機動戦士ガンダム ゴーストクロニクル series000 作:GhostWrider.Jp
敵機撃墜の電子音が聞こえた。
前衛だった
「
クラウザーは対峙する後衛だった
「
マシンボイスの返答に、クラウザーの表情が複雑に輝いた。
しかし、光学制圧支援は解除され、
そして──MS隊の壊滅は決定だ。分かってたけどな。
彼等が一機でも残っているなら、敵機に
クラウザーは敢えて、その情報を知ろうとしなかった。これは現実逃避的な心の弱さという訳では無い。
人間はメンタルに大きく支配されている。と、クラウザーは思っている。戦闘行動でもそれは同じだ。なぜ
コンバットパフォーマンスを下げない為には、ネガティブな情報は、その受け入れ準備が完了してから受諾すべきなのだ。
……もう少し待って欲しかった気もするが……まずまず、許容できている、かな。よし──
前衛だった方の
こいつは逃さない。自分が必ず仕留めて見せる。後は──ジェットやシュアル、他の生存が危ぶまれる者達については──
生還を信じるだけだ。
クラウザーは左手の小指でクロスを切った。
・・・・・・・・
・・・・
ナパームは、アインとG型の
アインの操縦は変わっていない。
G型も変化していない。ビームライフルを撃ちながら、出来る限りの後退加速を続けている。
しかし、当初に比べれば近づかれる速度を鈍化させたとはいえ、徐々に短距離化していく流れを打破できてはいない。このままでは、いずれアインの思惑通りの戦闘距離に入られるだろう。
奴はまだ、他に打つ手が無いだけなのかもしれない。でも──
……らしくないよ。
先程は早々に
非常に高度で、しかし、踊る様に綺麗な
いずれも、とても洞察的で即応的だ。上手いパイロットだと思う。戦上手と言ってもいい。
そんな、こいつらしくない。もう随分と、時を無為に過ごしている様に思える。本当に手詰まっているのか? 策が尽きたのだろうか?
どっちかって言うとさ、既に、次の策は始まっていた──とかの方が、らしいよね…………
…………え?
ナパームの胸中に疑惑が渦巻いた。そう、その方が自然だ。こいつらしい。ならば──
僕達は奴の策中にいる? それに、気がついていない!?
もし、そうだとするならば、奴は何を狙っている? 奴のプランが進行しているのなら、この状態を継続することがその目的に繋がっている事になる。
奴は何をしているか? こちらに有効なプレッシャーを与える攻撃は出来ていない。アインは奴の射撃を余裕で
奴は、徐々に距離を詰められながら、逃げている。こちらは、このままで狙い通りになる流れだから、これをわざわざ変えようとはしない。それを分かっていて、奴がそうしているのなら……その目的は、奴の逃げる先にあるのではないか?
……
逃げる先の目的に辿り着く時間を稼ぎ、そして、そこまで追わせる事。──またしても、誘い込まれている!?
『
アインも! やっぱり!
「
応答を返しながら、ナパームはメインモニターを
「
「
ナパームのコマンドに、マシンボイスが応答した。無数のオブジェクトが多重散在する、
「
「
汚濁の池が澄んでいく様に、エリアがすっきりとクリアーになっていく。
「
「
モニター映像に、G型視点で向かう先の立体ビューが展開する。幾つものポイントがスクエアされ、それが何であるかを拡大表示して見せた。
空間戦闘地形になりそうな大型デブリ類、何らかの機能を保持していそうな人工物体、待ち伏せかと疑いたくなる程、損傷軽微に見える廃棄された戦闘艦。次々と流れていくオブジェクトを静かに見つめていたナパームが、ふと視線を遠くに投げる様に動かした。そして、ハッと気がついたかの様に、その目が見開かれる。
……──まさか、ここが奴の目的地!?
