「ほう?お前はワタシに通用しそうな攻撃手段を持っているのか?」
「一つだけな」
「わはははは!いいだろう、受けてやるのだ」
リムルの言葉を聞いて、ミリムは笑う。
そして、付け加えるように条件を付けた。
「ただし、それが通用しなかったらお前は、ワタシの部下になると約束するのだぞ?」
こっちから仕掛けたのに、部下になるだけでいいのかよ…案外優しいな
「分かった…では喰らえ!」
リムルは少し体を動かしたのち、深呼吸をしては地面を蹴って、ミリム目掛けて走り出す。
リムルは走りながら右手に握りこぶしを作る。
どうするつもりだ?
次の瞬間、リムルはミリムに何かを食わせた。
ミリムに何かを食わせたリムルは、少し距離を取る。
しばらくの沈黙が続いたが、次のミリムの言葉で沈黙が破られた。
「…………な、なんなのだこれは!?こんな美味しいもの、今まで食べた事がないのだ!!」
目をキラ付かせながらミリムが言った。
「くっくっくっどうした、魔王ミリム…こいつの正体が気になるか?」
リムルは空中に何かを浮かばしている。
俺はよく黄色の液体を目を凝らしてみていたが、すぐに気づいた。
あれは蜂蜜だ。
リムルの奴、いつの間に手に入れてんだよ…自分はうまい物を食って、俺には魔物を食わせてたのか…
後で問い詰めようと俺は心の底から思った。
そうこうしているうちにリムルは、ミリムの子供心を揺さぶって、今後、手を出さないことを約束させた。
リムルが勝利し、俺たちは町に戻ることにしたのだが…
ベニマル、ソウエイ、シオンが俺らの前を歩き、俺とリムル、そして何故か居るミリムは、ランガの上に乗って三人の後を追うように町に戻っていた。
ミリムはご機嫌そうに、リムルが渡した蜂蜜を舐めていた。
なんでいるんだ、こいつ…
「なぁなぁ、お前らは魔王になろうとしたりしないのか?」
「…しねーよ」
「同意見」
いきなり、聞いてきたミリムに対して俺は、何言ってんだこいつと思いながら、答えた。
「え、だって、魔王だぞ!?格好いいだろ?憧れたりとか、するだろ?」
「しねーって」
「嗚呼…」
ほんと、何だよこいつ…
「えええー---!?じゃあ何を楽しみに生きているんだ!?」
「そりゃあ色々だよ、やることが多くて大変なんだぞ」
確かにな、ここの所色々としてるから大変だな…魔王が来たら余計忙しくなる。
「でも…魔王は魔人や人間に威張れるのだぞ?」
「退屈なんじゃないか?それ」
「うん、俺もそう思う」
リムルの言葉に、雷にでも打たれたかの如く、衝撃を受けた表情になる魔王。
どうやら退屈していたようだ。
リムルの言葉が図星過ぎて、言葉も出ないのだろう。
そう思っていたら、前に居た俺の両肩を両手で掴んでは、
「おま、お前ら!?魔王になるより面白い事してるんだろ!?ズルイぞ!ずるいずるい!!もう怒った。ワタシも仲間に入れるのだ!!」
俺を前後に激しく揺らしてきた。
魔王だからか、力が半端ない。
誰だよこんな駄々っ子を魔王にした奴は!
「分かった、分かった!俺達の町に案内するから!…いいだろ、リムル!?」
「…嗚呼、分かったよ」
「本当だな!?」
リムルはため息をついて、ミリムが町に行くことを承認した。
嗚呼…危うく、脳がバターみたいになるところだった。
「えー…じゃあ、俺とエムルはお前のことをミリムと呼ぶ、お前も俺らのことはリムルとエムルと呼んだらいい」
「むっ、いいけど…特別なのだぞ?」
ミリムは溜息をついては、説明をする。
「ワタシをミリムと呼んでいいのは仲間の魔王達だけなのだ」
「はいはいありがとうよ…じゃあ、今日から俺達も友達だな」
友達…
友達と聞いた瞬間、頭痛がして、俺は頭を片手で抑えた。
「大丈夫ですか?エムル様…」
「嗚呼…大丈夫だ」
心配してくれたシオンに礼を言い、ランガから降りる。
「ホラ、着いたぞ」
俺たちの町を見て、ミリムは初めて遊園地に来た子供のような表情を浮かべる。
「「ようこそ、
辺りをキョロキョロと見渡すミリムに、リムルは約束事を言った。
「とりあえず、これだけは約束してくれ、まずウロチョロしないこと、それから俺らの許可なく暴れないこと」
「うむ!」
ミリムは返事をした瞬間、走っていった。
「っておいいい!!」
「待て―!ミリムーー!!」
これは想像以上の重労働だな。
いとことレジャーランドに行った時、監視を任された時みたいだな!
