「お前、魔素量上げた方がいいぞ」
縁側でくつろいでいたら、スライム姿のリムルがなんか言ってきた。
「なんで?」
別に魔素量を気にしてなかった俺は不思議そうにリムルに聞いた。
「だって、お前の魔素量この町で低い方だぞ、実力はお前の方が高いけど…魔素量で言うと、まだまだだ…だからこそ、魔素量を上げる必要があるんだよ」
スライム顔でニヤっと笑ったリムルに、俺は恐る恐る言った。
「魔素量を上げる方法とかあるのかよ…まさかと思うが、お前みたいに魔物を食らうとかじゃないよな?」
「そのまさかだよ」
かっこつけた顔で言うリムルに対して、俺はその場で固まった。
何言ってんだこいつ、俺にはそんな便利なスキルなんてないし、俺は普通の人間だ。
「実はな、いいスキルを俺(大賢者)が見つけたんだよ…その名も、エクストラスキル悪食!」
人の姿へと変わったリムルは自慢げに言った。
悪食…聞くからにやばそうなスキルだなおい…!
「まあ、百閒は一見に如かずだ!…それじゃあ、俺は悪食の習得に居る物を取ってくる…!」
そう言い、リムルは翼を背中から出し飛び去って行った。
いやな予感がする…
嫌な予感を感じつつも、俺はリムルの帰りを待った。
数分後、リムルが帰ってきた…デカい蝙蝠を片手に、
「さあ、食え!」
笑顔で蝙蝠を俺の横に置く。
…何これ、嫌がらせか?
「…マジで行ってる?」
「マジだ、悪食の習得方法は、人が食べないゲテモノを食べること…俺ら魔物は習得できにくいが、人間のお前なら習得できるはずだ…あっ、ちなみに調理したら意味がないから生で食えよ、お前の場合
こ、この悪魔がぁ~…!!いくら、俺のスキルが不死だからって、それはないだろ~…
だが、これしか俺の魔素量を上げるしか方法がない…ええい!男は根性!!
もうどうにでもなれと思いながら、俺は蝙蝠にかぶりついた。
マッッッッッッズゥ!!!
心の中でそう叫んだ。
うへぇ、クソ不味いぃ…!
後で美味しい物を食べようと思いながら、俺は食べ続けた。
蝙蝠を数十分かけて、食べ終わった時
《確認しました。エクストラスキル『悪食』を獲得…成功しました》
マジでゲットしちゃったよ…悪食…
確認し終えた俺は、すぐさま口直しのお菓子を食べた。
ああ、いつも食べているお菓子なのに、なんでこんなにも美味しいんだろう…
俺がシミジミとお菓子を食べていたら、
「はい、追加入りまーす!」
そう言い、リムルがいつの間にかに作っていた魔物の料理が運ばれてきた。
数匹の蝙蝠の天ぷら、蛇の丸焼き、そしてやばいオーラを出している紫色の物体。
「な、なぁ…まさかとか思うが、これ全部食べろと?」
「そうだが?」
……こいつの前世マジで何やってたんだよ!
絶望をしている俺に、リムルはポンと、肩に手を置いては
「安心しろ、最後の物体以外はゴブイチが美味しく仕上げてくれたから…」
「…おい、じゃあこのダークマターみたいなのは誰が作ったんだよ…」
「………シオン…」
「」
嗚呼…なんだか今、俺のシオンのイメージがバラバラと崩れ去っていく気がする…
「ま、まあ上手いことに言ったら、ゴブタのように耐性を手に入るかもしれないから、がんばれ!…じゃあ、俺は町の様子を見てくるから!」
リムルはそそくさと、その場を去っていった。
逃げたな、あのプニプニ…
しばらく料理を見つめては、恐る恐る蝙蝠の天ぷらを箸で取り、出汁につけて食べる。
触感は良くないが、先程の蝙蝠と比べたらましだ。
下処理をしてくれているお蔭か、生よりマシだ。
サクサクと食べ進めては、次は蛇の丸焼きだ。
結構な大きさのだから、食うのに時間がかかりそうだな~と思いながら、食べ始める。
美味い、物凄く美味い!…蛇肉は鳥肉とかと似ているとよく効くが、その通りかもしれない。
だが、俺は途中で箸を止めた、いや手が止まったのだ。
ビリビリと全身が痺れる…もしかして、これって…
《確認しました。麻痺耐性を獲得…成功しました》
あのクソスライム…!!相手を麻痺らせる能力を持っている蛇を喰わせやがった!
ま、まあ…麻痺耐性が入ったのはいいかもしれない、うん…問題がこれだよ
チラッと、俺はダークマターに目を向けた。
オォォオォォォオォ
なんか叫んでるよ!何をどうすればそうなるんだよ!
こ、この場で俺の命が助かる方法は…
辺りを見渡しても、誰も居ない…あぁ、終わった…
腹をくくり、思い切って俺は食べた。
「…グ…ぐがああぁあぁぁぁあ!!」
一口食べた瞬間、俺は地面に倒れこんではのたうち回った。
「あがあぁぁぁあぁぁああ!!」
散々叫んだあと、俺は泡を吹いた。
《確認しました。毒耐性を獲得…成功しました》
意識がもうろうとしている中、声が聞こえ、俺はその場で気絶した。
────────────
気が付いた時、俺はベットで寝かされていた。
「おぉ!お目覚めになりましたか!エムル様!」
ふと、声がした方を見ると、この前の戦いに居たガビルが居た。
だが、カビルの姿は少し変わっていた。
聞いたら、どうやら
「我らは、リムル様に名づけをしてもらったため、
「お、おう…」
こうして、ガビル達が仲間となった。
そして、どうやら
角や羽は収納可能のようなので、人間の国とかで、諜報活動なんかもできそうだ。
余談だが、リムルはガビルを最後に名付けた後、
それを聞いて俺は、心の底から笑った。
────────────
数日後、俺は死に物狂いで魔物を食べて行ったため、『悪食』のお蔭で魔素量がどんどん増えていき、今ではシュナと同等の魔素量になっていた。
自分用に作ってくれた自部屋で、今日も今日とて、ゴブイチが美味しく仕上げてくれた魔物の料理を食べている。
あんなに不味い魔物をどうすれば、こんなにも美味しく作れるのだろうか…!
…そういえば、ベニマルが死んだ目で、
「も、もう魔物の料理を食べるのはやめてください…!!」
と、必死に止めて来たな…何故だがは知らんが…
ふと、ダークマターを思い浮かべる。
ま、まぁ、気のせいだろうな…うん、きっとそうだ!
俺がいつも通りに飯を食べていたら、外が騒がしくなってきた。
「エムル様!」
俺のところに来た筋肉マッチョのホブゴブリンである、リグルドが慌てた様子で入ってきた。
「どうしたんだ?」
料理を口にほおばりながら俺は尋ねた。
「実は、リムル様が避難命令を出されまして…」
リムルが避難命令を?…なんかやばそうだな…
「分かった、俺はリムルの下に向かう…リグルドは引き続き、皆の避難誘導を頼む」
「ははっ!」
一礼をしたリグルドは、部屋から出て行った。
魔力感知をフルで発動させていると、リムルと髭の濃いおっさんが剣を抜いて、一騎打ちをしていた。
おっさんの後ろには、ペガサスと武装した兵士達が居た。
そして、リムルの後ろには、何故かブチ切れ寸前のベニマル、ソウエイ、シオン、シュナが居た。
どういう状況だよこれ!
そう思いながら、現場へ向かった。
『悪食』
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