機動戦士ガンダム ゴーストクロニクル series000   作:GhostWrider.Jp

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scene 040 Depart and Duel

 

 

 

 

 敵機撃墜の電子音が聞こえた。

 前衛だったドム(バルク)を、誰かが墜としたらしい。

 

撃墜したのは誰だ(Who dropped the target?)?」

 

 クラウザーは対峙する後衛だったドム(バルク)への集中に気配りながら、ボイスコマンドした。

 

P004の対空砲です(P004's railgun took it down.)

 

 マシンボイスの返答に、クラウザーの表情が複雑に輝いた。

 母艦の貫通被弾警報(デンジャーベル)が鳴っていない事に加えて、対空砲が稼働している事も分かった。そしてフォーカスウィンドウには姿勢制御噴射(バーニア)らしき光がちらほら見える。少なくとも母艦(P004)は無力化してはいない。

 しかし、光学制圧支援は解除され、LiFAS(ライファス)の指揮も途絶えたままだ。対空砲が撃墜したのなら、主砲(メガ粒子砲)は沈黙している可能性が高い。あの絶対の狙撃手(プロシューターとラマン)の砲火を抜けて対空砲に墜とされるなんてあり得ない。

 

 そして──MS隊の壊滅は決定だ。分かってたけどな。

 

 彼等が一機でも残っているなら、敵機に無座(むざ)と抜かれて、あれよあれよと対空砲に迎撃される程までの突入など、許す筈が無い。コンソール情報を見に行けば、そこにもはっきり、全機の

Red Downed(レッドダウン)が表示されているだろう。

 クラウザーは敢えて、その情報を知ろうとしなかった。これは現実逃避的な心の弱さという訳では無い。

 人間はメンタルに大きく支配されている。と、クラウザーは思っている。戦闘行動でもそれは同じだ。なぜ絶対の冷静(アイスメナー)が重要なのかを考えれば明白だろうと思う。

 コンバットパフォーマンスを下げない為には、ネガティブな情報は、その受け入れ準備が完了してから受諾すべきなのだ。

 

 ……もう少し待って欲しかった気もするが……まずまず、許容できている、かな。よし──

 

 前衛だった方のドム(バルク)を排除したなら、母艦撃沈の危機は回避されたと言って良い。敵は自分の眼前のドム(バルク)だけだからだ。

 こいつは逃さない。自分が必ず仕留めて見せる。後は──ジェットやシュアル、他の生存が危ぶまれる者達については──

 

 生還を信じるだけだ。

 

 クラウザーは左手の小指でクロスを切った。

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 ナパームは、アインとG型の追いかけっこ(チェイス)を静かに観察していた。

 アインの操縦は変わっていない。最大回避強加速戦闘機動(ファルコンリード)による追跡を続けている。それによるG型との相対距離は、徐々に短くなっている。距離を詰めたいこちらとしては、現状継続で問題はない。

 G型も変化していない。ビームライフルを撃ちながら、出来る限りの後退加速を続けている。

 しかし、当初に比べれば近づかれる速度を鈍化させたとはいえ、徐々に短距離化していく流れを打破できてはいない。このままでは、いずれアインの思惑通りの戦闘距離に入られるだろう。

 奴はまだ、他に打つ手が無いだけなのかもしれない。でも──

 

 ……らしくないよ。

 

 先程は早々にFalcon(ファルコン) Lead(リード)のシークエンスを見極めて、対抗策を打ってきた。その前には、前衛機を無視して後衛のこちらに最速のアタックを仕掛けて見せた。そして、今、思い返せば、交戦の初めに二頭立ての両翼に展開していく二機のG型のうち、先にこいつを自分が撃ったのも、ただの偶然ではなかったのではないかと思えてくる。

 非常に高度で、しかし、踊る様に綺麗な最大回避運動(フル シャーク)に舞うこいつの姿に、まるで、撃たれる事は無いと思っている様な傲慢さを感じて、自然にターゲットに選んだように思う。──そう、こいつに誘われたのだ。

 

 いずれも、とても洞察的で即応的だ。上手いパイロットだと思う。戦上手と言ってもいい。

 そんな、こいつらしくない。もう随分と、時を無為に過ごしている様に思える。本当に手詰まっているのか? 策が尽きたのだろうか?

 

 どっちかって言うとさ、既に、次の策は始まっていた──とかの方が、らしいよね…………

 …………え?

 

 ナパームの胸中に疑惑が渦巻いた。そう、その方が自然だ。こいつらしい。ならば──

 

 僕達は奴の策中にいる? それに、気がついていない!?