そう思いながら、俺らはミリムを走って追いかけた。
「リムル様にエムル様、丁度良かった。回復薬についてお話が…」
すると、反対方向から回復薬の生産を任せれているガビルが、部下の一人とこちらにやってきた。
ミリムはガビルを見つけては、傍に近寄った。
「おお!
「我輩はガビルと申す!この町は初めてか、チビっ娘よ」
そう言いながら、ガビルは笑顔でミリムの頭を撫でた。
「…チビッ娘?…それはまさか、ワタシの事か?」
「えっ」
チビッ娘扱いされたミリムの殺気は半端なかった。
「おい、待っ…」
リムルが止めようとした瞬間、ミリムの左ストレートが炸裂し、ガビルの腹に突き刺さる。
ガビルは道の舗装を壊しながら吹き飛んでいった。
「「ガ…ガビルーっ!!」」
煙が晴れ、ガビルの姿を見ると、某犬神家の一族のポーズをして気絶していた。
「いいか、リムルとエムルとの約束があるから、今回はこれで許してやるのだ…次はないから気おつけるのだぞ」
どうやら、一応暴れないという約束は守ってくれた…らしい。
ガビルの部下が持っていた回復薬をかけて、ガビルの傷を治す。
「はっ、親父殿が川の向こうで手を振って…」
「いや、アビルは健在だろうが」
ガビルにツッコミをしながら俺は、ゲルドに直してもらわないっと思っていた。
「し、しかしあの娘…いや、お嬢様は一体…」
「ああ、あれが魔王ミリムだよ」
「ほほう、あれが……はぃいーッ!?」
リムルの回答に驚くガビル…うん、気持ちは分かるよ、うん。
これはミリムの姿を覚えてもらった方がいいな…ゴブタとか知らず知らずのうちに地雷を踏みそう…
それは、リムルも同意見だったようで、ガビルに頼んで皆を中央広場に集まるように伝えた。
「アイツ結構頑丈だったな! 今度はもう少し、強めで行っとくか?」
俺、リムル、ミリムは皆が集まるまで、中央広場に設置されている舞台の上で、ポテチ(もどき)を食べて待っていた。
リムルがミリムに軽く説教している中、俺は久々の日本のお菓子に夢中になっていた。
ポテチが美味しい…!久々のポテチはこんなにも美味しい物だったのか!
「ええと、今日から新しい仲間が滞在することになった」
俺がポテチに夢中になっていたら、皆が集まっていた。
ドワーフのドルドが作った魔イクでリムルが話し始めた。
「客人という扱いなので、くれぐれも失礼のないように」
ミリムの姿が見れた者達が、少し騒がしくなる。
「じゃ、本人から一言」
「うむ」
リムルから魔イクを受け取ったミリムは、
「ミリム・ナーヴァだ、今日からここに住むことなった、よろしくな!」
え?…待て待て待て!そんなの聞いてないぞ!
「待て待て待て!どういう意味だ!?」
俺がミリムに問いただすとミリムは平然とした顔で
「そのままの意味だぞ?ワタシもここに住むことにしたのだ」
「おい、ミリム…お前には今住んでいる所があるだろ?」
「大丈夫なのだ!たまに帰れば問題ない!」
胸を張って答えるミリム。
なんてこったい、これからさらに忙しくなるのかよ…
俺は頭を抱えて、しゃがみこんだ。
唯一の救いは住民の感触が悪くないことだ。
「うむ、ワタシとリムル、エムルは友達だから、何かあったらワタシを頼ってもいいのだ!」
皆が歓喜の声を上げる中、俺とリムルはそれぞれ端の方で頭を抱えて、しゃがみ込んでいた。
「…いや、そ、そうだな…友達というより…
え?
ミリムの言葉に驚く俺とリムル
「えっと…
リムルが呟くと、聞こえたミリムは
「ち、違うのか!?」
右拳を作り、魔素を集中させる。
「冗談だよ冗談!!リムルは人を驚かせるのが得意だからな!なーリムル!」
「お、おう!そうだ!俺たちは
あ、危ない…!危うくこの町が吹き飛ぶところだった…
かくして最も危険な魔王がテンペストに滞在することなったのだ。
はぁ、この先が思いやられる…
あれ?ここの所、スーパー戦隊要素が少ない気がする。
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