オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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共闘

 バシャリと水面に落ちる二人。

 ジュウッと音を立て服が溶け肌が爛れる。

 

「熱っ!?」

 

 赤い肉壁に覆われた縦穴。そこに溜まった水の底に溜まっているのは冒険者の骨。まるで巨大な怪物の胃の中。

 

「レフィーヤ、上!」

 

 ベルの言葉に上に視線を向け、思わず固まるレフィーヤ。天井からぶら下がった青い冠をかぶったかのような()()()()()()にも見える巨大なモンスター。バラ鞭のような腕と髪をゆらゆら揺らし、単眼の下にある口がニタニタ笑っていた。

 

「極彩色………しかも、女体型!?」

 

 よくよく見れば溶けかけの怪物の死骸(ドロップアイテ厶)も見える。つまり、強化種!

 

「し、新種!? 気持ち悪い!」

 

 半端な人型、目が痛いほどの極彩色という生理的嫌悪を感じさせる造形にベルが思わず叫ぶ。言葉を理解したのか声に反応したのか、女体型は触手を振るう。

 

「っ!!」

 

 ドバシャア! と酸の泉が爆ぜ大量の酸と骨や鎧の欠片が巻き上がる。雨のように降り注ぐ酸が冒険者達の体を焼いた。

 極彩色に溶解液、肉の壁。この穴そのものが新種のモンスター。

 酸性は芋虫型に比べ遥かに弱いがそれでも肌が爛れるレベルの濃度。

 

「ベル! これを着てください!」

 

 と、レフィーヤが己の上着を渡す。ベルが着ている火精霊の護符(サラマンダー・ウール)と自分の戦闘衣(バトルクロス)なら暫くは耐えられるはずだ。正直、気休めだが。

 ヒュンヒュン空気を切り裂きながら進む鞭を何とか回避しモンスターを観察する。

 キョロキョロと忙しなく動く単眼がレフィーヤ達を追い続ける。捕えたものを決して逃さないつもりだろう。こんなモンスターを用意するぐらい、ここには発見されたくない何かがある。

 

「わ、つぅ!」

 

 ドパンと水面が爆ぜる。

 まずは生き延びないことには意味がない。そのためにも、対処法を………!

 

「目です! 目の動き、あのモンスターの攻撃は視線の先です!」

 

 ギョロンとベルを捉える単眼。同時にベルが跳ぶ。

 先程まで居た場所を鞭が叩き、ベルを追う視線。足が水底についた瞬間跳ね、追撃を躱す。

 

「敵の攻撃はあの鞭だけです! 目を離さないで!」

「う、うん!」

 

 鞭の威力、速度はLv.5相当。だが動きは単調。避けられないことはないが、攻撃範囲が広い。

 飛び散る酸と武器防具の破片が間近で当たり細かい傷が刻まれ、酸が触れ激痛が走る。

 激痛の中の戦闘。一瞬の油断が命取りになる状況において、神経が磨り減っていく。

 

「づぅ!!」

 

 靴が溶け、皮膚が崩れ、剥き出しの肉が骨や武具防具の欠片を踏む。

 アイズ達なら壁を蹴って本体に迫りそうだが、自分にそれだけの動きは出来ない。

 

「魔法を撃ちます! 貴方は壁に傷をつけて!」

「わかった!」

 

 パシャシャと水面を跳ねていると錯覚するほど素早く移動するベル。鞭の束の攻撃範囲が大きい為、進行方向を変えなくてはならないが、それでも壁に接近して切り裂く。

 漆黒の片手剣。酸を分泌する胃壁のような肉を大きく切り裂き酸が付着するが溶ける様子はない。

 足元の上級武器もそれなりに原型が残っている。あの武器も相当な高級品だ。

 だけど、壁は分厚く女体型も堪えた様子はない。

 やはり本体を狙うしかない。遠距離技である魔法で……

 

「?」

 

 青い冠のような器官が光る。何かの遠距離攻撃が来る!?

 どのような攻撃だろうと回避すると身構えるレフィーヤとベル。その判断を嘲笑う()()()()()

 

「ラアアァァァ────!!」

「「!?」」

 

 水面が波立つ『怪音波』。慌てて耳を塞ぐも骨を通り全身を震わせる不快な音波。ベルがその場で膝を突き、オェと吐き出す。

 鼓膜が破れたのか耳の穴からドロリと血が流れる。

 

「………アハ」

「!! ベル!!」

 

 身動きの取れない哀れな兎に目を向ける女体型。レフィーヤが叫ぶが、気付かない。

 触手が振るわれる。直前になり漸く気付いたベルが水底から大盾を取り出す。だが、酸に浸され腐食されあっさり砕かれた。

 肉壁まで吹き飛ばされるベル。包帯の下の傷が開いたのか、赤く染まる。

 

「この………! 【解き放つ一条の光】!」

「────」

 

 ピクリと魔力に反応する女体型。キョロッとレフィーヤに目を向ける。

 やはり、魔力に反応する性質は共通………

 

「【聖木の弓幹、汝弓の名手なり】………!?」

 

 レフィーヤとベルを見比べ、再びベルを狙う女体型。魔力に反応する。それはそれとして、動けぬものから狙う判断………深層同様、駆け引きを持つモンスター!

