ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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すみません。更新しちゃいました・・・。


第一章 旧校舎のディアボロス
第七話 あれから色々ありまして


 光陰矢のごとし…昔の人は上手い事言ったもんだ。なんちゃって高校生になって既に一年が過ぎ、俺は最上級生となっていた。

 

「オッス、神崎」

 

「ああ、おはよう」

 

 クラスメイトと挨拶を交わし、俺は席に着いた。え? お前ボッチになったんじゃなかったのかって? ふふふ、確かに俺はボッチになりかけていた。だがしかし! そんな俺を救ってくれたのが彼女…最初に俺に声をかけてくれた、リアス・グレモリーさんだった。

 

 彼女曰く、「みんな緊張して話しかけられないみたいだから、私がきっかけになってあげようと思って」との事だった。転校生相手に何故に緊張するのかと首を傾げれば「鈍いのね」なんて言われる始末。さっぱりわからん。

 

 けれど、確かに彼女をきっかけにして、一人、また一人とクラスメイト達が話しかけて来てくれた。女子の方は未だに緊張している様子だったが…。とにかく、そうして俺はようやくクラスに受け入れられたのだ。

 

 いやもうね、彼女には感謝感謝だよ。年下(精神年齢的に)の子達と一緒の空間でこれからずっと一人で過ごしていかなければならないと思ってたから。そこでお返しにと困った事があったら何でも言ってくれと伝えると「期待しておくわね」と大人な返しをされた。改めて思うが、彼女は本当に高校生なのだろうか…。

 

 そういうわけで、俺はなんとかボッチロードを歩まずに済んだのだが、すると、今度は何がどうしてそうなったのか、逆にやたらと相談事を受けるようになってしまった。

 

 何がきっかけだっただろうか。確か、同じクラスの男子に恋愛相談を受けたのが最初だったと思う。何で俺なのかと問えば「なんか年上っぽくて頼りになりそう」だとか。…やはり溢れ出る年上臭さは隠しきれなかったのかとちょっと落ち込んだりしたが、頼られた以上は応えてあげたい。生前は生まれてから死ぬまで彼女なんていなかった自分だが、彼らよりちょっとだけ人生経験豊富な俺は持てる知識を総動員して、それっぽい答えを出してあげた。

 

 するとなんという事でしょう。その男子は見事に意中の相手と恋仲になれたそうなのだ。そこで話は終わるはずだったのだが、その男子が俺に相談したら彼女が出来たと宣伝してしまったらしく、それからは同じクラスだけでなく、別のクラス、果ては学年の違う子達までが俺の元へ相談事を持って来るようになったのだ。

 

 別にそれ自体は嫌では無い。頼られるのは悪い気分じゃ無いしな。…だが、先生まで相談に来るのはどうかと思う。あなた達、“する”側じゃなくて“聞く”側でしょうに…。

 

 まず来たのは山田先生だった。「生徒にからかわれるのはやっぱり自分が先生らしくないからか? いっその事、尊敬する先輩の真似をしてみようかと思うのだけど」と結構切実な悩みだった。とはいえ、俺が見た限り、生徒達はしっかり彼女の事を先生として尊敬していると思うのだが、やはりちゃん付けで呼ばれる事に抵抗でもあるのかもしれない。

 

 ちなみにどんな先輩かと聞いてみると、軍人みたいな話し方で、特技は騒ぐ生徒を出席簿の一撃で黙らせる事だとか。うん、想像しただけで、寒気がした。

 

 なので「そのままのあなたが素敵です」と答えると、先生は顔を真っ赤にさせてプルプル震え始めた。今思い出すと、なんか口説いてるみたいな答えで自分で恥ずかしくなった。真剣な悩みに、んなふざけた返しをされたら、そりゃあ優しい山田先生でも怒るわな。

 

 結局、山田先生が相談に来たのはそれが最初で最後だったが、それからの彼女は何か吹っ切れた感じに見えた。ただ、俺と目を合わす度に微妙に頬を赤らめる辺り、まだ怒りの方は収まってないみたいだったが。

 

 そんな感じで相談事を受けていたら、気付いた時には『駒王の頼れるお兄様』なんてこっ恥ずかしいあだ名をちょうだいしてしまった。まあ、『お父さん』とか『おっさん』にならなかっただけましか。