 

 もし、そうだとするならば、奴は何を狙っている? 奴のプランが進行しているのなら、この状態を継続することがその目的に繋がっている事になる。

 奴は何をしているか? こちらに有効なプレッシャーを与える攻撃は出来ていない。アインは奴の射撃を余裕で()なしている。

 奴は、徐々に距離を詰められながら、逃げている。こちらは、このままで狙い通りになる流れだから、これをわざわざ変えようとはしない。それを分かっていて、奴がそうしているのなら……その目的は、奴の逃げる先にあるのではないか?

 ……Falcon(ファルコン) Lead(リード)への奴の対抗策──接近させない為だと言うには不十分な対応、その力不足な抵抗に思える対策の、本当の意味は──こちらが距離を詰めていく時間を、ひき伸ばす事──ゆっくりだが詰めていけるからと、こちらにこれを継続させる事…………

 逃げる先の目的に辿り着く時間を稼ぎ、そして、そこまで追わせる事。──またしても、誘い込まれている!?

 

ナップ(Nap,)奴の行先を探索しろ(Track his destination.)どうも(Looks like……)……誘われているかもしれん(We might be walking into a trap.)

 

 アインも! やっぱり!

 

了解(Roger that)! 任せて(Leave it to me)!」

 

 応答を返しながら、ナパームはメインモニターを戦闘空域マップ(コンバットグリッド)に切り替えた。画面の向こうに立体空域が広がる。

 

スケール(Scale,)無限大(infinite.)

 

了解(Acknowledged.)スケールを無限大に設定(Scaling to infinity.)視野内全セクター表示中(Infinite scale active……)……」

 

 ナパームのコマンドに、マシンボイスが応答した。無数のオブジェクトが多重散在する、

サイド5(ルウム)暗礁宙域が描かれていく。

 

フィルタリング開始(Begin filtering.)不要な残骸を省略しろ(Omit irrelevant debris.)

 

了解(Acknowledged.)不必要なオブジェクトをフィルタリング(Filtering irrelevant objects.)

 

 汚濁の池が澄んでいく様に、エリアがすっきりとクリアーになっていく。 

 

予測モード開始(Predictive mode.)敵の軌道上にある、可能性のある( highlight potential destinations)目的地を強調表示しろ( within enemy trajectory.)

 

予測モードを有効化(Predictive mode active.)可能性のある敵の目的地を強調表示(Highlighting potential enemy destinations.)

 

 モニター映像に、G型視点で向かう先の立体ビューが展開する。幾つものポイントがスクエアされ、それが何であるかを拡大表示して見せた。

 空間戦闘地形になりそうな大型デブリ類、何らかの機能を保持していそうな人工物体、待ち伏せかと疑いたくなる程、損傷軽微に見える廃棄された戦闘艦。次々と流れていくオブジェクトを静かに見つめていたナパームが、ふと視線を遠くに投げる様に動かした。そして、ハッと気がついたかの様に、その目が見開かれる。

 

 ……──まさか、ここが奴の目的地!?

 

 それは最初から見えていた。視線の先に背景(バックグラウンド)として大きく存在していた。その巨大さ故に、今まで見えていなかった(・・・・・・・・)のだ。

 宇宙に浮かぶ人類の第二の故郷。史上、最も巨大な人工建造物。スペースコロニーが、そこに在った。

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 ────テキサス・コロニー

 

 それは、旧世紀を代表するカルチャーの一つである、北米西部開拓時代をテーマとした観光コロニーである。建造に着手された後に途中放棄された解放型コロニーで、機能しないミラーの為に砂漠化が進み荒廃しているが、大気は十分な濃度で満たされていて、人の生存は可能である。

 大戦下では、特に戦略的に価値がないという理由で、ジオン、連邦、双方から放置された自由コロニーとなっている。

 

 このテキサス・コロニーがG型の目的地ではないかと言うナパームの報告を、アインは興味深く聴いていた。

 

でも(But)何の為にテキサスに誘い(his vector for drawing us)込もうとしてる( in Texas Colony…)のかは( remains)解らない( unknown.)

 

「……二頭立てを逃す為だな(That's to cover their carrier’s exfil)

 

 アインはチラリとフォーカスウィンドウの二頭立ての様子を見た。もんどり打っていたランダム回転は制御できた様だ。二頭立ては機能回復しつつある。

 

「──コロニー内戦闘に持ち込めば(By bringing the fight inside the colony,)空気や生存設備があるからな(the life support systems ensure that even ……)……

 母艦が逃げても(if their carrier retreats,)搭載機は漂流死の確定ではなくなる(the deployed units won't face drift death in space.)だから、母艦は安心して離脱できる(Their carrier can safely make the exfil)

 あとは勝てばいいだけだ(All that's left is to secure victory.)

 

なるほどね(Copy that…)……あのG型の思惑通りになるのは(but letting that G-type execute his playbook?)──面白くないよね(Not exactly my idea of fun.)

