オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
リヴェリアが『彼氏としたい6つのイチャイチャ〜聖夜編〜』なる『呪いの書』の影響を受けた際、二人だけで解決した。この事実はロキはもちろんフィン達すら知らない。二人は墓場まで持っていくと決めている。知った者は闇に葬られるか、後日記憶が一日分抜け落ちる。
迫るリヴェリアの色っぽさになんとか耐え抜いたのは偉業に数えてもいいんじゃないかとヴァルドは思っている。童貞だったら即死だった
「うあ、あああああ!!」
走る、奔る、疾走る。
耳についてはなれない、狼人の嘲笑。目に焼き付いた、助けを求めた師から向けられた当然だろうという失望ですらない眼差し。
何を勘違いしていた?
義母と師に育てられ、英雄街道まっしぐらだとでも? そんな訳あるか!
彼等は常々言っていた、迷宮のモンスターはこの程度ではないと。そしてここ数日でそれを実感していた筈だ。
なのに、その怪物達と、ベルが出会ったどんな怪物達よりも強大な階層の怪物達と殺し合ってきたアイズ・ヴァレンシュタインの隣に立ちたい?
(馬鹿かよ、僕は!)
何もしないまま彼処に立てると、本気で思っていたのか!?
師に紹介してくれと言った時、なんて言われたのかもう忘れたのか!?
──お前が並べるだけの男になれたなら、な。アイズは俺の弟子の中で一番才能があった、今はまだ置いてかれてるぞ?
置いていかれる、その表現すらヌルい。置いていくも何も、同じ道にすら立っていなかった!
なのに、期待していた! 同じ師を持つ者同士、何時か師が紹介して、知り合って、仲良くなって、何時かは………そんなくだらない妄想をありえる未来だと勘違いして!
(畜生! 畜生! 畜生!)
そんな自分に殺意を覚える。
狼人の嘲笑を否定出来ない自分に、憧憬の対象に庇われる自分に、思わず師に縋った自分に。
情けない。笑われて当然。
変わらなくては、誰よりも強くなるために!
あの
あの
あの
「う、あああああ!!」
ビキリと壁を砕き現れたウォーシャドウ。鋭い爪と人ほどもある中型種。新人では敵わぬ、調子に乗って下に降りた冒険者を終わらせる『新人殺し』の一種。
それが、2体。
師から譲り受けた長剣は置いてきている。持っているのは護身用のナイフ一本。いけるか?
「いくんだ、よおおお!!」
「意気込みはいい。心が体を凌駕するのは俺自身もアイズの風も実証済みだ。とはいえ相応の鍛錬が必要だがな」
次々現れるモンスターに肩で息をするベルにかけられる声。流石にそろそろ撤退を視野に入れ始め、そのタイミングを見計らったかのように現れた。
「し、しょう………」
「よくやった…………十分、とはお前のために言わずにおこう。これからも励め、ただし今日はこれで終わりだ」
抜き放たれる長剣。
人々を恐怖に陥れ、破壊の限りを尽くすモンスター達が怯えるように後退る。
「帰るぞ、ベル」
風が吹いたと思えばヴァルドはベルの横に立ち肩を叩く。モンスター達は皆一様に魔石を抜かれ灰へと還る。
「うん、お父さ………」
安心と疲労から意識を失うベル。ヴァルドはベルをおぶるとダンジョンの出口へ向かって歩き出す。
「だから俺は父じゃない………」
そう呆れるように言うヴァルドの口は、確かに笑みを浮かべていた。
「う〜ん………う〜ん………」
2人とも、帰ってくるのが遅い。
もうそろそろ夜明けだ。とヘスティアはソワソワと落ち着かない様子で唸る。
ベルに文句をいって出ていった後、帰ってきてみればベルもヴァルドも居ない。ヴァルドはもとより心配する必要などないだろうし、一緒ならベルも安全だろう。だからといって帰ってこない
もう一度探しに行こう、と部屋を飛び出そうとした瞬間、扉が開く。
「戻ったぞ、ヘスティア」
「ヴァルド君! ベル君も………! こんな時間までどこにいって…………ベル君ボロボロじゃないか!? 本当にどこに行ってたんだ!?」
「ダンジョン」
「ダンジョン!?」
「う、う〜ん……神、様?」
ヘスティアの叫びにベルが目を覚ます。
「なんて無茶をしたんだ! ベル君か!? ヴァルド君か!? どっちが言い出した!」
「あ、えっと………僕が、飛び出しました……師匠は追ってきてくれたんです」
「ベルくぅん…………何でそんな無茶を………そんな自暴自棄に、君らしくもない」
「………」
どこか暗い雰囲気をまとうベルに、ヘスティアは怒る気も失せ仕方ない、とため息を吐く。
「………神様、師匠………」
「なんだい?」
「どうした?」
「僕……強くなりたいです」
強い決意を宿した瞳に、ヘスティアはハッとし、目を伏せ「うん……」と真摯に受け止める。
「なれるさ、お前なら誰よりも」
『ベル・クラネル
Lv.1
力:H145→G281
耐久:I56→H124