 

 というわけで、俺に関する事はこれくらいだろうか。ついでにこの駒王学園についても少しだけ語っておこうか。一年間この学園に通い続けて思ったが、ここには少し、いやかなり個性的な子達が多く在籍している。

 

 まず、俺をボッチから救ってくれた恩人こと、リアス・グレモリーさん。やっぱりというか彼女、学園全体でもの凄い人気が高い。男女問わず『お姉様』なんて言われる人間、マンガの中でしか見た事無かったが、いやはや、実際に見るとなんかこっちが恥ずかしくなる。言われる本人はまったく気にしていないようだが。

 

「おはよう、神崎君」

 

 噂をすれば本人が登校して来た。相変わらずの素敵スマイルを見せる彼女のその隣には艶やかな黒髪をポニーテールに纏めたいかにも大和撫子な少女が立っている。

 

 彼女は姫島朱乃さん。グレモリーさんの友人で、同じクラスの女の子だ。グレモリーさんに負けず劣らず綺麗な子で、彼女と合わせて『駒王学園の二大お姉様』と称される程である。あれだね、どっかでマリア様が見てたりするんじゃないのか。

 

 …ん? 何でさっきから年下相手にさん付けしてるのかって? いや、俺、基本的に呼び捨てせずに同い年、年下にも君、さん付けしてるからな。生前の中学まではそうでもなかったんだけど、高校に入ってから急にそれがしっくり来るようになったんだが、あれってなんなんだろうな?

 

「どうしました、神崎君。私の顔をそんなに見つめて。もしかして見惚れてました?」

 

 茶目っ気のある微笑みを見せる姫島さん。うーん、何だろうな。決めつけるのは良くないけど、この子、Sっぽいんだよな。

 

「ああ」

 

 肯定する。いや、実際見惚れたのは事実だし、下手にごまかすと、それこそ彼女に弄られる恐れがあるしな。すると、姫島さんは微笑みを崩す事はなかったが、若干狼狽した様子を見せた。

 

「…まさか、真顔で答えられるとは思ってませんでしたわ」

 

「ふふ、残念だったわね、朱乃。神崎君にはそう言うのは通用しないってこの一年で思い知ってるでしょうに」

 

 グレモリーさんの言う通り、姫島さんは事あるごとにさっきみたいな感じでからかって来るのだ。それに対し、表面上は冷静に対応出来ているが、内心はかなり焦ったりしてる俺。

 

 いや、だってさ、こんな綺麗な子に思わせぶりな事言われたらそりゃ焦るでしょ。これで何も反応しないヤツはどこぞのラノベの鈍感系主人公かホモォ…くらいしかいないと思うんだ。

 

「近い内に必ずあなたのうろたえる顔を見てあげますから」

 

 そう言って細くしなやかな指を俺に向ける姫島さん。正直、俺の精神的ライフがゴリゴリ削れるんで止めて欲しいです。

 

 まだ何かされるのかと身構える俺だったが、そこで唐突に鳴ったチャイムに救われた。時計を見れば、いつの間にかHRが始まる時間となっていた。席に着く二人の背を眺めながら、俺は今日も平穏に過ごせる事をオカンに祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あっという間に時間は過ぎ、今は放課後。俺はというと、図書室へと足を運んでいた。

 

「あら…神崎君」

 

 その道中、前方から歩いて来た少女が俺の名を呼ぶ。ショートカットの黒髪に、知的な雰囲気を醸し出す眼鏡。いかにも優等生といった感じの彼女は、まさしくこの学園の生徒会長だった。

 

「支取さんか」

 

 支取蒼那…それが彼女の名前だ。クラスは違うが、彼女とも友人関係を築いている。初めてあったのは図書室、同じ本を取ろうとして手が触れあったという何ともドラマチックな出会いだった。とはいえ、クールな彼女は頬を赤らめたりもせず、俺にその本を譲ろうとしてくれた。だがそこは俺、逆に彼女にその本を譲った。

 

