転生したらスーパー戦隊になっていた件   作:盈月さん

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今回は、第三者視点でお送ります


33話 災禍

「ハハハっ! 死ねぇ!!」

 

襲撃者の一人、田口 省吾(ショウゴ・タグチ)がシオンの亡骸を抱えているエムル目掛けて殴りかかった。

 

「エムル様!!」

 

衛兵やシュナ達がエムルの下へ走り出すも、明らか間に合わない。

だが、ショウゴの拳は途中で止まり、周辺に居た騎士やショウゴ達は、ビビりながらも、エムルから距離を取った。

それと共に、エムルがシオンを抱えながらゆっくりと立ち上がった。

 

「エムル様!」

 

衛兵の一人がエムルの下に駆け寄ると、エムルは無言でシオンを衛兵に渡した。

 

「エムル様!どうか避難を…!」

 

エムルからシオンを受け取った衛兵は、エムルに避難するように呼び掛けるも、エムルは無言のまま、騎士達に向かって歩み出した。

エムルが一歩、また一歩と歩くたびに、騎士や襲撃者を含め、周りの者達の多くはエムルに恐怖を感じた。

下を向いているせいで、顔は見えないが、エムルが放っている殺意はおぞましいモノだった。

 

「本性を現したな!皆の者!あやつは、人の皮を被った魔物だ!! 今こそ、悪を討つのだ!」

 

ファルムス王国軍騎士団長であるフォルゲンは、副盟主であるエムルを殺せる好機だと思い、騎士達に命令した。

騎士達は、少しビビりながらもエムルを殺すために、エムル目掛けて走り出した。

 

「…」

 

騎士達が向かってくる中、エムルは顔をゆっくりと上げた。

エムルの顔を見ることが出来た、多くの者達をまた恐怖に感じた。

エムルの綺麗な瞳は光を失っており、常に微笑んでいる顔は憎悪で悍ましいモノになっていた。

 

「…っ! 皆の者!行くぞ!!」

 

流石のフォルゲンでも、エムルの表情に少しばかり恐怖を感じたが、すぐさま騎士団をエムルに向かわせた。

だが、騎士団の前列が、横から飛んできた紫色の妖気(オーラ)を放つ剣によって崩された。

 

「なんだ!?」

 

騎士達が混乱する中、紫色の剣はまるで、意思があるように騎士達や襲撃者達を襲った。

紫色の剣はある程度の騎士達や襲撃者を斬ったあと、自身を作り出してくれた主、エムルの下へと飛んで行った。

剣こと、ニンジャークソードはエムルの背中に収まっては、ギアディスクを自動で回転させた。

 

What's Up!?

 

待機音が鳴る中、エムルの姿がニンジャークソードと触れている所から、ドンムラサメへと、姿を変え始めた。

 

DON、MURASAME!!キリステ、Sorry!!

 

完全にドンムラサメへと姿を変えたエムルは、ゆっくりと歩み出した。

 

「…」

 

エムルは無言で歩き続けたが、エムルの目の前に二人の日本人が立ち塞がった。

 

「はっ!どうせ雑魚だろ?キョウヤ行くぞ!」

 

「うん、僕達なら余裕だろうね」

 

ショウゴとキョウヤは二人掛かりでエムルに襲い掛かった。

だが、二人の攻撃はニンジャークソードで受け止められ、エムルは、二人の攻撃を押し返したのち、ニンジャークソードを勢いよく振った。

 

「うおっ!」

 

「…っ!」

 

二人はギリギリで避けては、距離を取り、すぐさま態勢を整えた。

そんな中、エムルはニンジャークソードのギアディスクを一回転させ、トリガーを引いた。

 

イチシャーク・キリシャーマン

 

エムルはニンジャークソードを地面に突き立て、その場にしゃがみ込んだ。

しゃがみ込んだエムルは、潜水するかの如く地中に潜り込んでいった。

 

「なに!?」

 

「どこに…」

 

騎士や襲撃者達は最初は警戒していたが、中々現れないため逃げたと判断した。

 