 

 アインは少し妙に感じた。二頭立てに向かうべきではないかと言いたいのだろうが、ナパームらしくない回りくどさだ。

 

「……そうでもない(Negative.)おそらく(Most likely)──奴は、少し思い違いをしている(he’s operating under a false assumption)いずれにしても(Regardless,)奴の処理が先決である事は変わらん(neutralizing him remains the priority.)誘われてやろうではないか(Let's accept his bait.)

 

わかったよ(Roger that,)アイン(Ein.)

 

 ナパームの了解が素直過ぎるような気がして、アインはチラリとナパームのCombatVibe(コンバットヴァイブ)をチェックした。

 メガビームキャノンが無くとも、彼は重要な戦闘補佐(CIオペレーター)だ。そのパフォーマンスの低下は戦闘力に直結する。

 

 8.67──異常はない。

 

 ならばよい。頭の隅に、あの女(ヴェル・ヴェイル)を気にしての事だろうかという考えが浮かんだが、アインはそれを忘れる事にした。

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

ドッキングベイへの(Entering approach vector)アプローチコースに入ります( for Texas Colony’s docking bay.)減速準備をしてください(Prepare for deceleration.)

 

 電子音と共にマシンボイスがアナウンスした。クラウザーは、モニターに焦点している視線を少しだけ手前に寄せた。

 メインモニターとシートの間の空間にホログラムされているCPO(コンバット・パス・オーバーレイ)にピントが合うと、G型がテキサスに入港する為の減速地点に接近している様子が見て取れる。

 CPOは、メインモニターに細線の空間映像を重ねて表示(オーバーレイ)させる事により、見ようと思わなければ視界の邪魔にならない。戦闘操作にハンディ無くルートを把握できる3Dシースルーマップだ。

 ドッキングベイ入港からコロニー内進入という転進に、どう敵を誘い持ち込むかを考えながらメインモニターを見つめていると、ふと、ドム(バルク)の迫り方が緩んだ様な気がした。

 

 ……気が付いたか?

 

 こちらを追い、距離を詰めてくる戦闘機動は変わってはいない。だが、ゴリゴリと押してくる様だった圧力(プレッシャー)が薄まって感じられる。

 

 ……気付いたなら──どうする?

 

 ここで、敵がこの誘いを嫌ってP004撃沈に反転するなら、今度は追いながらの攻めに移るつもりだ。無論、攻守が交代してもあの敵の回避運動を捉えられる訳では無い。これまで通り、撃墜は出来ないだろう。勝負は、敵がP004の対空射程に入る時に仕掛けるサーベルファイトだ。

 もし、その時に敵がレールガンでのP004撃沈を狙うなら、撃墜は必至だ。サーベルファイトを回避運動で躱しきる事は出来ないからだ。

 そしてもし、サーベルを抜き、クラウザーの仕掛けるサーベルファイトへの対応力を備えながら、斬撃でのP004轟沈を画するならば、今度は襲いくるP004の対空砲を捌くことが出来ない。敵はクラウザーと切り結ばなければならず、砲撃を躱す為の回避運動を阻害されるからだ。

 これまでの攻防はP004回復の時間稼ぎになり、結果的にプランの成功率を上げている。クラウザーの用意したこの戦術へ、あの敵はどう反応するのか?

 

 引き返す気は無い……か。

 

 ドム(バルク)に反転の様子は無い。やはり、詰め筋(チェックメイト・シークエンス)を分かっている。勝利への手順を見失わない敵だ。

 そして、どうやらテキサスへの誘いに乗ってくる気らしい。それなら──

 

 ……それで、いい。

 

 テキサスでの戦闘に入るなら、P004はG2(クラウザー)の回収を負わなくて良い。テキサスには人が生身で生存できる環境が機能しているからだ。

 G2とドム(バルク)の戦闘とその結末に関係なく、母艦は先に離脱する事が出来る。アームオン艦長なら、決断を躊躇わないだろう。これが、クラウザーのプランBだ。

 クラウザーはフォーカスウィンドウの母艦(P004)に視線を向けた。回転制御は上手く完了している。危機は乗り切ったようだ。

 クルーには、かなりの被害が出ているだろう。でも────無事を信じている。

 クラウザーは、ひとつだけ深呼吸をした。もう彼等と二度とは会う事はないだろうからだ。

 アームオンと会話した艦長室、不躾なウィルドと絡んだ第四デッキ、キレたコマンダーに驚嘆と敬意を覚えた潜航突入、MSチームへの仲間入りを感じさせられた乱痴気騒ぎの待機(レディ)ルーム、そして、甘い記憶が漂う展望デッキの一部屋、ほんの短い間の光景が、ひとつ呼吸の間に()ぎった。

 

「君達の名は消さない。俺の名も、置いていく」

 

 クラウザーは短く、別離(敬礼)を、投げた。

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

『……やはり(……It seems)手袋を投げつけたようだな(he's thrown down the gauntlet after all.)

