オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
デルピュネと呼ばれたモンスターはゆっくりと体を持ち上げる。
巨大で醜悪な黒鱗の竜は、足元に這う虫螻を一瞥し爪を振るう。攻撃ですらない、そこに不快なものが居たから払う程度の動作。だからこそ生き延びてしまい、だからこそ心が絶望に染まる。
「グウウゥゥゥ………」
苛立つように目を細めあたりを見回すデルピュネ。その口内に、火が灯る。瞬間、天井に向かい吐き出された。
「う、うおお!?」
その余波で吹き飛ばされる冒険者達。火球が天井を吹き飛ばし、燃え上がる瓦礫が森に落ちあっという間に階層が火に包まれた。
「階層破壊!? まさか、あのモンスター地上に出る気ですか!?」
「そういえばエレボス様やアストレア様も無視してたわねあれ………」
レフィーヤの言葉にデルピュネを睨みながら呟くアリーゼ。神抹殺の使徒であることには違いないが、あの時も最終的には地上進出を目的としていた。
なまじ階層を越えるだけの力があるからだろうか?
「っ! あのモンスターが落ちた場所、さっきの冒険者達が逃げた方向です!」
ベルがそう言って駆け出そうとする。冒険者達を助けたいのだろう。
「あら助けるの?」
と、アリーゼが首を傾げる。
「このチームで、嫌がらせしてきた相手を? 死んじゃうかもしれないわよ?」
「っ!」
その言葉にリリ達に視線を向けるベル。もう一度モンスターの足元を見て、グッと拳を握りしめる。
「それでも、助けたいです………!」
「リーダーとして正しい選択とは言えないわね。でも好きよ、その『正義』!」
「な、何だありゃ………くそ、お前等巻き込まれる前に撤退を……!」
ボールスは突如現れた
だが………
「無駄ですよ。階層の連絡路は塞がっています」
「【
やってきたアスフィがその判断を否定する。
「ダンジョンは我々を逃がす気がないというわけです。あのモンスターも、地上を目指す前に我々を相手していくつもりのようですよ」
天井の穴を見て、何時でも外に出られると思ったのか街を睨む
「オオオオオオオオオォォォォォ!!」
大気を震わせる咆哮はそのまま破壊力を持ち木々を吹き飛ばす。その咆哮に呼応するように、森の火に逃げ惑って居たモンスター達が踵を返し冒険者達に向かってきた。
数多の怪物を率いる正しく怪物の王は、群れた虫螻を潰すことにした。
「俺達には取り敢えず興味を持ってないみたいだが、良いのか悪いのか」
「悪いに決まってるだろ!? ていうかなんだいあれ?
リヴィラの街が建つ丘を盾にするように隠れるヘスティアとヘルメス。ヘスティアが神を探さず地上を目指し、ついでに冒険者の集団を殺そうとするモンスターに疑問を覚える。
「ここ最近、神のダンジョン侵入が立て続けにあったみたいだからなぁ。少なくとも
「誰だよそのはた迷惑な神々は……………いや、ボクもだけど。うう、無事でいてくれよ皆」
心配そうに覗き込むヘスティア。ダンジョン内において、神にできることはないのだ。
モルド達が動けない。
デルピュネは自分の近くに佇む人間を、モンスターの本能そのままに殺そうと再び腕を持ち上げる。
「【ファイアボルト】!!」
ボゥ! と片目に着弾する炎雷。ダメージはないが、デルピュネの意識がモルド達から別に移る。
「ゴアアアアアアア!!」
「避けろぉ!!」
桜花が叫ぶと同時にベル達が左右に分かれる。放たれた炎が階層の床を大きく抉り飛ばす。深層域の階層主と比肩しうる規格外の
触れずとも肌をさす熱の威力。直撃すれば第二級だろうと消し飛ぶだろう。
「この!!」
「せい!」
桜花と命が接近し己の得物を振るう。が、弾かれる。
「【アルクス・レイ】!!」
レフィーヤの放つ砲撃魔法。光の本流がデルピュネの巨体を下がらせる。
「グルアアアア!」
が、無傷。武器も、魔法も、冒険者の攻撃は漆黒の竜鱗に傷一つつけることは敵わない。
