オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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黒ローブの冒険者依頼

 怪物の行進。地を埋め尽くす大群。

 小さなうめき声すら重なり龍の咆哮すら超え大気を揺らす。

 絶望の川とでも呼称しようか。飲み込まれれば引き裂かれ、食い千切られる。

 この階層を探索しなれた冒険者でも………いいや、取り繕わなければこの階層に探索しなれる程度の冒険者だからこそ、この絶望には抗えない。それこそ、深層に到れる力がなければ。

 

「う、うわあああ! た、助けてくれええ!!」

 

 モンスターの口からぶら下がるように咥えられた冒険者。その両足はモンスターの牙が突き刺さっている。口を閉じれば、彼の両足は永遠になくなるだろう。

 

「いやだ、いやだああああ!!」

 

 悲劇、惨劇。

 ダンジョン内で有り触れた光景。抗えぬ者はただただ躯を晒すのみ。

 故に──

 

「不快な光景だ。『悪夢』を思い出す」

 

 抗える者は、そんな惨劇を許さない。

 モンスターの首が飛ぶ。地面に落ちた男を慌てて仲間が回収する。

 そして見た。怪物の群を、絶望の光景を前に立つ男の姿を。

 そう、悲劇も惨劇も終わりを告げた。

 眼の前のこの男こそ【大神(ゼウス)】と【女神(ヘラ)】の消えた時代に於いて、その2派閥以外で初となるLv.8へと至った最強の冒険者。

 

ヴァルド・クリストフ

 

 世界に広まっていた雷名()は更に強き輝きを放ち、下界の民に彼ならばと再び希望を灯した光の化身。

 剣の一振りが3桁のモンスターを灰へと還す。恐れ慄くモンスター達は後続に邪魔され逃げること敵わぬ………否、否、否。眼の前の男はたとえ逃走しようと逃さず殺す。そう思わせるだけの存在感。

 これより始まるは英雄譚。観客は力無き冒険者。

 だが()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「お、遅えんだよ!」

「お、おい!?」

 

 今まさに食われかけ、助けられた男がヴァルドに叫ぶ。その目に浮かぶは怒りではなく、羨望と嫉妬。

 

「都市最強だのLv.8だの偉そうな肩書ばかりで、肝心な時クソの役にも立たねえ! それが解ってんのかよ!?」

「お、おいやめろって!」

「っ…………そうだ」

 

 仲間が慌てて止めようとするが、その声に同意する別の声が上がる。

 

「てめーが地上でのんびりしてっからこんな事になったんだ!」

「責任取れ責任!!」

「俺達ばっかり苦しい思いをさせやがって!!」

「とっととなんとかしろよ!」

 

 自ら地の底に飛び込み、誰かの助けを期待し、助けがなければ力持つ者に喚き散らす冒険者。それを見てヴァルドは………

 

「言われるまでもない。所詮この身に背負えるものなど知れている。ならば取りこぼさぬために走り回るしかないだろう」

 

 彼等の罵倒を受け入れる。むしろ、だからこそ彼等はより惨めな気分になった………己がいかに惨めか理解してしまった冒険者達は目を逸らすために再び口を開こうとして………

 

「これ以上怪物共に()()()()を傷つけさせない。今から出来るのはそれぐらいだろう」

 

 その言葉に、吐き掛けた声が詰まる。

 

「ただ、一つ問おう。お前は守られるべき『民』か、怪物と戦う『冒険者』か? 俺は()()()として扱えばいい」

「っ!!」

 

 そうとも、()()()()。ヴァルド・クリストフは己が英雄などと、力無き冒険者を守れる存在などと認めない。故に問う、力を貸す気はあるか、と。そう回りくどく助力を求める。

 

「……………っ! お前が、お前みたいのがいるから!」

 

 ヴァルドが徐に投げ渡したポーション。それにより得た選択肢は2つ。走って逃げるか、立って挑むか。

 後続のモンスター達は直ぐにでも焼け焦げた同胞の死体を乗り越えやってくるだろう。

 

「お前みたいのがいるから、夢を見ちまうんだよ!!」

 

 力、金、女。

 何もかも手に入れられるのではないかと思える栄光。オラリオにて生まれる数多くの冒険者が胸に宿す原初の夢。

 それはモンスターに怯え、その恐怖を隠すために誰かに責任を押し付ける者には叶えられぬ夢。言われなくとも、子供だって解る簡単な事実。

 

「立てるな」

「ああ」

「戦えるな」

「ああ!」

「ならばついてこい」

「「「おおおおおおお!!」」」

 

 冒険者の集団とモンスターの群がぶつかる。哀しいかな、その冒険者の殆どは歴史に埋もれ名も残らぬであろう。だが、それでも……彼等は英雄を目指し、走り出した。それだけは誰にも否定できない事実だ。

 

 

 

 

 

 