 

 G型の姿がドッキングベイに消えると、アインの通信が入った。

 

手袋(Gauntlet)? ……ああ(Oh right)昔の1対1戦闘のやつだっけ(the old one-on-one combat thing, right?)

 

 ナパームは疎い記憶を探るように呟いた。

 

決闘だ(Duel)古来(In ancient times)戦士はその鎧の手甲を投げつけることで(warriors would throw their gauntlets)その意志を示した(to show their intent)

 勝った者が全てを得る(The victor claims all)勝った者が全て正しい(The victor is always right)口上は無用(No words needed)金も権力も役にたたぬ(Neither wealth nor power matter)

絶対的な暴力の裁きよ(This is the judgment of pure force)

 

 アインの魅惑的で揚々とした声に、凄みの深さが加わった。ナパームは知っている。彼は今、悦んでいる。こんなアインは永らく見ていない。

 EVFFFの隊員も、隊長らしく悠然としたアインの姿しか、もう記憶に無いのではないか。それくらい長く見ていない。そう、こんなアインはブラックヴォルトに籠る前、以来だ。

 

 昔の、暴風の様な、あのアインが見れるわけかな……

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

「レベル……Degraded(デグレード)

 

 テキサス内部に進入したクラウザーは、ミノフスキー粒子濃度を示すインジケーターを見て、驚く様に呟いた。

 ゲージは、戦闘濃度散布(Combat-Grade)『C』を過ぎて、特別濃度散布(Degraded-Grade)『D』のエリアに入っている。これはとても濃い。

 ミノフスキー干渉の実害が著しくなり、メガビームの減衰が大きく発生する濃度だ。ここはまだビームライフルが無力化する程の濃度ではないが、有効射程は大幅に減縮されて、威力を信じられるのは100km内程度の近接距離だけだろう。

 コロニー内戦闘が想定されるから、最大射程は30kmもあれば十分になる。ので、それは問題では無いのだが──レベルDの最も大きな障害は、熱源感知の信頼性が失われる事だ。

 つまり、目視に頼った街区戦(MOUT)を覚悟しなければならない。クラウザーには馴染みの薄い戦い方だ。だが、それならば──

 

 ──追ってくる敵に、こちらは待ち伏せての先制攻撃(アンブッシュ・ファーストアタック)を選べる。

 

 円筒形のコロニー蓋の中心部、エントリーポートから内部空間を見回して、クラウザーは素早く思案を巡らせた。鋭い視線が天地で伸びる三面の大地を見比べる。と、一面の、ひらけた平野が目に止まった。クラウザーはG2のスロットルを開いた。

 内部空間の中心ライン付近は、まだほぼ無重力だ。揚力が無くとも飛行できる。のだが、進み出した途端に、機体に強制姿勢制御を受ける様な抵抗を感じた。空気抵抗だ。──かなり、重い。 ……なるほど、これが──

 

 ──大気か。

 

 これなら飛行体勢でのドッグファイトは避けた方がいいだろう。慣れた感覚と違いすぎて、回避運動が上手く働かない可能性が高い。それに、無重力レンジも狭そうだ。ちょっと跳べば直ぐに大地に牽引されるのだろう。戦闘空間にするには衝突リスクが大き過ぎる。

 しばらく進んで、目をつけた大地の開けた平野の終焉部へ降下を始めると、すぐに重力加速度の歓迎を受けた。勝手に機体が加速して行き、みるみる大地が迫ってくるのだ。

 

 なんて、狭いんだ──

 

 息苦しい様な、焦りと圧迫を感じる。

 コロニーの直径は6キロメートル以上だ。ポートから見渡した風景は広大な空間という感じだし、そこに居住する時の感覚の、不自由のなさはクラウザーもよく知っている。が、MSでの戦闘空間として行動した時、この狭さは何ともしがたい。戦闘機動する、というのは無理だと思う。

 

 有重力下軟着陸は訓練以来だ。クラウザーは丁寧にプロセスを進めていった。

 メインスラスターを逆噴射に使って、G2をタッチダウンさせる。平野の土質地面を衝撃吸収剤にして、地盤を抉りながら降下エネルギーを殺し、同時に膝を折り腰を落としながら、腕をバランサーにして着地衝撃を軟化させた。

 左腕を失っているアンバランスと安定不足(バランサーショートフォール)で グラつく機体を、うまく収めて静止質量に安定させると、小さく息を()いた。

 直ぐに体に鈍い重さを自覚した。重力だ。自然と操縦感覚を気遣う様に掌を握って開いて、動きの滑らかさに抵抗がない事を確かめる。

 

