オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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霧の向こうの国

ちなみにヴァルドの他者への経験値補正スキルの範囲はオラリオ全土です。なので今オラリオは空前の成長期になってます。やったね!

畑仕事しかしてないのに『力』の上がり幅が異常な農業系ファミリアは首を傾げている。

 

 

Q.もし貴方一人が誰も来ない地下深くに永劫閉じ込められ世界中の生命に憎まれれば世界が平和になるとしたらどうしますか?『モブ邪神(女神)』

A.回答者『ヴァルド・クリストフ』

世界中から憎まれるのならば、俺を想い泣くものも居ないということだ。引き受けよう、どうせ一度は死んだ命だ。

 

 

と、このようなやり取りをある邪神とした結果、暫く皆に睨まれた。

ちなみにそのモブ邪神は『だがお前が望むのは平穏ではなく混沌だろう?』とヴァルドに眷属ボコボコにされた。

 

最後のマスターになったらモルガンが色んな意味で死にそうになるかも。

 


 

 

「大きい国ですねえ。でも地図には載ってないような?」

「霧の中で道に迷ったのでは?」

「う〜ん、そんなに長いこと霧の中にいましたかねぇ?」

 

 市壁が近づくにつれ国がどれだけ大きいか分かる。とてもでかい。それと、国のシンボルであろう巨大な塔もこの角度からでもまだ見える。

 

「残りのガソリンも少ないですし、追加できるといいですね」

 

 その言葉にふと畑を見る女性。車を珍しそうに見ている住人達。補充は、あまり期待できそうにない。

 

「……………」

 

 ふと窓の外から見える白髪の少年。農夫のようだが、強い。あんな幼い少年が………意外と武闘派の国なのだろうか?

 

 

 

「やはり大きいですね。道をそれたとしても、近くの国で噂になりそうなものですが」

「あ〜、実は異世界とか?」

「何を馬鹿な………」

 

 男の台詞に呆れながら、徐行しながら自分達の番を待つ。

 

「冒険書志望か? それ………魔法大国(アルテナ)の新作か?」

 

 と、門番が車を見ながら尋ねてくる。

 

「アルテナ? いえ、そのような国は存じませんよ?  それと、冒険者志望でもないですね。ただの旅人………観光と買い込みです」

「通行許可証は?」

「そういったものは特に…………」

 

 そういった物が必要なのだろうか?

 だとすると、面倒だが引き返すしかないか?

 

「念の為恩恵(ファルナ)の有無を確認させてほしい」

「ファルナ?」

 

 

 

 

「ランタンを背中に当てて………何だったんですかね?」

「さあ? この国の宗教とか?」

 

 車を徐行させながら進む二人。とりあえずは馬車置き場を利用していいとのことだ。男は地図を確認する。

 

「ふむふむ………こっちが近道ですね」

 

 そう言って路地裏に進むと、男達が道の前に立つ。ニヤニヤ笑いながら後ろにも別の男達。女を見て更に笑みを深めた。

 

「よお、珍しいもん持ってんじゃねえか。俺等に貸してくれよ」

「ちゃんと返すからよぉ、百年後ぐらいに」

 

 ゲラゲラと下品に笑う男達。二人は顔を見合わせた。

 

「なんか前にもありましたね〜。ほら、盗賊に襲われた」

「治安が良いわけではないようですね」

 

 はぁ、とため息を吐きながら車の外に出る女を見て、男達は更に興奮する。

 

「へへ、素直な女だな。このまま大人しくしてりゃ、もっと気持ちいい思いを………」

「……………」

 

 ゴシャ、と女の足が男の股の間を蹴り上げた。

 

「ぱぴょ!?」

 

 泡を吹いて気絶する男。誰もがその光景に固まる中、小柄な男が近くの男の顎を砕く。

 

「て、てめぇ等!?」

「くそ! やっちまえ!」

「はあ、また以前のように罪を着せられる可能性もあります。殺さない程度に…」

「了解です師匠」

 

 響き渡る爆音。この街の男達は、それを知らない。ただ一つ分かることがあるとすれば………

 

「!? いっでぇぇ!?」

「な、なにが!?」

 

