良かったら、誤字とかと一緒にご報告お願いします。
11話 魔物の町に注目する者達
ドワーフの王ガゼル・ドワルゴは、暗部より報告を受けると思案に暮れる。
気になる魔物スライムを観察するよう申し付けた暗部は、無視出来ぬ報告を王へともたらしたのだ。
魔物の住む町を建設中。
冗談か? そう思いかけたが、暗部が冗談を吐く事など有り得ない。
事実を端的に報告してくる。そして、報告には続きがあった。
謎の魔物集団の参戦により、終戦。
謎の魔物達は、例の魔物スライムの一味であると思われる。
「───王よ、暗部はなんと?」
「…新勢力の介入により
「なんですって!?一体どこの国の部隊が…」
「国と呼べるかはまだわからんな」
報告書を蝋燭の火にくべて、燃やす。
「確認出来たのは、ホブゴブリンに牙狼族の変異種、それに鬼人と思しき、魔人が4名…それに恐らく、スキルだろうが、不思議な力を使う人間が1人…」
「鬼人!?」
「その全てが例のスライムの配下だと思われる…という報告だ」
「鬼人を従えるスライムだって?
「どうなさるおつもりですか、王よ」
現在、森の魔物の活性化による被害は思いのほか少ない。
ヴェルドラが存在していた時期より若干増えたのは確かだが、多い年と比べたら差異は無かった。
最低でも、この倍以上の被害が出ると予想されていたのだ。
森の治安を維持する要因があるのは間違いない。それは恐らく、例の魔物スライムが関係している。
そして、豚頭族オークの群れの暴走と終息。
もし、オーク達が暴走を続け町へと雪崩れ込んでいたら、被害の規模は想像を絶する。
その矛先が自分達へ向かなかったという保障は無い。事は、運が良かったで済む問題ではないのだ。
至急、会う必要がある。王の判断は早かった。
敵にまわるのは避けたい。幸いにも、自分達には、ドワーフの協力者がついている。
国外追放の件には触れず、上手く交渉を進めるべきだ。
いや…、それよりも確実な手を打つ方が良いかも知れぬ。
王は決断を下し行動を開始する。
「決まっておろう」
王は燃えカスとなった紙から手を放す。
「余、自ら見極めてやろうではないか…あのふてぶてしい、スライムの正体をな」
────────────
ある魔王の城にて、3人の魔王がテーブルを囲んで座っていた。
「…来ましたか」
4人目の魔王がようやく来たようで、4人目の魔王…ツインテールの少女は空いていた席に座り込んだ。
「で?計画はどうなったのだ?」
「それが…」
少女は白いタキシードのような者から、計画の失敗を聞く。
「───何だと!?では、
「ですからミリム、
「久々に新しい
ミリムと呼ばれた少女は、イラついていたのか、机の上にあったティーカップを投げつけた。
「つまらぬのだ! どこのどいつなのだ!?
イラつきながら、ミリムは椅子に座り込んだ。
「そもそも、ゲルミュッドの野郎は急ぎすぎたな、計画の言い出しっぺが、出張って返り討ちに遭うなんざ、世話のねぇこった」
金髪の男、十大魔王が一柱 カリオンが椅子に持たれていた。
「カリオンの言う通りなのだ! フレイもそう思うだろ?」
背中から翼が生えている十大魔王が一柱 フレイと呼ばれた女性は、呆れた表情を浮かべ
「あのねぇ、ミリム…私があなた達の計画とやらを知るわけがないでしょう?」
どうやら、フレイは無理やり連れて来られたようだ。
「む、そうか」
あっ、とした表情をミリムは浮かべた。
「つーかよ、なんでここにいるんだ、フレイ」
「それは私が聞きたいくらいだわ」
カリオンの質問にフレイは少しだるそうに答えた。
「面白いから来いって、ミリムに無理矢理連れて来られたのよ…私は忙しいと、断ったのだけどね」
フレイの言葉に、ミリムは満面の笑み浮かべていた。
「いいのかよ、クレイマン」
「……」
カリオンにクレイマンと呼ばれた白いタキシードのような物を身に纏っていた男は
「…まぁ、いいでしょう、今更です」
パチン、と指を鳴らし、4つの水晶玉を出現させる。
「ひとまず、計画は頓挫したわけですが…少々軌道を修正してやれば、まだチャンスはあります」
十大魔王が一柱 クレイマンは、4つの水晶玉に片手をかざしては、水晶玉を光らす。
「まずはこれをご覧ください」
「なんだこりゃ」
カリオンが不思議そうに水晶玉を覗き込む。
「ゲルミュッドの置き土産です」
「む?なんなのだこいつら」
ミリムが持ち上げた水晶玉には、ベニマル、ハクロウ、シオンが映った。
「鬼人?」
ミリムがボソッと、呟くとクレイマンが続けて喋り続けた。
「ジュラの大森林から湿地帯にかけての戦いの記録です…
水晶玉にはベニマル達だけどはなく、ソウエイ、ランガ、リムル…そしてレットバスターに変身するエムルが映っていた。