 歩行駆動(ストライド・ドライブ)を起動して、眼前の遮蔽地帯(カモフラージュエリア)、平野終端の先に続く森林に踏み入った。樹木の背丈を越えない様に膝立射撃姿勢(ニーリング・ポジション)に構えると、メインモニターにシューティングウィンドウを3枚開いた。

 2枚に、天地を逆さにして見上げる他二面の大地それぞれをフォーカスさせ、エントリーポートからの降下予測地点をマークする。残りの1枚を、G2が降りた地面への降下予測地点にフォーカスさせる。予想通り、開けた平野は視線を遮らず、樹木の間から覗いての狙撃が可能だ。これで、追ってきた奴が何処に降りようと、着地点を狙撃出来る。

 ここまでを終えて、クラウザーはなんとなくの違和感をうっすら感じていた。

 

 ……なんだか、落ち着けない。

 

 クラウザーは左手の小指でクロスを切った。

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 さて、待ち伏せている筈だが……

 

 エントリーポートの出口が迫り、視界にコロニー内壁の大地が見え隠れしだす所まで進むと、アインは一壁面に機体を寄せた。一面の大地の視認面積が大きくなり、残りの二面の大地からは陰になる。

 テキサスは荒野を造った観光コロニーだが、円筒の両端、エントリーポート付近の大地はお決まりの緑化仕様だ。ミラーの機能不全で砂漠化が進んでいるらしいが、まだ緑が結構残っている。

 

 大分、黄色っぽいが……地面がよく見えるという程の禿げではないな。

 

 細い水路が走っているのが見える。水も枯れてはいないらしい。アインは壁面に沿って移動した。次の大地を観察できる位置で止まる。そして、薄く笑いを浮かべた。

 

アイン(Ein,)居るよ(The enemy's dug in over there.)良い狩りを(Happy hunting.)

 

 ナパームのナビケーションが聴こえた。

 そう、居る。見下ろす大地の、平野から森林に変わる境界付近に、重量物に拠る落下痕が見える。

 そこに降りて、先の森で身を潜め、三面降下の全域狙撃に準備している姿が、透けて見えるかの様だ。

 狩りの本質は足跡痕跡の隠蔽偽装vs察知看破の戦いだ。空間戦闘では一目を置く鋭さを見せつける奴だったが、この手の戦いはどうも素人らしい。いかにも連邦の──

 

 ──量産型パイロットといった所だな。

 

 視点を操作して、敵が潜むと予測するエリア一帯にアバウトな射撃照準(ファイアリングポイント)を次々に打点(マーキング)していく。アインの双眸が殺気を帯びた。

 

良い狩りを(Happy hunting.)味わえ(Savor it, you bastards.)……

──爆音注意( B l a s t )!!」

 

 第二火器(レールガン)が空間を爆破した。秒速10,000メーター( マッハ30ニア )弾丸(プロジェクタイル)の連射が大気を爆裂させ、その凄まじい衝撃波が連続して空気を潰して可視光空間を歪ませる。大爆発のオーケストラが炸裂したような恐ろしい爆音が周囲を支配した。同時に──

 至近距離級の連続着弾が、目標の大地を蒸発させた。

 透明で高熱の空気の膨張が次々に沸き起こり、瞬時に粉砕され粉塵に姿を変えた樹木や構造物、そして土砂を焼き潰し、渦巻く津波に姿を変えて波紋状に拡走する。

 一帯に局地的な地震が幾つも重なって発生して、無数の地割れが稲妻のように広がり、地響く怒号は数秒でエントリーポートに届いて機体を登り、コックピットを大きく揺らした。

 

 ……これは…………

 

 アインの殺意に満ちていた瞳に(かげ)りが宿った。──核誘爆が無い。奴を仕留めたなら、もうとっくに起こっている。この密度の爆撃で無傷はあり得ない。機体へのダメージに留まっているだけなのか──それとも…………

 アインは殆ど無意識の動作でスロットルを開いていた。爆破で発生した強烈な風圧が到来し、熱波と灰燼が機体を嬲り抜ける鋭い濁音響が響く中──

 夕暮れの空を一直線に切り裂く烈火一閃が、アップル1を襲い貫いた。

 

「うおおおお!!」

 

『ァ、アイン!!』

 

 アインの怒号とナパームの悲鳴に、メガ粒子ビームが大気を焼き潰すスーパーソニック音が混合し、被弾を告げるアラートを完全に消音した。

 メインモニターにスライドインしたグラフィックが第二火器(レールガン)のロストを示したが、アインはそれを視界に映しているだけで見ていない。見ていられないのだ。損害報告(ステータス)は一瞬で役目を終えてフレームアウトするのだが、その間すら、長く邪魔だ。連続速射を続けるビームの発射点を凝視して、必死の最大回避運動(フル シャーク)に両腕が軋む。