 肩や足に穴が空いたということ。

 再び爆音。また男の仲間が倒れる。音がすると、なにかされる。それがなにか解らない。

 その恐怖に男達がパニックになる。取る手段は逃げるか、特攻………。

 

「そこまでだ」

「ぷぺ!?」

 

 と、突如現れた黒いコートの男が女に襲いかかった男達を一気に蹴飛ばす。更に現れた銀髪の女性を乗せた巨大な狼が男達を踏みつけた。

 

「え、でか!?」

 

 小柄なイケメンがグレイウルフのサラを見て思わず叫んだ。女の方も驚いている。

 

「こ、こんどはなんだぁ!? って、あ…………【不死之英雄(ジークフリート)】………終わった」

「げぇ〜!? ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァルド・クリストフゥゥゥゥ!?」

「私もいるよ!」

「【象神の詩(ヴィヤーサ)】!? 第一級とオラリオ最強が、なんだってここに!? クソ、逃げろ逃げろ!!」

 

 と、今度は一人残らず大慌てで逃げ出そうとする。が、道を遮るように現れたのは仮面を被った男達。

 

「最近治安が悪いからねぇ、珍しい物を持った旅人さんにはこっそり護衛をつけてたんだ」

 

 アーディの言葉になるほど、と先程から各所で感じた気配の正体に納得がいくヴァルド。と

 

「そう! そして、俺がガネーシャだ!」

 

 家の上でガネーシャが筋肉を見せつけるポーズをしていた。

 

「旅人達よ、勝手に済まない! だが、安全のためなのだ。このとおり、謝罪のガネーシャ!!」

 

 謝罪しているようには見えない。めちゃくちゃ胸筋をアピールしてくる。

 

「…………撃っていいですかあれ?」

「落ち着け。あれでもオラリオの憲兵とも言われる【ガネーシャ・ファミリア】の主神だ」

「…………主神?」

 

 と、訝しむ女。

 

「そちらの乗り物、ヴァルドの黄金駿馬(グルファクシ)と同じ自走型の魔道具(マジックアイテム)とお見受けする! 現在オラリオに4点、それを狙った盗賊達! だがあんずるな! 何故なら、我が眷属達がいる! そして、俺がその主のガネーシャだ!」

 

 


 

黄金駿馬(グルファクシ)

命名・ロキ 開発者・フェルズ

表向きには制作者不明のヴァルド専用移動魔道具。

ヴァルドの魔法(雷)を動力に稼働する。見た目はサイバーパンクなバイク。ミスリルがふんだんに使用され、突撃と同時に雷を食らわせることが出来る。その際雷光で黄金に光ることが名の由来。かつてこれに乗りオラリオ中を移動し闇派閥を轢いたり現場に駆けつけたりした。

ロキとリヴェリアとアイズとシルとアミッドと椿が乗せてもらった事がある。

 

 

 

 

ホントは何処かで書くつもりがすっかり忘れてたお話

 

 

 【フレイヤ・ファミリア】。

 美の女神であるフレイヤを至高と仰ぐ一団は、彼女の寵愛を求め常に「殺し合い」をしている。比喩ではなく事実として………。

 殺す気で斬りかかり、踏み付け、時に殺されそうになる。そうして他派閥と比べ物にならないほどの成長性を見せるのだ。団長であるオッタルでさえ、愛する女神の横に我が物顔で立ついけ好かない筋肉という認識だ。

 そんな彼等が一番嫌いな相手は誰か、と問われれば間違いなくヴァルド・クリストフと猫が応えるだろう。

 寵愛を求め鎬を削る自分達の闘争に、寵愛を求めず入り込み、しかも強い。そして何より、女神に関心を持たれそれを拒絶したくせに『娘』と仲が良い。「ふざけんな、死ね」と4兄弟は息ぴったりに叫んだ。

 その敵意を自覚しながら平然と闘争に入る神経の図太さには「う、羨ましいなぁ」と黒い妖精は一種の尊敬を覚える。

 フレイヤの派閥にあらずしてフレイヤ派閥の持つ恩恵とも言える「殺し合い」に参加し力を付けついには英雄になったヴァルドを「常識が通じん」と白い眼鏡は呆れた。

 さて、そんな彼等はつい先日ヴァルドに負けた。

 そりゃもう完膚なきまでに完敗だ。そして、その数日後に団長がLv.8へと至る。

 大嫌いな奴に負けて、しかも超嫌いなオッタルが先に進んだ。そんな【フレイヤ・ファミリア】で何が起こるか?