それは最初から見えていた。視線の先に
宇宙に浮かぶ人類の第二の故郷。史上、最も巨大な人工建造物。スペースコロニーが、そこに在った。
・・・・・・・・
・・・・
────テキサス・コロニー
それは、旧世紀を代表するカルチャーの一つである、北米西部開拓時代をテーマとした観光コロニーである。建造に着手された後に途中放棄された解放型コロニーで、機能しないミラーの為に砂漠化が進み荒廃しているが、大気は十分な濃度で満たされていて、人の生存は可能である。
大戦下では、特に戦略的に価値がないという理由で、ジオン、連邦、双方から放置された自由コロニーとなっている。
このテキサス・コロニーがG型の目的地ではないかと言うナパームの報告を、アインは興味深く聴いていた。
『
「……
アインはチラリとフォーカスウィンドウの二頭立ての様子を見た。もんどり打っていたランダム回転は制御できた様だ。二頭立ては機能回復しつつある。
「──
『
アインは少し妙に感じた。二頭立てに向かうべきではないかと言いたいのだろうが、ナパームらしくない回りくどさだ。
「……
『
ナパームの了解が素直過ぎるような気がして、アインはチラリとナパームの
メガビームキャノンが無くとも、彼は重要な
8.67──異常はない。
ならばよい。頭の隅に、
・・・・・・・・
・・・・
「
電子音と共にマシンボイスがアナウンスした。クラウザーは、モニターに焦点している視線を少しだけ手前に寄せた。
メインモニターとシートの間の空間にホログラムされている
CPOは、メインモニターに細線の空間映像を
ドッキングベイ入港からコロニー内進入という転進に、どう敵を誘い持ち込むかを考えながらメインモニターを見つめていると、ふと、
……気が付いたか?
こちらを追い、距離を詰めてくる戦闘機動は変わってはいない。だが、ゴリゴリと押してくる様だった
……気付いたなら──どうする?
ここで、敵がこの誘いを嫌ってP004撃沈に反転するなら、今度は追いながらの攻めに移るつもりだ。無論、攻守が交代してもあの敵の回避運動を捉えられる訳では無い。これまで通り、撃墜は出来ないだろう。勝負は、敵がP004の対空射程に入る時に仕掛けるサーベルファイトだ。
もし、その時に敵がレールガンでのP004撃沈を狙うなら、撃墜は必至だ。サーベルファイトを回避運動で躱しきる事は出来ないからだ。
そしてもし、サーベルを抜き、クラウザーの仕掛けるサーベルファイトへの対応力を備えながら、斬撃でのP004轟沈を画するならば、今度は襲いくるP004の対空砲を捌くことが出来ない。敵はクラウザーと切り結ばなければならず、砲撃を躱す為の回避運動を阻害されるからだ。
これまでの攻防はP004回復の時間稼ぎになり、結果的にプランの成功率を上げている。クラウザーの用意したこの戦術へ、あの敵はどう反応するのか?
引き返す気は無い……か。
そして、どうやらテキサスへの誘いに乗ってくる気らしい。それなら──
……それで、いい。
テキサスでの戦闘に入るなら、P004は
G2と
クラウザーはフォーカスウィンドウの
クルーには、かなりの被害が出ているだろう。でも────無事を信じている。
クラウザーは、ひとつだけ深呼吸をした。もう彼等と二度とは会う事はないだろうからだ。
アームオンと会話した艦長室、不躾なウィルドと絡んだ第四デッキ、キレたコマンダーに驚嘆と敬意を覚えた潜航突入、MSチームへの仲間入りを感じさせられた乱痴気騒ぎの
「君達の名は消さない。俺の名も、置いていく」
クラウザーは短く、
・・・・・・・・
・・・・
『……
G型の姿がドッキングベイに消えると、アインの通信が入った。
「
ナパームは疎い記憶を探るように呟いた。
『
アインの魅惑的で揚々とした声に、凄みの深さが加わった。ナパームは知っている。彼は今、悦んでいる。こんなアインは永らく見ていない。
EVFFFの隊員も、隊長らしく悠然としたアインの姿しか、もう記憶に無いのではないか。それくらい長く見ていない。そう、こんなアインはブラックヴォルトに籠る前、以来だ。
昔の、暴風の様な、あのアインが見れるわけかな……
・・・・・・・・
・・・・
「レベル……