 フルスロットル噴射とランダム旋回するバーニアの爆炎が轟音を上げ、至近を走る幾条ものビームライフル光にアップル1の機体が乱舞する。

 回避を最優先する機動は、コロニー内の無重力空間の範囲をあっという間に外してしまい──そして重力の手招きに捕まると、回避運動に注力して逆噴射減速する余裕が取れない機体は、そのまま自由落下の加速度で地表へ引っ張り堕とされて行く。

 

アイン(Terrain!)! ぶつかる(Terrain!)!』

 

 アインは、激しい操縦に息を止め、蒼白に凍てついた表情のままに、迫る地表をチラ見した。

 爆衝粉塵に歪み濁っていた空間が透明度を取り戻している。そこは、以前の風景が全く分からない程に変貌していた。直径数十メートルに窪む、多数のクレーターが黒煙を揺らがせ、その荒涼たる姿を晒している。

 G型(ヤツ)は、ここで決着とばかりに必殺の連撃の手を緩めない。それに全力投球している所為だろう、ビームを撃ってくる奴の位置も、こちらと同じく大地に落下移動している。……ならば──

 全力の最大回避運動(フル シャーク)を刻みながら、アップル1は自身の砲撃で抉り取った、その最も大きなクレーターに落下して行った。

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 クレーターの縁部の陰にドム(バルク)の姿が消えると同時に、クラウザーはG2を緊急着陸(フォースドランディング)させた。コンソールに、着地衝撃による稼働部各所へのダメージが即座に多数、レポートされる。一瞬だけその文字列を見て、深刻破損の赤表記(レッドライン)が混じっていない事だけ確認すると、視線を敵の消えたクレーターに戻す。

 その背景、数キロメートル先に、まだゆっくりと飛散していく破砕塵の広がりが見てとれる。凄まじい砲撃だった。大気・地面といった、物質に満ちた空間での宇宙空間用実弾兵器( マッハ30ニアレールガン )の使用がどれほど壮絶であるかの実体験だ。冷や汗がまだ(にじ)む。

 立射姿勢(スタンディング・ポジション)に構え、ドム(バルク)が何処から飛び上がって来ても迎撃できる様にシューティングレンジを取りながら、クラウザーは先の狙撃のレポートを呼び出した。

 

照準してた(Display the deviation )予定の射撃軌道と(between the intended firing trajectory)実際の軌道の(based on aiming points )誤差を見せてくれ(and the actual path followed.)

 

 コンソールに二本のラインが表示された。起点は同じだがその後ズレていき、到着点は異なっている。片方、予定の軌道を示しているグリーンベクトルは標的(ドム)のアイコンを射抜いている。これは撃墜していた事を告げている。片や実際の軌道を示すレッドベクトルはレールガンをデフォルメしたアイコンをクラッシュさせている。事実の結果だ。

 

 ……やはり──

 

 弾道が曲がっている。ビームライフルの弾道はレーザー級の直進軌道だ。こんな狂いはあり得ない。レベルD(デグレード)のミノフスキー干渉に拠るものだろう。

 

 これ程の狂いが出るのか……

 

 クラウザーの眉間が寄り、口元が苦く歪んだ。

 

 ────森林地帯に身を潜め、伏撃体制をとった時、クラウザーは何だかとても落ち着かなかった。

 

 この戦法はセオリーの筈なのに、何か間違いはないか、戦術に致命的な欠陥がないかという考えが止まらなかった。しばし後、クラウザーは考えるのをやめた。そして、執った戦術を放棄した。意を決して、再び上空に飛んだのだ。

 

 重力下でのMS(モビルスーツ・)近接地形作戦(クローズ・テレイン・オペレーションズ)などというものの経験は皆無だ。そういう慣れぬものに果敢に挑む事こそが勝利への最適解である場合も多々ある、というのも知っている。

 しかし、今は違う、そうじゃない。論理思考だけで組み立てた戦術に頼ってはいけない。自分の知る、実績を積んできた、空間機動戦で闘えとハートが響く。クラウザーは、己の命をこれまで繋いできた、自身の直感を信じた。

 

 上空、コロニー中心部の無重力地帯まで上がると、セオリーと思われる戦法を放棄した不安に(さいな)まれる思考に反して、心は安定するのを感じた。最初に無いと判断した空戦に戻ったにも関わらず、落ち着いている。大袈裟だが、これで負けるなら後悔はない、とさえ思える。

 夕暮れの空、G2とエントリーポートを結ぶ視線上にはうっすらと雲が掛かっている。姿を隠す程では無いが、こちらを注視しなければ目に留まりにくいだろう。きっと奴は大地を見る筈だ。