 

「ベル!!」

 

 振り下ろされる鞭。魔力を霧散させ、間に割込むレフィーヤ。苦し紛れに杖を間に挟ませるも、そのまま吹き飛ばされる。

 

「づ、あ………!」

 

 服を裂き、皮膚を引き千切る鞭の束。

 内臓が潰されたかと錯覚するほどの衝撃がレフィーヤを壁まで吹き飛ばす。

 力なく酸の泉に倒れるレフィーヤ。このままじっくり溶かすか、殺してから死体を溶かすかユラユラと揺れながら考え込む女体型。殺すと決め、片腕を振り上げる。

 

「………っ!」

 

 『怪音波』に加えLv.5相当の一撃。割り込んだため威力が乗りきっていなくても、地面が揺れる。下がどちらかすら解らないレフィーヤ。

 動けと念じても体が付いてこない。

 振り下ろされる触手鞭。直撃は、まずい!

 

「【ファイアボルト】!!」

「え?」

「──!?」

 

 放たれる紅の雷光。

 着弾と同時に爆発し、鞭がそれる。

 声のした方向を見ればベルが片手を突き出していた。彼の魔法だろう。女体型が反応しなかった……超短文詠唱?

 

「【ファイアボルト】!」

(無詠唱!?)

 

 詠唱しなければ魔法は使えない。魔法は連発が出来ないという前例を覆す異端の魔法に目を見開くレフィーヤ。

 因みに彼の義母も師も超短文詠唱の中でも特に短いので連発できる。

 

「効いてない………詠唱無しじゃ………」

 

 本当に、そうか? 駆け引きを持つモンスターが、何時放たれるかもわからない魔法を無視していた。

 見渡せば魔導師と思われる死体もチラホラと。魔法を使っても脱出出来なかった………使えなかった可能性もあるが、今はより最悪な方を想像する。

 もしやこのモンスターは、そもそも魔法が効きにくいのでは?

 だから威力の低いベルの魔法は目隠しにしかならない。と……

 

「つぅ!」

(………動きが悪くなってる?)

 

 それも当然か。このような足場では………だけど、もし足場が整えば?

 

「ベル! ………ぁ」

 

 無理だ。今のベルに声は届かない。これでは作戦を伝えられない。

 と、ベルがレフィーヤに視線を向ける。

 レフィーヤは酸の泉、自分、そして上を指差す。魔法を発動した瞬間跳ねろという指示のつもりだ。

 

「…………!」

 

 コクリと頷くベル。通じた? それを確かめる術はない。だから、通じたと信じる!

 

「【ウィーシェの名のもとに願う】」

「────」

 

 キョロンと単眼を動かし手負いの兎と妖精を見比べる女体型は、レフィーヤを無視する。

 

「っ! 【森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ】」

 

 やはり、魔法に対して脅威を感じていない。深層のジャガーノートのように反射………は、ないだろう。魔法に焼かれた死体は見受けられない。

 それなりに魔力があると自負するレフィーヤの魔力でも無視を決める魔法耐性。

 

「【繋ぐ絆、楽宴(らくえん)の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪】!」

 

 急げ、急げ! ベルは手負い、この足場で何時まで逃げられるか解らない!

 

「【どうか──力を貸し与えてほしい】 」

 

 魔法が完成。魔法を呼び出す準備が整う。

 

「【凍る空、天上の蒼雨(あめ)】」

 

 召喚する魔法の所有者はアリシア。大陸北方、白氷の森ファナシュを故郷とする彼女の氷結魔法。

 

「【森を彩る白氷(はくひょう)よ、浅ましき蛮族を撃ち払え。凍てつけ、冬の縛鎖】 」

 

 詠唱の完成とともにレフィーヤの頭上に出現する蒼と白の光球体(スフィア)。ベルが上に跳び、レフィーヤも水面から飛び出る。

 

「【ヘイル・ダスト】!!」

 

 四方に飛び散る魔力弾。恐ろしいまでの冷気を纏う魔力弾は、レフィーヤの想像通り魔力に対して耐性を持っていた女体型には効果が薄い。

 それでも底に溜まった酸の泉や、壁から分泌された酸の膜が凍りついていく。

 

「────!?」

 

 凍りついた地面となった泉に着地するベル。トントンと感覚を確かめるように跳ね…………()()()

 足場が悪い状況でさえ、その攻撃を避けてみせたのだ。今のベルにもはや女体型の攻撃は当たらない。

 壁を、床を蹴り縦横無尽に駆け回る。

 キョロギョロと忙しなく動く瞳はもはやベルを捉え切れない。

 正直無闇矢鱈に振り回されれば視線の先読みをしているベルに避けるすべはないのだが、それを見抜ける程の駆け引きの経験はないようだ。

 

「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹(ゆがら)。汝、弓の名手なり】」

 

 

 ベルと目が合う。剣を指差し、女体型に移動させながらスッと動かす。ベルは頷き、リィンと鈴の音を立てながら女体型の攻撃を避ける

 

「っ! 【狙撃せよ、妖精の射手】」

 

 ベルを捉えきれず、とうとう諦めたのかレフィーヤにも視線を向ける女体型。だが、苛立ちより雑になった攻撃など当たるはずもない!!