 

「死ねええええ!!」

「【永争せよ不滅の雷兵(らいそう)】!!」

「我が剣の錆となるがいい!」

「「「「斬撃飛ばしてんのに血がつくか間抜け!!」」」」

 

 答え、何時もより激しい殺し合いが起こる。

 腕が千切れる。足が斬られる。内臓が飛び出す。顔が焼ける。

 知ったことかと治させ再び闘争の中に。

 さて、こんな状況で誰が一番疲れるだろうか?

 眷属が殺し合いをしてしまう女神? 楽しそうねと笑った後最近出来た『娘』の下に向かった。

 巻き込まれた未熟な戦士達? 知るか、ここはそういう場所と知って入ったんだろうが。

 なら答えは?

 

「…………訴えて、やる………絶対に、訴えてやる……ガク」

「ヘイズ様が精神枯渇(マインドダウン)! マナポーション、在庫ありません!」「追加のハイポーション、エリクサー買ってきました!」「マナポーションは!?」「買い出し中!」「薬草、在庫尽きました! 買い出しに行ってきます!」「怪我人です!」「ポーションでもぶっかけておいて!」

「おい、早く治せ!」

「「「「うるせえ死ね!!」」」」

 

 答えは『満たす煤者達(アンドフリームニル)』達である。

 治療担当の治療師(ヒーラー)や薬師達は、ただでさえ酷使されているのにさらなる過酷にとうとう筆頭たるヘイズが労働環境改善を願い意識を手放した。

 かつて一人で「殺し合い」を支えた経験のあるヘイズの脱落に阿鼻叫喚の『満たす煤者達(アンドフリームニル)』達。このままでは死者が出る。もういっそ死ねマジでと本心では思っているが、それでも彼等は敬愛するフレイヤの所有物なのだ。と………

 

「ぐぽぉ!?」

 

 どこからか飛んできた瓶が戦士の一人にぶち当たり砕ける。中の液体がかかった戦士の傷が回復した。

 エリクサーだ。だが、何処から?

 

「手伝おう」

 

 と、ポーションやエリクサーの瓶が大量に入った木箱を抱えて降りてきたのはヴァルド・クリストフ。

 

「「「ヴァルド様!!」」」

 

 名前を知ってるだけの新入り達の困惑をよそに5年前からいる古株達の顔に笑みが浮かぶ。

 

「「「ああ!? ヴァルド・クリストフだぁ!! 殺せ!!」」」

 

 向かってくる戦士達。その中で特に重症なものに向かいエリクサーをぶん投げるヴァルド。壁まで吹き飛び気絶した男はエリクサーの効果で回復した。

 残りの面子も同じように傷の程度に合わせた薬の入った瓶を投げつけ、軽傷の者はすれ違うと同時に地面に倒れる。

 

「!? な、治せ!」

「………関節が外されてますね。治癒魔法や薬では治りません」

 

 そういう処置だ。脳を揺らす、関節を外す、肺の中の空気を吐き出させ気絶させる。治癒魔法や薬では治せない。

 

「くそがあああ!」

「アレン達か………マナポーションもある、魔力をためておけ。流石に奴等に手を抜けない」

 

 

 

 

「うぅ………もう、働きたくない…………ん?」

「起きたか、ヘイズ………」

 

 夢の中まで忙殺されていたヘイズが目を覚ますと自室にいた。土鍋が置かれ、ヴァルドが本を読んでいた。

 

「どうして貴方が?」

「連日騒がしいから来た。俺の責任だ」

 

 騒がしいと聞いて、ヴァルドが原因で『満たす煤者達(アンドフリームニル)』が激務に追われているのだろうと手伝いに来てくれたらしい。

 ほんと、こういう気遣いを欠片でもできないのだろうかあの猪共は。

 

