オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「アドバイザー君!」
ギルドに飛び込んでくる小柄な神。ヘスティアの叫びにギルド職員や冒険者達の視線が集まる。
「ベル君達を見てないかい!?」
「さ、昨日は
「っ……!」
エイナの返答に顔を歪める。
ベルとリリが昨日から帰ってきていないのだ。彼等とチームを組んでいる別派閥の冒険者も同様に戻ってきていないらしい。恐らくは、まだダンジョンに………。
「か、確認してきます!!」
エイナはすぐにバベルの記録を調べに向かう。
そしてベル達が帰還した報告がないことをヘスティアに伝えた。
「アドバイザー君、ベル君達の目撃情報を集めてくれるかい?」
「わかりました! できる限り他の冒険者の方々とも連絡を取ってみます………あの、クリストフ氏は?」
正真正銘のオラリオ最強にしてヘスティアの眷属でありベルの師匠。嘘か真かLv.2のなりたてで下層まで行った彼なら中層での行方不明者などすぐにでも見つけられそうだが……。
「ヴァルド君は
連絡が取れなければ意味がない。何時戻るのかも分からず、こうしている間にもベル達は………!
「アドバイザー君、
ヴァルドの個人資産は使えない。一億ぐらいポンと出しそうだし簡単に稼げるだろうが、ここにいない
時を少し遡り、ダンジョン中層。
爆発に吹き飛ばされ、ダンジョン内に存在する階層と階層を繋ぐ縦穴に落ちたベル達はなんとか生きていた。
それでも戦闘に参加は出来そうにないが………。
「申し訳ありません、助けてもらった上に、ご迷惑を………」
少女………ヤマト・命。【タケミカヅチ・ファミリア】のLv.2。二つ名は【絶†影】。†の意味? 子供達は知らない。とりあえずなんか格好いい。
「謝らないでください、命さんの索敵には助けられてます」
命のスキル【
遭遇したことのないモンスターや、今まさに生まれるモンスターには反応できないが助かっている。
「とにかく、急ぎましょう。
一同が向かうのは、地上ではなく更に下、18階層。
13階層から15階層に一気に落ち、ヴェルフの片足が潰れ命も火傷でまともに戦えない。リリは元よりサポーター。戦力はベル一人。
上に登る道を探すより、縦穴を利用して下に降りモンスターの生まれない
しかし18階層前の17階層には
「そう、だね………ヴェルフと命さんも休ませないと」
可能な限り戦闘を避け、下に向かう。
嘗てはヴァルドも行った行動だ。彼の場合そもそもの目的が自分がどの階層までなら戦えるか下見した上でそのまま自分より強いモンスターがいる階層に向かったが………。
「っ! ベル、殿!」
命が叫ぶと同時に、壁に亀裂が走る。探知を嘲笑うかのように今まさにその場で生まれるのは、ライガーファング。
「グオオオオオオオ!!」
「「「────!!」」」
その咆哮は獲物の位置を他の同胞に伝える
その鋭い牙を突き刺そうと大口を開けるライガーファング。バックステップで回避したベルは片手を突き出す。
「【ファイアボルト】!!」
「ガッ!?」
威力こそ低いが顔を襲う熱に固まるライガーファング。その隙を逃さずベルが首を切り裂く。そして、飛んでくる石斧。
ライガーファングの咆哮に寄ってきたモンスター………アルミラージだ。
ヘルハウンドも交じっている。
「くっ、そ!!」
遠距離攻撃手段を持つヘルハウンドを先に倒したいのに、アルミラージが邪魔だ。モンスター達は連携しているわけではなく本能に従い人を襲うだけ。アルミラージの巻き添えなど関係なしにヘルハウンドが炎を吐こうと大きく口を開け……
「【燃えつきろ下法の
と、ヴェルフが魔法名を唱えると同時に魔力がヘルハウンドに絡みつき、突如暴発。ヘルハウンドは己の炎の制御を失い火に包まれる。
「
「……ああ、変わった魔法………らしいな」
一定の魔力の反応を
ただしこの状況のストレス、傷の痛みに加え魔法まで使ったヴェルフは明らかに疲弊していた。
「! まだ、来ます………これは………ミノタウロス!!」
「ヴォオオオオ!!」
現れたのは3体のミノタウロス。ギルドの登録ではLv.2だが、Lv.3すら屠ることもある中層の中でも特に強力なモンスターが
大きく、恐ろしい…………だけど、自分がランクアップしたことを加味してもあの個体ほどではない!
