オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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特別編 聖夜祭

 病を癒やす泉とやらに巣食っていた醜悪なモンスターをぶち殺し、正常化した泉の水を持って帰ってきたヴァルド。

 

「聞いた話では沼の王とやらは無限に回復するようだが」

「ああ、回復するより早く切り刻んだ」

「…………沼は触れれば溶けるらしいが。ベヒーモス程ではないのだろうが」

「ああ。我慢した」

「……………そうか」

 

 何を言ってるんだこいつは、と言いたげな目を向ける女は、渡された水を飲み干す。

 

「体はどうだ?」

「…………楽になった」

 

 ここに来て暫くしてから、目隠しして、かつ直前まで氷水につけ手の感覚を殺した老神に更新させた『ステイタス』には、彼女の病を不治としていたスキルが消え代わりに生えたスキルが長い間病に冒された体を癒やし始めた。とはいえ、まだまだ不健康。こうしてヴァルドが効きそうな物を見つけてくるのだが、今回も体にあったようだ。

 

「これなら明日は動けそうだ」

「ああ、聖夜祭か」

 

 村人達で行う一年で一回の催し。世界中で行われる冬の行事は、ヴァルドの前世にも似たような行事があった。サンタもいるらしい。というか、これも神が齎した知識だったりするのだろうか?

 

 

 

 

 

「…………ベル」

 

 女も動けるので、3人で回る予定だったのにサンタを見るために夜更かししたベルがスウスウ寝息を立てている。

 

「全くこの子は…………」

「仕方あるまい。子供というのはそういうものだ、アイズも最初の聖夜祭は寝過ごしていた」

 

 仕方がないので翌年からリヴェリアが寝かしつけるようになって、そのまま翌日はヴァルド、リヴェリア、アイズの3人で聖夜祭を回るようになった。

 

「どうする? ベルは寝てしまったが………」

「仕方ない、二人で回るぞ」

「…………意外だな。起きるまで待つかと思ったが」

「早く寝ろといった私の忠告を無視したバツだ」

 

 強い魔導師というのは性格が似るのだろうか? とリヴェリアを思い出すヴァルド。女はそれを察したのかムッと顔を歪めた。

 

「お前は、一つ一つの行動に一々他の女を挟まないとならない性分なのか?」

「そういう訳では無い………まあ、未練なんだろう」

 

 置いてきた彼女達が今でも気になる。ちゃんと強くなっているか、よりも元気にしているか、と。

 

「なっているさ、お前の弟子なのだろう」

「なら、いいのだがな」

 

 

 

 

 小さな村とはいえ、飾り付けされた村の光景は中々幻想的で、ちらほら見かける男女達もその光景を見ながら腕を絡める。

 ヴァルド達も例外ではなかった。

 

「…………」

「なんだ?」

 

 腕を抱き寄せた女に何とも言えぬ顔をするヴァルド。端的に言えば、どうしてこうなったと言いたげな顔だ。

 

「……本来なら」

「ん………」

「私は2年前、死んでいた。死ぬつもりだった………こんな血に汚れた手で、あの子を抱きしめたくなかった」

 

 だから、当初は恨んだものだ。村に連れてこられて、初めてあの子を見て抱き締めてしまった日から、罪悪感で寝込んだ。

 何度も殺そうと思った。

 ヴァルドの勝利は直前まで共に戦っていた【アストレア・ファミリア】と、オラリオの民という守るべき存在のために限界を超えた故。あの時点で再び戦えば、間違いなく自分が勝ち殺せていただろう。

 でも殺せなかった。

 あの子がいた。そして何より、自分を才禍の怪物としてではなく虚弱な少女として扱われるのが初めてで戸惑ってしまったから。

 

「お前は、私を生かした。それは本来許されざることだ」

「………………」

「私達にどんな考えがあろうと、外界を思おうと死んだ人間が報われるわけではない」

「知っている………だからこれは、俺のただの自己満足だ」

「だが、少なくとも私はお前の自己満足に救われたよ」

 

 罪が消えるとは思っていない。許されて良い筈がないのは解っている。だけど、あの子が育つのを見守れるなら、彼等が救世(マキア)をなしてくれるその時を見ることができるなら、この罪悪感を抱えたまま生きるのも悪くないと思ってしまう。

 

「…………雪」

 

 と、ハラハラと空から白い花弁のごとく雪が降り始めた。気温は更に冷えていく。ヴァルドは家に帰ろうとするが女は立ち止まったままヴァルドの腕に絡めた腕に力を込める。まだ、もう少しこのままということだろう。

 

「…………体調が悪くなったら言え」

「ああ……」

 

 絶対に言わないが、女は内心そう思いながらもう少しだけ腕の力を強めた。

 

 

 

 ヴァルドに睡眠は不要だが、取れないわけではない。

 一日一時間でも睡眠を取っておけばその日消費した魔力も体力もスキルの影響で回復する。少し厄介なモンスターを倒してきたらしいので、今日は寝る。昨日はベルが寝ようとしなかったから寝ていなかったのだ。

 どうせ一時間も寝ればスキルのおかげでスッキリ目覚めるだろう。

 

「…………………」

 

 そんな寝顔を見つめる女は、そっと耳に髪をかけると顔を近付けた。

 

「………ほわ〜」

「…………………」

 

 と、二人の間で寝ていたベルが目を見開いていた。

 

「あ! み、見てない! 見てないから!」

「忘れろ」

 

 コン、と頭を叩く女。軽い音なのにベルは再び眠りについた。




ベル「昨日何か見たような…………?」



因みに爺は「聖夜祭は性夜祭!」と叫んで縛られて井戸に落とされた。三日後に出てきた。

なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート

  • 家族仲良く リヴェリア、アイズ
  • 一度実家へ アルフィア、ベル
  • 聖夜祭だろ シル、ノエル
  • 夫婦水入らず リヴェリア
  • 義母義父のみで アルフィア
  • 街娘と日常を シル
  • 最も美しい女神(ヴァルド評) アストレア
  • 聖夜と言ったら聖女 アミッド
  • ツンデレ大和撫子 輝夜
  • 一人で過ごす男達の為に オッタル
  • 一人で過ごす男達の為に アレン
  • あるいはこんな世界 ディース姉妹
  • 聖夜祭は店も大忙し 豊穣の女主人
  • 何やらおかしな実験に フェルズ
  • ダンジョンデートだ 椿
  • ドロドロ依存 フィルヴィス
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