 最初困った様な顔だった彼女だが、俺が黙って本を差し出すと、お礼の言葉と共に微笑みながら受け取ってくれた。あれだね、クールな女の子が笑った時の破壊力って尋常じゃないね。

 

「また図書室で勉強ですか?」

 

「ああ、まだまだやらなければならない事が多いからな」

 

 何せ、高校の授業なんて何年ぶりのものか。こうして空き時間に予習復習しないと不安でしょうがない。だが、ここでもアル=ヴァン先生のスペックに脱帽してしまった。生前は必死こいて勉強したはずの内容が、この体だと少しやっただけでスラスラ理解出来るのだ。やっぱりイケメンって恵まれてるんだと学んだ俺だった。

 

「神崎君は学生の鑑ですね。ここで、私でよければ教えてあげます…と言いたい所なのですが、これから生徒会の仕事があるので申し訳ありませんが…」

 

 感心した様子でそう言ってくれる支取さんだが、俺はそうは思わない。だってこの学園、勉強熱心な子がたくさんいるからな。俺が図書室で勉強するようになって、同じ様に勉強する子が日に日に増えていったし。ただ、それが女の子だけっていうのが気になるが。駄目だぞ男子、遊びや部活もいいが、ちゃんと勉強しないと後から苦労するぞ? あ、これ実体験ね。

 

 そして律儀な彼女は本を譲ってくれたお礼にと、たまに勉強を教えてくれる。それがまたわかりやすくて大変ありがたいものだった。今の謝罪はその事だろう。

 

「いや、気にしないでくれ。むしろ、その仕事で俺に手伝える事は無いか?」

 

 お礼にお礼で返すと永遠に終わらない気がするが、彼女には世話になってるしな。そう言うと、支取さんは小さく首を横に振った。

 

「すみません。生徒会の仕事を一般生徒に任せるのは気が引けますので、お気持ちだけ受け取っておきます」

 

「そうか…」

 

 ま、そう言う事なら仕方ない。厚意ってのは押しつけるものじゃないしな。「それでは」と頭を下げる彼女と別れ、俺は再び図書室へ向かって歩き始めた。

 

あ、そうそう。彼女を通して、三年生で副会長の真羅椿姫さんを始めとする生徒会のメンバーとも知り合いになった。初めて紹介された時は、この学校の生徒会は美人じゃないとは入れないのか…と本気で思った。何せ、所属する女の子みんな例外無く綺麗な子、可愛い子ばかりだったからだ。

 

 そして、その中でただ一人男子として所属する匙元士郎君。男一人という事で色々大変だろう彼とは是非とも仲良くしたいと思ったのだが…支取さんに紹介された時、友好的だった他のメンバーと違って、彼だけは何故か睨むような目を向けて来たのだ。

 

 しまいには「会長とどういう関係ッスか」なんて言われた。キミは支取さんの父親か? 無難に友人と答えると睨むのを止めてくれたが、未だに睨まれた理由がわからん。

 

 回想している間に、図書室までもう少しの距離まで来ていた。何だか女の子の事ばかりだな。後一人、一年生で知り合いになった子がいるが、その前に男子の事も触れておこうか。

 

 元女子高という事で、女子ばかりが目立っているように見えるが、もちろん、男子にも個性的な子はいる。俺が知る限りその二人はどちらも有名人だ。とはいえ、有名という言葉は必ずしもいい意味で使われるわけではない。

 

「待ちなさい! 兵藤ーーーーー!!」

 

「この変態三人組! 今日こそ引導を渡してやるわ!」

 

 どこからか女子の叫び声が聞こえて来る。ああ、これはまた“彼”が何かやらかしたんだろうな。

 

 近付いて来る複数の足音に、俺はとある少年の顔を思い浮かべるのだった…。




次回、オリ主と原作主人公の出会い。まあ既に会ってる設定なんですけど。

ちなみに、今回の話でわかると思いますが、私は主人公至上主義です。なのでそういうのが好ましく思わない方は今の内に捨てた方がいいと思います。それでもよろしければ、これからも応援して頂けると嬉しいです。

それと、最後の方でちょっと出ましたが、木場君はそのまま男として出します。理由としては、イッセーのハーレム要員を減らさないためです。・・・何かおかしな事言いましたか?

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