テキサス内部に進入したクラウザーは、ミノフスキー粒子濃度を示すインジケーターを見て、驚く様に呟いた。
ゲージは、
ミノフスキー干渉の実害が著しくなり、メガビームの減衰が大きく発生する濃度だ。ここはまだビームライフルが無力化する程の濃度ではないが、有効射程は大幅に減縮されて、威力を信じられるのは100km内程度の近接距離だけだろう。
コロニー内戦闘が想定されるから、最大射程は30kmもあれば十分になる。ので、それは問題では無いのだが──レベルDの最も大きな障害は、熱源感知の信頼性が失われる事だ。
つまり、目視に頼った
──追ってくる敵に、こちらは
円筒形のコロニー蓋の中心部、エントリーポートから内部空間を見回して、クラウザーは素早く思案を巡らせた。鋭い視線が天地で伸びる三面の大地を見比べる。と、一面の、ひらけた平野が目に止まった。クラウザーはG2のスロットルを開いた。
内部空間の中心ライン付近は、まだほぼ無重力だ。揚力が無くとも飛行できる。のだが、進み出した途端に、機体に強制姿勢制御を受ける様な抵抗を感じた。空気抵抗だ。──かなり、重い。 ……なるほど、これが──
──大気か。
これなら飛行体勢でのドッグファイトは避けた方がいいだろう。慣れた感覚と違いすぎて、回避運動が上手く働かない可能性が高い。それに、無重力レンジも狭そうだ。ちょっと跳べば直ぐに大地に牽引されるのだろう。戦闘空間にするには衝突リスクが大き過ぎる。
しばらく進んで、目をつけた大地の開けた平野の終焉部へ降下を始めると、すぐに重力加速度の歓迎を受けた。勝手に機体が加速して行き、みるみる大地が迫ってくるのだ。
なんて、狭いんだ──
息苦しい様な、焦りと圧迫を感じる。
コロニーの直径は6キロメートル以上だ。ポートから見渡した風景は広大な空間という感じだし、そこに居住する時の感覚の、不自由のなさはクラウザーもよく知っている。が、MSでの戦闘空間として行動した時、この狭さは何ともしがたい。戦闘機動する、というのは無理だと思う。
有重力下軟着陸は訓練以来だ。クラウザーは丁寧にプロセスを進めていった。
メインスラスターを逆噴射に使って、G2をタッチダウンさせる。平野の土質地面を衝撃吸収剤にして、地盤を抉りながら降下エネルギーを殺し、同時に膝を折り腰を落としながら、腕をバランサーにして着地衝撃を軟化させた。
左腕を失っているアンバランスと
直ぐに体に鈍い重さを自覚した。重力だ。自然と操縦感覚を気遣う様に掌を握って開いて、動きの滑らかさに抵抗がない事を確かめる。
2枚に、天地を逆さにして見上げる他二面の大地それぞれをフォーカスさせ、エントリーポートからの降下予測地点をマークする。残りの1枚を、G2が降りた地面への降下予測地点にフォーカスさせる。予想通り、開けた平野は視線を遮らず、樹木の間から覗いての狙撃が可能だ。これで、追ってきた奴が何処に降りようと、着地点を狙撃出来る。
ここまでを終えて、クラウザーはなんとなくの違和感をうっすら感じていた。
……なんだか、落ち着けない。
クラウザーは左手の小指でクロスを切った。
・・・・・・・・
・・・・
さて、待ち伏せている筈だが……
エントリーポートの出口が迫り、視界にコロニー内壁の大地が見え隠れしだす所まで進むと、アインは一壁面に機体を寄せた。一面の大地の視認面積が大きくなり、残りの二面の大地からは陰になる。
テキサスは荒野を造った観光コロニーだが、円筒の両端、エントリーポート付近の大地はお決まりの緑化仕様だ。ミラーの機能不全で砂漠化が進んでいるらしいが、まだ緑が結構残っている。
大分、黄色っぽいが……地面がよく見えるという程の禿げではないな。
細い水路が走っているのが見える。水も枯れてはいないらしい。アインは壁面に沿って移動した。次の大地を観察できる位置で止まる。そして、薄く笑いを浮かべた。
『
ナパームのナビケーションが聴こえた。
そう、居る。見下ろす大地の、平野から森林に変わる境界付近に、重量物に拠る落下痕が見える。
そこに降りて、先の森で身を潜め、三面降下の全域狙撃に準備している姿が、透けて見えるかの様だ。
狩りの本質は足跡痕跡の隠蔽偽装vs察知看破の戦いだ。空間戦闘では一目を置く鋭さを見せつける奴だったが、この手の戦いはどうも素人らしい。いかにも連邦の──
