事なんだけどな」

 

「窺いましょうか」

 

「・・・カテレアちゃんってさ、めんどくさいとか言われた事ある?」

 

「何を言っているのですか、セラフォルー」

 

「そうだよね。さすがに今のは私が悪・・・」

 

「そんなの、旧魔王派にいた時からしょっちゅう言われてましたから今さら気になんてなりませんわ」

 

「・・・」

 

うん、気にするのは止めよう。これ以上踏み込んだら私の為にもカテレアちゃんの為にもならない。私は直前の会話を無かった事にした。その上で、持って来た鞄からある物を取り出した。

 

「・・・何ですか、この変な機械は?」

 

怪訝な顔をするカテレアちゃん。ふふ、この顔が数秒後には驚きに変わるんだろうなあ~。

 

「今度ね、フューリーさんの新しいグッズを作ろうと思ってるんだ。考えてるのは、『フューリー目覚まし時計』っていうグッズなの。名前の通り、目覚まし時計なんだけど、時間になるとアラームの代わりにフューリーさんの声が出るようにするつもりなんだ」

 

「ほほう・・・!」

 

「パターンも増やしてね、一年間全部違うメッセージが出るようにするの。毎朝フューリーさんの色々なメッセージで起こしてもらうの。えへへ、素敵でしょ」

 

「セラフォルー。ちょっとそのアルカディアの鍵を手に入れて来ますから留守番お願いします」

 

「もー。だからそれを今から作るつもりって言ったでしょ」

 

「ならば今すぐ作りなさい。迅速に、火急に、速やかに」

 

「その為にカテレアちゃんに協力して欲しいの」

 

「どういう事ですか」

 

「昨日ね、フューリーさんにお願いして声を録音させてもらったの。それでね、その音声データを、アザゼルちゃんに作ってもらったこの機械でこうすると・・・」

 

『おはよう』

 

「ッ!? い、今のは・・・間違い無くフューリー様の声! ど、どういう事ですか、セラフォルー!?」

 

「えっへん! この機械は入力した言葉を、音声データにしゃべらせる事が出来るんだよ! フューリーさんの“あ”から“ん”までの声を、自動処理で最適に組み合わせる事で、自然なセリフにする事が出来るの!」

 

「た、確かに、いまのおはようは完璧なおはようでした。とてもバラバラに発していた声とは思えません」

 

「フューリーさん本人にたくさんセリフを言ってもらったら疲れちゃうでしょ。でも、これなら入力するだけで済んじゃうから負担はゼロ!」

 

「・・・何だか私、アザゼルの事がちょっと好きになりました」

 

「カテレアちゃんには私と一緒にこの機械を使って、メッセージ作成を手伝って欲しいの。一人だときっとすぐにネタ切れしちゃうだろうし、二人なら話し合う事で意見もたくさん出ると思うんだ」

 

「いい判断です、セラフォルー。そう言う事でしたら、不肖このカテレア、協力する事もやぶさかではありません」

 

「ふふ、そう言ってくれると思ってたよカテレアちゃん。よ~し、それじゃあ二人で素敵なメッセージを一杯作っていこ~!」

 

「お任せください!」

 

こうして、私とカテレアちゃんのメッセージ作りの作業が始まった。思いついたメッセージを片っ端から入力しては保存、入力しては保存を繰り返す。

 

そして、充分な量のメッセージを取り終えた所で、私はホッと息を吐いた。これを元にして早速目覚まし時計を作らないと。あ、でもデザインとかどうしよう。うう~、悩むなぁ・・・。

 

「ねえ、カテレアちゃん。どんな時計にしたらいいと・・・」

 

「・・・」

 

カテレアちゃんの様子がおかしい。機械にジッと目をやって微動だにしない。・・・と思ったら、機械に手を伸ばし、入力を始めた。もう充分なのに、どうしたんだろう・・・。

 

「どうしたのカテレアちゃ・・・」

 

『可愛いよ、カテレア』

 

「はあ~~~~!」

 

恍惚とした表情を浮かべるカテレアちゃん。あ、駄目だ。目が逝っちゃってる。

 

「つ、次は・・・!」

 

『カテレア。俺の傍から離れるな』

 

「そして・・・!」

 

『カテレア。俺は・・・俺はあなたが好きだ!』

 

「そしてそして・・・!」

 

『さっさとシャワー浴びて来いよ』

 

「アルカディッアァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

叫びながら盛大な鼻血を吹き出すカテレアちゃん。落ち着きなよカテレアちゃん。女の子が出していい量の鼻血じゃないよ。

 

結論・・・カテレアちゃんは私が思っていた以上の変態さんでした。まる。




会話文多めのSSっぽくなってしまいましたが、あえてこんな風に書いてみました。この二人はいいコンビになってくれそうです。

魔王少女のツッコミは新鮮ですね。

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