器用:H185→G255
敏捷:G234→F333
魔力:I0
《魔法》
【 】
《スキル》
【
・早熟する。
・
・
「──っ」
ステイタスを更新し、その伸びに愕然とするヘスティア。
ヴァルドから聞いていた冒険者の一般的な速度とも
チラリとヴァルドを見れば察したのかコクリと頷いてくる。やはりこの早熟スキルが関係しているのだろう。
問題はどう伝えるか、だ。素直に伝えていいものか。
即席の強さは油断を生む。しかし伝えず弱い敵とばかり戦わせていては彼が強くなれない。
ベルは調子づくタイプではないと思うし近くに
「…………ベル君、今回の【ステイタス】は口頭で伝えていいかい?」
「あ、はい。別に構いませんよ」
【
(まあその時はヴァルド君にけちょんけちょんにしてもらうけどね!)
それはそれでベルが申し訳なく感じそうだなあと思いながら、ベルに【ステイタス】を伝えると案の定、驚いていた。
とりあえず成長期と誤魔化すことにした。納得がいってないながらとりあえず受け入れてくれた。
「その成長速度ならこの剣もお役御免だな……」
「え、師匠の『カエルム・ヌービルム』が!?」
「これはそもそも鍛錬用だ。俺がLv.3の時のな」
「な、なら暫く使えるじゃ」
「敢えて刃に特殊加工を施し一定の角度以外だと切れ味が鈍る造りになっている。『器用』を上げるために作ったんだが、技術が無ければ上層のキラーアントすら切れん鈍らだ」
逆に言えば確かな技術さえあれば中層でも十分通用する。これはそういう武器だ。造らせた
「かと言って、強い武器はそれはそれで成長を妨げる。身の程にあった武器にその都度変えるのが現実的ではあるが………」
「う〜ん………」
と、ヘスティアは何やら探し始める。食器棚の中段ほどの引き出しにはビラや通知書があり、その中から目当ての物を取り出す。
それは『ガネーシャ主催 神の宴』への招待状。恐らくは
「ベル君、ヴァルド君、ボクは今日の夜………いや何日か部屋を留守にするよ。構わないかな?」
「えっ? あ、わかりました、バイトですか?」
「いや、出るつもりはなかったんだけど友神のパーティーに出ようと思ってね。久しぶりに皆の顔が見たくなったんだ」
ヘスティアは服を整えるべく出ていった。一瞬ドレスでも買ってやろうかと思ったヴァルドだがヘスティアの低身長でありながらたわわに実った母性は間違いなくオーダーメイドする必要があるだろうと考えやめた。
「ベル、俺も少しダンジョンの深いところに潜る。数日は帰れないと思え」
「え……うん………あ、はい。でも、何で急に?」
「金稼ぎ。5年前、急な出奔は色々心配かけたろうからな」
「…………【ロキ・ファミリア】の人達には?」
「幹部の一人が抜けた穴埋めをしようと奮起してたなら対応も変えてやったさ」
「………………」
この人の【ロキ・ファミリア】の評価は………なんというか、低いくせに高い? そんな妙な感覚を覚えたベルであった。
(それにしても、ベル君もベル君だけど…………ヴァルド君も大概だよなあ)
服屋に向かう道中、ヘスティアは
『ヴァルド・クリストフ
Lv.8
力:H102
耐久:H139
器用:G201
敏捷:H195
魔力:G234
不眠E
耐異常E(F)
耐神威D
不老F
幸運G
不死身G
加護I
《魔法》
【ジュピター】
・雷光属性。
・詠唱式【クレス】
【サートゥルナーリア】
・
・魔法を魔力に還元。
・詠唱式【サータン】
【■■■■■】
・■■■■
・詠唱式【■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■】
《スキル》
【
・睡眠時間の短縮。
・短時間睡眠での体力回復効率化。
・睡眠時、
【
・雷光属性強化。
・肉体内部に雷付与可能化。
【
・最強証明
・経験値の補正。
・他者の経験値補正。
・最強降格時スキル消失。 』
発展アビリティも訳解んないのが幾つがあるが、それを差し措いて最後のスキル。
スキルの説明からして、Lv.8へと至ってから得た間違いなくレアスキル。ベル同様己を鍛え、そして何より他人にまで影響を及ぼす成長促進スキル。
(本来なら、大手に入れるべきなんだろうなあ)
その【ファミリア】は間違いなく、名実共に都市最強へと至るだろう。
(……だけど………)
──ヘスティア、俺を思い【ロキ・ファミリア】に戻そうと考えるなら、それは不要だ。元より俺は、彼奴等と長くいるべきじゃなかった
そう語るヴァルドの言葉を思い出す。
──俺は確かにこの世界を俺が生きる現実と認め、その上で
あの発言、ヴァルドにも教えてないはずだがベルの早熟スキルについて知っているのだろう。
──俺は
それが彼の選んだ道だ。ならばロキになんと文句を言われようと、彼は自分の
(それにしても、このステイタスだと何処まで潜れるんだろう?)