──量産型パイロットといった所だな。
視点を操作して、敵が潜むと予測するエリア一帯にアバウトな
「
──
至近距離級の連続着弾が、目標の大地を蒸発させた。
透明で高熱の空気の膨張が次々に沸き起こり、瞬時に粉砕され粉塵に姿を変えた樹木や構造物、そして土砂を焼き潰し、渦巻く津波に姿を変えて波紋状に拡走する。
一帯に局地的な地震が幾つも重なって発生して、無数の地割れが稲妻のように広がり、地響く怒号は数秒でエントリーポートに届いて機体を登り、コックピットを大きく揺らした。
……これは…………
アインの殺意に満ちていた瞳に
アインは殆ど無意識の動作でスロットルを開いていた。爆破で発生した強烈な風圧が到来し、熱波と灰燼が機体を嬲り抜ける鋭い濁音響が響く中──
夕暮れの空を一直線に切り裂く烈火一閃が、アップル1を襲い貫いた。
「うおおおお!!」
『ァ、アイン!!』
アインの怒号とナパームの悲鳴に、メガ粒子ビームが大気を焼き潰すスーパーソニック音が混合し、被弾を告げるアラートを完全に消音した。
メインモニターにスライドインしたグラフィックが
フルスロットル噴射とランダム旋回するバーニアの爆炎が轟音を上げ、至近を走る幾条ものビームライフル光にアップル1の機体が乱舞する。
回避を最優先する機動は、コロニー内の無重力空間の範囲をあっという間に外してしまい──そして重力の手招きに捕まると、回避運動に注力して逆噴射減速する余裕が取れない機体は、そのまま自由落下の加速度で地表へ引っ張り堕とされて行く。
『
アインは、激しい操縦に息を止め、蒼白に凍てついた表情のままに、迫る地表をチラ見した。
爆衝粉塵に歪み濁っていた空間が透明度を取り戻している。そこは、以前の風景が全く分からない程に変貌していた。直径数十メートルに窪む、多数のクレーターが黒煙を揺らがせ、その荒涼たる姿を晒している。
全力の
・・・・・・・・
・・・・
クレーターの縁部の陰に
その背景、数キロメートル先に、まだゆっくりと飛散していく破砕塵の広がりが見てとれる。凄まじい砲撃だった。大気・地面といった、物質に満ちた空間での
「
コンソールに二本のラインが表示された。起点は同じだがその後ズレていき、到着点は異なっている。片方、予定の軌道を示しているグリーンベクトルは
……やはり──
弾道が曲がっている。ビームライフルの弾道はレーザー級の直進軌道だ。こんな狂いはあり得ない。レベル
これ程の狂いが出るのか……
クラウザーの眉間が寄り、口元が苦く歪んだ。
────森林地帯に身を潜め、伏撃体制をとった時、クラウザーは何だかとても落ち着かなかった。
この戦法はセオリーの筈なのに、何か間違いはないか、戦術に致命的な欠陥がないかという考えが止まらなかった。しばし後、クラウザーは考えるのをやめた。そして、執った戦術を放棄した。意を決して、再び上空に飛んだのだ。
重力下での
しかし、今は違う、そうじゃない。論理思考だけで組み立てた戦術に頼ってはいけない。自分の知る、実績を積んできた、空間機動戦で闘えとハートが響く。クラウザーは、己の命をこれまで繋いできた、自身の直感を信じた。
上空、コロニー中心部の無重力地帯まで上がると、セオリーと思われる戦法を放棄した不安に
夕暮れの空、G2とエントリーポートを結ぶ視線上にはうっすらと雲が掛かっている。姿を隠す程では無いが、こちらを注視しなければ目に留まりにくいだろう。きっと奴は大地を見る筈だ。
そして──
──その時は直ぐに訪れた。エントリーポートの開口部奥に、
クラウザーに緊張が走った。
こんな動きをする敵に、その手の戦いを挑まなかったのは正解を当てたような気がした。すると──
探る様に慎重に動いていた
G2の体勢を崩す波状衝撃の
脳と心臓に、強制的に空気が入れ替えられる様な感覚が走り、クラウザーは嘆息した。身体細胞に軽い痺れの様な緊張の残留を感じるが、本来のコンバットパフォーマンスを取り戻せたと感じた。その時──
撃ったら即座に位置を変える、というセオリーを訓練された者の無意識的反射行動だった訳だが、今、その行動の恩恵は敵であるクラウザーに与えられた。この時を待ってキープしていた狙撃体勢が、一瞬で照準の決まりを告げた。
──もらった!!