 

「【穿て、必中の矢】 !!」

「ラアアァァァ────!!」

「づぐぅ!?」

 

 ここで怪音波。

 全身を襲う不快感。魔力の手綱が離れそうになる……でも!

 ベルを見る。レフィーヤが魔法を放つのを待っている。信じている………信じられたなら、応えろ!!

 

「【アルクス・レイ】!!」

「───────!!」

 

 放たれる特大の光線。天に登る光の柱。Lv.3でありながら第二級冒険者でも最上級に位置するレフィーヤの砲撃。それに耐える女体型。それでも体が徐々に焼ける。

 だが、この威力なら耐えきれる!

 

「【光散(アリオ)】 !」

「────!?」

 

 パアンと魔法が爆散する。強烈な光に目を焼かれる女体型に、壁を蹴りながら駆け上がったベルが白く輝く拳を振るう。

 

「っああ!!」

 

 瞬間、爆散。

 縦穴の蓋が女体型諸共消し飛び、その轟音と土煙は階層中で確認できるほど立ち上る。

 第二級………いや、第一級の剛腕にも匹敵する一撃。

 フッと空中で体から力を抜くベルをレフィーヤが慌てて受け止め縦穴から脱出した。

 

「はぁ………はっ、はぁぁ…………」

 

 息も絶え絶えなベル。恐らくは、あの桁外れの膂力を使用した反動(だいしょう)

 それにしたってなんて規格外な…………。

 

「何だこれは!?」

「っ!!」

 

 と、あれだけ派手に脱出すれば、やはり気づかれた。

 白いローブ姿の闇派閥(イヴィルス)がレフィーヤ達を見て顔を隠していても解るほど忌々しげに歪めた。

 

「【千の妖精(サウザンド・エルフ)】……【ロキ・ファミリア】か!」

巨靫蔓(ヴェネンテス)を倒したのか!?」

「…………だが、仲間はそれだけのようだな」

 

 そう言うと現れた二人の男の片方が茂みに消える。そして、檻を開くような音が聞こえた。

 

「!!」

 

 ズリズリと這うような音とともに現れたのは食人花。ベル達をここで始末する気だろう。

 

「ここで死ね! 冒険者ぁ!」

 

 せめてベルだけでも守ろうと杖を向けるレフィーヤ。が、食人花達が突如として切り裂かれる。

 

「え?」

「いやぁ、危ない危ない。間に合って何より!」

「貴方は………」

 

 真っ赤な髪をなびかせ、剣を構える女剣士。

 推定Lv.3から4のモンスターをこともなげに倒してみせた第一級冒険者。

 

「アリーゼ・ローヴェル!」

「はぁい♪」

 

 軽い調子で応えながらも、炎のような闘気を向けられ震え上がる闇派閥(イヴィルス)。直ぐ様背を向け逃げ出した。

 

「私は追うから、あとの説明よろしく! あ、それと前隠したほうが良いわよ」

 

 アリーゼはそう言いながら彼等の後を追う。

 前…………?

 不思議に思い服を見る。見事に溶けていた…………ベルは、幸いまだぐったりして目を瞑ったまま。

 

「ん………あれ?」

「うにゃ〜〜〜〜〜!?」

 

 まるで猫のような声が森の中に響いたと言う。

 


 

巨靫蔓(ヴェネンテス)女体型。

原作以上の酸性、耐性、膂力を誇る宝玉の未熟児寄生体。階層主級ではないが推定Lv.は6。

装備次第では体内に落としたLv.5数人とも互角に渡り合える。

通常種と異なり蔓の鞭がバラ鞭のようになっているため攻撃範囲、飛び散る酸の量が数倍になっている。

ただ酸性が強めなので原作のように使える武器は殆ど残っていない。

誰だよこんなのLv.3と2に当てた奴。

普通のLv.3の魔法じゃ傷一つつかないしLv.2の拳なんて効かない。普通ならな

 

 

 

ベル達家族が同じレベルで魔法を使った場合

 

母>ヴァルド>ベルとなる。ただしこれはスキルあり前提

スキルなしの場合

母>ベル>ヴァルドとなる。超短文とはいえ詠唱があるのにスキルがないと無詠唱以下のヴァルドの魔法。

フルチャージならスキル有りでも

ベル>母>ヴァルド

カーリー・ファミリアのバーチェがどうなるかは決めてるんですよ。アルガナはどうしよう

  • フィンに任せる
  • ヴァルドに調き─鍛錬されたティオネが勝つ
  • ヴァルド「戦士の作法を教えてやろう」
  • 船止めるためにぶん投げた石で船ごと沈む
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