天井に空いた大穴から降ってくる影。悍ましい気配を纏う黒いレザーコートを着た人間は長剣を背に
不遜なる侵入者に名の通り、砲撃を放つ。幾つもの階層を破壊する、強力な一撃。連続して放たれる大火球を………人間は
「【
バチリと雷光が剣を覆う。竜達に知るすべはないが、光り輝く剣を持つ人間というのは、人類や神々から見れば格好良く見えるらしい。
「牙と爪、あと鱗。それだけ置いて逝け、皮膜は要らん」
振るわれる、光纏った一撃。雷光混じりの衝撃波が竜の群れを飲み込んだ。
ヴァルドのランクアップ偉業
Lv.2
少しでも強くなるために他の【ファミリア】にサポーターとして潜り込み、ミノタウロスの群にもう一人のサポーターと共に放り込まれるもそのサポーターを守りきった。所要期間半年。二つ名【剣鬼】
発展アビリティ『不眠』を獲得。Iでどれくらい眠らなくて済むのか試すために一週間ダンジョンに潜りリヴェリアに叱られた
Lv.3
闇派閥が治療院を狙い襲撃。心臓を貫かれ脊髄を損傷するも雷魔法で無理やり体を動かし闇派閥構成員34名討伐し当時Lv.3のヴァレッタを退かせる。ヴァレッタからは「いかれてんのかキチガイ!」と罵倒された。なぜそこまで無茶をしたのか聞いたLv.1の治療師見習いの銀髪少女に怪我人とお前達治療師を守るためと言ってから気絶した。決まり手は気合。
所要期間1年半。二つ名【
発展アビリティ『耐異常』。リヴェリアにめっちゃ叱られた
Lv.4
さる娼婦の企てでイシュタルに貪られ骨の髄まで『魅了』されたがイシュタルを殴り【イシュタル・ファミリア】構成員を半殺しにした。『美』に耐えたとか『魅了』されなかったとかでななく、確かに『魅了』されてから打ち破った。以来、イシュタルからは蛇蝎のごとく嫌われている。決まり手は気合。
所要期間2年。二つ名変更なし
発展アビリティ『耐神威』。神の権能たる魅了や神威による威圧を受け付けない。リヴェリアに歓楽街に行ったことを叱られた。誘ったノアール達がさらに叱られた
Lv.5
『最強』の眷属とほぼ一人で渡り合い勝利した。決まり手は気合と根性。リヴェリアに何故他の冒険者と協力しなかったのかと叱られた。
ノアール達から衰えていく自分に対する愚痴を聞かされていたからか、発展アビリティ『不老』獲得。所要期間3年。
ただでさえ若くいられる上級冒険者が、さらに長く若く要られる。Eともなればエルフと生涯添い遂げることすら出来る。二つ名【剣聖】
Lv.6
『厄災』の討伐。
発展アビリティ『幸運』。後に【ルドラ・ファミリア】を壊滅させ
Lv.7
精霊の力を取り込んだ『蠍』の討伐
発展アビリティ『不死身』。
耐久に超域高化。『耐異常』ワンランクアップ。
体力や精神力は回復しないが傷が治る。
所要期間3年
Lv.8
復活した『陸の王者』およびその子供である大型、超大型、特大を『不死身』『不眠』『耐異常』ゴリ押しで耐久戦を行い勝利。決まり手は気合と根性。
所要期間1年。発展アビリティ『加護』。毒、呪詛の類を一切受け付けない。『耐異常』が飾りになった
何やってんのこいつ? 頭おかしいんじゃねえの?
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