転生したらスーパー戦隊になっていた件   作:盈月さん

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15話 ミリム旋風

「ほう?お前はワタシに通用しそうな攻撃手段を持っているのか?」

 

「一つだけな」

 

「わはははは!いいだろう、受けてやるのだ」

 

リムルの言葉を聞いて、ミリムは笑う。

そして、付け加えるように条件を付けた。

 

「ただし、それが通用しなかったらお前は、ワタシの部下になると約束するのだぞ?」

 

こっちから仕掛けたのに、部下になるだけでいいのかよ…案外優しいな

 

「分かった…では喰らえ!」

 

リムルは少し体を動かしたのち、深呼吸をしては地面を蹴って、ミリム目掛けて走り出す。

リムルは走りながら右手に握りこぶしを作る。

どうするつもりだ?

次の瞬間、リムルはミリムに何かを食わせた。

ミリムに何かを食わせたリムルは、少し距離を取る。

しばらくの沈黙が続いたが、次のミリムの言葉で沈黙が破られた。

 

「…………な、なんなのだこれは!?こんな美味しいもの、今まで食べた事がないのだ!!」

 

目をキラ付かせながらミリムが言った。

 

「くっくっくっどうした、魔王ミリム…こいつの正体が気になるか?」

 

リムルは空中に何かを浮かばしている。

俺はよく黄色の液体を目を凝らしてみていたが、すぐに気づいた。

あれは蜂蜜だ。

リムルの奴、いつの間に手に入れてんだよ…自分はうまい物を食って、俺には魔物を食わせてたのか…

後で問い詰めようと俺は心の底から思った。

そうこうしているうちにリムルは、ミリムの子供心を揺さぶって、今後、手を出さないことを約束させた。

リムルが勝利し、俺たちは町に戻ることにしたのだが…

ベニマル、ソウエイ、シオンが俺らの前を歩き、俺とリムル、そして何故か居るミリムは、ランガの上に乗って三人の後を追うように町に戻っていた。

ミリムはご機嫌そうに、リムルが渡した蜂蜜を舐めていた。

なんでいるんだ、こいつ…

 

「なぁなぁ、お前らは魔王になろうとしたりしないのか?」

 

「…しねーよ」

 

「同意見」

 

いきなり、聞いてきたミリムに対して俺は、何言ってんだこいつと思いながら、答えた。

 

「え、だって、魔王だぞ!?格好いいだろ?憧れたりとか、するだろ?」

 

「しねーって」

 

「嗚呼…」

 

ほんと、何だよこいつ…

 

「えええー---!?じゃあ何を楽しみに生きているんだ!?」

 

「そりゃあ色々だよ、やることが多くて大変なんだぞ」

 

確かにな、ここの所色々としてるから大変だな…魔王が来たら余計忙しくなる。

 

「でも…魔王は魔人や人間に威張れるのだぞ?」

 

「退屈なんじゃないか?それ」

 

「うん、俺もそう思う」

 

リムルの言葉に、雷にでも打たれたかの如く、衝撃を受けた表情になる魔王。

どうやら退屈していたようだ。

リムルの言葉が図星過ぎて、言葉も出ないのだろう。

そう思っていたら、前に居た俺の両肩を両手で掴んでは、

 

「おま、お前ら!?魔王になるより面白い事してるんだろ!?ズルイぞ!ずるいずるい!!もう怒った。ワタシも仲間に入れるのだ!!」

 

俺を前後に激しく揺らしてきた。

魔王だからか、力が半端ない。

誰だよこんな駄々っ子を魔王にした奴は!

 

「分かった、分かった!俺達の町に案内するから!…いいだろ、リムル!?」

 

「…嗚呼、分かったよ」

 

「本当だな!?」

 

リムルはため息をついて、ミリムが町に行くことを承認した。

嗚呼…危うく、脳がバターみたいになるところだった。

 

「えー…じゃあ、俺とエムルはお前のことをミリムと呼ぶ、お前も俺らのことはリムルとエムルと呼んだらいい」

 

「むっ、いいけど…特別なのだぞ?」

 

ミリムは溜息をついては、説明をする。

 

「ワタシをミリムと呼んでいいのは仲間の魔王達だけなのだ」

 

「はいはいありがとうよ…じゃあ、今日から俺達も友達だな」

 

友達…

友達と聞いた瞬間、頭痛がして、俺は頭を片手で抑えた。

 

「大丈夫ですか?エムル様…」

 

「嗚呼…大丈夫だ」

 

心配してくれたシオンに礼を言い、ランガから降りる。

 

「ホラ、着いたぞ」

 

俺たちの町を見て、ミリムは初めて遊園地に来た子供のような表情を浮かべる。

 

「「ようこそ、魔国連邦(テンペスト)へ」」

 

辺りをキョロキョロと見渡すミリムに、リムルは約束事を言った。

 

「とりあえず、これだけは約束してくれ、まずウロチョロしないこと、それから俺らの許可なく暴れないこと」

 

「うむ!」

 

ミリムは返事をした瞬間、走っていった。

 

「っておいいい!!」

 

「待て―!ミリムーー!!」

 

これは想像以上の重労働だな。

いとことレジャーランドに行った時、監視を任された時みたいだな!