 そして──

 

 ──その時は直ぐに訪れた。エントリーポートの開口部奥に、HMS(重モビルスーツ)の巨躯の影が見え隠れしたのだ。

 クラウザーに緊張が走った。(はや)る気持ちを抑えて、よく狙う。──動きが巧者だ。狙い(にく)い。慎重で隙のない位置取りで動いている。エントリーポートから出てくれないと必中の狙撃は出来なさそうだ。

 こんな動きをする敵に、その手の戦いを挑まなかったのは正解を当てたような気がした。すると──

 

 探る様に慎重に動いていたドム(バルク)が、いきなり大胆な動作でレールガンを振り向けた。クラウザーがさっきまで隠れていた大地面にだ。

 ドム(バルク)の姿が空間湾曲したかの様に歪んだ。凄まじい衝撃波と轟音がG2を襲い、狙われた大地に連続爆破が湧き上がった。初めて体験する物質空間(大気と大地の世界)での強烈な知覚される破壊の衝撃(エフェクト)と、もし彼処(あそこ)にあのまま隠れていたら──という思いに、クラウザーは激しい恐慌を感じた。

 G2の体勢を崩す波状衝撃の撞過(どうか)を制し、シュリーレン現象に歪む敵影に狙撃を狂わせまいと照準をキープしながら、左手の小指でクロスを切った。不覚にも動揺してしまった自分に、早急に絶対の冷静(アイスメナー)を取り戻す為だ。

 脳と心臓に、強制的に空気が入れ替えられる様な感覚が走り、クラウザーは嘆息した。身体細胞に軽い痺れの様な緊張の残留を感じるが、本来のコンバットパフォーマンスを取り戻せたと感じた。その時──

 

 標的(バルク)がエントリーポートから飛び出した。

 撃ったら即座に位置を変える、というセオリーを訓練された者の無意識的反射行動だった訳だが、今、その行動の恩恵は敵であるクラウザーに与えられた。この時を待ってキープしていた狙撃体勢が、一瞬で照準の決まりを告げた。

 

 ──もらった!!

 

 戦慄の電流を背筋に感じながら、クラウザーは必殺のビームライフル射撃動作(クラッチング)に指を震わせた。

 ビーム発射の閃光が宇宙空間より眩しい。大気を焼き刻むスーパーソニック音が爆音の様に響きわたり、光の強さと相まって、とてつもなく強烈な砲撃を放ったかと錯覚させられる。

 

DAMAGE(ダメージ)

 

「なんだって!! クッソ!!!」

 

 マシンボイスの淡々とした音声に、クラウザーは罵りを叫んだ。怒りとも苦しみともつかぬ形相に顔を歪めて、怒涛の連射を行った。

 何としても、ここで決めたかった。クラウザーは意識していない、が、彼の直感が、生存を絶対要求するクラウザーの生来の闘争本能が、この戦いのこれ以上の進展を(こば)んでいた。ここで終わりにしなければ、その先に薄望の窮迫(ヤバい展開)を予感しているのだ。

 中央エリアから外れ、重力に捕まり落下していくのもそのままに、クラウザーは撃墜の執念に全霊を傾けた。

 回避に全力を尽くしていると思われる標的(バルク)が、同じく自由落下していった果てに、盛り上がったクレーターの縁部の陰に姿を隠すまで、クラウザーは撃ち続けた。だが──

 

 遂に、撃墜する事は出来なかった。

 ギリギリの着地に機体を痛め、最初の必殺の狙撃が敵を仕留め損ねた理由──レベルDのミノフスキー干渉によってビーム弾道の信頼性が失われている事を確認し終え、クラウザーは厳しい表情で、左手の小指でクロスを切った。

 

この着弾誤差でも(With this impact deviation,)標的に重度損害を与えられる( what is the maximum range at which I can achieve a)グルーピングを( grouping capable of inflicting)得られる射程は( critical damage on the target?)?」

 

944メートル(944 meters.)有効射程(Confirmed)確認(range.)

 

 ──近い! そんなに……

 

 なるべく接近したくは無い。が、仕方ない。

 

見ているクレーターの(Mark the crater's edge I'm observing.)縁部でその距離になる様、( Engage Auto Stride Drive and stop at that)接近しろ( marked distance.)