「【
「グゥ!?」
否、一人だけそれが敵う。
Lv.6へとランクアップし都市最強の一角となったアリーゼ・ローヴェルの剣が竜鱗を砕き魔法が肉を焼く。
「っ! 浅い………!」
その傷も、すぐに癒える。超速再生。
ギョロリとアリーゼを睨みブレスは自身を巻き込むと判断したのか、腕を振るう。
「とぉ!?」
纏う火炎を爆発させ空中で跳ねるアリーゼ。腕が通り過ぎた風圧だけで姿勢が崩れ、鞭のようにしなる尾がアリーゼを吹き飛ばす。
「あいたた………あら?」
目が合う。口が開く。慌ててその場から跳び退くアリーゼ。炎が着弾し、爆発した。
主観だが、前回のより強い。
アリーゼ以外は取るに足らないと判断したのかデルピュネはモルド達には意識も向けない。だが、集まってきたモンスター達は違う。
逃げようとしていたモルド達に襲いかかる。
「スコット!? ガイル!? クソ、誰かいねぇのか!?」
仲間とはぐれ、モンスターに囲まれるモルド。一匹ならともかくこの数では………
「ぐあ!?」
バトルボアのタックルで吹き飛んだモルドに牙を剥くバグ・ベアー。
「や、やめろぉぉ!?」
ザン、と魔石ごと胸を切り裂かれ灰へと還るバグ・ベアー。
バグ・ベアーを切り裂いたベルは直ぐ様次のモンスターへと向かう。
「な、なんで………てめぇ…………え?」
ガシリと首根っこを掴まれるモルド。そのまま一気に引きずられる。モンスターの仕業かと見ればリリだった。
「離れますよ! ベル様の邪魔になります!」
「あだだだ!? し、尻が削れる! な、なんだよ!? 何でお前等が俺を助けるんだ!?」
「ベル様がお人好しだからですよ!」
そう言ってモンスターと戦うベルを複雑そうに見るリリ。
「なんじゃ、そりゃあ…………」
モンスターの数が多い。
しかも全部が凶暴化し、負傷しても突っ込んでくる。
「ベル!」
「っ!!」
レフィーヤの言葉にその場から跳び退くベル。レフィーヤは詠唱を完成させた魔法を放つ。
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
魔法の火矢がモンスター達を焼き払う。
「ベル! リヴィラからも冒険者が来ました! 一度彼等と合流しましょう!」
「解った!」
ベルはそう言うとレフィーヤを抱えて走る。
「【解き放つ一条の光、聖木の
Lv.3とはいえ、後衛で、その上並行詠唱を覚えたばかりのレフィーヤは詠唱中機動力がかなり落ちる。Lv.2のベルのほうが速いぐらいだ。なのでこうして運ばせる。
「【汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】 !」
詠唱の完成とともにベルが振り返る。照準は、追ってくるモンスター達。
「【アルクス・レイ】!!」
放たれた光がモンスター達を消し飛ばした。
「よお【リトル・ルーキー】! エルフ抱えて走るたぁ師匠に良く教わってるみてぇだな?」
「……………?」
その言葉に首を傾げるベル。レフィーヤも不思議そうな顔をしている。そんな二人を懐かしむような目を向ける冒険者。
18階層の総力戦が始まった。
カーリー・ファミリアのバーチェがどうなるかは決めてるんですよ。アルガナはどうしよう
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フィンに任せる
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ヴァルドに調き─鍛錬されたティオネが勝つ
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ヴァルド「戦士の作法を教えてやろう」
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船止めるためにぶん投げた石で船ごと沈む