「りんご粥だ、疲れていても食える」

 

 そう言って土鍋のフタを開けると林檎の甘い香りが立ち上る。差し出された蓮華を口に含み一口味わう。酸味と甘味、煮立てたあと追加された擦り下ろされた林檎のシャリシャリした食感が気持ちいい。

 

「連日は無理だが、暫くは手伝おう」

「そう言ってもらえると助かります。いや、本当に…………」

 

 

 

 

 その頃。

 

「また恥ずかしげもなく食べさせて。そんなことしなくても食べれるのはわかっているでしょうにどうしてそんなに簡単にやるんですか。この前だってあの子にケーキを作ってあげる時にあの人を通して私に……相変わらず美味しかったけどどうせそれも共に逃げたあの女に作ってやったから腕が落ちなかったんでしょうね。5年もずっと一緒に子育て、本当にいやらしい。だいたいこうして迷惑をかけるとわかっていながらどうしてそれをやめないんですか。やめる気なんてどうせない、反省なんてしていない。貴方のせいなのに恩着せがましい! 力なんて求めなければいいのに、それでも求めるんでしょうね。自分が最も危険なことをすれば自分より才能がある者達が真似してくれるはずだと、その結果自分が死ぬような事でもその者達なら死なないからなんて勝手な妄想をして………身勝手身勝手身勝手! そもそもここを利用するのが身勝手の極み。だったらいっそこのファミリアに………いえ、いいえ。それは駄目、そんなの耐えられない…」

「せ、先輩……」

「貴方が入ったの3年前だったわね。目を合わせちゃ駄目よ、飲み込まれるわ」

 

 

 

その後

 

「チッ、早く治せ。それが仕事だろうが」

「────」

 

 ブチッ。

 

「ヘイズ様ご乱心、ごらんしーん!!」「誰かぁ、止めてぇ!」「無理無理無理!」「ああ、ヴァン様が殴り殺される!?」「レクス様が蹴り飛ばされた!?」「誰か第一級呼んできて!」「全員ダンジョンか護衛です!」

 

 

 

 

「ヘイズ? 珍しいな、お前と外であうとは」

「ヴァルド………と【戦場の聖女(デア・セイント)】」

「………どうも」

 

 『銀の聖女』、『金の魔女』という呼び名もあるオラリオ二大治療師。何かと比べられることの多い二人はしばし無言で見つめ合う。別段敵対はしていない。

 ヘイズは素直にアミッドの方が治療師としては格上だと認めている。アミッドも優秀な治癒師がいるのは嬉しい。

 ただし、二人の共通点はヴァルドの知り合い………

 

「…………この前はありがとうございます。また、何時でもうちに訪ねてきてください。今度はお礼をします」

「そうか」

「………うちに?」

「ええ、手伝いに来てくれたんです。私は、心配されてますから」

「そうですか………私は、されたことはありませんね。私は()()()()()()()()()()

 

 ピキリと亀裂が走ったような音が聞こえ、たまたま目撃していた神々はすっと座り経過を見守る。

 

「ちょうど依頼の報告に来てくれたところなんです。()()()()()()()()()()

「ああ、だから一緒に………そういえばヴァルド、外で会うのは珍しいと言っていましたね。ギルドに報告した帰りなんです、ランクアップの」

「ランクアップ。そうか……第一級の治癒師とはな」

 

 と、ヴァルドが笑う。その笑みを向けられたヘイズはチラリとアミッドを見てフフンと勝ち誇る。

 

 

 

ヘイズ

第一級冒険者。

愛は全てフレイヤに捧げているし二人が敵対したら迷わずフレイヤにつくが、それはそれとしてフレイヤに子を残せと言われたら真っ先に(というか唯一)頼む相手は決まっている。

【フレイヤ・ファミリア】の第二級冒険者達をボコボコにしてランクアップした

そろそろ100話。さて、どんな話書こう

  • ツンギレ猫と妹猫との馴れ初め
  • 町娘との出会い
  • 異端児との出会い
  • ロキ・ファミリア入りたて
  • ルノアとクロエとの出会い
  • 輝夜とデート
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