そう思いながら、俺らはミリムを走って追いかけた。

 

「リムル様にエムル様、丁度良かった。回復薬についてお話が…」

 

すると、反対方向から回復薬の生産を任せれているガビルが、部下の一人とこちらにやってきた。

ミリムはガビルを見つけては、傍に近寄った。

 

「おお!龍人族(ドラゴニュート)ではないか!珍しいな!」

 

「我輩はガビルと申す!この町は初めてか、チビっ娘よ」

 

そう言いながら、ガビルは笑顔でミリムの頭を撫でた。

 

「…チビッ娘?…それはまさか、ワタシの事か?」

 

「えっ」

 

チビッ娘扱いされたミリムの殺気は半端なかった。

 

「おい、待っ…」

 

リムルが止めようとした瞬間、ミリムの左ストレートが炸裂し、ガビルの腹に突き刺さる。

ガビルは道の舗装を壊しながら吹き飛んでいった。

 

「「ガ…ガビルーっ!!」」

 

煙が晴れ、ガビルの姿を見ると、某犬神家の一族のポーズをして気絶していた。

 

「いいか、リムルとエムルとの約束があるから、今回はこれで許してやるのだ…次はないから気おつけるのだぞ」

 

どうやら、一応暴れないという約束は守ってくれた…らしい。

ガビルの部下が持っていた回復薬をかけて、ガビルの傷を治す。

 

「はっ、親父殿が川の向こうで手を振って…」

 

「いや、アビルは健在だろうが」

 

ガビルにツッコミをしながら俺は、ゲルドに直してもらわないっと思っていた。

 

「し、しかしあの娘…いや、お嬢様は一体…」

 

「ああ、あれが魔王ミリムだよ」

 

「ほほう、あれが……はぃいーッ!?」

 

リムルの回答に驚くガビル…うん、気持ちは分かるよ、うん。

これはミリムの姿を覚えてもらった方がいいな…ゴブタとか知らず知らずのうちに地雷を踏みそう…

それは、リムルも同意見だったようで、ガビルに頼んで皆を中央広場に集まるように伝えた。

 

「アイツ結構頑丈だったな! 今度はもう少し、強めで行っとくか?」

 

俺、リムル、ミリムは皆が集まるまで、中央広場に設置されている舞台の上で、ポテチ(もどき)を食べて待っていた。

リムルがミリムに軽く説教している中、俺は久々の日本のお菓子に夢中になっていた。

ポテチが美味しい…!久々のポテチはこんなにも美味しい物だったのか!

 

「ええと、今日から新しい仲間が滞在することになった」

 

俺がポテチに夢中になっていたら、皆が集まっていた。

ドワーフのドルドが作った魔イクでリムルが話し始めた。

 

「客人という扱いなので、くれぐれも失礼のないように」

 

ミリムの姿が見れた者達が、少し騒がしくなる。

 

「じゃ、本人から一言」

 

「うむ」

 

リムルから魔イクを受け取ったミリムは、

 

「ミリム・ナーヴァだ、今日からここに住むことなった、よろしくな!」

 

え?…待て待て待て!そんなの聞いてないぞ!

 

「待て待て待て!どういう意味だ!?」

 

俺がミリムに問いただすとミリムは平然とした顔で

 

「そのままの意味だぞ?ワタシもここに住むことにしたのだ」

 

「おい、ミリム…お前には今住んでいる所があるだろ?」

 

「大丈夫なのだ!たまに帰れば問題ない!」

 

胸を張って答えるミリム。

なんてこったい、これからさらに忙しくなるのかよ…

俺は頭を抱えて、しゃがみこんだ。

唯一の救いは住民の感触が悪くないことだ。

 

「うむ、ワタシとリムル、エムルは友達だから、何かあったらワタシを頼ってもいいのだ!」

 

皆が歓喜の声を上げる中、俺とリムルはそれぞれ端の方で頭を抱えて、しゃがみ込んでいた。

 

「…いや、そ、そうだな…友達というより…親友(マブダチ)だな!」

 

え?

ミリムの言葉に驚く俺とリムル

 

「えっと…親友(マブダチ)?」

 

リムルが呟くと、聞こえたミリムは

 

「ち、違うのか!?」

 

右拳を作り、魔素を集中させる。

 

「冗談だよ冗談!!リムルは人を驚かせるのが得意だからな!なーリムル!」

 

「お、おう!そうだ!俺たちは親友(マブダチ)だ!」

 

あ、危ない…!危うくこの町が吹き飛ぶところだった…

かくして最も危険な魔王がテンペストに滞在することなったのだ。

はぁ、この先が思いやられる…




あれ?ここの所、スーパー戦隊要素が少ない気がする。

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