「…ミニティラ、似合うか?」
「ギャォン…!」
俺は庵で、
「エムル様、そろそろ時間ですよ」
庭からシオンが声をかけてくれた。俺の所に来たと言うことは、リムルの方にはシュナが行ってるんだろうな。
「ああ、今行くよ」
俺はシオンの後に続いて、広場にある演説台に向かった。
使節団のメンバーは、幹部候補のホブゴブリン数名と取り纏め役のリグル、そして使節団の団長にはベニマルを任命した。
俺とリムルは演説台に登っていく、俺とリムルの姿を見た皆は、歓喜の声を上げてくれた。
予定では、先にリムルの言葉からだ。
俺がどんなこと言うのか、気になっていたら
「諸君、是非とも頑張ってきてくれたまえ!」
と、リムルは短めの言葉で済まそうとしていた。
…そんだけ!?
俺がそう思っていると
「…それだけですか?」
シュナがそれでいいのか、不安そうな顔で言った。
「えー…じゃあもう少しだけ、いいか、お前ら、今回は、相手と今後も付き合っていけるのかを見極めるという目的がある。 我慢しながらじゃないと付き合えそうもないのなら、そんな関係はいらん。 お前達の後ろには、俺にエムル、そして仲間たちがいる…恐れず自分の意思はキッチリ伝えろ、友誼を結べる相手か否か、その目で確かめて欲しい。 頼んだぞ!」
ウオォォオォオ!
リムルの演説に皆が歓喜の声を上げる。
ちなみにだが、俺は演説を胡麻化してパスした。
俺達は演説台から降り、ベニマルの下に向かった。
「任せたぞ、ベニマル」
「は、カリオンが信用に足る人物か、この目で見極めてきます」
「だからって言って、ケンカとかするなよ…」
「…はい」
俺が釘を刺すと、するつもりだったのか、ベニマルが少し残念そうな顔をした。
…なんだろう、とても不安になってきた。
「リグル達も頑張ってくれ、良い点はどんどん取り入れたいからな」
「見聞を広めて参ります!」
…うん、リグルは大丈夫そうだな。
「では行くぞ!」
「はい!」
ベニマルが、手を振りながら牙狼族が引っ張る狼車に乗り込み、他の者達もそれぞれの狼車に乗り込んでいく。
こうして、ベニマルが率いる使節団は、皆に見送れながら出発した。
うん、彼らなら心配はないだろうな…ベニマル以外……ま、まぁ後はこっちの準備だ。
「迎賓館の料理人はどうだ?」
綺麗で立派な建物が立ち並ぶ区画に俺とリムル、それにシュナとシオンが歩いてやってきた。リムルがシュナに聞くとシュナは笑みを浮かべて
「はい十全に」
リムルの質問に答えてくれた。
確か、シュナが料理の盛り付けの指導をしていて、ガゼル王が連れて来たベスタ―と言う元大臣が、皆に貴族に対するマナーを指導していたんだっけ?まぁ、これならこっちの準備は良さげだな。
そう思っていたら、ヨウム一行が
俺らがヨウムと酒を飲んでいる場所は、アメリカのホワイトハウスをイメージした執務館の一部屋だ。
「──なんか忙しそうな時に来ちまったかな」
そう言いながら、風呂上がりのヨウムはテーブルを挟んで、長椅子に座っていた。
「いやいいよ、せっかくだし接客の練習相手になってやってくれ」
俺の隣に座っているリムルが答える。
「接客?誰か来んの?」
「ああ、もうじき魔王カリオンところから使節団が来るんだよ」
酒を口に含みながらヨウムが聞き、リムルが答えると、ヨウムはその場で固まり、次の瞬間、口に含んでいた酒を俺の顔に目掛けて、吹いてきた。
「ゴホッゴホッ!…悪い、エムルさん!」
「……ま、まぁ…驚くのは当たり前だな…」
近くにあった布で、俺は顔に付いた酒を拭き始めた。
酷い目に遭ったな…しかも、リムルに関しては素早く離れやがった。
「で、でも…魔王カリオンって…」
「まぁ話せば長いんだぞが…」
俺が顔を拭いている中、リムルがヨウムに事の経緯を説明してくれた。
「──というわけで、国交樹立のチャンスってワケなんだよ」
「は、ははぁ…なるほど…それにしても魔王かぁ…その配下ならさぞおっかないのが来るんだろうな…」
そう言いながら、俺と自身のコップに酒を注いでくれるヨウム。
確かに、どんな奴が来るのだろうか気になるな。
「どうだろうな、別にケンカが目的じゃないし」
「だな、使節団の送り合いだから、ケンカはないと思うな」
俺はコップに入った酒の一口飲む。
「でも、不測の事態に備えてあちらには、ベニマルさんを行かせたんだろう? 向こうだって、同じように考えるんじゃねぇのかなぁ」
「だとしても関係ないな、下手に手を出して、チャンスをふいにしたくないし」
リムルの言葉にヨウムは、確かに、という表情を浮かべた。
「だからって、お前らも使者にケンカ売るなよ?」
「俺も手下どもも、そこまでバカじゃねーですって」
「それもそうか」
俺とヨウムは笑い合ったが、
「そういや、ハクロウが会いたがってぞ、腕が鈍ってないか、確かめたいってさ」
「師匠が!?一気に酔いが醒めた」
リムルの発言で、ヨウムは一気に酔いが醒めたらしい。
────数日後
「…来たか」
シオンに抱えられているスライム姿のリムルが呟く。
虎車を見ながら、このまま穏便に行くことを願った。
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