「ハハッ! 副盟主は随分と腰抜けだな」

 

一人の騎士が、エムルをバカにし、それを聞いた他の騎士達が笑い始めたその時、最初にエムルをバカにした騎士が、地中から飛び出て来たエムルによって切り倒された。

 

「がはっ!」

 

切り倒された騎士は、切口から大量の血を吹き出しながら、その場で倒れて死んだ。

騎士を斬り殺したエムルは、再び地中に潜った。

 

「よくも、我らが同士を…!」

 

騎士を一人をやられたフォルゲンは、頭にきたのか、騎士全員に指示を送った。

騎士達は地面に警戒心を強めたが、それの行動は無意味だった。

エムルは地面だけではなく、壁から飛び出たりして、様々な方向から飛び出ては騎士達を次々と斬り殺していった。

 

「いい加減…ウザいんだよ!」

 

ショウゴは、襲い掛かって来たエムルの腹を左腕で貫いた。

 

「ハハッ!ザマァねぇな!!」

 

高らかに笑うショウゴは、エムルの腹を貫いた左腕を抜こうしたが、いくら動かしても腕は抜けなかった。

 

「はぁ!?ふざけるなよ!」

 

ショウゴは更に腕を抜こうと頑張ったが、それでも腕は抜けなかった。

 

「クッソ!…っ!ギャァァァ! う、腕が! 俺の腕がァァアァア!」

 

ショウゴが頑張って、腕を抜こうとしている中、エムルはニンジャークソードを使い、自身の腹を突き抜けているショウゴの左腕を切り落とた。

エムルに左腕を切り落とされたショウゴは痛みで、叫びながら地面を転がり回った。

 

「…」

 

エムルは自身の腹に、突き刺さったままのショウゴの腕を抜き、そこら辺に投げ捨てた。

ショウゴに貫かれ、穴が開いていた腹は、ドンムラサメのスーツと共に再生していった。

 

「化物が、我らファルムスの親愛なる民傷つけおって!皆の者!掛かれ!!」

 

オォオオォォォオ!!

 

怯える騎士達を置いて、勇敢な騎士達は一斉にエムルに襲い掛かり、剣でエムルを串刺しにした。

エムルから大量の血が溢れ出るが、ユニークスキル、不死者(シヲコバムモノ)により、エムルは無事だった。

騎士達はエムルの血だまりを踏みながら、更に深く、エムルに剣を刺し込んだ。

そんな中、エムルはふと思い、血に意識を集中させた。

エムルが意識を血に集中させたその時、血だまりから血と同様の赤さを持つ針が、無数に飛び出て、自身を刺していた騎士達を貫いた。

 

《確認しました。エクストラスキル「血液操作」を獲得…成功しました》

 

エムルの頭の中で世界の言葉が鳴り響いた。

エムルは早速、新たに手に入れた血液操作を使い、自身の血で矢のような物を、無数に作り出し、騎士達目掛けて放った。

 

「ぐうぅ!」

 

騎士達は盾や建物を使い、血の矢を回避した。

 

「…撤退するしかないか……この町は魔物に汚染されている!我らが神ルミナスは、魔物の国など断じて認めぬ! 故に! 西方正教会の助力を受け、武力を持って制圧する! 時は今日より一週間の後、指揮官は英傑と誉れ高いエドマリス王、その人である! 恭順の意を示すならば良し、さもなくば神の名の下に、貴様らを根絶やしにしてくれようぞ」

 

流石に撤退することにしたフォルゲンは、撤退ざまに声を張り上げて言い放った。

それを見たエムルは安心したのか、変身を解除し、その場に倒れ込んだ。

 

「エムル様!」

 

シュナがエムルの下に近づくと、エムルは目を瞑って眠っていた。

恐らく、魔素の使い過ぎで低位活動状態(スリープモード)になったのだろう。

シュナはエムルを安全な場所に運ぶように衛兵に伝え、後から来た、ベニマルとリグルドに状況を説明したのち、自分は怪我人の治療に向かった。

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