一瞬で接近したベルにミノタウロスが斧を振り下ろすも何もない地面を砕き、無数の裂傷が刻まれる。
「グム!?」
肘の骨の隙間から腱が切られる。落した斧が拾われ、片足を切り裂く。
バランスを失ったミノタウロスは倒れる方向に蹴り飛ばされ残りの2体を巻き込む。リィンと、鈴の音が響く。
「ゴオオオ!」
「ヴゥアアア!!」
仲間を押しのけ突っ込んでくるミノタウロス2匹に、ベルは白い光を纏う石斧を振るう。
「せやああああ!!」
瞬間、爆砕。
ミノタウロスの体が吹き飛ばされ、衝撃が壁を抉る。石斧はその衝撃に耐えきれず砕け散った………。
「……ベル……クラネル…………Lv.1でミノタウロスを倒した、
一方地上では、ベル達を助けるために【タケミカヅチ・ファミリア】が志願していた。
救われた恩義を返したいとのことだが、戦えるのは桜花という男。千草という少女がサポーターとしてついてくるが、戦力が心もとない。
「うちの戦える子たちは皆【ロキ・ファミリア】の遠征についていってるし………」
と、ヘファイストス。
今残っているメンバーで中層に向かえる者はいるだろうが、人探しをする余裕がある者は居ないのだ。
他にこの場にいるミアハも眷属が一人で、しかも彼女はトラウマ持ちでダンジョンに潜れない。
「やあ困っているようだなヘスティア!」
と、そんな中新たな影が教会に現れた。帽子を被った優男………ヘルメスだ。
「ヘルメス……? 何しに来たんだよ」
「何しに来た、は酷いな………力を貸そうってのに」
「……………力?」
「ヴァルド君には先日眷属達が世話になってね、そのお礼をしたいと思っていたんだ」
胡散臭いがヴァルドとヘルメスはそもそも交流を持っていたらしい。ヴァルドやベルが故郷に送る手紙の一部は実は【ヘルメス・ファミリア】が送っている。
「それに、盗み聞きした話だとタケの
「ベル君のお母さん?」
「ああ、
「何者なんだよベル君のお母さん………」
いや、ヴァルドと一緒にベルを鍛えていたなら、そんなものなのか?
「俺のところからはアスフィを
「……ん? ヘルメス様、今連れて行くって」
「ああ、俺も行くよ? ベル君に会ってみたかったからね。ママが過保護なんだ………」
そりゃ、ヘルメスをよく知るなら子供に会わせたくないだろう。と、ヘスティアとヘファイストス、タケミカヅチは思った。ミアハは「お主も日頃の態度を戒めたらどうだ」と優しく諭す。
「ボクも行く」
「ヘスティア?」
「お主、何を………」
「自分が何もしないまま、ベル君とサポーター君を待つなんて出来るものか! ボクもついていく! ついていくと言ったらついていくぞぉ!」
「というわけで、戦力を借りにきた!」
「なにがというわけなのですかねぇ」
突然
「なんの説明もなしにというわけで、と言われても困るわヘルメス」
「ごめんよ〜、アストレアママ〜! ぶへ!?」
優しく諭すように語りかけるアストレアに飛び付こうとしたヘルメスをアスフィがぶん殴った。
「やめてください本当に! 彼女達の怒りを買いますよ!? ていうかもう若干買ってますよ!!」
「ヘルメス様ったら相変わらず愉快ね!」
楽しそうに笑うアリーゼを除き若干の殺気を滲ませる【アストレア・ファミリア】に顔を青くするアスフィ。
ヘルメスも流石にふざけてられないかと、ベルがダンジョンから帰還していないことを伝える。
「そんなもの、あの英雄に任せればいいでしょう。ダンジョン内では放任主義とはいえそのような状況なら動くのでは?」
「ああ、ヴァルド君は
「文鎮でも縫い付ければその軽薄な口もマシになりますかねえ」
先程とは比べ物にならない殺気にアスフィがヒッと声を漏らす。ヘルメスも冷や汗を流す。
アストレアに救いを求めるも、ニコニコ微笑んでちょっとキレてる。
「調子乗ってすいませんでしたー!!」
ヘルメスは土下座した。
「私としても、ヘスティアの
アストレアを【ガネーシャ・ファミリア】などの有力派閥に預ければ全員動けるが、あくまでファミリアの問題で街の憲兵は動かせない。
「たたでさえ最近治安が悪くなってきたし………貸せるとしても、一人だけよ」
Lv.1の成り立てではあるが一般人にとっては十分な脅威。万能感に酔った破落戸が増えている。例のラシャプ眷属だ。
「一人でも十分さ。Lv.5でも4でもね」
「それなら、期待以上に応えられそうね」
カーリー・ファミリアのバーチェがどうなるかは決めてるんですよ。アルガナはどうしよう
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フィンに任せる
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ヴァルドに調き─鍛錬されたティオネが勝つ
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ヴァルド「戦士の作法を教えてやろう」
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船止めるためにぶん投げた石で船ごと沈む