「以上が24階層の出来事だ。その後、敏捷(あし)に自信がある者達と発生源を探し、北の食料庫(パントリー)で例の緑肉を見つけた。30階層と同じだ。俺が片付けてもいいが、どうする?」

 

 24階層と23階層をつなぐ連絡口に陣取ったヴァルドは水晶に向かって話しかける。

 

『それが一番効率的なのだろうが、今丁度【剣姫】がダンジョンに居てね。彼女に依頼しようと思うのだが』

「『宝玉』とアイズの関係を確かめるためか? 精霊繋がりだと思うがな」

『それならば()()()()()()()()()()に反応してもいいだろう?』

「『彼奴』は深い眠りについている。加護が発動したこともない………文字通り()()()()()()()()でなんの恩恵もない。単に気配に気づけなかった可能性もある」

『まあ、確かに………』

 

 さらりと聞く人がいれば、特にエルフあたりが驚愕しそうな会話を続けるヴァルドと水晶から響く声。

 

「まあいい。殻を破ったアイズを鍛えるのに丁度いいだろう。とはいえ、他にも雇っているのだろう?」

『ああ、【ヘルメス・ファミリア】にな………」

「あそこか…………もし赤髪がいれば、死者が出る。やはり俺も行こう」

『君が出たら、敵も証拠を潰して隠れるかもしれないが』

「隠れながら向かう。言い方は悪いが、【ヘルメス・ファミリア】には囮になってもらおう」

『…………君の判断に任せる』

 

 

 

 

 

 

冒険者依頼(クエスト)………?」

 

 彼、もしくは彼女の言葉にアイズは首を傾げる。

 間違いなく黒ローブの人物は神の恩恵を得ている。ならば、同派閥から冒険者を募ったほうが早いはず。それ以前に、ヴァルドと繋がりがあるなら彼に頼めばそれで済む。

 

「師匠に、頼まないんですか?」

「………まあ、此方にも事情があるのさ」

「………?」

「具体的な依頼内容は24階層で起きたモンスターの大移動、その原因の排除にあたってもらいたい」

「原因は、解ってるんですか?」

「以前ヴァルドに頼んだ30階層と同じだ。例の『宝玉』、及び『赤髪の調教師(テイマー)』が関わっていると予想される」

「っ!!」

 

 それは間違いなくアイズを釣るための餌。

 あの『宝玉』も、『アリア』の名を知る女も、アイズにとって、無視できぬ単語。

 

(………悪意は、感じない)

 

 それなりに魔境であるオラリオで生きてきたアイズは感覚で、悪意を察することはできる。もちろん完全ではないが、それでも取り敢えず信用はして良さそうだと判断した。

 

「解りました、行きます」

「恩に着る。出来れば今すぐ向かってもらいたいのだがいいだろうか?」

 

 その言葉にちょっとだけ考え込むアイズ。なにせ一人でダンジョンに潜ったのだ。帰りが遅くなればリヴェリア達に心配をかけるかもしれない。

 

「あの、伝言をしてもらっていいですか。私の【ファミリア】に………」

「ん? ああ………なるほど。わかった、それくらいは頼まれよう」

 

 なのでそう頼むと、ローブの人物も了解してくれた。

 携帯用羽根ペン、少量の血をインク代わりにできる中々高価な魔道具(マジックアイテム)を取り出し羊皮紙にロキ達宛ての手紙を書いた。

 

「まずリヴィラの街によってくれ。協力者はそこにいる」

 

 酒場の名前、場所。そして協力者を確かめるための合言葉を聞いて、アイズはダンジョンの奥へと向かう為歩き出した。




Lv.8
イケメン
料理上手
品性も度量も持ち合わせてる
記念日はまあ忘れない
不老
英雄
精霊契約者


なんだ、王族(ハイエルフ)と結婚したとしても誰にも文句言えねえ要素揃ってるわ。まあ本人はまず世界を救う為の戦力を鍛えることしか興味ねーけど。


ところでフェルズってやっぱり女なのかな? 精霊の悪夢では幼女だし声優も女だし

なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート

  • 家族仲良く リヴェリア、アイズ
  • 一度実家へ アルフィア、ベル
  • 聖夜祭だろ シル、ノエル
  • 夫婦水入らず リヴェリア
  • 義母義父のみで アルフィア
  • 街娘と日常を シル
  • 最も美しい女神(ヴァルド評) アストレア
  • 聖夜と言ったら聖女 アミッド
  • ツンデレ大和撫子 輝夜
  • 一人で過ごす男達の為に オッタル
  • 一人で過ごす男達の為に アレン
  • あるいはこんな世界 ディース姉妹
  • 聖夜祭は店も大忙し 豊穣の女主人
  • 何やらおかしな実験に フェルズ
  • ダンジョンデートだ 椿
  • ドロドロ依存 フィルヴィス
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