 

 G2が自動走行(オート・ストライド・ドライブ)を始めた。クラウザーはクレーターから飛び上がってくる筈の敵への臨機狙撃に集中する。

 クラウザーは有重力下での地上戦に不慣れだ。にも関わらず、コロニー内戦闘に誘導したのは、母艦(P004)の離脱の為だけという訳ではない。クラウザーなりの勝機を見込んでの事だ。

 

 ────MS戦闘を左右する最重要機能は、機動性能だ。

 

 これは、クラウザーの確信であり、実証だ。重ねた戦闘経験で何度も実感してきた統計学だ。

 迅速で持続的なMobility(機動的移動力)と鋭敏で安定したAgility(機動的運動力)を、高いレベルでバランスよく発揮できる能力こそが勝利を決定すると信じている。

 

 あのドム(バルク)の機体形状──肥満形のボディと、何といっても異常にでかい下脚部。あれでは碌に動けない。自重の掛かる環境では、走行は疎か満足な歩行すらままならないだろう。

 移動は全てジャンプ飛行に頼る事になり、次行ベクトル(どの方向に動くか)はとても分かりやすい。

 挙動も極めて限定的で、足捌きなどというものは不可能、体捌きも可動域の小さい非常に制限された次元でしか行えない。射角、攻撃範囲はとても狭い。

 

 つまり、重力のあるコロニー内戦闘では、ドム(バルク)は極めて不遇な機動性能しか持ち得ず、MS最上級のスマートさとシャープな駆動を可能とする機体形状を持つG型とは比較にならない。

 クラウザーが地上戦に不慣れだというハンディを関係無くしてしまう程の、大きな優劣の差があると踏んだからだ。

 

 そして今、ドム(バルク)は巨大なすり鉢(クレーター)の底にいる。内部壁面は着弾衝撃に粉砕された柔らかな土砂だ。荷重が掛かれば蟻地獄の様に崩れて歩行等では登れない。更に柔らかく粉塵化していて、スラスターの噴射を受ければ即座にもうもうと舞い上がり、飛ぶと教えて(テレフォンコールして)くれる。

 飛翔ー着地ー飛翔、というシークエンスでしか移動の出来ない太っちょ(バルク)は、空中が最も挙動しやすいから、必然的に滞空時間が長めになるロングジャンプをしがちになる。それは飛び上がって行く標的の照準のしやすさに繋がる。

 

 クラウザーは、ビームライフルの射線を上空50メートル付近に向けた。飛び上がりを察知してからの照準が決まるだろうあたりの高度だ。

 ここまで、クラウザーは戦闘の主導権(イニシアティブ)を獲り続けて来たと言って良い。その功が、敵の火器を全て奪うという展開を引き寄せた。

 奴はもう接近格闘戦(サーベルファイト)をするしかない。ここから先は、G2が地上にいる限り、ドム(バルク)もそれに付き合うしかない。上空に構えても的になるだけだからだ。

 さあ──

 

 来い。

 

 時到来──クレーターから粉塵が舞い上がった。バイザー越しでもクラウザーの眼差しが真剣になるのが見て取れただろう。そして──

 ボウッ! っと、暴風の様に巻き上がる粉塵を引き連れてドム(バルク)の姿が視界に現れた。クラウザーは出て来た勢いの方向の先に、そのまま視点を飛ばした。

 標的(バルク)が視界を上ってクラウザーの見つめる焦点へ──放物線飛翔(ジャンプ)の減速をしながら待ち構える照準点へ入り、頂点での一旦停止となったタイミングで撃墜する。筈だったのだが──

 ドム(バルク)は飛ばなかった。クレーター縁部をなぞる様に乗り越えると、そのまま滑走した(・・・・)。しかも、凄いスピードだ。それこそ飛ぶ様だ。

 

 クラウザーはあらん限りの瞳を見開いていた。うっすら開いた唇は何も発声していない。しかし、悲鳴を上げていた。絶体絶命の声無き雄叫びだ。

 反射反応の無意識が、経験のない状況で訓練した事のない行動を選んでいた。クラウザーは挙動スライダーをタッチした。

 

 轟音を上げて迫るドム(バルク)が、暴走する竜巻の如く900メートルの距離を数秒で走破した。二刃の灼熱の刀身(ヒートサーベル)が、回避不能の変則十字の軌跡に砂煙を切り裂きG2を襲う。のに、合わせた第三の灼熱の刀身(ヒートサーベル)が、二刀のサーベルの交点を叩き殴る様に振り下ろされた。

 斬撃ラインを寸断(ショート)させられた二刀が大地を割り裂き焦がし、噴煙を噴き上げると、同じく全力で後退飛翔したG2の噴射爆炎が、大地に反射して噴煙を巻き飛ばした。

 間髪も置かずに追走しようと姿勢を前屈したドム(バルク)の眼前に、タイミングよく質量物が落下して、その挙動を止めさせた。G2の投げ捨てたビームライフルだった。

 

 距離を取った着地のままに、低い姿勢に構えたG2の隻腕は、灼熱の刀身(ヒートサーベル)に持ち替えられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

scene 040 Depart and Duel

 

Fin

 

and... to be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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