「おお…っ!」
目をキラキラと光らして、ミリムが水晶玉を見ていたが、突然真っ暗になる。
「ゲルミュッドが死んだせいで、これ以降の展開は不明ですが、これ程の者達が相手となると、
「もしも、生き残っていた場合、彼らを餌に
クレイマンとフレイが話し合っている中、ミリムはもう一度、水晶玉の映像を再生した。
「そうでなかったとしても、彼らの中には、魔王に相当する力をつけている者がいるかもしれない…なるほどね、つまり貴方達の計画というのは、新たな魔王の擁立…といったところかしら」
「さすがフレイ、ワタシ達の目論見を見事に看破するとは!」
ミリムは、満面の笑みを浮かべながらフレイを褒めた。
「呆れた、随分大胆なことを考えたものね…あの森が不可侵条約に守られていることをお忘れかしら」
「
呆れているフレイに対して、クレイマンは紳士的な笑みを浮かべる。
「いいじゃねぇか、別に大軍率いて、攻め込もうってワケじゃねぇし…強者を引き入れるチャンスだっつーから、俺も乗ったんだ」
カリオンは、1つの水晶玉を掴み、映像を再生し始める。
カリオンが持った水晶玉には、エムルが映っていた。
「見た限りじゃあ、
クレイマンは椅子に平然と座りながら、考え事をしていた。
(…まぁカリオンとミリムはそんなところでしょう…問題は飛び入りのフレイですが…来訪時から何か別のことに心を囚われている様子、その内容によっては恩を売ることが可能でしょう)
魔王間の条約において、その可否を決める時、提案した魔王の他、二名の魔王の賛同が必要となる。
自分の意見に追従する。魔王の存在は他の魔王に対し大きく優位性を得ることになるのだ。
(…悪くない。
「では、今から生き残った者へ、挨拶に行くとするか!」
「…は?」
ミリムは胸を張って宣言し、その宣言に対して、他の魔王達は驚いていた。
「いやいやいや、落ち着けよミリム、ジュラの大森林には不可侵条約があるっつってんだろ」
「そうですよミリム、堂々と侵入しては他の魔王たちが黙っていません。まずは私が内密に調査を…」
クレイマンの提案にミリムはきょとんとした顔で
「何を言っているのだ…不可侵条約など、今この場で撤廃してしまえばいいではないか、ここには魔王が四人もいるのだぞ?」
「え!?…あっ」
全員がはっとした表情を浮かべる。
「あの条約はそもそも、暴風竜ヴェルドラの封印が解けないように締結されたものなのだ…暴風竜は消えたというウワサだしな、もう必要なかろう? 数百年前の話だし、お前達は若い魔王だから、知らないのも無理はないのだ」
他の魔王達は互いの顔を見合わせ
「そういうことなら、条約破棄に反対する者もいないだろう…俺は賛成だ」
「私も賛成ですわね、元々私の領土はあの森に接しているし、不可侵と言われても面倒だったのよね」
最初に賛成をしたのはカリオンだった、それに続いてフレイも賛成した。
クレイマンはため息をした。
(…最も単純に見えて最も老獪な魔王、やはり侮れませんね)
「…いいでしょう、私も条約の撤廃に賛成です」
クレイマンが指を鳴らすと、書類とペンが現れた。
「今すぐ、他の魔王たちへ通達しましょう…受理が確認され次第、行動を始めることになります…無難なのはまず、人をやって調査することかと思いますが…」
「おいおい、こりゃ新しい戦力を手に入れようって話だろ。まさか協力しよってか?」
「そうね…どうせなら競争した方が潔いのではなくて?…それで遺恨を残すほど、器の小さい者はここにはいないでしょう?」
「いいな、それ。恨みっこなしで、早い者勝ちなのだ!」
一番最初に書き終わったミリムがにこやかに言った。
「お互いに手出しは厳禁、約束なのだぞ?」
「ええ、わかったわ」
「
「そうなるだろうと思いました…では、今後は各々の自己責任ということで」
クレイマンはため息をつくなか、ミリムは
「ワタシはもう行くのだ!…またな!!」
笑いながら部屋から出て行った。
「俺ももう行くぜ、配下から調査に向かうヤツを選らばにゃならねぇ」
「ワタシも失礼するわ」
ミリムに続けてカリオンとフレイも立ち上がって、去ろうとする。
「フレイ」
クレイマンがフレイの名前を言い、フレイを止めた。
「何かお困りでしたら、相談に乗りますよ…いつでも頼ってください」
「……」
紳士的な笑みを浮かべているクレイマンを少しの間、振り返って見ていたフレイは、正面に顔を向け
「…そ、ありがとう」
そう言っては去っていた。
最後のフレイが去った後、クレイマンはニィと笑う。
「ミリム、カリオン、そしてフレイ…さてさて、また森が騒がしくなりそうですね…」
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