戦慄の電流を背筋に感じながら、クラウザーは必殺の
ビーム発射の閃光が宇宙空間より眩しい。大気を焼き刻むスーパーソニック音が爆音の様に響きわたり、光の強さと相まって、とてつもなく強烈な砲撃を放ったかと錯覚させられる。
「
「なんだって!! クッソ!!!」
マシンボイスの淡々とした音声に、クラウザーは罵りを叫んだ。怒りとも苦しみともつかぬ形相に顔を歪めて、怒涛の連射を行った。
何としても、ここで決めたかった。クラウザーは意識していない、が、彼の直感が、生存を絶対要求するクラウザーの生来の闘争本能が、この戦いのこれ以上の進展を
中央エリアから外れ、重力に捕まり落下していくのもそのままに、クラウザーは撃墜の執念に全霊を傾けた。
回避に全力を尽くしていると思われる
遂に、撃墜する事は出来なかった。
ギリギリの着地に機体を痛め、最初の必殺の狙撃が敵を仕留め損ねた理由──レベルDのミノフスキー干渉によってビーム弾道の信頼性が失われている事を確認し終え、クラウザーは厳しい表情で、左手の小指でクロスを切った。
「
「
──近い! そんなに……
なるべく接近したくは無い。が、仕方ない。
「
G2が
クラウザーは有重力下での地上戦に不慣れだ。にも関わらず、コロニー内戦闘に誘導したのは、
────MS戦闘を左右する最重要機能は、機動性能だ。
これは、クラウザーの確信であり、実証だ。重ねた戦闘経験で何度も実感してきた統計学だ。
迅速で持続的な
あの
移動は全てジャンプ飛行に頼る事になり、
挙動も極めて限定的で、足捌きなどというものは不可能、体捌きも可動域の小さい非常に制限された次元でしか行えない。射角、攻撃範囲はとても狭い。
つまり、重力のあるコロニー内戦闘では、
クラウザーが地上戦に不慣れだというハンディを関係無くしてしまう程の、大きな優劣の差があると踏んだからだ。
そして今、
飛翔ー着地ー飛翔、というシークエンスでしか移動の出来ない
クラウザーは、ビームライフルの射線を上空50メートル付近に向けた。飛び上がりを察知してからの照準が決まるだろうあたりの高度だ。
ここまで、クラウザーは戦闘の
奴はもう
さあ──
来い。
時到来──クレーターから粉塵が舞い上がった。バイザー越しでもクラウザーの眼差しが真剣になるのが見て取れただろう。そして──
ボウッ! っと、暴風の様に巻き上がる粉塵を引き連れて
クラウザーはあらん限りの瞳を見開いていた。うっすら開いた唇は何も発声していない。しかし、悲鳴を上げていた。絶体絶命の声無き雄叫びだ。
反射反応の無意識が、経験のない状況で訓練した事のない行動を選んでいた。クラウザーは挙動スライダーをタッチした。
轟音を上げて迫る
斬撃ラインを
間髪も置かずに追走しようと姿勢を前屈した
距離を取った着地のままに、低い姿勢に構えたG2の隻腕は、
scene 040 Depart and Duel
Fin
and... to be continued